１６．重奏

　黒岩のとんでもない性癖が開始されようとしていた。
　引き出しを開けシリコンゴム製の擬似棒を取り出した。
「麗子君、アナルはまだ処女だろ？私が開拓してやろう。」
そう言うと、底部の吸盤をピタッとデスクに貼り付けた。
　まずは緊張したアナルを指でほぐしていった。
「い、いやです。お尻はやめてください。」
「なに、心配することはない。アナルとオ××コの性感帯は中で繋がっているんだ。だから大丈夫だ。」
　麗子の粘液で濡れていた指を入り口のしわをなぞるように触れていく。
　全体を揉むようにマッサージしていく。
（お尻がぞくぞくしてくる〜）
　黒岩に悟られまいと、声は出さなかった。
　ムニュっと指が入ってきた。
　初めての進入感に反応して括約筋がそれを拒んだ。
　指の締め付けが、黒岩にはたまらなかった。
　口を近づけ、唾液で滑らしていく。
　構わず差し込んで、第二関節が中に隠れた。
　そして、グニュグニュと広げるように攻めていく。
「あうっ！いや、いたいわ。もっとやさしくして。」
「大丈夫だ。すぐによくなるよ。」
　しばらくして、筋肉のこわばりが溶けていく。
（くちゅくちゅくちゅ．．．）
　黒岩は指を引き抜き、さらに唾液をまんべんなくつけた。
「よし、準備はいいようだ。だいぶほぐれたよ。」
　繋がったまま、麗子の尻を掴むとデスクの擬似棒降ろしていく。
「いやです、やめて下さい、そんな太いのは入りません！」
「尻の力を抜け、ほら入るぞ．．．入っていくぞ。」
　めりめりと擬肉棒が尻穴に呑み込まれていく。
「ほ〜ら大丈夫だろ。」
　黒岩は体全体を使って、麗子を揺さぶっていった。
（ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ．．．）
　卑猥な音が肛門から出てくる。
「いや、いや、恥ずかしいわ。動かさないで〜」
「初めての割にはすごいじゃないか。」
　上下運動に加え、腰を前後に突き動かし始めた。
（ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ．．．）
（ずぼっ、ずぼっ、ずぼっ．．．）
　2つの淫音がハーモニーを奏で、麗子に新たな快感が生まれ始めていく。
「あんっ、すごい、すごいわ〜二本も入ってる〜」
　辱めを受けながらも、感じ始めていく。
「こんなの初めて〜初めてです〜」
　黒岩は麗子を観察しながら、さらに腰振りのピッチを上げていく。
（ずぼっずぼっずぼっずぼっずぼっ．．．）
　麗子は両手を黒岩の首に巻きつけると、自ら腰を動かし黒岩の股間に擦りつけていった。
「なんだ、そんなにいいのか？二穴責めは．．．もっとしてやるぞ、壊れるまで突いてやる。」
　黒岩は鬼のような形相で腰を振り、麗子を犯しまくった。
　あまりの振動でデスクが動き、ズッズッと床を擦っていった。
「あうっあうっあうっ．．．あんあんあん．．．」
　麗子の腕に力が入り、黒岩の首を締め付ける。
　黒も尻を掴む手にさらに力を込め、射精準備に入った。
　肉打音の間隔が、早く、そして狭くなる。　
「あっあっあっ．．．いっちゃう、いっちゃう！」
　麗子は壮絶な突き戯に負け、最初の絶頂に達した。
　淫靡な唇からだらしなく涎が垂れていた。
　膣壁が収縮し肉棒にからみついた。
「すごい締め付けだ、私のものが引き込まれるようだ。」
　陰茎の奥に心地よい痛みを感じ、精液が射精管に溜まっていく。　　　　　
「んっんっんっんっ！私もそろそろ限界だー」
　顔からだらだらと汗がしたたり堕ちる。
「中に出すぞ．．．たっぷり注入してやる。」
　疲労感のあった下半身が、また熱くなり快感が襲い始めた。
「あ〜ん、いいわ〜出して〜」
　肉棒が一段と奥に突き込まれた所で、動きが止まった。
　ぶぴゅっー．．．と、熱いちんぽ汁が注ぎこんでいく。
「あああ、またいっちゃう．．．．．．いくー！」
　黒岩の迸りを中で感じ、二度目を迎えた。
　手の力が抜け、麗子はデスクに崩れ落ちた。
　黒岩は残液を搾り出そうと、再び股間に力を与えた。
　一際粘度の高い残り汁が吐き出され、無数の精虫が子宮めざして流れたいった。
　　
　その後も、互いに体を求め合い何度もむさぼり続けた。
　麗子が部屋を出たのは、呼び出されてから４時間後の事だった。

