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　麻里子の夫、明彦にはコンプレックスがあった。
　ペニスのサイズに引け目を感じているのである。学生時代には運動部のチームメイトに、よくからかわれたものだった。実際、結合で相手を喜ばせた経験はない。
　麻里子とは、お見合い結婚である。
　今時珍しいとても厳格な両親から見て、少々の期待はあったが、新婚初夜で麻里子の処女を知った時は、大いに感激すると共に安堵した。
　以来、麻里子にも結合で深い快感を与える事はできていないが、明彦しか知らない妻に大きな不満はないだろうと思っていた。
　挿入が妻にとって少々辛そうなのは窺えたが、男の欲望を理解しおとなしく受けてくれていた。
　麻里子は明彦にとって、最高の妻だった。
　その妻が今、別の男に抱かれている・・・なんとか考えずにいられるようにと酒を浴びるほど飲んでいるが、なかなか頭から離れない。
　自分しか踏み込んでいない妻の中を、別の男の欲棒が踏みにじる・・・・・条件を呑んだのだから覚悟はしているつもりだったが、いたたまれない。
　麻里子は未知の喜びを知ってしまうのだろうか・・・・・・思案した。
　膣の開発は、人それぞれだと聞いた事がある。もしかしたら、自分のモノのせいではなく、麻里子は極々遅いタイプなのかも知れないと思った。前戯での反応もどちらかと言えば良いほうではない・・・
　そう考え、都合のよいイメージを膨らませた。でないと、気が変になりそうだった。
　倉橋は女好きだと言っていたが、単に犯せば気が済むのかも知れない。きっと今頃は、反応のよくない麻里子に落胆して、ふて寝しているかも知れない・・・
　きっとそうだ、そうに違いない・・・・・・・・いつしか明彦は酔いつぶれて、眠ってしまった。