初対面で、あんなはしたないことして、雄治さんはどう思っているかしら。
　きっと軽蔑しているにちがいないけど、わたしだって、ほんとうに二人の男とするなんて思っていなかったし、あんなに狂ってしまって恥ずかしい。
　お酒のせいにするのは言い逃れだけど、少し酔ってもいたし、雄治さんがすてきだったので、ついパパの言うままにあんなことをしてしまい、少し後悔している。
　でも思い出すと、ショーツがいつのまにか濡れてしまい、ヒヤッとした感触を伝えてくる。

「ほれ、誰かが小夜香のケツの穴をいじってるぞ」
　パパはときどき、わたしをお腹の上に乗せてセックスするけど、そのときは必ずお尻に手をまわして、アナルに指を入れてくる。
　あそこを下から突き上げられながら、うしろを指でグリグリ出し入れされると、口では｢イヤ、イヤッ」とはいうものの、二人の男に陵辱される女の姿態を思い浮かべて、とても感じてしまい、あらぬことを口走ってしまう。
「してッ　してッ　もっとしてッ」
　そしてアナルを太いもので犯されながら、
「そうか、二人の男に嬲られたいのか。俺の目にかなう男がいたら、させてやるからな」
　などと何度も言われているうちに、心のどこかで、そういうことが起こってもいい、起きて欲しいと思っていたのかもしれない。

　でも、現実にそんなことをするとは思っていなかったのに、パパがあの晩、「いい男がいるから、おまえも来てみろ」と電話してくると、ドキドキしながら出かけてしまい、若々しくて優しそうで、礼儀も正しい雄治さんに好感をもってしまった。

　とても恥ずかしくてヘンな出会いだったけど、また逢いたいと思った。パパもなにを考えているのか、また逢ってもかまわないと言っている。
　雄治さんがあのことをどう思ったかわからないけど、彼に嫌悪や軽蔑の表情はなかったし、あの朝などはとても優しかったから、また逢ってくれるかもしれない。

　　＊　　＊　　＊

　パパが中国とシンガポールに、二週間の予定で出張したので、雄治さんに電話した。
「小夜香です。お話したいことが……」
「あっ、先日はどうも……。でも…あの…」
「社長が出張してまして……｣
「はあ、折り返しお電話させていただきます｣
　会社への突然の電話だったから、雄治さんはどぎまぎしていたが、社長の出張が本当なのを確かめたらしく、「すぐ伺います｣と電話してきた。

　待つあいだ、シャワーを浴びた。三十二歳にしては、白い肌はよく水をはじくし、体の凹凸も崩れていないとおもう。でも、乳は少しハリを失ったような気がするし、腰のくびれからお尻へのラインが、ちょっと曖昧になったような気がする。
　あそこがもう潤んでいるのに気がついて、わたしはほかの人にくらべて淫乱なのかしらとおもう。恥毛が五ミリくらい伸びていて見苦しいので、どうしようか考えたが、そのままにした。

　胸と背中がざっくり開いた、黒いスリップドレスをつけた。下着はなにも着けなかったから、裏地の冷たい感触に乳首が立ってしまう。
　胸元が寂しかったので、黒のチョーカーをつけた。パパもお気に入りのチョーカーで、これをつけると貴婦人みたいになるというけど、たぶん首輪を連想させてマゾっぽくなるのだとおもう。
　ほんのちょっぴり、耳のうしろと内ももに夜の香りがするプアゾンをすりこんだ。

　あまり気が進まなかったけど、ビデオもセットした。パパに言われていたからだ。
「留守中に彼を呼んでいい。寝てもかまわないが必ずビデオに撮っておけ｣
　たぶん、ビデオで雄治さんを脅して取引を有利に進めようというのだろうが、わたしは男の人のお仕事についてはわからないので、深く考えないことにした。パパだって社長として社員を養ったり、わたしを養ったりしなければならないのだから、いろいろたいへんなのだ。
　それより嫉妬したときのパパはすごく激しくなるから、ビデオもまんざら悪くないかもしれない。

