３
　
　頑固に居座る佐々原を、倉橋はなんとか説得して帰した。
　訳もわからないまま２人の男に弄ばれ、恐怖と恥辱に怯える麻里子だったが、言い争う２人の会話から、事の成り行きを知った。
（・・・私が条件だなんて・・・・・でも、決断した明彦さんも、きっと辛かったに違いない・・）
　夫の苦しい心情を思いやり、この事態を受け入れようと諦めた。
　それに、下品でいやらしい佐々原がいなくなった事も、麻里子を勇気付けた。
（今夜だけ・・・今夜だけ、私が辛抱すれば明彦さんを助けられる・・・・いつもみたいに、じっとして受け入れるだけでいいのよ・・・・・）
　麻里子と二人きりになると、倉橋は自分も裸になり、ベッドに横たわる麻里子に寄り添った。
「旦那さんは、相当悩まれていましたよ。悪いのは、この条件を出した僕ですから。旦那さんには・・・」
「もう・・・いいです。覚悟はできましたから」
「大した人だ・・・・麻里子さん、きれいですよ」麻里子の髪を撫でながら倉橋が言った。
「これで出資をしていただけ・・・うんん・・」
　麻里子の言葉をキスが遮った。しっかりと閉じてる口を、強引に開かせ、舌を吸った。　長く濃密なキス。あふれた唾液は麻里子ののどまで流れ、体の芯を熱くした。
　やっと口が離された時、麻里子は甘ったるいため息をついた。
「どうか今夜は僕の恋人になって下さい。麻里子さんとすてきな夜にしたい」そう言うと倉橋は、またキスをした。
　口から、耳へ、耳から、首筋へ、ねっとりと唇と舌が這う。手は濃密なキスに反応して堅くなった乳首をやさしくつまむ。
「は・・・あんん」麻里子は身をよじりながら、快感を受ける。
　倉橋の舌がだんだん下がり、胸、わき腹、おなかを這う。
　倉橋の巧妙な舌で、花芯を舐めて欲しがっている自分に気づき、麻里子は羞恥をおぼえた。
（私ったら・・・でも、さっきのあれ・・・すごかった・・）
　それを察知したかのように、倉橋が言った。
「どこにキスして欲しいの？　恥ずかしくないですから、素直に言ってみて」
（・・・言えるわけない・・・お金で抱かれているのに）
　しかし、明彦のものとは数段の差の愛撫を、秘部は熱望していた。
　麻里子の望みに気付きながら、「言わないと、わかりませんよ」そう言って倉橋は、麻里子をうつ伏せにし、尻を持ち上げた。
　目の前にある麻里子の尻をゆっくりと割り、菊門に舌を這わせた。
「ああっいやっ、恥ずかし・・・ひっああああ」
　未踏な箇所への愛撫・・・それも舌で・・・は、麻里子に快感以上に羞恥を与えた。
「やあ・・・そこじゃ・・なぁぁ・・・んああああ・・・・」
　しかし、それがまた快感となって返ってくる。
　倉橋は、麻里子の体を知り尽くしているかのように、導いていく。
「ああっ・・・あああ・・・」秘部に手を添えると、麻里子はビクンと体を震わせた。
　すでに、ぐっしょりと濡れている。
　倉橋のペニスは、早く中を味わいたくて、十分に大きくなっていた。
「クリトリスは、後でたっぷりキスしてあげますから」
　そう言って、膨らんだ先の部分を麻里子の縦線に数回這わせると、麻里子の蜜がたっぷりと絡みついた。
　秘穴にあてがい、腰を押さえて一気に挿入した。
「ああっ、いきな・・・・や・・ああああっ」頭を持ち上げ、仰け反る麻里子。
「うううっ、きつい・・」麻里子の中は予想以上によかった。
　肉襞がぴったりとはりつき、倉橋をしっかりと熱く包む。しかも、奥へ奥へと、誘っているようにも感じる。
　倉橋はしばらく動かずに中を味わった。焦れるように中が蠢く。
