とりかえっこ○○

１６　　女神たちの宴

「…ぷはぁ～～～～～～っ」
　コップに四分の一くらいのビールを飲み干した璃緋都は、すでに顔を真っ赤にしていた。もともと酒など飲んだことがない彼女は、免疫が低いのだ。反対に、不良を自称している澄江はもう三本目の缶ビールを開けている。
「…あのさ、おねえちゃん、風花姉さん…この三人、未成年だよね？」
　同じく顔を赤くしている弓華が不安そうに言った。
「…ふふっ。誰も見ていなければいいのさ。もっとも、外の報道機関に激写されたら、停学沙汰だろうが。それに、わたしたちだってついこの間まで未成年だったんだぞ」
「くすっ」
　聖架も意外に乗り気である。顔を赤くしている妹とは違い、聖架と風花はまったく酒に酔っていないようだった。
「…風花さん、さっきからぜんぜん飲んでないじゃないですか！」
　そう言ったのは美月である。自分が『飲んだことがない』のを分かっていて自重気味である璃緋都とは違い、美月にはまったく自制心がない。もうすっかり出来上がってしまっていた。
「普通、幹事は飲まないものだ。酔ってしまっては話にならないからな」
　それが本当かどうかは分からなかったのだが、風花の言葉を聞いた美月は、今度はほとんど飲まずに顔を真っ赤にしている璃緋都のほうに絡み始めるのだった。
「…美月～、璃緋都を酔わせて手篭めにしようなんて、このわたしが許さないわよ」
「これは宴会なんだから、飲むのは当然でしょ。寝ちゃったら寝ちゃったで結果論」
　素なのか酔っ払っているからなのかは分からないが、むちゃくちゃな理論である。

「…さて風花、わたしたちをここに呼んだ意図を教えてもらえますか？」
「…ん？宴会がしたかっただけだが」
　聖架の質問に、風花がさらりと答えた。が、聖架は満足していないような顔をしている。
「…それだけではないでしょう？」
「…まったく、聖架には敵わないな。そうだな。弓華や澄江たちも含め、これだけいれば璃緋都を安心させたり、守ったりは十分できるだろう？わたしは後、数日…かかっても、一週間くらいだと思うんだ」
　澄江が美月にビールを飲ませる中、聖架と風花が密談を交わす。
「…守る？何からですか？一週間くらいで何が起こるんですか？」
「それは…起こってみないとわからない。正直、わたしにもどの選択肢が、結果が璃緋都のためになるのか、よく分からないのさ。だからこそ、ここにこれだけの人数に集まってもらった」
　隣では弓華がちびりちびりと赤ワインを口に入れている。
「…ほらほら、澄江、とっとと脱げ脱げ～」
「わわっ！？こら、美月ッ！？」
「…」
　話し込んでいる姉妹を完全に無視して、すっかり出来上がった美月が澄江に襲い掛かる。璃緋都はそれを止めたりもせず、ぼーっとしていた。
「やれやれ、始まったか」
　それを見ていた風花が苦笑した。
「…とめないの？」
　弓華が居づらそうに言うのへ、風花が笑いかける。
「…若い証拠だろう。わたしが言うのも変だが…」
「でも、澄江さん、素面みたいですよ？結構飲んだと思うんですけど」
「反対に、美月のほうはもうダメだな」
　ソファの上で激しくもつれ合う二人。やがて、澄江の上着が飛んだ。腕っ節なら間違いなく澄江のほうが強いのだが、今の美月は酔っ払っているせいか、とんでもない力を発揮しているらしい。

　女二人がソファで絡み合う中、再びドアがノックされた。
「どうぞ」
　と答えたのは、璃緋都ではなく風花である。
「…失礼しま…うっ！？」
　ドアを開いて入ってきた女性が、中の惨状を見て驚いて声を上げた。
「ど、どうしたんですか、このお酒の匂いッ！？」
「それよりもドアを閉めてもらえますか？あそこで二人が不純同性交遊しているので」
　言ったのは聖架だった。その言葉に従い、女性はドアを閉める。
「…あの…わたし、ここに来てよかったんですよね？」
「ええ。呼んだのはわたしです。…これで、璃緋都を守る人間が揃ったことになる。そうでしょう、八坂真夜さん」

