８．

　その日冴子は、貴史との約束を破る覚悟をして、外出していた。
　車で郊外に向かった冴子は、人気の無い公園の駐車場で、複数の若い男たちと会っていた。
「久しぶりね。元気だった？」冴子が、男たちのリーダーらしき人物に話しかける。
「ええ。冴子さんも元気そうですね。なんか、凄く綺麗になっちゃって・・・まるで別人みたいだ。」その男は、冴子の全身を上から下まで舐めるように眺めながら、そう答えた。
「そう？、そう言われると、照れくさいな。」冴子はそう言いながら、車のボンネットの先端に腰を降ろし、ゆっくりと脚を組んだ。
　男の目が、一瞬、網目のストッキングを穿いた冴子の美しい両脚に釘付けになり、その喉仏が上下に動いて、生唾をごくりとのみ込んだのがわかった。
「それで、今日は何の用で呼び出したんですか？」再び冴子の顔に視線を戻した男が、彼女にそう訊ねる。
「今日は、お願いがあってきたの。」
　白のタートルネックのセーターと、黒の膝上までのスカートを身につけた冴子が、スカートのスリットから艶めかしい太ももを覗かせながら、うっとりするような声で男に返事をする。
「どんな事ですか。他ならぬ冴子さんの頼みだから、大抵の事は引き受けますよ。」
「実は・・ある女性を懲らしめて欲しいの。」
「懲らしめる？・・具体的には、なにをすればいいんですか。」
「もう一生、男には抱かれたくないという程、その女を可愛がってやって欲しいの。」
「回せという事ですか？・・あえて理由は聞きませんが・・恨みですか？」
「ええ、まあそんなところ・・・あなたには、本当のことを打ち明けるけど、その女、私の弟を弄んだのよ。」
「えっ！、弟さんを？・・それは許せないですね。・・だが・・」
「なに？、問題でもあるの。」
「実は最近、警察に目をつけられてまして・・暫くは、派手な事はできないんですよ。」
「そう・・それは残念ね。あなたなら、真っ先に、私を助けてくれると思ったのに・・」
「すいません。あなたの力になりたいのは山々なんだが・・」
「どうしてもダメ？」
「ええ、今、捕まる訳にはいかないんです。勘弁して下さい。」
「そう・・そんな程度だったの・・昔はあれ程、命がけで好きだと言ってくれたのに・・あれは嘘だったの？・・それとも、もう忘れちゃった？」冴子はいつの間にか、男の顔を見つめながら、眼から涙を流していた。
「冴子さん・・」呆然とした顔で、冴子の顔を見つめる男。
　やがて冴子は、思い切ったように、「タダでとは言わないわ。代りに私の身体を使わせてあげる。あなた達はいつも、私の身体を欲しがってたでしょ？」と言うと、スカートの裾を大きく捲り上げ、太ももを顕にして、ストッキングを脱ぎ始めた。
　冴子の美しい生脚を目にした他の男たちは、おもわず身を前に乗り出し、彼女の周りに近寄ってくる。
「やめてください。冴子さん。そんなつもりで言ったんじゃないんだ。」
　冴子はリーダーの男の言葉を無視して、両手を頭の上に挙げ、着ていたセーターを脱ぐ。
