１
　
　松本麻里子は３１歳の主婦である。夫の明彦は５歳年上で、亡き両親の会社を受け継ぎ経営している。
　欲しいと望んでいる子供はまだいなかったが、夫婦の仲は恋人同士のように良いと周囲から言われていた。
　ただ、明彦の会社の経営がうまくいってなかった。
　売り上げは順調にあるのだが、運転資金に窮していた。
　中小企業に対して厳しい金融機関にはとっくに融資を断られ、今は危ないとされている金融、つまり高利貸しから借りている。
　優良企業だと自負しているし、親の代から真面目に働いてくれる従業員も身内のようなものである。
　資金がうまく廻らないだけでつぶしてしまう事は、どうしても避けなければならなかった。
　しかし、利息は想像していたよりもはるかに厳しく、返済は滞りぎみだった。

　そんな中、返済に頭を悩ます明彦に高利貸しの佐々原から電話が入った。
「すみません、佐々原さん。返済はもうちょっと待って・・・」
「いやいや、松本さん、今日は催促じゃないんですよ。明日、食事の席を設けましたので、ご夫婦で出席していただこうと思いましてね。実は、投資家の知人がお宅の会社に興味があると言いましてね。内容いかんによっては、出資があるかも知れませんよ、どうですか？」
（これは・・チャンスなのか・・？　まあ、どっちに転んだって今より状況が悪くなる事はあるまい）
　藁にもすがる思いで、「ええ、わかりました。伺います」と答え、電話を切った。

　翌日の夕方、夫婦で出かけた。食事の場は、Ｋホテルの中華レストラン。高級店での食事なので、妻の麻理子も久しぶりにおしゃれをしている。（きれいだ・・）改めて麻理子の美しさに見とれる。十分すぎる程余裕があった生活も、会社が苦しくなってから真理子に苦労をかけてきた。少し痩せた体に、数年前の服がゆるく、明彦は痛々しさを感じた。
　レストランに着き、店員に名前を告げると、個室に案内された。
　高利貸しの佐々原と、投資家と思われる２人がすでに着席していた。
「やあやあ、どうもお呼びたてして、すみませんね。こちらは倉橋さんです」
「いえ、こちらこそお招きいただきまして・・松本です」
「倉橋です、よろしく。こちらが奥さんですね。やあ、噂どおりの美人だ」
「まあ、恥ずかしいわ・・妻の麻里子です。ご招待ありがとうございます」
　倉橋は、４０代半ばの感じで、外見、会話、物腰とも洗練された紳士だった。
　会社存続のため、熱心に説明をする明彦。時おり倉橋の質問が入る。その真剣で的確な質問に、明彦は出資の希望を持った。（これは、もしかしたら、うまくいくかも）
　麻里子も少しでも役に立とうと、運ばれてくる大皿料理を全員に取り分けたり、お酌したりとかいがいしく働き、一人ひまになってる佐々原の話し相手をした。

　一通りの説明が終わると、２時間近く経っていた。
「ふうむ、なかなか良い会社じゃないですか。資金なんかで苦労するのはもったいないですね。是非、出資いたしましょう。条件は後で相談って事で」
「本当ですか？　あ、ありがとうございます！」明彦は横にいる妻を肘で小突いた。「ほら、麻里子もお礼を言いなさい」小声で言った。
　はっとして、麻里子も礼を言う、「ありがろう・・ございまふ・・」
　麻里子の口調に驚いた明彦は、横の妻を振り返った。
　麻里子は、佐々原に飲まされたのであろう、すっかり出来上がりとろんとしていた。
「ああ、こりゃすんませんね。ひまだったもんで、美人の奥さんにお相手いただいて、楽しく飲ませてもらいましたよ。しかし、ちょっと無理に付き合わせすぎたかな？・・奥さん、中庭に出て風にあたりに行きましょう。ここは中庭がきれいですから」
「そうれすね、そうさせていたらきます」
　佐々原に支えられ、麻里子はふらつく足でなんとか歩き、中庭へ行った。