（…あっ！）
　真夜に気をとられ隙を突かれた美月が、澄江に締め上げられているのを横目にしながらも、璃緋都は入ってきた七人目の女性に目を向けた。
（…この人、たまに父さんに会いにきていた人だ…そういえば、どこかの会社の人にしては若いし、何者なんだろう？）
「はじめまして、璃緋都さん。わたしは『八坂　真夜』、あなたのお父さんに雇われた、私立探偵です」
「…えっ！私立探偵…ッ！？」
　急に身分を明かされた璃緋都は、酔いを吹き飛ばさんばかりに驚いた。
「…あの、うちの父さんも母さんも、何もやましいことは…」
「そうじゃなくて」
　璃緋都にとっては、『私立探偵＝素行調査』のようだった。
「…素行調査ではないんですけど、いろいろと頼まれたことがあって、秘密裏に動いていたんです」
「…そうですか」
　ほっとしたような、不安なような。璃緋都は複雑な表情だった。父親が何か危ないものに手を出したんじゃないか、と思ったのである。
　両親はお互い上手くやっていると思うし、二人とも璃緋都にはとても優しく、疎んでいる様子はまったくない。そういった家族構成的な事情で父が私立探偵を雇う理由はまったくないのだ。とすると、仕事上の都合、ということになる。
「…さ、立ち話もなんですから、座ってください」
　初対面である聖架が、真夜を座らせる。同時に目の前にグラスが置かれ、赤ワインがなみなみと注がれる。
「あの、いいんですか？こんなところでお酒呑んでて…」
「いいんですよ。そのつもりでここにお呼びしたんですから」
「そうそう、ぐいっとやっちゃってください！」
　風花と真夜に、ようやく澄江の反撃から脱出した美月が割り込む。
「あんたは少し遠慮しなさいッ！」
　澄江の声とともに美月の後頭部からいい音が響き、勢いあまってソファに突っ伏す美月。
「やめなさいよ、二人とも。大人の目の前で」
　缶ビール半分ほどでもう顔を赤くしてしまっている璃緋都が、遠慮がちに二人を止める。しかし、その手には力が入っていない。
「聖架。先ほどからずいぶん飲んでるが、大丈夫なのか？」
　止めに入ったはずの璃緋都が美月たちに襲われている最中、もうグラス三杯を空にした聖架に、風花が尋ねる。
「えぇ。このくらいのお酒では、手元が狂ったりはしません。アルコールや毒物には耐性を持ってるので」
「…そうか。すごいな、聖架は」
　風花は、本心から姉を褒めた。風花が一つも酒に手をつけていないのには、理由があるのだ。
『例の物、持ってきているのか？』
『ええ。もしものときのために。向こうは、璃緋都さんのお母さんを銃で撃っています。どの銃なのかはさすがに分からないですが…。しかも、狙撃と思われます。ですから…最悪、『目には目を、歯には歯を』ということになるでしょう。あなたは、そのためにわたしをここに連れてきたものだと思ったものですから』
『察しがいいな』
　風花が微笑した。…使わなければ、それにこしたことはないのだが。

「あの…止めなくていいんですか？」
　言ったのは真夜である。私立探偵という立場上、落ち着いているような様相を見せてはいるが、ソファの上でもつれ合う璃緋都・美月・澄江の三人を見て内心ははらはらしているようだ。
　もちろん、被害者はもっぱら璃緋都である。璃緋都が酔っているのをいいことに、同じ酔っ払いである美月と、素面の澄江がこれでもかと抱きしめているのだ。
「…愛情表現の一種だと思っていただければ」
「…見てないで、助けてくださいよ～」
　二人にもまれる璃緋都が、情けない声を出した。

