『妻を犯す』の続編です

　目が覚めても自分がどこにいるのか分からなかった。
　辺りを見回せば、いつものベッドの上にいる。それも、裸で‥‥

「あっ‥‥」
　まるで悪夢を思い出したときのように、夕べのことが残像となって頭の中に甦る。
「うそ‥‥」
　思わずつぶやいてしまう。
　歓喜に満ちたあの人の顔がフラッシュバックした。
　おかしな台に拘束されて好き放題にされてしまった。
　おぞましい記憶が甦る。
「うそ‥‥うそよ‥‥」
　夢であって欲しかった。頭を振ってみても、モヤがかかったみたいな感じは治らない。それでも、気を取り直して立ち上がり、バスローブを羽織ってピアノ部屋へ向かう。

　あった‥‥
　わたしを拘束していた禍々しい台が部屋の中央に固定されている。
　不思議なことに怒りの感情は湧いてこない。それどころか、夕べのことが現実だったと分かった瞬間、秘肉がジワッと疼いた。
「うそ‥‥」
　また、つぶやいていた。

　階段を下りてリビングへ入るとテーブルの上に薄い紙が置いてあった。
「り‥‥離婚届って‥‥うそでしょ‥‥」
　判が押してあるのを見て血の気が引いてくる。
「あなた、あなた‥‥」
　あの人のことを呼んでみる。しかし、家の中には人の気配がない。
（ほんとうに出ていっちゃったのかしら。うそよ、うそに決まってるわ。わたしのことを、ちょっと脅かしたいだけ。すぐに帰ってくるわ）
　でも、それは、願望に過ぎなかった。夜になっても、あの人は帰ってこなかった。わたしは無意識のうちにピアノ部屋へ向かい、気がついたら、あの台を抱きしめて、いつの間にか「あなた‥‥あなた‥‥」と泣きじゃくっていた。
　どれくらい泣いていただろう。なんだか、いままでの自分じゃないみたいだ。だって、わたしはこんなに素直な女じゃなかったし、それに‥‥
　また、あの人に虐められたい。そう望んでいる自分が信じられなかった。あんなことをされて、あんなに気持ちがいいなんて‥‥
　それに、わたしのことを苛んだあの人のことが猛烈に愛おしい。
「あなた‥‥ほんとうに出ていっちゃったの‥‥」
　そう呟くと喪失の絶望感に襲われて涙が止まらなくなった。

　台を見ると、黒くて幅の広い革のベルトがいくつも取り付けてある。
「わたし‥‥昨日はこれに繋がれていたのね‥‥そして‥‥」
　試しに台の上に乗って、おなかのところのベルトをしめてみた。そしたら、オモチャで弄ばれていたことを思い出して秘肉がジンジンと疼きだしてしまった。
「あなた‥‥あなた‥‥」
　夕べのことを思い出しながら自分の指であそこを慰めていた。
　ちいさな絶頂を得られたものの、ぜんぜん満たされた感じがしなかった。よけい、あの人のことが恋しくなった。

　わたしは、こんなにかわいい女じゃなかったはずだ。高慢ちきで、いつもワガママを通し、男を蔑んできたはずだった。パパに言われて、あの人と結婚したけど、それだって連れて歩いて見栄えがする男だったし、ギトギトした嫌らしさを感じないところが気に入ったに過ぎない。そう、唯一大好きな男性だったパパを安心させるために結婚したようなものだったのに‥‥

　ゴミ箱の中には夕べ使われたオモチャが捨ててあった。
　太くて大きなバイブレーター。こんなものがあそこに入っていたなんて信じられない‥‥
　ちょっと匂いをかぐと、わたしの恥ずかしい匂いがした。また秘肉が熱くなる。
　そして、段々のついた樹脂製の棒‥‥これがお尻に‥‥あの人はうれしそうだった。でも、一番悦んでいたのはわたしかもしれない‥‥

　どこを探しても、昨日までの自分が心の中にいなかった。ただただ、あの人が恋しかったし、また虐めて欲しかった。
　食事を作る気も起きず、初めてコンビニでお弁当を買った。こんなもの食べる人なんて軽蔑していたのに。
　お弁当の味はしなかった。でも、自分のためだけに食事を作るのは気が進まなかった。
　知らない間に、あの人の食事を作ること、一緒に食べることによろこびを感じていたのかもしれない。知らない間に、あの人はわたしの中に住んでいたのかもしれない。ひとりの食事が、こんなに侘びしいものだなんて知らなかった。いや、相手が誰でもいいわけではない。あの人じゃなければ嫌だ。なのに、暗くなっても帰っては来ない。
「わたしが悪かったのね‥‥」
　独り言を言いながら離婚届を破って捨てた。

　わたしはピアノ部屋へ行き、例のオモチャたちを持って、洗面所で丁寧に洗いはじめた。その拍子でローターのスイッチが入り羽音のような音が響く。手のひらに伝わってくる振動が夕べの責めを思い出させる。金属製のクスコが乾いた愛液で曇っているのを見ながら、わたしの手はローターを持ったまま、バストの頂辺りを彷徨う。ニットの生地とブラジャー越しに振動が伝わり、熱くむず痒いような快感が全身に拡がっていく。
　だめ‥‥はしたない‥‥こんなものを使って自分でするなんて‥‥
　そう思っても、わたしの手は何者かに操られるように、ローターを一番敏感な部分に押しあててなぞっていた。
「あ‥‥あなた‥‥」
　喘ぎながら、あの人のことを呼んでいた。そして、ジーンズを膝までずり下げ、ローターを使ってショーツの上からクリトリスを刺激する。
「ああんっ！」
　電流が走ったみたいに快感が押し寄せ、思わず身体が硬直してしまう。
　気がつけば、溢れ出た愛液がショーツにシミを作っていた。
「あなた‥‥きて‥‥きて‥‥」
　ローターを強く押しあてると熱さが増して小さなアクメがやってきた。
「ああっ、いい」
　秘肉全体を包むようにローターを手のひらで押しつけ激しく動かしはじめる。
「あっ‥‥あなた〜っ‥‥」
　喘ぎが空しく響いた。
　洗面所にしゃがみ込んで痙攣しながら、わたしは何度も絶頂を迎えていた。
　やがて、肩で息をしながらぐったりとなり、疲れ果てた身体を引きずるようにベッドルームへたどり着き、頬を涙で濡らしながら、倒れるように眠りに落ちていった。
　
　朝になって目を覚ますと、あの人が帰っているのではないかと思い、必死で家の中を探した。もう、あの人のことしか考えられなかった。何をされてもいい、帰ってきて欲しかった。いや、金曜の晩にされたように虐められることを望んでいた。
　いったい、あの人はどこにいるんだろう？　どこか友達のところにでも転がり込んでいるのだろうか？　そこまで考えたとき、わたしはあの人の交友関係のことなど何も知らないことに気がついて愕然とした。交友関係どころか、趣味のことや私生活に関わること全てに無関心だったのだ。
　携帯に電話をかけても「電源を切っているか電波の届かない‥‥」のメッセージが空しく聞こえるだけで留守番電話にさえ繋がらない。
　仕事があるのだから遠く離れた郷里に帰っているとは考え難い。
（仕事‥‥？　そうか、会社に行けばいいんだ‥‥）
　あの人と会う方法を見つけて、わたしは、やっと心が落ち着いてきた。
「バカみたい‥‥」
　そうつぶやいてみても、あの人のことしか考えられない。
　いままで、自分が一番嫌っていたことをされたのに、でも、あんなに感じたことはなかった。
「どうして‥‥」
　また拘束されたいと思っている自分に気づき、わたしは愛液が溢れてくるのを抑えることができないでいた。結局、ピアノ部屋へ行き、あの寝台の上で何度も自分を慰めてしまっていた。最後には服を全部脱いでいた。さすがに自分でバイブレーターを使うのは躊躇したが、あの人に使われることを想像すると興奮した。でも、ひとりじゃ満足できなかった。