　雄治さんがピンクのバラを三本もってきてくれたので、バカラの小さな花瓶に挿した。真っ赤ではない小ぶりなバラが三輪……、ひかえめな好意の表現がうれしかった。

　アイスコーヒーを一口飲んで、雄治さんが切り出した。
「で、お話というのは……」
「……あの、……べつに特別なお話というわけでも……」
　呼び出すほどの話は何もないのだから困ってしまうけど、そういうときは視線を落として黙っていればいい。男の人というのは、何かを勝手に想像して話題を作り出してくるものだし、口数の少なさを、ひかえめで思慮ぶかい女だと思ってくれるかもしれない。

「社長のことですね？　……そもそもどういうお付き合いなんですか」
　ひかえめに、だいたい本当のことを話した。
　十年前、地方の大学を出て東京の銀行に就職してアパートを借りたとき、電気器具を熊田商会でそろえたが、設置にミスがあったとかで、なぜか社長がじきじきに来て直し、その場でレイプされてしまったこと。
　あとで社長は、ミスなんかなかった。社員が美人だというので、誘惑しに行ったのだと言ったこと。
　訴えれば、お堅い銀行のことだから、せっかくの就職がダメになってしまうし、社長が「部屋代はいらないから、俺が持っているマンションに越して来い」と言うので越してきて、それ以来逃げ出せずにここに住んでいること。
　銀行は二年でやめて、熊田商会の経理を三年したこと……。あとは……。

　伏し目がちに話しているうちに、目が潤んできた。
「そうだったんですか。ひどい男だ｣
　たしかにひどい男にはちがいないが、わたしに対してはそんなに悪い人ではないし、生活にも困らないから、愛人というか情婦というか、そういう生活に甘んじているわけだけど、それほど悲しい人生を送っているとは思わない。
　でも、どこか満たされない思いもあるので、同情しながら真剣に話を聞いてくれる人を前にすると、ちょっと大げさに悲しくなって、涙がポロッとこぼれてしまった。

「小夜香さん……」
　雄治さんが抱きしめてくれ、唇で涙をぬぐってくれた。
「元気を出してください。人生これからですよ。なんとかしましょう｣
　なんだかテレビドラマのせりふのようでおかしかったけど、若い男の精一杯の言葉がうれしくなって、わたしも唇を求めた。
　同情のキスが、欲情のキスへとすぐ変わった。

　唇がうなじを這い、胸の谷間におりてくる。荒い鼻息が素肌に気持ちいい。広くあいた襟ぐりから手が入ってきて、乳がつかまれた。
「ああ……」
　指に挟まれた乳首がくりくりひねられて、たあいなく声を洩らしてしまう。三十二歳の乳を、六つも年下の雄治さんはどう感じているだろうか。
　乳を強く吸われ、しこった先端を噛まれて、下腹の奥がジンとうずいた。

｢いい香り……」
　雄治さんのふさふさの髪は、日向の匂いがして心地いい。胸に抱いてその香りにうっとりしていると、手が裾をからげて内ももを上がってきた。ショーツは着けていないから、もうすぐ届く……。
　しっかり抱き合ったまま、ソファに倒れこんだ。
　抱きしめられるって、どうしてこんなに気持ちがいいのだろう。パパに、モノのように扱われるのも好きだけど、こうしてほんとうの恋人みたいに抱きしめられると、体じゅうが愛に満たされていくようでうっとりしてしまう。

　カーテンは締め切ってあるけど、明かりは煌々とついているから、めくられた裾の白い太ももが、自分でもなまなまなしい。
　恥丘を這う指が、のびはじめた毛をまさぐるので、恥ずかしさと期待とでからだの底からジンと蜜がわきでた。
「のびてますね……｣
「……恥ずかしいわ｣
　パパはそこをいつもきれいにしておくようにいうのだけど、いまは出張中だから放っておいたのだ。シャワーのとき、剃ろうかと思ったけど、雄治さんが剃りたいというかもしれないので、そのままにした。

「どうして剃っているんですか」
「……パパが……」
　ほんとうかどうかしらないが、パパには一人娘がいたのだけど、十歳のときに白血病かなにかで亡くなったそうだ。
　わたしにパパと呼ばせたり、人に娘だと紹介したりするのもそうたけど、その娘がわたしと同年代なので、あそこの毛を剃って幼い娘の記憶に重ね合わせているのだとおもう。

