| １７ 倒錯の中で １ 部屋の奥へソファが引きずられ、璃緋都はその上に横たえられていた。 あちこちを舌で愛撫されたせいで、体中がひくひくと震えてしまっている。 （…あ…あふ…ん…） 目が虚ろになってしまっていて、自分でもどこを向いているのか分からなかった。 すでに、なんども絶頂に追い込まれてしまっていた彼女は、声も出すことができず、自分以外の女性たちに全裸を見下ろされていた。 「…う〜ん、さすがにやりすぎてしまったか。これは反省せねばなるまい」 そう言ったのは、風花である。弓華や美月と違って一口も飲んでいない彼女は冷静である。 「え？もう終わりなんですか？もっと璃緋都の体触りたいのに」 「こら、バカを言うな。璃緋都が別の世界に行ってしまうぞ」 風花が大真面目に言った。 （…今日は、ひとまず無事か。だが、璃緋都の母親が襲撃されたことから考えても、『ヤツ』が行動を起こす日は近いはずだ…その時を狙うしかない。できれば、わたしは璃緋都に何も知られたくない。昔のわたしのことも、過去に璃緋都自身に起こったことも…） 「あ、璃緋都」 澄江が頓狂な声を上げたので、風花は我にかえって顔を上げた。先ほどまで動けなかった璃緋都が、素っ裸の状態でソファの上に座り込んでいる。目はまだ虚ろなままだ。 「…あはは…あははは…」 「…怖ッ！？ほら澄江、とっとと水持ってきて！まだ酔っ払ってるッ！」 突然笑い出した璃緋都の姿に、美月と澄江が洗面台に走り出す。 「お、落ち着け璃緋都ッ！」 さすがの風花も『まずい』と思ったのか、璃緋都の体を起こし、抱き寄せる。 「寝室に連れていく。少し寝かせたほうがいい。まさか、こんなに酒に弱いとは…」 自分が発端となっただけに、風花は少しバツが悪そうな顔をしていた。 しかし、そんな彼女の考えとは裏腹に、璃緋都はまだニコニコしており、嬉しそうに風花に抱きついている。 （やれやれ…。手のかかる妹がもう一人できてしまった気分だな…。もっとも、弓華はもうそんなに手がかからないか） 抱き寄せた璃緋都を寝室に歩かせようとして、風花は異様な感触に気づいた。 下腹部に、柔らかいような固いような、妙なものを感じたのである。 「…り、璃緋都、また生えてる…ッ！？」 声を上げたのは、澄江だった。 「わわわわっ！？な、何コレッ！？」 続いて声を上げたのは、弓華である。その声につられた風花も、下を見る。 「…うわっ！？」 彼女もまた、璃緋都の足の間についているモノを見て、声を上げた。 「い、いつの間に…ッ！？」 「…この前の風花姉さんの話、本当だったんだ…」 風花が姉妹を振り返ると、弓華は顔を赤くしながらも、璃緋都の下腹部をまじまじと見ている。 聖架は目をそらしているようで、やっぱり視界には納めているようだった。真夜はその場で固まっていた。 「…ねぇ、今璃緋都に生えたってことは…対象はやっぱり、風花さん…？」 そう呟いたのは、澄江だった。さすがに風花も返答ができず、当惑した顔をしていたのだ。 璃緋都は今、風花に抱きしめられた恰好である。このまま引きずるようにして寝室に連れて行くつもりだったのだが、当の璃緋都は下半身に生えてしまったことにすら気づいていないかのように、まだ笑顔である。 そんな中、その璃緋都が突然動いた。風花の手を振り払うと、テーブルの上においてあった酒瓶を取り上げ、いきなりあおりったのである。 「わっ！そ、それはさっきのブランデー…んんっ！？」 とっさに風花が止めようとしたとき、その唇を璃緋都が塞いだ。…と同時に、風花の口の中に冷たい液体が流れ込んでいた。 「んんっ、んっ、んく…っ」 強く抱きしめられてしまい、逃げることもできずにブランデーを口の中に送り込まれた風花は、息をするためにそれを喉の奥に落とすしかなかった。 「ん…ふぁっ…はぁっ…んんっ…」 ようやく唇が離れたとき、風花の顔は赤々と燃え上がっていた。 「あんっ…」 全裸の璃緋都が、風花をソファに押し倒すと、自分もその上に覆いかぶさり、抱きついてしまった。 風花のほうは抵抗もできず、妙に色っぽい声を上げてされるがままになってしまうのだった。 「…風花、ひょっとして、今まで飲まなかったのは…」 その光景を見ていた聖架が声を上げた。風花の顔はもう真っ赤になってしまっている。目もどこか虚ろで、ある意味璃緋都よりもひどい状態かもしれない。 「…あ、はっ…そ、そうだ…っ、わたしは…よ、弱いんだ、酒に…」 璃緋都が胸に顔を押し付けてくる中、風花が切なそうに喘ぎながら声を出す。 