１７．転落

　男性医や患者たちとの肉欲三昧に耽っていた麗子が、看護士綾の辞職を知ったのは新聞の記事からだった。
　それも自殺という最悪の結末だった。
　麗子はショックから3日間も病院を欠勤してしまった。
　職務に復帰しても綾の事は頭から離れず、自己嫌悪に陥ったままの日々だった。
　この呪縛から逃れたい一心で、再び男たちと淫遊に奔走し始めた。
　綾に対する背徳感を誤魔化す為に。
　その中でも、群を抜いていたのは、黒岩の暴虐的な女体責めだった。
　あのアナルの擬似姦通が、彼女を狂わせていた。

　夜の10時を過ぎた真っ暗な総合棟に一つだけ明かりが点いた部屋がある。
　黒岩の研究室で野性的な肉体残業が行われていた。
　デスクの青白い蛍光灯の照明が、ソファの陰影を浮き上がらせている。
　妖しく黒光りする大きめのソファ、その上で下半身のみを露出させた男女が激しく絡み合っていた。
　黒岩がゆっくりとした腰使いで、麗子を肉責めしている。
　勃硬した肉蛇は、彼女の熟穴を最大まで開き、自分の巣穴を見つけたかの様に出入りを繰り返す。
　肉蛇を迎え入れた麗子の淫穴は、それに合わせてバブル状のヌメリ汁を滲ませていく。
　ぐぶちゅ、じゅぷっとヌメリ汁が弾ける度、極太の陰茎に張り付いていった。
　肉蛇の頭部のみの挿入だった腰の動きは、淫穴の奥膜の引き込み現象によってその動きを変えていた。
　素肌に近い色のパンスト脚が、黒岩の肩に担がれ、より密着度が増した。
　男の剛体が圧し掛かり、体がソファにのめり込む。
　二人の間に折れ曲がった麗子の膝が入り、その先に黒岩の淫悪な顔が近づいた。
「麗子先生のオ××コは、すっかり俺の物に慣れてきたな。」
　それを証明する為、肉蛇全体を突き入れた。
「ひぃっ、い〜ん。部長の太いのが一番いいわ〜」
　麗子は黒岩の首にしがみ付き、これから始まる肉蛇の暴動を待ち構えた。
　黒岩は膝を立てて動き出した。
　淫穴の粘膜を破壊し、たまらない摩擦感が麗子を襲う。
　徐々にピッチが上がっていくと、丸々と膨らんだ二つの精子ボールが麗子のアナル門を叩き始めた。
　ビタン、ビタンと殴打され、その壮絶さを物語っていた。
　肉頭はパンパンに膨張し、子宮外口を突付き出した。
　巣穴に卵を産み落とす為、挿入スピードが加速する。
「まずは、上の穴に植付けてやる．．．んっ、んっ！」
　黒岩にしては早すぎる一回目の射精。
　肉蛇は口をパカっと開き、白濁の毒液を注入していく。
　完全に子宮内まで届かせようと、陰茎の根元を突き込んだ所で動きを止めた。
「いや〜ん．．．もっとした〜い。」
　萎んでいくと思っていた肉蛇の勢いは、麗子の短絡的な考えを裏切った。
　硬度を維持した肉蛇が、麗子の締め付けを無視して引き抜かれた。
　肉蛇はもう一つの巣穴に狙いを定めていた。
　肉頭に付いた白濁液を菊門に塗り付け始め、優しいマッサージ運動でアナルの緊張を解いてやる。
　麗子にも解っていた、黒岩が入れたがっている事を。
「だめ〜、お尻は堪忍して、部長〜」
「嘘を言うな！俺のに擦られてヒクヒクしてるぞ．．．」　　
　拒否反応を伺わせる無数の窄まった皺群を抉じ開けていく。
　獰猛さの際立った肉蛇は、頭をくねらせながら潜っていった。
　膣口よりも遥かに強靭な括約筋の締め付けは、アナル姦通が久しぶりの黒岩を苦悶させた。
　肉蛇頭がすっぽりと収まったところで、鎌首を烈締する。
「うっ、ううう．．．すごい締りだ。オ××コとは大違いだ。」
　黒岩は顔から脂汗を垂らして歓耐していた。
「ま、負けんぞ！もっと奥を犯してやる！」
　残った体力を股間だけに注ぎ込み、フンっと力を込めた。
「あひっ！だめー．．．うぎゃっ！」
　排泄口の無理な拡張は、麗子を悶絶させた。
　一度だけの経験では、慣れるはずもない。
　ましてや、擬似棒とは比べ物にならない黒岩の極太棒では、あまりにも大きすぎた。
　麗子は白目を向いて気絶してしまった。
　黄土色の混じった鮮血が、陰茎を伝ってソファに流れた。　　
「ちっ！気絶しやがって．．．まあ、いいか。」
　麗子を傷つけてしまった事に、別段後悔するわけでもなく抜き差しを続けた。
　逆に、念願だった麗子のアナルを征服した喜びに浸っていた。
　その戦利品として流れ出た夥しい量の鮮血が、黒光りの肉蛇を赤と茶色の混合色に染め上げていく。
　黒岩は過去にこんなシチュエーションがあった事を思い出した。
　当時、自分が担当した純粋無知な少女。
　麻酔医と悪協してその処女を奪っていた。
　その時の狂楽的な場面が蘇ってきた。
　冷酷な黒岩の表情が淫奮して、生気のない女体を抱え上げた。
　前回と同様に肉虐の場を、デスクの上に移した。
　自分は直立姿勢を維持し、血の沼を思わせるアナルへの挿入を再動する。
　意識皆無になった麗子の反撃締めを味わう事は出来ないが、肉蛇の出し入れは容易くなった。
　両手で目一杯拡げてやり、止め処なく溢れる排泄汁を見ていた。
　デスクの縁に溜まったそれが、デスクを伝い床に滴る。
　同時にあの独特の排泄臭が鼻を突いた。
「んっ〜たまらん匂いだ．．．こんな美人な女医でも臭いは一緒だ。」
　室内の空気清浄機はその役目を果たしていなかった。
「おー臭い、臭いぞ。頭が変になる．．．」
　この独り言が、黒岩の最後の言葉だった。
　徐々に、彼の体に異変が起こっていた。
　さっきまで滲み出ていた大量の汗が、急に噴出さなくなった。
　医者である黒岩ならすぐにそれに気付いていただろう。
　しかし、アナル陵辱に取り憑かれて、医者としての判断力を失っていた。
　淫遊行為の終演は、突然やって来た。
　急に目の前の光景が暗失し、胸の奥を鷲掴みされた様な痛みを覚えた。
　体を仰け反らした所で、動きが止まった。
　背後にあった木製イスに、ドカンっと腰掛けた。
　2、3度体が痙攣した後、身体の機能が全て停止した。　　　