　セーターの下からは、胸元にリボンの付いた上品な柄の純白ブラが現われる。その中には、真っ白で豊かな彼女の胸の谷間が息づいていた。
　男たちはみんな、冴子の清楚で大人の魅力に溢れるその姿に、言葉を忘れて見蕩れている。
　男たちが、冴子の魅力的な胸元や首筋に目を奪われている隙に、冴子はスカートのファスナーを降ろし、下半身も下着姿になっていた。
　スカートを脱ぎ、再び車のボンネットに腰を降ろした冴子は、両手を後ろに突き、その肌が男たちからよく見えるように、胸と腰を前に突き出した。
　男たちの眼に、ギュウッと括れたモデルのように細い冴子のウエストと、真っ白で肌理細かな素肌、それに、張り出した腰骨や黒い陰毛の影を包む小さめのレースのショーツが、飛び込んでくる。
　男たちは、じりじりと冴子に近づきながら、彼女のその魅惑的な下着姿に、何度も熱い視線を走らせている。
　この時、冴子の行動を止めようと、リーダーの男が「もういい。やめるんだ。」と言いながら、彼女の方に近寄ろうとした。
　すると、後ろから数人の男が飛び出して来て、リーダーの男の身体を押えつける。
　そして、「まあ、いいじゃないですか。折角、犯らせてくれると言ってるんだから・・こんな綺麗な身体、もう、二度とお目にかかれないかもしれませんよ。」と、背の高い男がリーダーの男に告げた。
「お前等、なんのつもりだ！。放せ、馬鹿野郎！」暴れるリーダーの腹にパンチが何発か叩き込まれ、身体をくの字に曲げながら沈黙した男が、何処かへ連れ去られる。
　代わって冴子の前に立った背の高い男が、「さあ問題は片づいた。続きを頼むよ。」と、笑いながら冴子の肢体に視線を戻す。
　冴子は無言のまま、車の上に仰向けに横たわると、両手を頭の上に挙げ、長い両脚をＭ字型に開いて、その輝くばかりに美しい女体を、男たちの前に差し出した。
　背の高い男が、欲望に眼をギラつかせながら、「本当にその身体を、俺達に使わせてくれるのか？」と、冴子に問いかける。
「ええ、どうぞ・・好きにして。」冴子はゆっくりと瞳を閉じながら、そう答えた。
　これを聞いた男たちが、一斉に冴子の身体に群がる。すぐに冴子のブラは毟り取るように剥ぎ取られ、ショーツは何本もの手で荒々しく足首まで引き下げられた。
「あっ・・はんっ！、はあぁ・・うんっ・・アッアッ・・あっあぁーーっ！」
　剥き出しになった冴子の裸体に、男たちの無数の唇が吸い付いた瞬間、彼女の身体は大きく反り返る。さらに涎を垂らした無数の舌が、その白い身体の上を這い回り始めると、その口からかん高い悲鳴が漏れた。
　冴子の透き通るように白く豊かな乳房や、対照的に黒々とした陰毛を湛えたその下腹部を目の当りにした男たちは、自身の股間を熱り勃たせ、焦った手つきで服を脱ぎ捨てて、次々に冴子に飛び掛かってゆく。
　やがて、冴子の身体は覆い被さった男たちの身体に隠れて見えなくなり、丸まった彼女の足先だけが男たちの身体の間から飛び出して、彼らの腰の動きに合わせて、忙しなく上下するようになる・・