「ああ、いいぞ・・」
麻里子は、明彦では得られなかった部分への接触に戸惑う。
「あああ・・なんなの・・・いつもと・・違う・・・・・あうんん」
　麻里子の腰は、乞うように小刻みに震える。
「・・奥が・・ああ・・・おく・・が・・・・ああん」
　倉橋は頷き、ゆっくりとピストンを始めた。
　白い尻を掴み、こすりつけるように腰を動かす。浅く浅く浅く深く、浅く深く浅く深く・・・・
「ああんん・・・すごいぃぃ・・・・んああああ・・・あぅああ」
「おお、絡み付いてくる・・・」
「・・ううう・・・あああんんああ・・・・」麻里子の腰は、自然にくねり出す。
「麻里子さん、いいの？」
「はあうん・・・いいっ・・・こんな・・はじめ・・て・・・・あっあっああんん」
　麻里子の中が、倉橋の肉棒を貪欲に捕まえる。
「うぅぅ・・・ああっ・・・なんな・・の・・・すごいっ・・・・はああああんん」
「・・・麻里子さんも、すごいですよ」倉橋は、深く突き刺す。
「いっいやぁぁぁ・・・あああっ・・・んんあああっ」頭を左右に振って、いやいやをする麻里子。迫り来る未知の感覚に怯え、抗う。
「いやぁ・・だめっ・・・へんに・・なっちゃう・・ぅぅ・・・あああっ」
「変になっていいんですよ。イって下さい・・・僕もいきそうだ・・」
　ぱんぱんぱんぱんぱんぱん・・・・腰のぶつかる音が２人の声と混じり合う。
「あああっ、だめだめぇ・・・・・ひぃぃぃぃぃぃぃぃ！・・・・・・」
　嬌声を発し、頂点を迎えた麻里子は、ぐったりとベッドに突っ伏した。
　倉橋も少し遅れて麻里子から抜き出し、テッシュに放出した。
　倉橋は満足した一息をつき、再度の挿入を試み、なんとか刺し込んだ。
　麻里子は、小さく「うっ」と呻いただけで、そのまま動けなかった。
「おおお・・」倉橋が感嘆の声を上げた。膣内の痙攣が倉橋を包み込む。
　蠢くようにひくつき、絡み付く・・・
　それが終わるまで待って、結合したまま麻里子を上に乗せ向かい合った。
　恥じらいと余韻で上気している麻里子を見て、改めて美しさを思った。

「とてもよかったですよ。全然苦手なんかじゃない」麻里子を抱きしめながら、倉橋が言った。
「え？　ああ、主人がそう言ったんですね・・・・なんだかさっきは、じっとしていられなくなってしまって・・・」恥ずかしそうに言う。
（もしやとは思ったが・・・そうなのか？・・）
「麻里子さんは、さっきのようになったのは、初めてですか？」
「・・・ええ、初めてです。いつもは、あんなじゃないんですけど。さっきは変でした」（やはり・・・・この体が未開発だったなんて・・・・）
「おめでとう。どうやら麻里子さんは、第２の女性の扉を開いたみたいですね」
「・・・・第２の扉・・・ですか・・」
「１番目は、初めての時。２番目は、男性を受け入れて喜べた時。麻里子さんは、これで身も心も真の女性ですよ。セックスを心から楽しめる体になったんですよ・・・・・・・・・
旦那さんとは、どうなんですか？」
　いつもは相手の私事に関心は持たないのだが、最後の言葉がつい口をついて出てしまった。
　プライベートな質問に、麻里子はちょっと戸惑ったが、倉橋になら話せる気がした。
　思えば、レイプまがいの関係なのに、拒絶できる自信が今はなくなっていた。
　出資のこともあるが、それ以上に、未知の快感をもたらせてくれた倉橋のやさしさとセックスに魅力を感じていた。
「おっと、失礼な質問だったですね。すみません」
　無言でいる麻里子に倉橋は謝ったが、「いいえ・・」そう言って、麻里子は話し出した。