　二晩続けて、わたしはあの人のことを想いながら、独り寝の寂しさを味わっていた。もう、こんなのはいやだと思った。

（あの人に会いに行くんだ）
　わたしはワードローブの中から懐かしいワンピースを選んだ。
　ハネムーンのとき、サンフランシスコのブティックであの人が買ってくれたものだ。ショーウインドウに飾られたワンピースを見て「似合うよ、きっと」と言って、値段も確かめずに店の中に入っていったあの人。そのことを思い出したら、甘酸っぱい気持ちになって、今日これから会いに行くのに、これほどふさわしい服はないと思った。淡く華やかな柄がプリントされたワンピースを着て鏡の前に立つ。わたしは自分の姿に蝶をイメージしていた。
（一昨日まではサナギだったのね、わたし‥‥）
　メタモルフォセスだったかしら。わたしは星にならずに蝶になった‥‥あの人のおかげで‥‥そんなことを考えながら時間が過ぎていった。

　わたしは終業時間の五時になるずっと前から会社の前で修一を待っていた。
　定刻通りに仕事が終わるはずがないことを分かっていても、そうしたかったからだ。何時間待ってもいい。傍目から見れば通用口の前で、誰かを待って彫像のように立ちつくしているバカな女に見えるかもしれない。それでもいいと思った。

　日が沈み街灯が灯りはじめた頃、あの人が通用口から出てきた。
「あなた‥‥」
　大きな声で呼びたかったのに声が出ない。
「やあ‥‥」
　それでも、わたしを見つけてくれて、大股で近づいてくる。うれしかった。
　その爽やかな笑顔を見ると血が上って何も考えられなくなった。
「わ‥‥私‥‥待って‥‥いたの‥‥」
　そう言うのがやっとだった。
「何の用？」
「あなたを‥‥待って‥‥いたんです‥‥ここで‥‥ずっと‥‥」
　まるで小学生の受け答えだ。もっと言いたいことがあるはずなのに、言葉にならない。もどかしさで、ますます顔が赤くなっていくのが分かる。
「歩きながら話そうか。ここじゃ、知った顔がたくさんいるしね」
　あの人がスタスタと歩き出した。
「あなた‥‥帰ってきて」
　このまま、去ってしまうような気がして、わたしは叫ぶように言った。そして後を追いかける。
　気がつくと、あの人は公園のベンチに足を組んで座っていた。傍目からは仕事を終えて待ち合わせした恋人同士に見えるかもしれない。でも、わたしは必死だった。ここであの人の気分を損ねてしまったら、本当に別れることになってしまうと思ったからだ。
「お前は俺を拒んだ。そして、俺はお前に酷いことをした。だから、もう終わりだ。そうじゃないのか？」
　やはりそうだ。この人は別れを決意している。涙が溢れてきた。
「お、おねがい‥‥帰ってきて‥‥」
　血が滲むような声だった。いままで本気で他人にお願い事をしたことなど無い。本音というか本心をさらけ出すことに嫌悪すら感じてきたのに‥‥自分の心の奥底を解放する心地好さに、わたしは自分自身の変化を改めて感じていた。
「あんなに酷いことをされて、それでも帰って欲しいのか？」
　あの人の言葉に、金曜の晩のことがフラッシュバックする。拘束されたまま蜜壺にオモチャを入れられ、後ろの穴を肉棒で責められ達してしまったことを。
　秘肉がジンジンと疼いてくる。
　官能に火が灯り身体が震えてくる。
「また、あんなことをされても‥‥か？」
　やっとの思いでうなずくと、あの人はたたみかけるように聞いてきた。
「もっと、酷いことをされてもいいんだな？」
（もっと酷いことって‥‥また、あんなふうに‥‥おねがい‥‥あなた‥‥わたしを、また滅茶苦茶にして‥‥）
　また、あの台に拘束され責められている自分を想像すると、興奮で息が荒くなっていた。
「は‥‥はい‥‥あの‥‥道具もそのままに‥‥してあります‥‥」
　そこまで言うと、恥ずかしくなり、思わず両手で顔を覆ってしまう。
「プライドの高いお前が俺の言うことに服従できるのか？」
「な‥‥なんでも‥‥言うことを聞きます‥‥だから‥‥」
（あなた‥‥わたしは変わったの‥‥あなたのすることなら‥‥何でも‥‥）
　わたしは心の中で、そう叫んでいた。
「だったら、ここでショーツを脱いでみろ」
　あの人の要求は想像を超えたものだった。
　衆人環視の公園でショーツを脱ぐなんて‥‥恥ずかしさでビクッと身体が震える。でも、それであの人が悦ぶならと思うと、また蜜が溢れてくるのを感じた。
　少しためらった後、わたしは、辺りを見回すと素早くスカートの中へ手を伸ばしてショーツを脱いで、両手であの人に差し出した。
　見えることはないと分かっていても、公共の場所で下着を着けていないスリルと恥ずかしさで、ますます濡れてきてしまう。ここで言うことを聞かなければ、あの人が去ってしまうという恐怖よりも、服従して恥ずかしいことをしている悦びの方が大きくなっていた。
　あの人はショーツを受け取ると、その感触を楽しむように握ってポケットに収めると、わたしの目を見つめ、あの爽やかな笑顔を向けて言った。
「ここで、ひとりで慰めるところを見せてくれるかい？」
（そ、そんな‥‥）
　あまりのことにあの人の顔を見る。その瞳に父親のような優しさが宿っているのを感じて、服従する快感に目眩のようなものを感じた。
「あ、あなたが‥‥そうしろと言うなら‥‥」
　生唾を飲み込み、恥ずかしさと戦いながらスカートの裾をまくり、指先をあそこへ‥‥
（こんなところで見られながら‥‥きっと触れた途端ものすごく感じてしまうに違いない‥‥）
　もう、もうどうなっても良かった。あの人が悦んでくれるなら‥‥周りの人に見られたって構わないと思った、いや、知らない人に服従している自分を見て欲しいと心の奥で思っていたのかもしれない。
「わかった。続きは二人だけになってから見せてもらおう」
　指があそこへ触れる寸前に、あの人はわたしを制した。そして肩を抱き寄せられ公園を出た。あの人の手のひらから伝わる暖かさに陶然となってしまう。
　そして、タクシーを拾い、家のある地名を告げた。
（帰ってきてくれるのね）
　うれしさのあまり、わたしはあの人の腕にすがった。