「…んんっ！？」
　急に、澄江が璃緋都の唇を塞いだ。
「んーっ、んーっ！？」
　声にならない声を上げ抵抗しようとするも、美月に抑え込まれてしまって抵抗になっていないようだった。
「んっ…んっ」
「あの二人、ひょっとして、璃緋都さんのこと、好きなんですか？」
「さすがに、分かりますか」
　真夜に言われた風花がまた苦笑する。澄江はともかく、美月のほうは酔っ払って欲望に正直になりすぎているようだ。
「あ…あふっ…す、澄江…いま、口移しで…お酒、飲ませ…た、でしょ…ひくっ…」
　ようやく唇を離した璃緋都は、顔が真っ赤になっていた。
「…す、澄江っ、それ、ブランデーだぞっ！？そんなものを飲ませたら…」
「ひくっ、…うっ、ひっくっ…」
「あ～あ、真っ赤になっちゃった…もう飲ませないほうがいいかも」
　自分だって相当酔っ払っているのに、美月は璃緋都を見て面白がっている。対する璃緋都のほうは、強い酒をいきなり飲まされ、半ば放心状態になっていた。しかしやがて…。
「…あは…あははは…あはあは…あはははは…っ」
「…っ！？」
　突然、放心状態だった璃緋都が、澄江のほうを見て笑い出したのである。しかし、目は笑っておらず、完全に据わっていた。
「こ…怖ッ！？」
　声を上げたのは弓華である。
「まずい、しっかりしろ、璃緋都っ！聖架、水！水だッ！」
　風花の声に、聖架が立ち上がるか否かの瞬間だった。酔っ払った璃緋都がソファを立ち上がると、自分に酒を飲ませた犯人である澄江に自分から迫って唇を押し付けていたのである。

「…んーっ♪」
「わわっ！り、璃緋都、何やってんのよ。やるならこっちでしょ、こっち！」
　早速、美月が璃緋都を引き剥がそうとするが、澄江も澄江で璃緋都を抱きしめてしまっているため、上手く引き剥がせそうになかった。
　しかも、璃緋都のほうがやけに嬉しそうな表情をしている。
「…璃緋都さん、笑い上戸の上…酔っ払うと何するか分からない人みたいですね」
　真夜が呆れ顔で言った。そういう彼女のグラスは、まだ半分も減ってはいない。
「まぁ、あれで璃緋都の気分が解れればいいのさ。普段あぶなっかしくて見てられないからな、璃緋都は…」
「…昔の風花によく似てますしね」
　風花の隣で、聖架がくすっ、と笑った。聖架のほうはもう相当量を飲んでいるはずなのだが、一向に酔った気配を見せていない。
「こら、余計なことを言うんじゃない」
　言われた風花も苦笑した。

「…っ」
　とその時、大人たちを完全に無視して澄江に抱きついていた璃緋都が、いきなり澄江から離れた。
　やはり目が据わっている。
「…あ、あれ？どうしたの？次はわたし？」
　美月もいい加減諦めが悪いものであったが、璃緋都の目は澄江にも美月にも留まらず、三つ子姉妹のほうをゆっくりと向く。
「…ふ、ふうかさ～ん…」
「…は？」
　どどどっ、と定まらない足取りで向かった先は、風花を呼んだのに聖架である。
「へっ？わたしっ？」
　倒れこむように覆いかぶさってきた璃緋都を抱きとめる。困惑する聖架と、なぜかニコニコしている璃緋都。
「…おーい、璃緋都、戻ってきてー」
　澄江が声をかけるも、当の璃緋都はまるで猫のように聖架になついている。
「…あの、ひょっとして、酔っ払ってわたしたちの見分けがついていないんでしょうか」
「そうだな。これはひどい…」
　さすがに、風花が溜息をついた。