風花の手は璃緋都の肩を掴んではいるが、引き剥がすほどの力は出ないらしい。 「…風花さん…大好きです…」 「…っ？」 自分の上、眼前の璃緋都がいきなり顔を上げると、風花の服を脱がせ始めた。 「り、璃緋都、何を…っ！？」 「風花さん、わ、わたし…風花さんと…、したい…です」 「なっ！？」 風花と一緒に、美月や澄江まで声を上げた。 「…璃緋都…」 ついに下着をあらわにされてしまった風花も、倒錯的な声を上げていた。もともと璃緋都が好きなのは、風花なのだ。 「…璃緋都、すごい勃ってる…わたしのときにはこんなにならなかったのに」 「しかも…大きくない？」 美月と澄江が、璃緋都の下腹部をまじまじと見つめる。その場所にあったのは、以前あった小さいものではなく、前に美月に生えたような、元気のいいものだった。 「本命が相手だからかな…格差をつけられた気分」 「…風花さん、わたし…どうしたら、いいですか？」 『したい』と言ったものの、何をどうしたらいいのか分からない璃緋都が、風花の上で質問した。 風花のほうは酒で頭がよく回らないものの、いつもの苦笑を返すのだった。 「…ほら、『これ』をわたしに入れるんだ」 （か、固いな…美月に入れたときのと同一人物のものとは思えないくらいだ） 手を伸ばし、璃緋都のモノをそっと握る。風花の細い指でも、璃緋都のモノの太さ、固さが感じ取れる。 酒のせいなのか、璃緋都自身の正直な欲望によるものかは分からないのだが、彼女のモノは興奮し、血管が浮き出るくらいにいきり立っていた。 「…だが、わたしはまだ濡れてないぞ…」 「『濡れる』…？」 「そうだ。そんな太いものを入れるんだからな。わたしのほうにだって準備が必要だ。ほら、璃緋都」 そう言った風花が、璃緋都の手をとり、自分の下腹部に押し当てる。薄緑の下着に隠された秘所のふくらみが、璃緋都の指に触れた。 「んっ…ほ、ほら、ここを…璃緋都が、刺激するんだ」 「刺激…って、どうやって、ですか？」 「…璃緋都が、自分でやったら『気持ちいいだろうな』と思うようにやってみればいいさ」 風花がそう言ったのは、自棄を起こしたからではなく、彼女の思いやりによるものだっただろう。 「…は、はい」 顔を真っ赤にしたまま控えめにうなずいた璃緋都。そのしぐさは本当に酒によるものなのだろうか？ 「あっ…ふぁっ…あんっ…」 下着にできたふくらみの上を、璃緋都の人差し指が這っていく。少しだけ指に力がこめられている感触が、風花の敏感な場所を刺激し、声を上げさせた。 「そ、そうだ、上手いぞ、璃緋都…もうちょっと真ん中に、指を食い込ませ…ああぁんっ！」 風花が高い声を上げるのと同時に、璃緋都がびくっ、と動きを止めた。 「…はぁ、はぁ、すまない、イきそうになってしまった…璃緋都、驚かせてしまったか…」 「風花さん、下着…ちょっと濡れてる…」 璃緋都の言葉に、風花はうなずいた。他の全員が二人を注視したまま、動けず、声も出すことができずにいた。 「…ああ。璃緋都が愛撫したから、こうなったんだ。下着の上からじゃ分かりにくいだろう？璃緋都が脱がせてくれないか？」 「は、はい」 風花の言葉に、今度は璃緋都がうなずく。ゆっくりと下着に指を引っ掛け、引きおろす。 薄緑の下着が風花の脚を滑っていくのを見て、璃緋都の胸がさらに高鳴っていた。 「…はぁ…」 ところが、あらわになった風花の秘所を見ると同時に、璃緋都は大きく溜息をついていた。 その瞳の先には、薄めながらも整えられ、秘所を優しく隠す茂みがあったからである。 「…こら、じっくり見るな。わたしだって、羞恥心があるんだぞ」 「だって、わたしにはないものがあるって、羨ましいというか…」 風花に諭され、珍しく璃緋都が口答えを返す。よほど気にしているのだろうか。 「…でも、濡れて光ってて、綺麗」 「そうだろう？璃緋都が触ったからこうなったんだ。璃緋都のもそうだが、女のこの部分は、すごくデリケートだ。だから、いきなり入れようとしても入らないんだ。だから、こういうふうに、濡らしてやる必要がある…ほら、璃緋都、ここだ」 風花が自分から脚を広げ、右手の指で秘所を広げる。そこを璃緋都が覗き込むとともに、固く立ち上がったモノの先端をあわせた。 「うあぁぁあっ！」 以前の璃緋都からは信じられないくらい固く大きく勃ち上がったモノが、一気に風花の奥までを貫くと、彼女の膣内から分泌された愛液がこすれて、ぐちゅ、と大きな音を立てた。 「そ、そんなぁっ！い、一気に奥まで…はぁっ！？」 