＊

　車内で二人は無言のままだった。首都高速を経由してタクシーが都内を抜けたとき、修一は額の汗を拭おうとポケットからハンカチを出した。
「ん‥‥？」
　感触が違う。それは恵美子のショーツだった。
　修一がその匂いをかぐ。
「あ、あなた‥‥」
　まるで、あそこへ鼻先をあてられているように錯覚して、恵美子は身震いする。
「そうか」
　修一は恵美子の方を見てニヤリと笑うと、手を膝の上に置いた。そして、スカートの裾をまくり上げながらジワジワと上の方へ這っていく。
「インターを降りたら右、一つめの交差点を右に曲がってください」
　運転手に指示を出しながら、修一の手は秘肉にたどり着いていた。
「ぁ‥‥はん‥‥」
　必死で声が出そうになるのを堪える。
（だ、だめよ‥‥あなた‥‥こんなところで‥‥）
「あれ、夕立でもあったのかな。こんなに濡れてる」
　そう言いながら、修一は蜜壺を指でかき回していた。
「く‥‥ふぅん‥‥」
　幸い、右側に座っていたので、運転手との間には広告などが入ったアクリル製のボードがあり、直接、顔を見られたり、声を聞かれたりすることはなさそうだ。でも、大きな声を出してしまえば、その限りではない。
（ああ‥‥だめよ‥‥もう‥‥声が出ちゃう‥‥運転手さんに分かっちゃう）
「運転手さん、そこ鍵型に曲がっていますが道なりにお願いします」
　修一は蜜壺の中で指を鍵型に曲げながら言った。
「は、はぅん‥‥」
　恵美子は口をふさいで漏れる声を抑える。
「すごく降ったみたいですねぇ。ビショビショだぁ‥‥あれ、恵美子、どうした？　気分でも悪いのか？　お前、車に弱いからなぁ。少し窓開けようか」
　道が濡れていることにかこつけて、修一は恵美子の下半身の状態を口にする。けど、フォローも忘れない。窓が開き、外の音が車内に入ってきたおかげで、少しくらい声が漏れても大丈夫になった。
　それを機に修一の指の動きが激しくなる。
「ん‥‥んん‥‥」
　恵美子は前屈みになって口を押さえ身体中を駆けめぐる快感に耐える。
　したたり落ちた愛液が双丘の間を伝わってペチコートまで濡らしているのが分かる。
「あっ、そこの看板がある角を左に曲がってすぐです」
　限界が近づいたとき、タクシーは家に到着した。
　料金を払うとき修一の指が抜かれた。女の匂いが車中に漂う。恥ずかしくて逃げ出してしまいたかったが、その恥ずかしさが興奮を高めていることも事実だった。
　やっとの思いで車を降りたが立っていられないほどだった。