「…そういえば、璃緋都ってもともとは風花さんが好きなんだっけ」
　不意に、美月が言った。澄江に水を飲まされ、少し落ち着いたらしい。
「まったく、何でわたしなんだか。璃緋都ほどの美少女なら、男なんて掃いて捨てるほど作れるだろうに」
「それは許しません！」
　風花の言葉に、美月と澄江がすごい剣幕で言葉を返す。その剣幕に、真夜が思わず声を上げた。
「璃緋都の恋人は、わたしたちが厳正な審査と調査と診断をもって決定します」
「親か、お前たちは」
　さすがに、風花が呆れて声を上げた。
「ほら、璃緋都さん、風花はこっちですよ～」
「ふぇ…？こっち？」
　聖架が指差す方向を『あっち向いてホイ』のように振り向く璃緋都。
「あ、こっちだ…」
　そこに風花の姿を認めた彼女は、さっきと同じように、今度は風花に飛びついてしまうのだった。
「…か、可愛い…っ」
　言ったのは弓華である。実際、彼女らの年齢は四つくらいしか離れていないのだが、酒で酔っているとはいえ、無邪気になってしまっている璃緋都が幼く見えたのだろう。
「そうだろう、そうだろう」
　何故か嬉しそうに言ったのは、抱きつかれている風花本人である。
「…本当、可愛いですねぇ…」
　聖架も、風花に同意していた。一人真夜だけが首をかしげる。
（…確かにかわいらしい風景だけど、みんな何か変じゃないかしら。弓華さんや、高校生二人はともかくとして、お酒を飲んでない風花さんや、極端に強いらしい聖架さんまで、なんか目が虚ろになってる…？）
　真夜がそう思ったとき、風花が何を思ったのか、璃緋都の服をいきなり脱がし始めるのだった。
「ちょ、ちょっと、風花さん、何やってるんですか！？」
「何って…脱がしてるんだが」
　当然のように答えられてしまい、真夜は逆に困惑してしまった。そんなことは見れば分かる。
　この場合、『何が目的で』という意味合いのほうだ。
　脱がされている当の璃緋都のほうはまるで抵抗もせず、まだニコニコしている。酒のせいで意識がどこかにいってしまったらしい。
「あ、手伝いますよ！」
「わたしも！」
　上着を脱がせるのに苦労している風花を見て、澄江と美月が下半身に取り掛かる。
「あ、あの…っ！？」
　その光景に畏怖した真夜が、聖架と弓華を振り返る。しかし、二人とも、止めにかかるどころかどこか倒錯めいた表情で、脱がされる璃緋都をじっと見ていた。
（…一体、何が起こったの？何でこんなことになっているの？酒のせいじゃない…わたしだけならまだしも、風花さんはぜんぜん飲んでいないわ。澄江さんも聖架さんも、お酒に強いみたいだし…はっ！？）
　そこで真夜は、もう下着姿にまで剥かれている璃緋都を見て、胸を抑えていた。その顔を見て、どきりとしたのだ。
（や、やだもう、わたしまで…た、確かに可愛いけど、あの子は女の子で、わたしも女で…ッ！）
「…あぁ、もう、可愛くて、我慢できないッ！」
「へっ！？」
　真夜の背後から声がしたと思うと、猛烈な勢いで彼女の横をすり抜けたのは、なんと弓華である。
　それに釣られるようにして、聖架までが璃緋都に駆け寄っていく。
（ちょ、ちょっと待って…今…今まともなのって、わたしだけ…ッ！？）
　もうブラジャーも剥ぎ取られ、ショーツだけの姿にされている璃緋都の背中に、弓華が抱きついている。
　抱きつかれている璃緋都は、風花に抱きついている。その風花は、璃緋都の乳房を優しく揉み解してやっている。
「…そ、そうだ…鍵ッ！？」
　そこで真夜は、やっと自分が入ってきたときに部屋に鍵をかけなかったことを思い出した。
　自分はまだ何もしていないが、こんな状況を誰かに見られるのは非常にまずい。