　明彦とのセックス・・・・愛撫と挿入、そして夫の放出。
　前戯で絶頂に達した経験はあったが、結合で喜びを得られた事はなかった。
　膣の奥は疼くのだが、それが快感には至らなかった。
　膣口が擦られて痛いだけ、明彦を迎え入れている体勢に疲れるだけで、苦痛に近いものしか感じない。
　後にされる挿入を思うと、最近は前戯にも気が入らなかった。
　夫が満足そうに自分の中で果てる事には、女としての小さな喜びがあったが、早く終わって・・・いつしかそう願うようになっていた。
　麻里子はそう話ながらも明彦を思い出し、他人のセックスで感じて入ってしまった自分を、申し訳なく思った。
　倉橋はだまって麻里子の告白を聞いていた。
（何だ？　淡白すぎるのか？　いずれにしろ旦那に何か問題がありそうだな。１度の挿入であんなに深くいくなんて、すでに中は熟しきっていたのか）
「男性は、主人しか知りませんので・・・・それが普通なのかと」
「とんでもない。女性に喜んでもらうのが、本当のセックスですよ・・・これは自論なんですけどね」
（女として生まれ、その上素晴らしい体を持っていると言うのに、喜びを得られないセックスだったなんて）そう思うと、麻里子が不憫になった。（可哀想に・・・）

「・・んんんう・・・」不意に、麻里子が眉をひそめ鼻をならした。
　含んでいた倉橋のペニスが、同情心から沸き起こった欲望で復活し始め、麻里子を刺激したのだった。
　ずっと自分の中の倉橋を意識しながらも、なんとか我慢していたが、こうなってしまっては無理だった。
「ああ・・ふぅぅ・・・ご、ごめんな・・さい・・・おはなし・・の・・途中・・なのに・・・あうう」
　苦しげな表情で刺激に耐えている麻里子を見ると、愛おしさが込み上げてきた。
「話は後にしましょう」そう言うと、倉橋はベッドに横たわり、麻里子を騎乗位にした。
　両手で、ピンクに染まった胸を揉みしだく。乳首はすでに硬くなっていた。
「あああ・・・あんあああああ」
「僕の胸に手をついて、上で自由に腰を動かしてごらん。気持ちよくなれますよ」
　おそるおそる動き出した麻里子は、快感に眉をひそめている。
「ああ・・ううぅ・・」
　そのうちに、感じるツボを見つけたらしく、顔を赤らめ夢中で腰を使った。
　くちゅくちゅと音がする。
「んあああああ・・・あ、いい・・・あああ」
　倉橋は、両乳首をつまんでひねった。
「ひっ！　あああっ・・・・」
　条件反射のように、きゅーっと秘穴がペニスを締めつける。
「うおお・・・」今度は倉橋がうめいた。
　それを何回か味わうと、麻里子の腰を掴まえ、下からズンズンと突き上げた。
「いいいっ・・あっ・・・んああああ」
「ああ、いい体だ・・・たまらない」
「やぁっ・・・すごいっ・・ああ・・また波・・がっ・・・・あああっ」
　絶頂を察し、倉橋は強く突き上げた。
「我慢しないで。感じるまま波に呑まれるんだ」
「やっ・・いっやぁぁ・・・またっ・・あぅ・・・ううう」
「ああ・・麻里子・・・いいよ」さらに突き上げる。
「いやぁ・・・だめぇぇ・・・あああああっぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・」

　胸に倒れ込んだ麻里子を、倉橋がやさしく抱きしめた。
　麻里子は、倉橋に抱かれている理由など、いつの間にか忘れていた。
　倉橋を体に含んでいる自分が、うれしくさえあった。
（これが・・・・本物のセックスなのね・・・・・）