「すみません、酒に弱いもので。まったく、あんなになるまで飲むなんて」
「怒らないであげて下さい。奥さんも一生懸命だったんでしょう。飲めない酒を付き合うなんて、いじらしいじゃありませんか」
「そ、そうですか？　失礼にならなければいいのですが・・」
「いいえ、ますます興味が湧きましたよ。美人で、清楚で、可愛げがあって、品がある」「はあ・・」
「痩せてるとこも好みですよ。でも、胸は結構ありますね、見たところＣカップってとこですか？」
　遠慮のない質問に唖然とする明彦に、倉橋は続ける。
「僕は女性が好きでね、いろいろ趣味はあるんですが、中でも女性に目がないんですよ。奥さん、１度いただけませんかね？　抱いてみたくなりましたよ。それが出資の条件ってことで、いかがでしょうか？」
「そ、そんな事できませんよ。　妻を他人に抱かせるなんて・・　非常識な」
「そうかも知れませんが、それで私に救われた会社が何社かあるんですよ。実際、麻里子さんだって可哀そうじゃないですか、流行遅れの、それもサイズの合ってない服を着て。松本さんは、あの美貌を台無しにしてるんですよ。麻里子さんの幸せもかかってる事を考慮して下さい」
「うう・・・・・・」
　数分の沈黙。
「あ、あの・・３人でですか？　妻は僕しか知らない奥手ですし、セックスは苦手なほうなんです。変なことは・・・」
「ああ、佐々原は関係ないです、僕が麻里子さんを抱きたいのです。もちろん、変な趣味はありませんよ、奉仕するのが好みですから」
「・・・・・・１度だけでいいのですね・・・」
「ええ、１度だけです」
「・・・では・・・麻里子を抱いて下さい。ただし出資の約束は守って下さいね」
「ありがとう。信用して下さい、出資も麻里子さんの事も」
　満足げに微笑むと、倉橋は携帯電話で話し始めた。
「あ、OKだ。麻里子さんを部屋へ頼む」
　と一言だけ言い、電話を切った。
（な、なんだ？　今ってことなのか？）
　あせる明彦に、倉橋は「部屋を取ってあるんですよ。今からいただかせてもらいます。松本さんは先にお帰り下さい。奥さんは明日、責任をもって送り届けますからご安心を」　そう言って、勘定のサインを済ませ、倉橋は足早に立ち去った。
　唖然とする明彦は、今になって仕組まれていた事に気づいた。
（セックスが苦手な麻里子。俺の求めにも健気に応じてくれている・・・今からでも間に合う、こんな事止めなくては。麻里子を会社の犠牲にはできない・・・・・しかし、たった１度だけで会社と従業員が救われる・・・以前のような麻里子の幸せな生活も戻ってくる・・・・・ああ、麻里子すまない・・・１度だけ・・・許してくれ・・・）
　重い足取りで、明彦は帰って行った。

「奥さん、倉橋さんが部屋を取ってあるんですよ。気分が良くならないようだったら、遠慮なく使って下さいって連絡がありましたよ。少し休んだほうがいい。旦那さんにも来てもらいましょう」
「すみません。そうさせていたらきます・・」
　酔いでいまだに朦朧とした意識の麻里子は佐々原に促されるまま、中庭からホテルの部屋へと連れて行かれた。
　部屋に入り、ベッドに横たえられた麻里子は、すぐに寝息を立て始めた。

　倉橋が部屋に入ってきた。
「しぶしぶ承諾したよ。悩んでいたが」
「そりゃそうだろ。背に腹は変えられないってか？」佐々原は笑った。
　ベッドに近づいた倉橋は、すやすや眠っている麻里子を見て「本当にいい女だ。あの旦那がうらやましいよ」と言いながら、麻里子の胸に手を伸ばした。
「弾力のあるいいおっぱいだ。服の上からでもわかる」　
「どれ、俺も触らせてもらうかな。おお、本当にいい乳だな」
「こら触るな。役目は済んだんだ、帰ってくれ」
「へいへい。うちの取りっぱぐれを肩代わりしてくれるんだからねぇ、帰りますよ・・・けど、ねえ、体だけでも拝ませて下さいよ」
「若い女専門じゃなかったのか？　じゃあ見るだけだからな。３Ｐの趣味はない。それに旦那にも約束したしな。見たら帰ってくれよ」そう言いながらも、胸を揉み続けている。
「んん・・・」麻里子の鼻声が漏れた。
「へぇ、眠りながら感じてるぞ」　
「うむ、乳首がしこってきたよ。さて拝ませてもらうかな」
　２人の男の手で、麻里子は眠ったままパンティ１枚にされてしまった。
　２つの視線の先には、すやすや眠っている白い裸体があった。大事な部分だけが、僅かな薄布でかろうじて隠されている。
「きれいな体だ。たまらん」
　そう言うと倉橋はベッドに上がり、麻里子の２つの乳房に手を当てた。
　血管が透けるような白い乳房。倉橋の手の動きによってゴム鞠のように形が変化する。手のひらに当たっている乳首が、再び硬くなってきた。
　倉橋は乳首を口に含んだ。乳首を巧みに舌で転がしたり、強く吸い上げたり。もう一方の乳首は、手でつままれ、軽くつねられたりした。
　みるみる乳首は硬さを増し、甘ったるい吐息も漏れていた。
「さあもういいだろう、帰ってくれないか？」　
「いやー、まだ肝心なとこがねぇ」
「わかった、すぐに見せてやる。しかし随分ぐっすり寝てるな。そんなにたくさん飲ませたのか？」
「酒に弱いとは聞いていたけど、どの程度かわかりませんでしたからねぇ。旦那がＯＫしたって、奥さんが強硬に拒否したんじゃ全ておじゃんだし」
「まあ、そうだな。このまま寝かせておこう」
　そう言うと倉橋は、麻里子の胸に折りたたんだ毛布を掛け、麻里子のパンティへと移動した。
　陰毛の透けた純白のパンティが欲情をそそる。見れば薄っすらとシミがある。胸の愛撫でできたものだろう。
　人差し指で秘所の縦線をなぞる。指に湿り気と花芯の突起を感じる。
「んあ・・・ふぅぅ・・・」麻里子が声を漏らす。
　縦線をなん往復かした後、指は突起に留まりクリクリと円を描いた。
「あん・・・んんあああ」次第にパンティのシミが広がってきた。
　その時、体をびくっとさせて麻里子が目覚めた。倉橋は愛撫を止めた。
「え？　な・・・なに？　ここは・・・・」すぐには状況がつかめないらしい。
　不安げな麻里子の目を、佐々原が覗き込んだ。