（はぁ…はぁ…風花さん…風花さん…）
　頭がぼーっとしている中、璃緋都は風花に乳房を揉み解される感触を楽しんでいた。
　それだけではない。後ろからは風花そっくりの弓華に抱きしめられている。璃緋都は幸福に包まれていた。
　自分が今、下着一枚にされている現実がどうでもよく思えた。今の状況は、自分が望んでいることなのだ。
「…璃緋都。お前は、わたしが…いや、わたしたちが守ってやるぞ」
「…ほへ？」
　不意に言われた言葉に、璃緋都は首をかしげた。しかし、それも一瞬のことだった。
　後ろに回っていた弓華が、ショーツの上から、指で亀裂を愛撫し始めたのである。
「あっ…はぁ…んっ」
「こら弓華、何してる」
　小さく喘ぎだした璃緋都を見ながら、風花が言った。その手はまだ璃緋都の乳房を包み込んでいる
。
「…だって、可愛いんだもん」
「そうだな。璃緋都は可愛い」
　風花は、そういいつつ璃緋都の体を抱き上げ、自分の胸に抱きしめる。少し前にずれた体を追う形で、弓華が前進した。
　その指はまだ、下着の上から亀裂にあてがわれ、ゆっくり、ゆっくりと動かされている。
「…んっ、んっ…あんっ…」
「あぁ、璃緋都、本当に可愛い…どうしたの、これ…お酒のせい？…じゃなくって、弓華さん、そろそろわたしと交代！」
「きゃっ！？」
　我慢できなくなった美月が、弓華を突き飛ばして割って入ってしまった。璃緋都のほうは、風花に胸を愛撫されつつも、その体にもたれかかって悦に浸っていた。彼女ももちろん、もはや正気ではない。
「…あ～、この小ぶりなお尻、久々に見るわ…さぁ、璃緋都…ひっく、優しくしてあげますからね～…うふふふ…。まずは、この邪魔な白いショーツを脱がしてっと…」
　美月は、璃緋都の尻を両手で掴みながら怪しい笑みを浮かべると、その手をショーツにかけ、スルリとおろしてしまった。
「…うんうん、弓華さんのおかげで濡れてる…」
「…本当だ…」
　『席を奪われた』弓華が、璃緋都の足を広げてやる。その秘所はすでに溢れかかっていた。しかし、入り口自体はぴったりと閉じており、あくまでも『璃緋都は処女』であることをうかがわせる。
「…それじゃ、まずその味を」
「…んっ」
　弓華と澄江が璃緋都の下腹部を覗き込むなか、美月が指でそこを広げてやる。璃緋都は軽く声を上げたものの、風花に夢中になっているせいか、特に抵抗はないようだった。
　広げてやったとたんに、『びゅっ』、と璃緋都の秘所から液体が溢れた。
「…わぁ、本当はこんなに濡らしてたんだ！璃緋都嫌らしいッ！」
　入り口が固く閉じていたせいで、愛液が外に出られなかったのだろうか、一旦広げられた入り口からは、璃緋都の愛液がぼたぼたと溢れ、床を汚していく。
「璃緋都さん…生えてないんですね」
　聖架がぼそっ、と言った。
「…お前と同じだな、聖架？」
　まじまじと璃緋都の股間を見つめる聖架を、風花が茶化すと、彼女はあっという間に真っ赤に顔を染めてしまった。
　聖架の眼前では、美月と澄江が二人がかりで璃緋都のお尻や秘所を舐めていた。
「ああんっ、うぁっ、み、美月っ、澄江っ、だめぇ…っ、だめなの…っ！」
　（…っ）
　鍵をかけた後も、真夜は自分の胸の高鳴りを抑えることができずにいた。
　一糸まとわぬ裸の璃緋都が、風花の前で四つんばいになり、その下腹部を澄江と美月が執拗に責め立てている。
　ありえない、でもどこか官能的なその光景が、彼女の胸のうちを刺激していた。
　酔っ払っていても快感が伝わるのか、璃緋都のほうは風花に上半身を抱きかかえられたまま喘いでいる。
　その姿には、いつもの『お嬢様』とか『才女』といった姿はまったく感じられない。どちらかというと、幼さのほうが勝ってしまっているようだ。
（…かっ、可愛い…っ！）
　やがて、ただ一人まともな目で見守っていたはずの真夜も、狂った宴会に飛び込んでしまうのだった。

あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。

2009.2.21掲載

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