　最初は、縛られて無理やり剃られて、恥ずかしくて恥ずかしくて悲しかったけど、パパが狂ったようにそこを舐めてくれて、そのあとのセックスでは、いままで経験したことがないほど感じてしまった。
　くっきりあらわになった亀裂に、男の猛々しいものが入ってくるのがはっきり見えるし、丸裸にされた粘膜が、タワシみたいな男の毛にこすられて、とても感じる。

「その……、パパというのは、やめてください｣
　雄治さんに言われて、ハツとした。わたしが何気なしにパパというとき、そこに少しだけど、愛情が含まれているのかもしれない。
　わたしは地方の旧家で育ったけれども、家は落ちぶれていて貧乏だったし、父は四つのときに死んでしまっていたから、面影もおぼろで、一緒に遊んでもらった記憶もほとんどない。

　東京に出てすぐ、社長にレイプされてショックだったけど、たくましくて金持ちで、傍若無人な男に、無意識のうちに父親像を重ねていたとおもう。
　父が生きていれば同じ年頃だし、父がいればいいとずっと思っていたから、年のことも禿げた頭も、あまり気にならなかった。
　女の人の多くは、出っ張った腹や禿げた頭や粗野なふるまいを、デリカシーのないオッサンだと嫌うけど、わたしはかえって頼れる男を感じてしまう。

　固太りの、太い体でのしかかられると、重さで身動きできなくなるけど、つぶされるような重さが愛情の量のように感じるし、圧倒的な力に征服される心地よさが体じゅうに広がって、とても安心したあったかい気持ちになる。
　それに年が離れているからか、パパは珍しいオモチャをもらった子供みたいに、あきずにわたしの体を、隅からすみまでいじくりまわすので、わたしは父親にかまわれる赤ん坊のように幸せな気分になってしまう。

　でも、こんなことは雄治さんに言ってはいけない。雄治さんに父親像を求めるのは無理だけど、初々しくてすがすがしい弟みたいで、とても魅力的だ。
　パパというのをやめろというのは、そんなわたしの思いに気づいたからだろうか、あるいはパトロン的な呼び名を軽薄に口にするなということだろうか。
　どちらかわからなかったが、雄治さんの前では使わないことにした。

「剃りたいの？｣
　指がまだ、恥部の伸びかけた毛をまさぐっているので聞くと、雄治さんがゴクリと生唾を飲んだ。
「ええ……　いいんですか？」
「いいわ　剃ってちょうだい」
　
　わたしは熱い蒸しタオルとカミソリをソファのテーブルに用意して、ソファに掛けた。
「ここで剃るんですか？」
　雄治さんは、バスルームで剃るのだ思っていたらしいが、ベッドやソファで剃られるほうが異常感があっていいし、ビデオはこの部屋にしか設置してないので、ほかの場所でするわけにはいかない。
　ビデオの撮影はやめようかと思ったけど、約束したことなのでそのままにした。

　裾がたくし上げられて脚が広げられ、陰部に蒸しタオルがぴったり押しあてられた。局部だけが熱く蒸される感覚は、なんだかオシメの後始末をされているみたいで、とても卑猥に感じる。
「いやッ　やめて……」
　わたしは両手で恥部を隠し、脚をかたく閉じた。
「ゆるして……　やっぱり　恥ずかしくてだめです……」

　パパに初めて剃られたときも、恥ずかしくて恥ずかしくて抵抗したのだけど、縛られて身動きできなくされたので、逆らうことができなかった。死ぬほど恥ずかしくて悲しかったが、いまはそれほどでもなくて、むしろ剃られていく感触を愉しんだりする。
　でも、いまはロープはないし、若い雄治さんに剃られるのはとても恥ずかしい。
　パパのようにうんと年が離れていれば、自分がオモチャみたいに扱われて当然のような気がするが、雄治さんは年下だし、同じ世代にちかいので、あまり淫らな姿を見せたくないのかもしれない。

　かたく閉じた膝に雄治さんはためらっていたが、すぐ強い力で広げられ、わたしも抵抗をやめたけど、目のやりばにも手のおきばにも困ってしまう。顔を手で覆って、縛られていればいいのにと思った。
　蜜や唾液がいっぱいの舌で、恥しいところをぐちゅぐちゅ舐められ、冷たい刃でプチプチと剃りとられていく。もともとそんなに多くはないから、すぐ恥丘はすべすべにされてしまう。

