第１０話

　鉄の扉の前にたった。左手には紙袋をもっている。中にはもう半年以上使われことなく、押入れの奥に眠っていた黒光りしたバイブレーター、今日、愛に使おうと思ったが使えなかったものだ。これから若妻を頂こうとすると考えると肉棒に血液が巡り勃起してくる。高まる気持ちをなんとか抑え込み、呼び鈴を押した。
「はぁい」
　祥子の愛くるしい声がスピーカーから聞こえた。
「僕ですよ。隣の……」
「隣の……。ちょっと、待ってください。今、開けますから」
　ぷつりと受話器を置く音がした。カチャと鍵の開く音がして、チェーンを外す金属音が聞こえた。扉が開いた。祥子は頬を赤く染めながら、大きな黒目で僕を見つめた。
「どうしたんですか？」
「実は、昨日のことなんですが……」
「あっ、もしかして、口止めに来たんですか？そんなに心配しなくても、いいですよ。絶対に奥様に話したりはしませんから」
「そのことなんですけど、ここでは外に聞こえてしまいますから、少し中に入れてもらえませんか？」
「はっ、はい……」
　僕は扉の中にあがりこんだ。鉄の重みで扉が自然に閉まる。初夏を思わせるような陽気は薄着にさせる。スカイブルーのＴシャツに太股の付け根ま見える白いショートパンツといった、男を欲情させる格好だ。そんな祥子の全身を舐めるように見、視線が、小ぶりな二つの膨らみでとまった。膨らみの先端には小さな粒が浮かんでいる。ブラジャーをつけていないのだ。普通なら、訪問者が男であれば待たせてでもブラをつけるハズだ。しかし、彼女はつけていない。やっぱり、僕を誘惑しているんだ。そう思うとジーンズの中に隠された凶器が更に膨らみを増した。もう、完全勃起状態である。外から見ただけでも勃起しているのが明らかだ。
「なんだか、怖いな……」
　祥子は目を大きく見開いて膨らみを一瞥して、僕の顔を見つめてきた。
「ちょっと、あがってもいいかな？」
「……えっ」
　僕の問いかけに祥子は戸惑いを感じているようだ。考える隙を与える間もなく、サンダルを脱ぎ、素足のまま玄関マットにあがり祥子に近づいた。祥子はジリッジリッとすり足で後ろに下がっていく。
「しょっ、祥子さん。昨日のこと覚えているよね」
「えっ、昨日のことって」
「忘れたとは言わせないよ。何か手伝うことが会ったら何でも言って下さいねと言ったよね」
「……えっ、ええっ、覚えてますよ」
「それに、僕を誘惑したことも覚えているよね」
「……なんですか、誘惑って……」
　祥子は首をかしげた。僕は祥子の意外な反応に言葉が詰まった。
（どっ、どうしたんだ。一体、彼女は何を言っているんだ）
　僕は、この問いかけに対して、彼女が頬をピンク色に染めて黙り込むと考えていた。しかし、彼女の表情は普通である。混乱する頭の中で、口を開いた。
「何で惚けているのかな？驚いたよ、てっきり、清楚な奥様だと思ってからね……まさか、この綺麗な脚で僕のチンポを擦ってくるなんて……君も愛のように僕に抱かれたいんだろっ」
　祥子の白く細い太股に擦った。
「ちょっ、ちょっと！」
　祥子は真剣な表情で力強く僕の手を払いのけた。
「どうしたの？旦那にかまってもらえなくて、たまっているんだろっ、僕のチンポを君のおま○こに入れて欲しかったんだろっ、ねえ、祥子さん」
　祥子の手首を掴み、ジーンズの上の膨らみに擦りつけた。
「いったい、何を言っているんですか！私、愛さんとは違います！それに、変な言いがかりはつけないで！」
　祥子は手を振り解き、真剣な顔で言った。言いがかり？夢だったのか？僕は頭の中を整理した。いくら酔ってたとはいえ記憶は鮮明に残っている。しかも、さっき、愛も僕と祥子の様子がおかしかったと言っていた。やっばり、夢の中の出来事ではない。
「本当に、覚えてないの？」
　きわめて優しく囁いた。
「覚えてません！」
　祥子は毅然とした態度できっぱりと言った。本当に記憶が途切れているのか。飲みすぎた翌朝にはありえることだ。だからといって、ここで引き下がるつもりはない。このままでは僕の肉棒は鎮まらない。それに、祥子の肉体は疼いているはずだ。だから、酔っているとはいえ、あのような行為に及んだのである。
「……しかし、残念だな……昨日のことを忘れているなんて、せっかく、君を満足させてあげようと思ってこんなものまで用意してきたのに」