「恵美子、鍵を開けてくれ。持っていないんだ」
　修一の声がする。
　恵美子は自分がタイトロープの上にいたことを改めて自覚し、修一がここにいることに安堵していた。急いでプラダのバッグから家の鍵を取り出す。
「あなた、これ‥‥もう、立てないの‥‥」
「なんだ。急にかわいらしくなっちまったな」
　修一は鍵を受け取ると玄関を開けた。
「お前、飯は食ったのか？」
　恵美子は首を振る。
「そうか。じゃあピザでもとるか。でも、その前に俺の言うことを聞くっていう証拠を見せてもらわないとな」
「‥‥」
（証拠？　な、なんのこと‥‥）
　恵美子は訳が分からず言葉も出ない。
「ピアノ部屋へ行くんだ」
　修一の声が命令口調になる。恵美子は這うように二階へ上がる。
「そこに横になれ」
　修一の視線の先には、あの婦人科用の寝台があった。
　恵美子は寝台を見ると条件反射を起こしたみたいに無意識のうちに服を脱ぎはじめた。そして、生まれたままの姿で横たわり脚を開く。
「なんだ。分かってるじゃないか。それじゃあ、俺は準備をしてくるから、そのままでいるんだぞ」
　そう言い残すと、修一は部屋を出て行った。
　恵美子は言いようのない不安に襲われた。このまま修一は出て行ってしまうのではないか？　二晩の独り寝の寂しさを思い出してしまう。
　しかし、修一は数分後に戻ってきた。
「はい、そのクワトロ・オールスターのLサイズをひとつ、ビールとかはないの？　じゃあ、コーラでいいや。１リットルのを‥‥そう‥‥じゃあ、お願いします」
　コードレスの子機を片手に、空いた手には大きな紙袋が握られていた。ラフな格好に着替えた修一の顔が輝いている。
「さて、と。それじゃあ、公園の続きをやってもらおうか」
　そう言われても、恵美子は何のことだか思い出せずにいた。
「自分の指で慰めるところを俺に見せるんだ。忘れたのか？」
　恥ずかしさで身体が震え出す。
「あ、あなた‥‥あなたの好きにしていいから‥‥おねがい‥‥」
「駄目だ。自分でするんだ」
「あ、あなたと、二人きりになったら‥‥恥ずかしくて‥‥」
「言うことを聞けないんなら、終わりだ」
「そ、そんな‥‥」
　恵美子が恥ずかしさのあまり躊躇していると、修一は部屋を出て行こうとした。
「ああっ、あなた！　待って」
　恵美子は悲痛な叫びを上げ、起きあがって修一の前にひざまずいた。
「おねがい‥‥行かないで‥‥なんでも、あなたの言うことを聞きますから‥‥」
「俺の好きにしていいんだな？」
「は、はい‥‥」
　恵美子はおずおずと立ち上がった。
「じゃあ、寝台に戻って脚を開け。自分で慰める前にしたいことがある」
　何をされるんだろう？　また、オモチャを使って虐められるのかしら‥‥恵美子は心の中で金曜の夜の出来事を反芻していた。
「まずは柔らかくしないとな」
　修一が紙袋から取り出したのはシェービングクリームだった。
「俺の言うことを聞くっていう証拠に、お前のあそこの毛を剃ってやる」
　あの晩からの、修一の言葉と行動は恵美子の想像を超えるものばかりだ。
「ああ‥‥」
　絶望と期待、恐怖と悦びが入り交じった複雑な気持ち。刃物をあてられるのは怖い、けど、あそこを触ってもらえると思うと秘肉が疼く。修一に身を委ねるしか選択肢はない。
「あ‥‥あなたの‥‥いう通りにします‥‥でも‥‥」
「でも？」
「こ、怖いの‥‥」
「そうだな。抵抗して動いたら、あそこが切れちゃうかもな」
　修一は不敵な笑みを浮かべている。
「だ、だから‥‥おねがい‥‥あのときみたいに繋げて‥‥」
「ふん、怖いからじゃないだろう。お前は繋がれたいんだ。正直に言ってみろ」
　図星だった。土曜日に目が覚めてから、いったい何度繋がれることを想像したか分からない。身動きがとれない状況で修一に辱めて欲しかった。
「お前はスケベで恥ずかしい女だ。自分で、そう言ってみろ。そしたら繋いでやる」
　恥辱で目眩がしそうだった。
「ああ‥‥おねがい‥‥繋いで‥‥」
「だめだ！」
　修一は、まだ呆然と立ちつくしている恵美子の後ろに回り、平手で尻をたたいた。「パチン！」と小気味いい音が響く。
「ひぃ！」
　衝撃で恵美子は崩れるようにしゃがみ込んだ。男にたたかれたのは初めてだった。それだけに精神的なショックが強い。しかし、痛みが熱さに変わると、秘肉を疼かせている官能と同化してしまい、身体全体が震えだした。
「言えないのか！」
「あ、あなた‥‥ゆるして‥‥わたしは‥‥スケベで恥ずかしい‥‥女‥‥です‥‥だ、だから‥‥繋いで‥‥」
　それだけ言うと涙が溢れてきた。
「よーし、いい子だ。お前の望み通りにしてやる。こっちへ来い」
　修一は恵美子を寝台の上に乗せベルトを締めはじめた。
「ああ‥‥いやぁ‥‥」
　それだけで恵美子は感じて喘いでしまう。
　繋がれてしまえば抵抗できない。いや、抵抗しないでいいのだ。そんな状況の中で、修一に思い切り虐めて欲しかった。
　修一の手が股間へ伸び、ひんやりとした感触が秘肉を襲う。
　目を開くと、修一がシェービングクリームを塗っていた。
（こ、怖い‥‥でも‥‥触って‥‥ああ‥‥き、気持ちいい‥‥）
　股間を這う指の動きに秘肉が反応してジュンッと愛液が溢れてくる。
「ああっ！」
　二枚刃のカミソリが下腹部にあてられただけで全身が硬直するくらい感じてしまう。
「ああっ、助けてぇ‥‥」
　ジョリッと毛が剃られる感触に思わず悲鳴のような喘ぎ声が漏れる。
　修一は、しばらく行為に没頭していたが、舌打ちをして
「これじゃあ、だめだ」
　と吐き捨てるように言った。
　二枚刃の間に毛が挟まってスムーズに剃れないのだ。
「そうだ。ちょっと待ってろ」
　そう言い残してピアノ部屋を出ていく。
　繋がれたまま残された恵美子は、また不安に陥る。が、すぐに修一は箱を手に戻ってきた。
「ゴルフのコンペでもらったものが、こんなところで役に立つとはな」
　箱の中から出てきたのは電気バリカンだった。
「まずは、これで短く切ってからカミソリだ」
　コンセントに繋いでスイッチを入れるとローターそっくりの音がした。
　修一は大陰唇の下の方から剃りあげていく。
　バリカンの微妙な振動と、毛を剃られていく不思議な感覚が、恵美子の被虐意識を高める。
「いやぁ‥‥ゆるして‥‥ああ‥‥ああん‥‥」
　アンダーヘアーなど、大した重さがないはずなのに、なぜか股間が軽くなったような気がする。それに、シェービングクリームのせいか、ひんやりとして心細い。
　修一が肉の谷間になった部分を剃るため、大陰唇を右へ左へと寄せるたびに、柔肉がこすれ、ひどく感じてしまう。蜜壺から愛液が溢れ出て周りを濡らしているのが自分でも分かる。
「ああ‥‥いやぁ‥‥恥ずかしい‥‥見ないでぇ‥‥おねがい‥‥」
　言葉の意味とは裏腹に、その声にはたっぷりと媚が感じられる。
「こうやって剃られているのがうれしいんだろう。もうちょっとでツルツルになるからな」
「いや‥‥いやぁ‥‥あん‥‥」
　まるで、猫が甘えるような声で恵美子は喘いだ。
「ようし、仕上げだ」
　カミソリを持った修一は丁寧に秘部を剃っていく。
　濡れたタオルで拭き取られると、秘裂の両脇に小さな肉丘が輝いて見えた。
「う〜ん、我ながら上出来だな。カメラがないのが惜しいくらいだ。ほら、お前も見てみろ」
　修一が鏡を持って、剃りあげた部分を恵美子に見えるようにする。
「いやぁ‥‥恥ずかしい‥‥」
　そう言いながら、恵美子は鏡に映し出された自分の秘部から目が離せなかった。恐ろしいくらい卑猥で、それでいて美しかった。
（ど、どうして‥‥）
　無毛の大陰唇の間からはみ出すように覗いている小陰唇は、そこだけ少し色が濃いが、花びらを連想するくらい可憐だ。下の方の蜜口はかすかに開いている。そこから溢れた愛液がアヌスまで濡らしているのが見える。
　恵美子は自分の秘部に見惚れていた。
「きれいだよ、恵美子。繋がれて、すべてを晒しているお前は、本当にきれいだ」
　修一も讃辞を惜しまない。
「ああ‥‥あなた‥‥」
　無毛の自分を見つめられ、褒められると、うれしさと恥ずかしさで白い肌が桜色に染まっていく。
　ピンポ〜ン
　そのときチャイムが鳴った。
「うん、いいタイミングだ。お前、ピザを受け取ってこい」
　修一がベルトを外しはじめる。
「えっ？　こんな格好で‥‥」
「ば〜か、安心しろ。ちゃんと服は用意してある」
　そう言って、修一が紙袋から取り出したのは薄手の白いTシャツとデニムのミニスカートだった。
「し、下着は‥‥？」
「そんなもん、あるわけないだろ。配達のお兄ちゃんに見せつけてやれよ」
「あなた、お願い。ゆるして」