　でも、亀裂のはじまりは狭いし、クリトリスや花びらのちかくは、皮膚が柔らかくて剃りにくいから、横に引っ張られたり縦に伸ばされたりする。
　腰がもちあげられて、そんなところに毛は生えていない思うのだけど、肛門のまわりまでていねいに剃られた。
　指や舌やカミソリの動きに加えて、いぎたなく濡れているそこを、まじまじと見られるのが恥ずかしくて、あとからあとから蜜を垂れ流してしまう。

　剃り終えた雄治さんが、少し顔をはなして、むきだしになった陰部を見ている。そこは虫の訪れをまつ蘭の花みたいに、卑猥に開いているにちがいない。
「びちょびちょだけど……、きれいです」
　礼儀正しい若い男の人に、そんな言葉を使われると、いやらしい心の裏側まで見られたみたいでゾクッとする。腰をよじってお願いした。
「いや　……見ないでください」

　ガバッと雄治さんが顔を埋めてきて、トロトロの花芯が口でふさがれた。ぬめっとあったかいもので体の芯が舐められるのはとても気持ちがよく、ザラザラの舌でクリトリスを舐めてほしくて、ひとりでに腰が動いてしまう。
　短く伸びたヒゲが、粘膜をチクチク刺激するのがたまらないし、あふれた蜜がピチャピチャ音をたてるのがいやらしい。

　(お尻も舐めてッ)
　とおもうけど、口にするのははしたないので、ときおりクッと腰をもちあげて、舌がアナルにあたるようにした。
　何度かくり返すと彼もわかったようで、グイと腰を浮かされて、肛門が舐められた。ドレスを着けたまま肛門を舐めさせるなんて、なんて淫らな女だろうと自分でもおもうけど、そうおもうことでますます淫らになっていく。
　お城のお姫さまが敵に捕らえられて、おもうさま辱められる……、あるいはお城のお姫さまが自分の汚いところを下僕に舌できれいにさせている……、そんな情景が浮かんできた。

　お尻を知ったのは、高校生のときだ。全寮制のミッションスクールだったので、男友達のいる子は少なかったけど、やはりセックスへの関心が強い年ごろだから、女の子同士がけっこうさかんで、わたしも何人かの子と、可愛がられたり可愛がったりした。
　そのころは、汗臭くて、なにを考えているかわからない男よりも、女の子のほうがきれいで優しいと思っていたし、妊娠する心配もないから安心だった。

　女同士には射精というピリオドがないので、次から次へ果てしなくといっていいほど、気持ちのよくなることを探しまわる。
　女の体って、隠されているところほど敏感だから、いちばん秘密のアナルにたどり着くのは当然で、レズを経験している子は、ほとんど例外なくアナルを知っているとおもう。

「お願い……　わたしにもさせて」
　ソファに掛けなおし、裸になった雄治さんに前に立ってもらう。パンツをさげると、パンパンに充血したものがピンと天井を向いた。
　喉の奥まで深く咥えて、舌をくねらせて猛り立った形をなぞる。窮屈だけど舌のザラザラで敏感なところを舐めまわすと、熱いそれがググッとふるえた。
「あっ　だめですッ　出ちゃいます……」
　ずっと我慢をしてきた雄治さんは、すぐ切なそうにうめいた。
　パパはそういう声をあまりださないから、男の人のよがる声が新鮮で、わたしも感じてしまう。気持ちいいことをしてあげられるということが、とてもうれしい。

　(どうすれば、いちばん感じるの？)
　強く舌をからめて大きく前後させた。喉の奥に太いものがめり込んでくるのは苦しいけど、極まった声をもっと聞きたい。
「あ　それは……」
　左手で袋をそっと包んで、右の指を肛門に少し入れると、用心深いイソギンチャクみたいにキュッとすぼむ。ぬめりがないから指はふかく入らないけど、感じているようだ。