風花にとっては初めての行為ではないとはいえ、瞬間的に奥まで貫かれた彼女は、快感に体を震わせていた。 「うぁっ…せ、狭い…っ！締まる、切れちゃうっ…！」 あまりの締め付けにあわてた璃緋都が、今度は腰を引こうとするも、風花が体を動かすので上手くいかず、かえって風花の内部をあちこち刺激し、彼女の快感を助長していく。 「あっ、だ、だめ、動かないで…い、いきなりイッちゃう…ッ！ああっ！」 悲鳴にも似た風花の声の直後、彼女の体がびくん、と跳ねた。体中が汗ばみ、顔は酒と羞恥で真っ赤になっている。 それはむしろ、不慣れなはずの璃緋都のほうが冷静に見えるような光景だった。 「あっ…あっ…」 そんな風花を見下ろしながらも、璃緋都はそのまま彼女の中にいた。イッてしまった風花の表情を見てうっとりしたような顔だ。 「な、なんかすごくない、璃緋都」 そんな二人を横目で見ながら、澄江が美月に言った。真夜と姉妹は、無言のままどこか倒錯したような目で女二人の行為を見ている。 「うん…わたしのときはあんなに小さかったのに…なんだか悔しい」 「それもあるけど、見るからに大人の女性な風花さんが、璃緋都にイかされちゃってるし…お酒のせいなのかな…」 「はぁ…っ、はぁ…すまない、先にイッてしまった…」 ようやく落ち着いた風花が言ったものの、璃緋都のほうは風花の奥を貫いたまま体を止めてしまっていた。 何がどうなったのか、どうしていいのか分からないのだろう。 「ほら璃緋都、何をしている。お前は、射精したくないのか、イきたくないのか…？」 酒のせいで酔ってはいるものの、その言い回しはいつもの風花である。 「あ…はい…」 それに安心したのか、璃緋都は素直にうなずくと、ゆっくりと体を前後に動かし始めた。 先ほど風花をいきなりイかせてしまったことに罪悪感があるのか、今度の動きはとてもおとなしい。 （あ…あったかくて…気持ちいい…わたし、風花さんの中に入ってる…。幸せ、すごく幸せ…） ゆっくりと動いているせいなのか、風花の中にいるモノが敏感に快感を受けてとめていく。 風花はときおり『あっ』とか声を上げるものの、言葉を発せず、自分の体を璃緋都の好きにさせていた。 （…動くと、絡みついてきて…締め付けてきて、にゅるにゅるしてて…あぁ、ずっとここにいたい…） 「…ふふっ、可愛いですね、風花が。まるで別人みたいです」 頬を染めた聖架が、弓華のほうを見て言った。 「もう少し、彼女を気持ちよくさせてあげましょうか」 「へっ？」 弓華が振り向いたころには、聖架はもう妹のすぐ傍へと歩み寄ってしまっていた。 「…こ、こら…っ、何をする気だ…っ」 自分の横に陣取った姉を見た風花が、伸びてくる手に抵抗して体を揺らす。 「あ、ひゃ…あんっ！」 しかし、そうすると膣内に入っている璃緋都のモノがあらぬ場所を刺激してしまい、自然に声が出てしまうのだった。 「…こうするんです」 そう言った聖架が、風花のブラジャーを押し上げ、乳房を露出させてしまうと、自分はそこに顔を寄せた。 「わっ、こ、こら…っ！？」 聖架の舌が、風花の乳首に触れた。璃緋都が与えてくれる快感に興奮した風花のそこは、すでに綺麗に勃ちあがっている。 「ひゃぁん…そ、そこはぁ…」 右の乳首に優しく舌を這わされ、風花がまた声を上げた。いつもの風花とは違い、今の彼女には本当に余裕がないらしく、目に涙を浮かべて二人からの責め苦に耐えていた。 聖架の舌が、わざと音を立てるようにして風花の敏感な場所をなぞる。 「風花さん、あったかい…奥の方まで行くと、締め付けがすごくて気持ちいい…」 「あっ、せ、聖架ぁ、乳首は吸うな。吸っちゃだめ…駄目っ…ふぁあっ…！」 璃緋都が強く膣奥をたたくのと同時に、聖架が乳首を吸い上げる。息の合ったその動きに、風花は体を震わせた。 「あっ…あぁっ…！」 「…うふふ、風花、またイッてしまってます…璃緋都さん、止まってちゃ駄目ですよ。もっと風花を気持ちよくしてあげてください」 風花の絶頂を見て体を止めてしまった璃緋都を見て、聖架がやさしく声をかけるのだった。 （…えっ？待って、わたしはまだイッてる最中で…っ！） 風花が、そう思ったことを口に出す前に、璃緋都のモノが再び強く奥を突き上げてくるのだった。 |
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| 2009.3.21掲載 |
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