「俺の言うことを聞くって言ったばかりだろ」
「は‥‥はい‥‥」
　修一の口調がきつくなり、恵美子は、まるでパブロフの犬のように床へ置かれた服を着はじめる。
　色素の薄い乳首は透けるまではいかないが、その突起は興奮のせいでポツンと布地を押し上げている。はっきりとノーブラだということが分かるし、襟ぐりが大きいので胸の谷間をかなり露出してしまう。おまけに、ミニスカートはハネムーンの開放的な気分のときに買ったもので、ちょっと前屈みになると下着が見えてしまうほど短い。日本へ帰ってきてからは恥ずかしくて一度も着られなかったものだ。下着を着けずにいたら‥‥想像しただけで気が遠くなりそうだ。
「早く行け」
　財布から一万円札を出した修一が命令口調で言う。
（タクシーのときと同じ。でも、もっと恥ずかしい。宅配の人に見られちゃったら‥‥）
　風通しのいい下半身を気にしながら、恵美子は玄関の鍵を開ける。
「ありがとうございます。○○○ピザで‥‥す」
　いかにもアルバイトという感じの若いピザ屋の言葉が一瞬途切れた。
　その目は驚愕でまん丸になっている。視線が胸と太ももを交互に行き交っている。
「おいくら？」
「あっ‥‥え〜と‥‥さ、さんぜん‥‥３，４６５円になります‥‥」
「これで」
　恵美子が一万円札を差し出す。
「ここに置いてよろしいですか‥‥」
　返事も待たずにピザの箱を床へ置くと、釣り銭を用意する振りをして、ピザ屋は上目遣いで恵美子を見る。スカートの中へ向いている視線を感じた瞬間、恵美子は秘肉が熱くなるのを感じた。もしかして見えているのかもしれない。そう思うと、ますます疼いてくる。
「早くして。主人が待ってるから‥‥」
「は、はい」
　慌てた様子のピザ屋は、釣りを渡すと逃げるように去っていった。
　玄関のドアが閉じるのを見て、恵美子は、その場にしゃがみ込んだ。
「ふふふ。ピザ屋の奴、ビックリしてたな」
　背後で修一の声がした。
「履いてないのが分かっちゃったかもな」
「ああっ」
「お前も、見られて感じていただろ」
　恥ずかしさのあまり恵美子が泣き出したのを見て、修一は追い打ちをかけるように言葉で嬲る。
　たしかに、そうだった。ピザ屋の視線を感じた瞬間に、言いようのない快感が秘肉を走った。
「どれ、見てやろう」
　修一は玄関の踊り場でしゃがみ込んでいる恵美子の膝を開く。
「すごいな。周りまでビショビショだ」
　秘肉だけでなく、太ももの付け根まで愛液で濡らした恵美子を見て、修一はうれしそうだ。
　修一はあぐらをかいて恵美子の腰を引き寄せる。そして、恵美子のヒップを腹に固定させて両脚を思い切り開いた。
「いや‥‥こ、こんなところで‥‥まだ鍵も閉めてないのに‥‥」
「そうか、まだピザ屋がそこにいたりしてな。お前の声が聞こえたら入って来ちゃうかもな」
　そう言うと、修一はペロリと秘肉を舐めあげる。
「あぁ〜んっ！」
　もしかしたら修一の言う通り、ピザ屋が聞き耳を立てているかもしれない。そうじゃなくても、玄関から誰かが入ってきてしまうかもしれない。そう思うだけで、いっそう感じてしまう。
「ああ‥‥誰かが入ってきたら‥‥」
　恵美子の言葉は欲望の裏返しだった。
「どうやら、恵美子は見られたいらしいな。俺が奥の奥まで、たっぷりと見てやるよ」
　修一が大陰唇を左右に開いた。
「はぅんっ！」
　自分でも膣口がポッカリと開いたことが分かり、恥ずかしさと悦びで思わず喘いでしまう。そっと修一の方へ目を向けると、自分の秘部が食い入るように見つめられている。
「ああ‥‥見ないで‥‥」
　本当は、見られていると思っただけで感じてしまうのに、口から出るのは反対の言葉だ。でも、そう言った方が、辱められている感じが強く陶酔が深まる。
「いや‥‥いやぁ‥‥」
　抵抗の言葉を口にしながら、恵美子は自ら脚を大きく開いていた。
「いい眺めだ‥‥」
　修一は秘肉をまさぐりながらクリトリスに舌を這わせる。
「あうっ！」
　一番敏感な部分に直接加えられた刺激、それだけで恵美子は達してしまいそうになり、叫ぶように喘ぎ、身体を硬直させた。
「あっ、あんっ！‥‥こ、こんなところで‥‥いや‥‥やめて‥‥」
　修一の舌先が一番敏感なところに差しかかるたび、恵美子は腰をバウンドさせながら喘いだ。
「ああっ‥‥だめぇ‥‥も、もう‥‥」
　オルガスムスがそこまでやってきたとき修一の責めが止んだ。
「ああ〜ん‥‥」
　落胆の声を漏らす恵美子。
　修一はピザ屋が持ってきたコーラの栓を開けている。
（えっ‥‥こんなときに‥‥）
　修一の行動に戸惑っていると、コーラをいっぱい溜めた修一の口が秘肉に近づいてきた。
「いやぁ〜っ！」
　修一の口があそこへ押しあてられる。炭酸の刺激で目の前が真っ白になるくらい感じてしまう。
「は‥‥はうんっ！　そ、そんなにしたら‥‥ああんっ‥‥」
　ゴクリとコーラを飲み干した修一は、また新たに口に含んで秘肉へ押しあて、こんどは蜜壺へ泡立つコーラを注入した。
　ピリピリと突き刺すような刺激が秘肉を熱くさせ身体が震えるほど感じてしまう。
「やっ‥‥もう、もう‥‥あんっ‥‥ああ〜っ！」
　クリトリスを這い回る修一の舌先とコーラの刺激で、恵美子はあられもない声を上げて達してしまった。
「そういえば、玄関でしたことはなかったな」
　ビクビクと痙攣している恵美子を見ながら修一は素早くズボンを脱ぎ捨てる。
　あっという間に屹立が恵美子の蜜壺の中へ侵入してきた。
「いやぁ〜っ！」
　間髪を入れぬ責めに悲鳴を上げる恵美子。
　吹き出すように溢れ出たコーラで太ももから床までビショビショになっている。
「あっ、あっ、あんっ‥‥」
　律動のリズムに合わせて恵美子の口から喘ぎが漏れる。
　身体を満たされる悦びがこれほどのものとは思ってもいなかった。恵美子は、ただひたすら修一にしがみつき、押し寄せてくる快感に身を委ねていた。
　連続してやってくる絶頂に下半身がとろけていくようだった。
（ああ‥‥もう、どうにでもして‥‥）
　朦朧とした意識の中で、恵美子は押し寄せてくる快感に浸っていた。
　どれくらい責められていたのだろう。Tシャツが上の方までまくれ上がり、むき出しになったバストを修一が熱心に揉んでいる。そして、蜜壺の中の肉棒が膨れあがっていくように感じる。
「あっ！　ああんっ！」
　頭の中に閃光が走り全身が硬直した。
　それは、いままで経験したことのない激しいオルガスムスだった。
「ああっ！　あうっ！」
　背中をのけぞらせ、何度も腰をバウンドさせている恵美子を見ながら、修一は屹立を引き抜く。
「こんどは口でしてもらおうか。最後までだ。出したら飲むんだぞ」
　恵美子を抱き起こした修一は仁王立ちになる。そして、恵美子の顔を両手で挟むようにして屹立へ近づける。
　いままで、いくら修一が望んでも、恵美子は最後までフェラチオに応じたことがなかった。恵美子にしてみれば、男のものをくわえるだけでも抵抗があったし、ましてや、あんなところから出るものを飲むなんて冗談じゃなかったからだ。
　しかし、いまの恵美子は違った。
　自分の身体を満たし、悦びを与えてくれた修一のものを心底から愛おしいと思うようになっていた。嫌悪感などまるで無い。むしろ、口で愛撫と言うより奉仕したいという気持ちが強い。
　恵美子は、ごく自然に口を開き、まだ自分の愛液で濡れ光っている屹立をくわえていた。そして、舌を使って亀頭の部分を舐めまわしていた。
（すごい‥‥こんなものが、私の中に入っていたのね‥‥）
　舐めれば、舐めるほど愛おしさが募り、いま口の中にあるものが蜜壺を責めていたことを想像すると、また秘肉がジンジンと疼きだした。
「ううっ‥‥いいぞ、恵美子。もっとだ‥‥ちょっと歯を立ててみてくれ‥‥」
　修一が呻くように言う。
　修一が感じてくれていると思うとうれしくなり、恵美子は夢中になって屹立をしゃぶった。
「いいぞ‥‥もうすぐだ‥‥もっと強く‥‥う‥‥ううっ！」
　突然、口の中が熱いものでいっぱいになった。
（あなたっ！）
　恵美子は心の中で叫びながら、その粘っこい液体を飲み込む。
　ゴクリと喉が音を立てた。
　軽い苦さも生臭さも気にならない。修一の出したものを身体に収めたという幸福感がある。
　恵美子は修一のものが萎えはじめても、掃除をするように丁寧にしゃぶり続けた。
「ふう〜っ‥‥ひと休みだ」
　そう言われて、恵美子はやっとしゃぶるのをやめ、上目遣いで修一を見上げる。その目つきの艶っぽさは修一の動悸が速まるほどだった。
「ピザが冷めちまったな。まあいいや。腹ごしらえをして、もう一回戦だ」