　紙袋の中からバイブレーターを取り出した。祥子は僕の手に握られたものを見て、喉を鳴らした。
「変なもの見せないで……帰って、帰ってください」
　祥子は、顔を背けた。頬は真っ赤に染まってきた。バイブレーターのスゥイッチを入れた。ウィーンウィーンとモーター音をたてながら、頭がクネクネと回りだした。
「変な物だって？まさか、この味を知らないとは言わせないよ。欲求不満な祥子さん、ほらっ、見てごらん。イヤラシイ動きをしているよ……」
　後ずさりをする祥子に一歩一歩近づいた。祥子の背中がリビングダイニングルームの扉にぶつかった。扉を開けない限り、後ろに逃げ場はない。グルグルと回る先端を祥子の頬へ当てた。
「やっ、やめてください」
　祥子は顔を歪め、両手で力強く僕の胸を押してきた。一瞬、よろめいたが隙に、祥子が扉を開き部屋の中にはいっていった。僕は直に体勢を直して部屋にはいった。祥子が電話の受話機を手にし僕を見据えた。
「ねえ、お願いだから、変なことはよして、いつもの北村さんに戻って、直にここから出ていって」
「本気で言っているのかい？実は、こういうのが好きなんじゃないのかな、無理やりセックスされるのが」
「ばっ、馬鹿なこといわないで！本当に警察に電話します！」
　祥子き顔を強張らせて、指をプッシュボタンに当てた。
（この女、一体なにを考えているんだ……本気に通報するつもりか、それともゲームを楽しんでいるのか……）
　もし、ゲームならこのまま終わらせるのは失礼だ。徹底的に犯してあげないといけない。冷静に状況を確認した。窓は閉められている。このマンションの部屋の窓は全て防音使用になっている。大声を張り上げても外部に漏れることはまずないだろう。問題は玄関の鍵が開いたままであることだ。もし、不意に訪問者がきたら、どうだろう。最初に呼び鈴を鳴らし、反応がなければ帰るかもしれない。しかし、扉に手をかける可能性もある。やはり、鍵はかけておくべきだったと後悔したが、今後の状況によってはそれを防ぐことも可能だ。祥子と僕の距離は三メートルもない。飛びかかれば充分に届く距離だ。
「いいかげんにしろっ！」
　僕の怒鳴り声に祥子はビックと体を振るわせ、ボタンから指が離れた。その瞬間を見逃さずに祥子にとびかかった。
「きゃっ！やっ、やめてっ！！」
　祥子の叫び声が部屋中に鳴り響く。祥子の手から受話器が飛んだ。僕は祥子の腰の上に乗り、暴れる祥子の細腕を掴み背中に押し付けた。必死に腕を抜こうともがくが、華奢な祥子の力では無駄な抵抗である。
「はあ、はぁ。こうして欲しかったんだろっ、奥さん。あんた、乱暴にされるのが好きなんだろ」
　祥子の両手を束ねて左手一本で押さえ込み、右手でスルスルッとベルトを抜き、手首を固定した。
「やっ、やめてっ、どうか、正気に戻って……ねっ、お願い……いつもの北村さんに戻って……」
「まだ、そんなこと言うのかい。奥さん、昨日愛のところに何を求めていったんだい？知っているんだよ。愛に慰めてもらったんだろ」
　祥子の抵抗が止んだ。イケナイ秘密を知られたことに、返す言葉が無いようだ。
「欲求不満で、女同士で慰めあってたんだろう」
　ギュッと尻肉を握り締めた。
「いっ、いたいっ！」
「奥さんは、痛いのが好きなのかな？」
　更に指先を尻肉に食い込ませた。
「いっ、やっ、痛いのはやっ……」
　泣きそうな声をあげた。
「本当にそうなのかい？奥さん、僕を怒らせて滅茶苦茶にされたいんだろっ。それが奥さんの好みなんだろ？お好み通りに犯してやるよ！」
　股座に手を突っ込んだ。ショートパンツの表面からグイッと指を押し付けた。予測したとおりに湿り気を感じた。
「あん、やっ……」
「やっぱり、そうか？もう、おま○こは濡れ濡れだな、奥さん、あんたマゾだったんだ？」
「ちっ、違うわ。違うのよ。私、マゾなんかじゃない……ごめんなさい、少し、北村さんをからかってみたかっただけなの……昨日、あなたが帰った後、愛さんに言われたの、もうこんな関係は終わりよって、やっぱり男の方がいいって……だから、悔しくて……」
　祥子はすすり泣き始めた。妄想の中では何度も嫌がる祥子を犯してきたが、現実は違っていた。女の涙には弱かった。急速に肉棒が萎え始めた。祥子の腰から降りて、手首に巻いたベルトを外した。

つづく