| 第１２話 カタルシス Ｃのモニタには、今まさに、屹立した怒張を、差し込もうとしているところが映し出されています。大きさはごく普通ですが、先端が松ぼっくりのように膨れています。 オトコというものは、ついつい、こういう場合、自分のモノとの性能を比較せずにはいられないのです。 異形なのも、そうですが、いかにも、経験とテクニックが詰め込まれたような黒い亀頭には、まがまがしいまでの迫力があります。 『こんなモノを入れるのか』 自信もなくはない、私のモノです。しかし、結婚以来、私のモノしか受け入れたことのない妻は、果たして、こんなモノを、そんなに簡単に受け入れてしまうのでしょうか。 もし、入れたら、どうなってしまうのか。 戦慄せざるを得ません。 かといって、相手は初老を迎えた、やせた男です。 こざっぱりこそしていましたが、妻が、こんな見も知らない男とのセックスを受け入れるなんて信じられませんでした。 しかし、妻は、右手でたっちゃんのものをゆっくりとしごきながら、目を閉じていました。すべてを受け入れる表情でした。 安らかな、とも思える表情のまま、男に向かって足を広げきっていたのです。 オンナの恥ずかしい場所を、いえ、オンナの全てを差し出す姿そのものでした。 ふたつの身体が、ゆっくりと重なっていきます。 「敦子ぉ」 私は思わず、名前を呼ばずにいられませんでした。 「あぁ」 妻がぐっとのけぞります。噴きこぼした声には、悦びと一緒に、どこか、悲哀が込められていた気がしますが、それは、私の思い違いでしょうか。 結婚以来、私のモノだけを受け入れてきた妻の美肉が、他のオトコを受け入れた瞬間でした。妻が我が身に受け入れる、３人目のオトコと言うことです。 「ああ、だめ、あん」 さして速い動きとも見えませんが、妻の様子には余裕がありません。甘い声ですが、追い詰められたような、切迫感のある声でした。 男の腰は、妻に差し入れるたびに微妙に角度を変えていました。 「あれ、すっごいの」 モニタを見つめる私に、密着した身体の下から春佳さんが囁きます。甘い吐息に包まれた、悪魔のような誘惑を含んだ声でした。 身体が痺れたように、動けません。 「え？」 「あなたの方が、ここ、ひっかるけど。なんだか、そうね、感じるところを、それも一回ごとに違う部分を、次々に、こすられてるって感じ。あの膨らんだとこが、グッって。こすれちゃう。たまらないのよ」 あの怒張を、わが身に受け入れた時を思い出したのでしょうか。春佳さんの美肉がキュっと締まります。あの異形のものを受け入れるというのは、それほど、すごいものなのでしょうか。 モニタの中で、妻の耳元に寄せた、たっちゃんが何か囁きました。 信じられないという顔で、眼を一瞬見開いて、左右を見回します。 つかの間、確かに妻の目は、こちらを、カメラのほうを向いた気がしました。 『あつこ』 モニタの妻と視線が合わさりました。 その瞬間の妻は、確かに、私の妻である顔をしていました。 「あうぅ」 妻が目を閉じてのけ反ります。 男の腰が、さっきよりも激しく動いていました。 ひょっとしてカメラのことをたっちゃんに聞かされたのかもしれないと思いましたが、もはや、妻はそれどころではないようです。 男の動きに、すべてを呑み込まれ、一匹のメスと化していたのです。 「あん、あ、あ、あうぅ、だめ、あぁ、あん、なんで、こんなに、あん、いい、いいの、感じるぅ」 突然、妻の唇が突き出されます。 妻自身から、キスをせがんでいる仕草に見えました。 『おい、そんなぁ』 信じられないシーンでした。 見ず知らずの初老の男に、夫だけのものであるはずの、あの、しなやかな肉体を差し出すだけでは飽きたらず、キスまでもせがむとは。まるで、肉体だけでなく、心の奥底まで、差し出してしまったかのような仕草です。 唖然として、モニタを見つめていると、私の背中に回した春佳さんの手が、トントンと、動きをせがみます。 「ふふふ。あん！気になるわよね。あん、でも、あんな風になると、相手の全部が欲しくなっちゃうの。あん。いいのよ。あら？ふふ。やっぱりぃ。さっきより、大きくなってる」 イタズラな目つきで、見上げる目は妖艶で、とても年下には見えません。 そう言えば、さっきより、中がきつく感じます。私自身が膨張しているのでしょうか。 妻の顔に被さる、オトコの頭は、何かをむさぼるかのように小刻みに動いています。激しく舌を絡ませているに違いありません。 長い長いキスシーンの間も、オトコの腰は動き続け、妻の細い腕が、オトコの身体のあちこちをまさぐるように動いています。 しなやかな手が、オトコの後頭部に当てられているのは、妻自身が、めいっぱい、キスをむさぼっているということです。 ロマンスグレーの髪に絡む、その妻の指を見ているだけで、なんだか、せつなさでいっぱいになります。たまらずに、腰をカクカクと大きく動かして、春佳さんの嬌声を引き出しながらも、画面から目を離せませんでした。 