　ピザをレンジで温めて皿に盛り、氷を出してコーラを冷やし、恵美子はいそいそと食事の準備をする。ほんとうは、修一のために自分の作ったもので食卓を飾りたかったが、食材の買い置きもなかったし、せっかく修一が頼んだものなのだから、その気持ちを大事にしたかった。それに、また二人で食事ができるのがうれしかった。
　まだ、恵美子はTシャツにミニスカートの格好のままだ。
　ツンと上を向いた乳首は半ば勃起したままなのがよく分かるし、食器棚の上にある皿を取ろうと背伸びをすればショーツをはいていないヒップが艶めかしい。
　そんな姿で甲斐甲斐しく働く恵美子を見て、こんどは裸でエプロンをやってやろう、などと古典的なことを考えながら思わずニンマリしてしまう修一だった。
　恵美子にしても、もしかしたら裸でいるより恥ずかしいかもしれない、そんな姿を見られていることを十分意識していた。見られている、そう思っただけで感じてしまうのだ。

　二人は、お互いを意識しながら、ほとんど会話もなくピザを食べた。
　あらかた終わった頃、修一が口を開いた。
「食い終わったら、たっぷり可愛がってやるからな。嫌か？」
　その言葉に胸がドキドキする。
「あ‥‥あなたの‥‥」
　その後が言葉にならない。
「なんだ？　ちゃんと言ってみろ」
「あ、あなたの‥‥したいように‥‥して‥‥」
　やっとの思いで、それだけ言うと、恵美子は恥ずかしくて真っ赤になってうつむいてしまった。
「何をされたいんだ」
「‥‥」
「言えよ」
「‥‥い‥‥いや‥‥」
「そういえば、あのとき尻の穴に入れられて、ずいぶん良かったみたいじゃないか。また、して欲しいか？」
「‥‥ああ‥‥おねがい‥‥言わないで‥‥」
「前は、あんなに嫌がっていたのにな。道具だってそうだ。オモチャを使われて気持ちよかったのか？　言わないと今夜はもう終わりだ」
　言葉でいたぶられると身体が熱くなってくる。
「あ‥‥あなた‥‥ゆるして‥‥」
「俺の言う通りにするって言っただろ。俺が聞いたら正直に答えるんだ。いいな？」
「は‥‥はい‥‥」
「じゃあ、どうされたいんだか聞かせてくれ」
「あ‥‥あのときみたいに‥‥して‥‥ください‥‥」
「それじゃ分からないよ。具体的に」
「わ、わたしを繋いで‥‥オモチャで‥‥虐めて‥‥」
「前も後ろもか？」
「‥‥はい‥‥おねがいします‥‥」
「前と後ろ、どっちが感じた？」
「ああ‥‥わ、わかりません‥‥あ、あなたのすることは‥‥みんな‥‥す、好きなの‥‥」
「そうか、俺のすることが好きなのか。何をしてもいいんだな？」
　恵美子は、さらに顔を赤くしてうなずく。
「よし。じゃあ、ピアノ部屋に来い」
「は、はい‥‥」
　修一が立ち上がると、恵美子はつられるようにして階段を上っていく。