「ハァ、ハァ、あぁ・・んっんんっ・・ッ！、ハァ・・まったく・・容赦ないのね・・何度出せば気が済むの・・」
　冴子は、最後まで勃て続けていた、背の高い男が噴上げた熱い精液をその舌で受け止めながら、呆れたようにそう呟いた。
　すでに冴子の美しい顔は、男たちが吐き出した大量の精液で真っ白になり、胸にかかった粘度の高い白濁液は、どろどろと彼女のウェストを伝い下半身まで流れ落ちていた。
「おおぉ・・あぐうぅ・・」最後に、激しく手で扱かれ、先端を口で吸われた背の高い男は、悶絶しながら地面に崩れ落ちた。
「ハァ、ハァ・・約束は守ってもらうわよ。いいわね。」冴子がその股間から大量の精液を溢れさせながら、地面にへたれ込む男に向かってそう言った。
「はぁ、はぁ〜、あんた凄えなぁ・・ああ、約束は守るよ。こんな素晴らしい身体を味あわせてもらったんだ。それぐらいは、やらないとな。」背の高い男は、好き勝手に冴子の身体を蹂躙しながらも、彼女の依頼については必ず実行すると確約した。

９．

　ダンス教室からの帰り道、幸子は人通りの少ない通りの角を曲がった所で、いきなり数人の男たちに襲われ、身体の自由を奪われた。
　口を塞がれ、手足を拘束された幸子は、そのまま抱きかかえられる様にして、その先の路地に連れ込まれる。
　細い路地の先には、大型のワンボックスカーが停車していて、男たちは無理矢理に幸子を、そこまで引き摺っていった。
　男の中の一人が、「高校生に手を出しちゃいけないな。欲求不満なんじゃないのか？。代わりに、俺達が相手をしてやるよ。」と言いながら、ワンボックスカーの後部ドアを開ける。
　次の瞬間、両手を後ろ手に締め上げられ、口を塞がれた幸子の眼に映ったのは、狭い車の荷室の中で素っ裸で犇めき合いながら、嬉しそうに自分のペニスを扱く、１０人ほどの柄の悪い男たちの姿だった。
　忽ち幸子の顔が恐怖に引き攣り、聞こえない悲鳴を上げながら、より激しくジタバタと暴れ出す。
　その時、物陰から冴子がその姿を現した。
　捕われた幸子の姿を眺めながら、冷たい微笑みを浮かべている。
「バカな女。貴史に手を出すなんて・・自業自得よ。思い知るがいいわ。」
「んんーーッ・・んぐんーーッ・・」冴子を見つけた幸子は、必死で暴れながら、塞がれた口で冴子に向かってなにか叫んでいる。
　冴子は蔑むような視線で幸子の顔を一瞥した後、「・・もう二度とへんな気を起こさない様に、気が狂れるまで徹底的に犯して。」と、男たちに冷たくそう言い放つと、くるりと背を向けてその場を立ち去った。
　残された幸子は、そのまま、裸の男たちが待ち構える車の荷室に放り込まれ、その場から連れ去られる。
　後には、幸子の断末魔の絶叫と、車の排気ガスだけが残された。

　ガソリンが無くなるまで一晩中、田舎の道を走り続けたワンボックスカーは、朝になってやっと街中に戻って来ていた。
　車の車体は、走りながらまだ左右に揺れている。
　カーテンを引かれ、完全に目隠しをされた車内では、地獄の饗宴が延々と続けられていた。
　マットを敷かれた床に仰向けに押えつけられた幸子は、感覚の無くなった身体の内側を執拗に刳られ続けながら、また気が遠くなりかけているのを感じた。
　すぐに幸子の表情の変化に気がついた男の中の一人が、先程と同じように揮発性の気付け薬を持ち出してきて、それを幸子の鼻に嗅がせる。
　忽ち、幸子の瞳がパッと見開かれ、その意識は無理矢理に現実の世界に引き戻された。
　覚醒した幸子が悲鳴をあげる間もなく、その口には異様に太いペニスが再び捩じ込まれる。
　それと同時に、幸子の下半身を抱いていた男の身体がブルブルと激しく震え、彼女の身体の中で何度目かの射精を始めた。
　ペニスを挿入されたままの幸子の膣から、ぼたぼたと夥しい量の精液が溢れだし、そのまま下のマットに染み込んでゆく。
　やがて、脱力した男が幸子の身体を離れるとすぐに、待ち構えた次の男が、赤く腫れ上がった彼女の陰部に、硬く勃起した自分のペニスの先端を強引に突っ込んだ。
　そしてまた、四肢を押えつけられた幸子の身体は、電器按摩器にかけられたように激しく揺すられ続ける。
　すでに声を出す気力も無くした幸子は、無限に続く輪姦地獄の中で、いっそ死んでしまいたいと思うようになっていた。

　明け方に近い時間、廃人のように見える幸子は、自宅近くの路上に全裸のまま捨てられる。
　自力では起き上がることができない幸子は、新聞配達員の男性に発見され、そのまま病院に運ばれる。
　病院からの通報で捜査を開始した警察は、生きる気力を無くし、全てを諦めたように見える幸子から、事件の全容を聞き出し、幸子をレイプした男たちと冴子を逮捕する。
　さらに、レイプ検査で幸子にＨＩＶの陽性反応が出て、男たちの中の一人がエイズ感染者である事が解った。続いて、冴子にも陽性反応が出る。
　捜査の過程で、冴子と貴史の関係を知る事となった二人の両親は、子育てをめぐって口論となり、その結果、すぐに離婚する事になった。

　母と一緒に自宅を離れる日、貴史は冴子と何度も愛し合ったベッドを悲しそうに眺めながら、
（「さよなら、姉さん。もう会えないかもしれないけど、今までもこれからも、一番愛しているのは姉さんだからね。」）と、胸の中で愛する姉に別れを告げた。