　髪をつかまれ、前後に激しく揺さぶられた。
「あ　いい　イッちゃいます｣
　雄治さんの腰がエロチックにくねって、激しく突かれたとおもうと、口をふさいだものがドクッドクッと脈打って、喉がいっぱいになった。
　咥えたままゴクリと飲んで、きれいにしてあげた。苦い味が広がったままの口に、雄治さんがキスしてきたので、彼の残り香が交じってしまったかもしれない。

　　＊　　＊　　＊

　口でイッてしまった雄治さんは、少し残念そうで、なんだか名残惜しそうに、ドレスの襟から乳をいじったり、チョーカーのあたりにキスしたりしている。
　ほんとうは、わたしだってあそこに欲しかったのだけど、あんなに我慢していては、彼はすぐイッてしまうにちがいないし、もっとゆっくり愉しみたいから、最初は口ですましたのだ。
　ちょっと休ませてほしかったので、お願いした。　

「立って……わたしの前に立ってみて｣
　少し萎えたペニスをぶら下げて、全裸の雄治さんがわたしの前に立った。スラリとしていて、胸毛とか余計な体毛はなく、少年のように若々しい。
　男の人の体って、美しいとおもう。乳房がないからだろうか、全体にすっきりして無駄がない。

　女の体も娘時代はきれいだとおもうけど、乳はだんだんハリを失うし、お腹にもお尻にもお肉がついてきて、ちょっと油断したら悲惨なことになってしまう。
　男の人は、年をとってもあまり変わらないのがうらやましい。パパのような年になってお腹が出てきても、それはそれで大人の魅力があるし、乳が垂れたりすることもないから、若い娘たちとも対等に付き合えるのだろう。

「雄治さん、きれいだわ｣
　そうつぶやいて、目の前のものを咥えた。やわらかくて、ほどよい大きさなので、すっぽり根元まで含んであげることができる。さっきまでの猛り立ったものもすてきだけど、いまみたいに穏やかなのも、しっとりした満足感を与えてくれる。
　さわさわと、陰毛が頬や鼻にくすぐったいけど、かすかに男の匂いがして気持ちがいい。
　なにか特別なことをして、この幸せな感じを伝えたかったので、恥ずかしいけど思い切って言った。

「して……　オシッコして」
「エッ？」
　驚いて聞き返す雄治さんを、わたしは上目づかいに見てうながした。
「そんなこと……、いいんですか？｣
　ただの変態女と軽蔑されてもしょうがないと思ったけど、ちょっと間をおいて、あたたかい液体があふれてきた。ゴクゴク飲んだ。匂いはないけど塩辛くて、中国茶のような味がした。
　ドレスを着けたままオシッコを飲まされるなんて、なんだか被虐的で、とても興奮してしまう。

　飲みきれないでむせると奔流がとまった。こぼれた尿が喉から胸を伝って下腹まで流れた。
　全身にオシッコをビショビショかけられて、ムチャクチャにされたいとおもう。化粧品には尿素が入っているというから、全身にかけてもらったら、きっと美容にもいいにちがいない、などとチラと思ったけど、ソファがよごれるのは困るから、あきらめた。
　オシッコを直接飲ませることに興奮したのか、咥えたものがみるまに太さと硬さを増して、口をいっぱいにされてしまう。

　ドレスが頭から抜きとられて、裸にされた。若い男の欲情に膨らんだ視線が、チョーカーだけの裸身を舐めまわすのを感じて、身をすくめてしまう。
「きれいだ」
　そう雄治さんは言ってくれるけど、麻美という若い恋人がいるとパパが言ってたから、きっとその娘の体とくらべているにちがいない。

　視線を避けるように雄治さんを押し倒し、わたしが上になって69の形になった。スラッと伸びた脚がまぶしく、付け根には黒々としたペニスが、おヘソにつくぐらいに反り返っている。
　内ももに唇を這わせ、そそり立ったものをしゃぶりながら、濡れたあそこを雄治さんの口に、上からぺったり押しつけた。口や鼻の凹凸を確かめるみたいに、ヌルヌルのそこが勝手に動いてしまう。

「オシッコ　……してください｣
　泥沼の中から、雄治さんがモゴモゴと言う。彼の口の動きが、からだにモロに伝わってきて、見境なく感じてしまう。
「いいの？　怒らない？」
「小夜香さんの　飲みたい｣