　ピアノ部屋へ入ると、興奮のためか、それとも恥ずかしさからか、恵美子は小さく震えた。
「まずは服を脱ぐんだ」
「はい‥‥」
　恵美子はスカートから脱ぎはじめる。
　内腿からヒップにかけてを濡らしていたコーラと蜜の混合液は、食事の用意をしているとき、修一が見ていない隙に蒸しタオルで拭いてあった。でも、スカートがべとつくようで気持ち悪かったから先に脱いだに過ぎない。
「なんだか、そそるな」
　下半身だけ裸になった恵美子を見て、修一に新たな欲望が芽生える。
「そのまま脚を開け」
　無毛の秘部、スリットからわずかに見えている小陰唇がかわいらしい。
　修一は背後に回り込み、両手を太ももから徐々に上へ滑らせていく。同時に、首筋へ唇をあてる。
「はぁん‥‥」
　恵美子がため息を漏らすように喘ぐ。
　修一は耳たぶを舐めながら秘肉をまさぐる。
　恵美子は肩で息をしはじめた。
　修一は焦らすように、わざと中芯には触れない。
「あ‥‥ああ‥‥」
　修一の指はクリトリスに触れる寸前で別の方へいってしまう。Tシャツの上からバストを揉んでいるもう片方の手も同じ、けっして乳首には触れてこない。
「ああ‥‥あなた‥‥も、もっと‥‥ちょうだい‥‥」
　そんな愛撫がしばらく続くと、耐えられなくなった恵美子が懇願する。
「何が欲しいんだ？」
「お、おねがい‥‥もっと‥‥つよく‥‥あそこを‥‥」
「あそこって？」
「い‥‥いじわるぅ‥‥」
「よし、もっと欲しかったら四つん這いになるんだ」
「こ‥‥こう？」
　恵美子が膝をつく。
「もっと尻を高く上げろ！」
「はい‥‥きゃ‥‥いやぁ‥‥」
　恵美子がヒップを突き出した瞬間、修一はどこから取り出したのかアナルスティックをアヌスに押しあてていた。それも、一番太いやつだ。
「尻の力を抜け」
「ああ‥‥そんな‥‥か、堪忍して‥‥おねがいします‥‥」
「そうか、それなら仕方ないな‥‥」
　樹脂製の棒がアヌスに押しあてられる感触が消える。
　安堵と失望、そして後悔が恵美子を襲う。まだアヌスを責められるのには恐怖があった。だから、どうせなら無理矢理に入れて欲しかった。それに、修一に逆らってしまったことに対して申し訳ない気持ちもある。
　そんなことを考えていると、指でアヌスが開かれ、冷たいものが入ってくるのを感じた。
「えっ‥‥なに‥‥」
　修一はジェルをアヌスに流し込んでいた。
「ああ‥‥なに‥‥こ、こわい‥‥」
　アヌスから内部へ流れ落ちていくジェルの感触に怯えながら、修一が責めるのを止めていないことがうれしい。恵美子は矛盾した感情の中を彷徨いながら、次第に欲望の度合いが深まっていくのを感じていた。
「きゃ！　あうっ‥‥う〜ん‥‥」
　突然、アナルスティックが奥まで挿入された。もちろん後ろの方へだ。恵美子は圧迫感に床を掻きむしるようにして耐える。
「ああっ、あうっ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥」
　興奮と緊張で息が荒くなり脂汗が流れてくる。
　嫌悪感はない。責められ辱められていると思うと秘肉が熱くなる。圧倒的な圧迫感はあるけど、挿入されただけでは物足りない。できればクリトリスか蜜壺を嬲って欲しかった。
「あ‥‥あなた‥‥おねがい‥‥ま、まえも‥‥きゃあっ！　あんっ！」
　恵美子が懇願すると、修一はニヤリと笑ってアナルスティックの端を何度も指で弾いた。その振動が腸壁に伝わり、蜜壺の奥まで感じてしまい、思わず悲鳴が漏れる。
「ああっ！　だめっ‥‥そんなにしたら‥‥あっ‥‥ああっ！」
　蜜壺から愛液が溢れ出てくる。
「あなた‥‥まえも‥‥おねがい‥‥」
「だめだ。自分でするんだ」
「そ‥‥そんな‥‥」
「俺のいうことが聞けないのか」
　修一はアナルスティックの端を強く弾く。
「あうっ！　は、はい‥‥わかりました‥‥」
　強制されて恵美子は逆にほっとしていた。ほんとうは自分でいじってしまいたいくらいだったのだ。修一の言葉は自制のたがを外してくれた。恵美子は躊躇なく自分の秘部を弄びはじめた。
「ああっ‥‥あっ‥‥あん‥‥あんっ‥‥」
　強制されることで恥ずかしさから解放された恵美子はリズミカルに指を動かし喘いだ。オナニーを見られていることが興奮を加速させる。
「こっちの手でオモチャを動かせ」
　修一は空いた手を取りアナルスティックを握らせる。
　恵美子は床に押しつけた頬と両膝だけで身体を支え、ヒップを突き出した格好になる。
「そんな‥‥」
「言うことを聞くんだろう」
　修一に言われれば嫌も応もなかった。
　どんな感覚に襲われるのか分からない恐怖から、ためらいながらも恵美子はアナルスティックを握る手に力を入れる。
「ああっ！　いやぁっ！」
　ズルリと段々が抜ける感触は、まるで身体が裏返ってしまうのではないかと錯覚するくらい強烈だった。
「ほら！　もっと動かせ」
　修一の言葉に従って抜き差しすると、慣れからか、アヌスに段々が通過する感触が心地好くなってきた。
「あうっ‥‥う、う‥‥ああっ‥‥」
　不自然な体勢を取らされているのも、なんだか自分が憐れな奴隷になったようで感じる。それに、後ろの穴を自ら責めて、それを見られているという恥辱が堪らないほど興奮をかき立てていた。
「‥‥だ、だめ‥‥もう‥‥あうっ！」
　ついに恵美子はオルガスムスを迎えてしまった。
　崩れ落ちるように横になっても、まだアナルスティックは刺さったままだ。露出した柄の部分が内部の動きを伝えるようにヒクヒクと動いている。
（すごいな）
　その有様を見て感嘆で声も出ない修一だった。隠れた欲望が次々に満たされると、また、新たな欲望が湧き上がってくる。
　修一は無言で恵美子を抱き上げると、あの晩と同じように婦人科用の寝台に繋いだ。
「‥‥あ‥‥な‥‥た‥‥」
　恵美子が喘ぐように修一を呼ぶとアナルスティックの柄が揺れる。溢れ出た愛液が秘部全体を濡らしている。
　修一は金属製のクスコをゆっくりと蜜壺に差し込んだ。
「あっ‥‥いやぁ‥‥」
　その冷たい感触にヒクリと腹筋が収縮する。
　レバーを操作すると先端が開き、濃いピンク色をした内部の肉襞が露わになる。こんもりと盛り上がった子宮口の周りには泡立った愛液がたまっている。先端には子宮へと続く切れ込みが「く」の字を描いたようにあった。肉襞の複雑な様相が蠢いているのは、俗に言う「ミミズ千匹」、名器の証だろうか。あの晩とは違う無毛の丘と内部のコントラストが淫猥な感じをいっそう高めていた。
「お前にも見せてやる」
　修一は鏡を取り出し内部の状況を恵美子にも見えるようにした。
「どうだ、見えるか？」
　恵美子は食い入るように鏡を見つめたまま返事をしない。
　恥ずかしい部分のみならず、身体の内部まで露わにされた戦慄にも似た感情、初めて見る女の内部に対する好奇心と全身が熱くなるような恥ずかしさに、何も口に出せないのだ。
　これほどまでの恥辱に晒されている自分を憐れに思う。同時に、憐れな自分を捧げものにする悦びを感じていた。
「あ、あなた‥‥わたしを‥‥好きにして‥‥わたしは‥‥もう‥‥あなたのものよ‥‥」
　そんな言葉が無意識のうちに漏れた。
　それを聞いた修一は、征服の歓喜で全身がカッと熱くなった。
「恵美子‥‥」
　愛していると続けたかったが、言葉を飲み込み、鏡を置いてTシャツの裾をまくり上げて豊かなバストを露わにする。そして、その頂を口にふくんだ。
「ああっ‥‥いいっ‥‥」
　身体に力が入ったせいだろう、寝台がギシッと鳴る。
　修一がバストを愛撫したのは恵美子のことが猛烈に愛しくなったからだ。秘部だけでなく全身を慈しみたい。そう思って二つの丘を晒した。
　手と口で、その柔らかな感触を味わっていると、修一は新たな責めを恵美子の身体に加えたくなった。
「ちょっと待ってろ」
　修一はダイニングへ行ってロウソクを探した。
　いままでSM行為について明確な欲望があったわけではない。恵美子を繋いだのも最後の欲望を遂げるための手段に過ぎなかった。オモチャを使ったのもタカビーな妻に対する最後の仕返しという意味合いが強かったし、クスコにしたって内部を覗いてみたいという子供じみた欲求を満たすためだった。