「きゃっ！．．．あ、あ．．きゃー！」
　麗子は誰かの叫び声で眠りから覚めた。
　目を開けた瞬間、自分のあられもない醜態に愕然とした。
　体を隠しながら辺りを見回すと、顔を引き攣らせたナースが床に疲り込んでいた。
　だが、麗子を驚かせたのはそれだけではなかった。
　ゆっくりと上体を起した麗子の視線に、既に息絶えていた黒岩の屍が飛び込んできた。
「いやっー！．．．．．．あああ．．」
　青白くなった黒岩の顔と股間から脚にまで至る大量の血の跡。
　麗子は半狂乱状態に陥り、下半身を露出したまま笑い出した。
「ひっ！．．．麗子先生ー！」
　取り乱した女医を見て、ナースは逃げてしまった。
　この事件が病院中に広まるのに、時間はたいして掛からなかった。

　翌日、麗子は精神病棟に一週間も隔離された。
　正気を取り戻した後、警察の事情聴取を受けた。
　結局、黒岩の遺体解剖によって、死因は心臓麻痺によるものだと解り、麗子は無罪放免になった。　　　
　だが、世間体を第一に考える病院側はマスコミへの漏洩を恐れ、麗子の強制退職を以って、このスキャンダルを葬った。
　数日後、女医麗子の姿は病院から消えていた。

１８．リセット　

「ミィ〜ン、ミンミンミンミ〜．．．．．．」
　のんびりとした診察室を騒がす蝉たちの合唱が、一斉に始まった。
　麗子は4度目の夏を芹沢医院で迎えていた。
　今年も、例年と変わらない穏やかな医師生活を過ごすはずだった。
　大学病院での”過去”を消去し、新たな自分を造りたかった。
　ゼロからのスタートを切ったかに見えた女医の生活は、１いやそれ以上の陰の付加価値を従えて始まっていた。
　その切欠を作ったアノ労務者風の男、彼の出現が麗子の正常時計の針を徐々に狂わせていた。