　若い男の顔にまたがってオシッコするなんて、きちがいにしか思えないけど、好きな人でなければオシッコなんか飲めないのだから、そう言ってくれたのがうれしい。
「でる……出るわ｣
　すぐには出なかったけど、スイッチを欲情から排泄にやっと切り替えて、チョロチョロ洩らした。ソファを汚したくなかったし、あまりいっぱいは飲めないとおもうから、少しずつにしようと思ったけど、なかなかむずかしい。

　洩らすたびに、口が動いて、ゴクンと飲んでくれているのがわかる。自分の姿を想像して、そのまま狂ってしまいそうになるけど、でも、そうなったら壊れた蛇口みたいに自制が効かなくなりそうなので、あそこをキュッと絞めて、狂ってしまうのを抑えた。

「あっ　やめて……」
　お尻に、指が入ってきた。三人でしたときのことを思い出しているのかもしれない。
　そこは愛液やオシッコや雄治さんの唾液でグチョグチョになっていたから、指はぬるぬると奥まで入ってきて、体じゅうがゾクゾクする。

　うしろをいたずらされるのは、やっぱり異常感がある。
　もともとセックスは、日常のいろいろな営みからすれば異常なことで、だからこそお仕事とかお食事とかより、悦びも深いのだとおもう。
　お尻はセックスをするところじゃないし、そもそも出すところで入れるところではないから、そこになにか入ってくるのはとても異常で、とても感じてしまう。

　雄治さんの指が大胆になってきたので、わたしも彼のお尻に指を入れた。
「あ……　んん……」
　細い女の指でも、絞めつけがきつい。若い男の野性的なアナルに、白い指がのみこまれいくのがエロチックだ。
　お互いに、指の感覚を増幅するみたいに腰の動きが激しくなった。

「ダメッ　もうダメッ｣
　うしろの指が感じるうえに、前をムチャクチャ舐められてイきそうになったし、しゃぶっている雄治さんのものも、いまにもはじけそうだったので、わたしは雄治さんの上から崩れ落ちた。
「きてッ　雄治さん　きてッ」

　お互いに、むしゃぶりついて抱きあった。パパとちがって背中までしっかり抱きしめることができる。ぴったり密着できるのが新鮮で、いとしさが湧きあがってくる。
　雄治さんの顔は、わたしの愛液やオシッコでべちょべちょになっているけど、口をむさぼりあい、舌を絡めあった。とても甘くて、あそこに早く入ってきてほしいとおもう。
　オシッコを飲みあったりアナルをいじりあったりしたことが、なにか秘密を分け合ったような、深い絆を感じさせて、パパのことも、ビデオに撮っていることも忘れて、もっともっと一体になりたかった。

「小夜香さん　好きです！」
「わたしも！」
　雄治さんの若いアレが、からだを押し分けて入ってきて、子宮がズンズン突かれる。
　剃られて、むき出しにされた粘膜がおもうさまなぶられて、体じゅうのどこを触られてもビンビンに感じてしまう。

「おま○こ　小夜香さんの　おま○こがいいッ」
　下品な言葉を浴びせられて、なぜこんなに感じるのかしら。
　ふだんはお嬢さまとかおしとやかとか気取っているけど、おま○こという下卑た言葉でドンと底のほうに突き落とされて、自分がただのメスであることに気づかされるからだろう。
　乳がわしづかみにされ、乳首を噛まれた。夕方のヒゲに肌がなぶられる。……もっともっとメチャメチャに愛されたい……。

「いいのよ　オモチャにしていいのよ｣
　オモチャにして、という言葉が煽ったのか、腰の動きがいっそう激しくなって、ドッと雄治さんがかぶさってきた。
「オモチャにしてやる！」
　耳に吹き込まれる熱い息が、じかに脳を舐めまわすみたいで、全身がゾクゾクッと泡だってしまう。

　組み敷かれたまま、外からまわされた雄治さんの指がお尻に入ってきた。パパと二人でわたしを犯したときのことを思い出しているのかもしれない。
「二人にされたいのか？」
「イヤ　イヤッ　二人なんてイヤッ　雄治さんだけ」
「ここは誰のものだ？」
　アナルの指を激しく動かされた。
「あ　あなた……　雄治さんのものよッ」
「そうか　オレのものなんだな｣
「そうよ　使って……　うしろを使ってッ｣