　新たな責めを考えたとき、その行為のベクトルの延長線上にあるものがロウソクだった。熱く溶けた蝋が恵美子の身体を彩る光景を想像したら矢も盾も堪らなくなった。
　アンダーヘアーを剃ったときから何かが変わりはじめたのかもしれない。隷属の証として恵美子の秘部を剃りあげたとき、修一の中で何かが弾けた。ロウソクを使うのはブレイクスルーの証なのかもしれない。
　火の灯ったロウソクを手にした修一を認めたとき、恵美子は「ああっ‥‥」と諦めのため息を漏らした。
　ロウソクの明かりに照らされ影が不気味に揺らめく修一の顔が、これから起こるおぞましいことへのムードを否が応でも高めている。
「ゆ、ゆるして‥‥」
　そう言いながら恵美子は、先端が拡がって抜けずにいるクスコの存在を意識しながら、蜜壺が熱く疼くのを感じていた。
　狙いをすました最初の一滴が乳首の上に落ちた。
「あうっ！」
　熱い。たしかに熱いが予感していた苦痛はなく、熱が一瞬にして耐え難い快感に変わり全身へ拡がっていく。
　次の滴が反対側の乳首へ落ちた。
「いやぁ〜っ！」
　蝋を落とされて感じている自分が堪らなく恥ずかしい。でも、逃げようとしても叶わない、いや、逃げなくてもいいのだから、どんなに恥ずかしいことでも甘受すればいいのだ。恵美子はくだらない常識に縛られていた欲望と感覚をリリースした。
「ああっ！　いいっ！　どうして‥‥どうしてなの‥‥」
　滴が落ちるたびに身体を硬直させて官能に咽ぶ恵美子。
　喘ぎを重ねるうちに恵美子の上半身には蝋が点々と落ちて固まっていた。そのインモラルな光景に、ますます欲情した修一は手の位置を変え、秘部へと滴を垂らす。
「はぅぅんっ！」
　クリトリスを直撃した一滴に恵美子は不思議な声を上げ、ブルブルと身体を震わせる。そして、がっくりと脱力した。
「いったのか‥‥」
　修一は恵美子の反応に驚き、潜まっていたマゾの血が目を覚ましたことに半信半疑でいた。しかし、恵美子の高慢な態度は恥辱を望む姿の裏返しだったのかもしれないと思い至り、自分の中に眠っていたサドも、それに呼応して同時に目覚めたのだと思った。
　もっと責め尽くしてやる。修一は思いを新たにして、恵美子の拘束を解く。そして、恵美子を床に降ろし、俯せにさせて背中に蝋を落としはじめた。
「あん‥‥」
　ヒクリと身体を震わせながら悶えるものの、まだ意識の戻っていない恵美子は自分の状態が分かっていないようだ。やがて、背中からヒップまで点々と蝋の跡がちりばめられた。
　修一は服を脱ぐと、恵美子の腰を持ち上げ、アナルスティックとクスコを抜き去る。
　そして、ゆっくりと屹立したものを蜜壺に挿入する。
「ああっ！」
　肉棒で満たされ覚醒した恵美子は叫びにも似た喘ぎ声を上げた。
「ああっ‥‥あなたっ‥‥いいっ‥‥いいのっ‥‥あんっ‥‥あんっ‥‥」
　律動がはじまると、その動きにあわせて喘ぐ。
「ああっ‥‥いいっ‥‥ああっ‥‥もう‥‥もうよ‥‥」
　あっという間にオルガスムス直前まで登り詰めてしまったらしい。
　修一は屹立を抜き仰向けに横たわった。
「恵美子、上になるんだ」
　いままで恵美子が拒否し続けていた体位だった。
　しかし、そんなことは忘れてしまったかのように、恵美子は躊躇せず修一に跨る。そして、屹立に手を添えると位置を確かめるようにして腰を落とした。
「ああんっ！」
　悦びの声を上げ自ら腰を使いはじめる。
　蝋の跡をちりばめたバストが揺れる。
　卑猥といえば、これほど卑猥な眺めはないのではないだろうか、そんなことを考えると、修一の肉棒は興奮で硬度を増した。
「ああっ、すごい‥‥」
　恵美子が喘ぎで応える。そして、いっそう腰の動きが激しくなる。
　手を修一の太ももの上に置き、ややのけぞり気味に悶える恵美子の身体は、エロスの神が舞い降りて憑依したかのように美しい。
　その美しさを破壊したい衝動に駆られ、蝋の跡をむしり取るように、修一は恵美子のバストを揉む。
「ああっ‥‥ああっ‥‥」
　喘ぐトーンが段々高くなってくる。
「恵美子、後ろの方へ入れるんだ！」
　修一が命令した。
　一瞬、ビクッと身を震わせた恵美子は泣きそうで焦点の合っていない目を修一に向けると、ほんの少し微笑み、腰を浮かせた。そして、ふたたび屹立に手を添えアヌスにあてがう。しかし、なかなか勇気が起きないらしく、その後は躊躇したままでいた。
「恵美子、早くするんだ」
　このまま腰を突き上げて挿入しようかとも思ったが、恵美子が自ら腰を落としてアヌスを犯すところを見たかった。
「早くっ！」
　口調を強めると、哀しげに顔をしかめ「あなた‥‥」とつぶやきながら、恵美子は徐々に腰を落としはじめた。
　一瞬抵抗があって、ジェルが残っている恵美子のアヌスはズルリと亀頭部分を飲み込んだ。
「あ‥‥うう‥‥」
　必死で何かに耐えるように呻く恵美子。
「もっと奥まで！」
　修一が叫ぶように言うと、先端が入ってしまったため諦めたのか、それとも肛虐の悦びのためか、恵美子はゆっくりと、味わうように腰を落として屹立を根本まで飲み込んでいく。
（き‥‥きつい‥‥けど‥‥）
　恵美子は苦痛の奥にある快感に目覚めはじめた。
　あの晩はレイプじみた状況の中でアヌスを犯されるという雰囲気に飲まれ、何が感じるのか分からなかった。でも、いまは違う。直腸の内部にも快感があることが、自らの意志で肉棒を収めていく課程ではっきりと分かった。
「こ‥‥こんなの‥‥はじめて‥‥」
　さすがに腰を動かすまではできないが、肉棒の熱さがジンジンと伝わってきて、その快感が身体中を駆けめぐる。
「ご褒美だ」
　修一は親指で恵美子のクリトリスをさすってやる。
「ああんっ！」
　恵美子が高く叫んだ。
　無毛の丘越しに繋がっている様子が良く見える。試しに腰を突き上げてみると、小陰唇が引きずられるようにしてアヌスの方へ伸び、腰を引くとアヌスの肉が肉棒にまとわりつきながら出てくる。
「だ、だめ‥‥こ、こわれちゃう‥‥ああっ‥‥」
「痛いか？」
　たしかに苦痛らしきものはある。でも、それすら甘美なものに感じていた恵美子は首を振って答える。
　修一は紙袋の中から手探りでバイブレーターを取り出し、スイッチを最強にして恵美子に差し出した。
「これを自分で入れるんだ。できるな？」
　くねり、回転し、振動するバイブレーターを受け取った恵美子は、覚悟を決めたように蜜壺へあてがう。
「あ、あなた‥‥見て‥‥見ていてくれる‥‥」
「もちろん」
　不安げな表情の恵美子に、修一は答える。
「俺に見せておくれ。淫らなお前は最高にきれいだ」
「あなた」
　恵美子は修一のことを呼びながら蜜壺でバイブレーターを飲み込んだ。
「ああ〜っ！」
　ひときわ高い声で叫ぶ恵美子。
「見ててやるから、いくまで自分で動かせ！」
「あなた！　あなたぁ！」
　修一の命令に従い、バイブレーターが蜜壺を出入りしはじめる。恵美子の手首の動きにあわせて、修一も小さくだが腰を動かす。
「あっ、あっ、あっ‥‥」
　高く、断続的な喘ぎがピアノ部屋に響く。
「も、もうだめ‥‥溶ける‥‥溶けちゃう‥‥あっ‥‥ああんっ！」
　恵美子の身体が硬直した。
　アヌスが恐ろしいくらいの力で締まる。
　修一も限界だった。締めつける力に対抗するように硬度が増し、自分でも信じられないくらい長く放出した。
「あぁ〜んっ！」
　内部に熱くほとばしるものを感じ、恵美子は高く長く叫んだ。
　そして、修一の上に崩れ落ちるように倒れ込む。
　修一がその背中をしっかりと抱きしめる。密着した肌が気持ちよい。余韻の痙攣まで伝わってくるのだ。

　どれくらい余韻に浸っていただろう。恵美子は修一の身体にしがみつきながら言った。
「あなた‥‥もう‥‥行かないで‥‥ずっと、ここにいて‥‥」
「いいのか？　もう、後戻りはできないんだぞ」
　修一が答える。
「いいんだな？」
　駄目押しするように言うと恵美子がコクンとうなずく。
「俺も、もう後戻りはできない。もっと道具を揃えて、思いっきりお前を辱めてやる。思いつく限りだ‥‥」
　修一は、どんな責めを考えているのだろう。きっと、また思いもつかぬ事をしてくれるに違いない。繋がれたり、縛られたりして辱められている自分を想像して、恵美子はふたたび秘肉が熱くなってくるのを感じていた。