　労務者の2度目の診察は、堕天使の悪戯なのか中年看護婦が不在の時だった。
　夫の芹沢幸二も医師会の集まりで外出していた。
　汚れた作業服を着た男は、にやついた表情で入ってきた。
「へへへ、今日もお願いしますよ．．．先生。」
　足首の回復は遅いようで、今だに足を引き摺っていた。
（変ね．．．もう完治してる頃なのに）
「まだ痛みの方は退きませんか？」
「しょうがねえよ、仕事休むわけにもいかんからな．．．我慢しながらやってるんだよ。」
　不満を漏らす労務者だが、麗子の目を見て喋っていなかった。
　男の視線は、下に向けられていた。
　麗子は短めのスカートを穿いてしまっていた。
　それにストッキングも着けていなかった。
　しかし故意ではない。
　この茹だる様な真夏日の陽気がそうさせていた。
「無理したもんだから余計に痛くなっちゃってな．．．」
　男は、急に足を差し出し麗子の膝の間に割り込ませた。
「だからちょっと診てくれよ。」
　労働で溜まった男の足臭が、下から沸き立って鼻を激振させた。
　麗子は嫌悪感を持ったまま、触診を開始する。
　靴下の嫌な生温かさと目に見えない汚菌が、手に纏わりつく。
　男の言葉を信じ慎重な手付きで触れていく。
　足首を捻ったり伸ばしたりしてみるが、男の痛反応はない。
　もう一度同じ触診を繰り返した時、反応したのは麗子だった。
　足先が、スカートの中に強引に侵入してきたのだ。
「やっ、何するんですか！？」
「へっへっへ、先生のヌリ薬が欲しいんだよ．．．ここの薬だったら俺の捻挫も一発で治っちゃうよ。」
　足は押し込まれたまま、先の部分がグニュグニュ動き出す。
　生足だった為、すぐにパンティに到達し中心の膨らみをなぞられてしまった。
「やめてっ！．．．．．．．．．あっ、だめ〜」
　麗子の拒否行動は一瞬だけだった。
　作業用の軍足と呼ばれるそれは、5本指がそれぞれ自由になる機能を持っていた。
　これが功を奏し、親指と二番目の指を使って弄り始めていた。
　一分も経たないうちに、スカートの中が蒸れてきた。
　麗子は膝を閉じて、男の逆治療に耐えている。
「どうだい、先生？俺の指の感触．．．」
　スカートの中で蠢く足は、激しさを増していた。
「や、やっぱりあなたは．．．」
「そうだよ、とっくに直ってるよ．．．ほら、よく動くだろ、ほらほら！」
　絶妙な動きを見せる足指の辱姦は、陰部を摘むように弄りまくる。
　麗子の顔が赤く火照り出した。
　そう、外気の湿度ではなく、麗子の内側から溢れてくるヌメリ気でパンティまでヌルヌルだった。
　それは、労務者の軍足までも濡らしていた。
　ぬちゅっ、ぬちゅっと粘液が活動する音が聞こえる。
　男の淫計にまんまと嵌った麗子は、勝手に高揚していく体の反応を恥ずかしく思っていた。
　下半身の神経回路がショートして、膝の膠着が解かれていく。
「何だよ先生、俺を誘ってんか〜．．．欲しいのか〜」
　指の動きに同調する女医のV字ゾーンは、労務者を興奮させるのに十分な面積に拡大していた。
「全くスケベな先生だな。まるでエロビデオの女医みたいだぞ。」
　男の興奮頂点が股間に連動して、固い作業着の生地を膨張させていた。
「あー、もう我慢出来ねえ！犯らせてくれ、先生！」
　労務者は足を引き抜き麗子にかぶりついた。
　荒速した手の動きで、スカートの中からあっという間にパンティを剥ぎ取った。
　薄い純白の下着は、分泌液で変色していた。
　鼻に女臭を感じながら作業ズボンを脱ぎ去っていく。
　ブルンっと勢いよく麗子の前に曝け出された男の肉棒。
　そして脳に突き刺さるような男性フェロモンの汚臭。
　肉棒は、鈴口から粘エキスの涎を垂らし律動していた。
「あああ、すごい〜．．．．．．これ、これだわ！」
　数年ぶりに目の前にした野性的な雄の姿、麗子の記憶本能が一気に過去に遡る。
　次々と圧縮されていく数え切れない陵辱行為、それが限界に達した時、4年前の次元にリセットされた。
　本当の意味での麗子の新性活が始まった．．．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　転落の女医　　完