　あそこから引き抜かれた熱く硬いものが、肛門にあてられ、括約筋を押し分けてメリメリと入ってくる。
「ぅうーッ」
　太いところが、狭い括約筋を押し通り、直腸の奥へずずーっと入ってくろと、ズンと背骨から頭のてっぺんまで電流のようなものが走った。肛門から喉もとまで、長い槍で串刺しにされたみたいにのけぞってしまう。

　雄治さんがゆっくり腰を使いはじめて、腸壁がズルズルこすられ、子宮が裏側から突きあげられる。引かれると絡みついた腸壁と一緒に、内臓のすべてを引きずり出されるみたいで、体すべてが性器になる。
　耐え切れなくなって、槍をしごくように腰を使いはじめると、雄治さんが顔をしかめて悲鳴のような声を上げた。
「あ　イッちゃう　……動かないで……」
　あそこの感覚とはちがう異常なものが、一気に高めたのかもしれない。

　雄治さんがお尻は初体験らしいのがうれしい。もっともっとわたしの体で愉しんで欲しいし、わたしももっともっと受け入れていたかったから、腰は動かさずに、肛門をすぼめて食い絞めたり、排泄するみたいに息んだりして、中に入っているものの存在感をたしかめた。
「きつい……　中が動いてます」
　うしろを串刺しにされまま、クリトリスがなぶられて、花の芯を奥までかきまわされると、ナメクジみたいに溶けた全身がザワザワ波だって、狂ってしまいそうになる。体のあらゆるところから快感がわきあがってきて、じっとしているのが辛い。

　乳を強くつかまれ、立てられた爪の痛さに悲鳴をあげた。
　下から腕を伸ばして雄治さんを引き寄せ、しっかり抱きしめた。雄治さんもわたしをかき寄せて、一体になる。
　二人の腰がまた自然に動きはじめて、徐々に激しくなっていく。太いものを出し入れされる直腸と、荒い毛でこすられる花芯から、止めどもなく快感がわきあがってきて、熔けていくのを抑えることができない。

「いいわ　ああ　いい　……もっと」
「いい……　小夜香さんの……お尻……」
「激しく　奥まで突いてッ」
「好きだ　愛してる｣
「わたしも……　あ　イクッ　わたしイっちゃうッ」
「僕もッ　……イ　イクッ……」

　しっかり抱き合っまま、お互いの耳元にせつない言葉をぶつけあい、激しく悶えあって果てた。
　腰のあたりが、やわらかすぎる粘土みたいにトロトロに熔けて、それがじわじわと全身に広がってくる。
　抱き合ったまま、すこしうとうとした。あったかいものに守られて眠るみたいで、気持ちがいい。

　二人でバスルームに行き、オシッコを全身にかけてもらった。熱いシャワーみたいで気持ちがよくて、また抱きあってキスした。
「好きです。また逢ってくれますか？」
「うん」
　「はい」とか「いいわ」とか、もっとおしとやかに返事をすればいいのに、なんだか晴れやかな気分だったので、少女みたいに「ウン」と答えてしまった。

　　＊　　＊　　＊

　出張から帰ってビデオを見たパパは、怒ったのか興奮したのか、わたしは縛られたり鞭でぶたれたり、激しく責められた。
　そうなることは予想していたし、少し期待もしていたことなので、不貞を犯した女がお仕置きされる構図を思い浮かべて、わたしも激しく狂った。

　三人でしたり、わたしを雄治さんに抱かせたりするのがよほど刺激的だったようで、パパは「また彼を呼ぶ｣と言った。
　雄治さんが好きだから、ほんとうは二人きりで会いたいけど、パパにわがままは言えないから、二人に一緒にされるのもいいと思った。……とても異常で、感じるし。
　でも、そのあとのひと言が気になっている。
「今度は、アイツの彼女も一緒だ｣

　麻美ちゃんという雄治さんの恋人は、まだ二十歳そこそこのお嬢さんだそうだ。
　パパがどんなつもりか知らないけど、きっとヘンなことをするにちがいないから、ちょっと可哀想だし、わたしまで愛想を尽かされてしまうのが心配だ。