白い腕が、突然、シワの寄った背中に回されて、ギュッと力が込められると、突然、せっぱ詰まった妻の声が響き渡ります。 「あ、あ、あ、あ、だめ、い、いっちゃぅ、のぉ、あなた、いっちゃう、あなた、イク、イク、イクゥ！」 ホンの十分もたたぬうちに、妻は、私以外のオトコをくわえ込んで、見事にオーガズムに達してしまったのです。 大勢に見られたままのセックスで、見も知らぬオトコに捧げたオーガズムでした。 身体全体を仰け反らせて、ケイレンするようにオトコを抱きしめていました。 妻の背中がアーチを作ったまま硬直しているがわかります。 春佳さんを貫いている怒張がヒクヒクと締め付けられていることにも気がつかないほど、唖然としたまま、妻のオーガズムを見つめていました。 それは長い時間のようにも感じましたが、ひょっとして、数秒のことだった気もします。 「はふぅ〜」 硬直した妻は、空気が漏れ出すように息を吐くと、一気に力が抜けていきます。 ハッと気がつくと、私までもが、息を止めて見守っていたのです。 「奥さん、なかなか見所がある。さすが、この間のレズショーはダテじゃない」 妻は反応する力さえ残されていないのでしょう。上半身だけを起こして妻を見下ろす男の視線に恥じらうように、力なく右腕で目を覆っていました。 「まだまだなんだから。私の時だって…」 私の下で春佳さんが、ばつの悪そうな顔で、ふふっと笑います。 「あら、そんな顔しないで。そのかわり、あなたも、ほら、私だけじゃないのよ、他の人たちの奥さんだって。あなたが望む人と。全員としてもいいし」 男は、一度きに、そんなにたくさんできるものでもありません。妻のことを一瞬だけ忘れて、そんなことを考えた私を正確に見抜いたかのように、春佳さんは、クスリと笑います。 「ううん、何も、一度でなくてもいいのよ。あなたは、会員の奥さん、全員とするの。今日じゃなくても良いし。一度に一人でも、二人でも良いわ。一人を何回呼んでも良いけど、次の会までに、全員と交わるのが条件よ」 「全員と？」 「そうよ。奥さんも、今日は全員とするんだもの」 クスリとイタズラな眼が笑った瞬間、男の声がスピーカーに流れます。 「奥さん、たっぷりと逝かせてあげよう。それからだよ。全員の精液をたっぷりと受け入れるんだ」 私はぎょっとして、あわてて春佳さんを見ます。 「一人だけの約束じゃ…」 「奥さん、受けいれないと思う？」 目を閉じたまま、オンナとして満足した姿をさらけ出している妻に、拒否の色はみじんも見えません。いえ、よろよろと、力の入らぬ両手を、差し出して、シワの入った男性の背中に回した姿は、さらなる官能を、いえ「辱め」そのものを求めているようにも見えました。 妻の口から「いや」という言葉は出てきません。 そのかわり、妻の両手に誘われるかのごとく、ゆっくりと動き始めた男の腰に、すかさず、妻の口から、耳をふさぎたくなるような嬌声が漏れ始めます。 妻は、受け入れてしまったのです。 柔らかな胸を、男の手に揉まれながら、耳をふさぎたくなるような、生臭い嬌声をさらに大きな声で噴きこぼしています。ひょっとして、この後、挿入されるオトコ達を想像しているのでしょうか。 快楽に歪む、目を閉じた妻の顔には、恐れも、嫌悪も、そしてためらいさえも、既に、かけらも見えません。 「敦子……」 「新会員の儀式よ。全員と公平にするために。一番最初は紹介した人がたっぷりと楽しんで、その後は、全員の精液を受け入れるの、ふふ、この役は、本当は、夫がやりたかったのだろうけど、今回は、会長に任せるって。理由は、おわかりよね？」 ちょっと私の顔を伺う表情です。 「彼のは、あなたと会う前に受け入れてたのだもの。敦子さんが、思い切るためには、他の人にたっぷりと逝かされなきゃだめってこと。う〜ん、あの、ね、ホントは言いたくないのよ、でも、言えってあの人が」 「たっちゃんが？」 「そうよ、どうしても言えって。あの、ね、もう、おわかりよね。敦子さん、ああやって、恥ずかしいコトを」 そのとき、ヒクヒクと春佳さんの美肉がケイレンしたのは、不思議です。あるいは、ひょっとすると、春佳さんの中にも、自分と会う前のたっちゃんと、妻の関係に嫉妬があったのかもしれません。 「恥ずかしいコトを、そうよ。見られちゃうととっても感じちゃう女性なのよ。彼が教えてくれたの、恥ずかしいコトをされると感じちゃう女性って、確かにいるの」 一瞬、目を閉じた後、ぽーっと頬を赤らめます。既に身体をつなげているのに、その表情には、これ以上ない羞恥が見えました。 「敦子さん、私と同じだって。ちょっと、ま…」 「？」 「もう！ちょっとだけよ、ほんの、ちょ、ちょっとだけ、だけどぉ」 言葉を切って、大きく息を飲み込んで、私を見上げました。うるうると目が潤んでいます。言いにくい言葉を、思い切って言おうとしているのでしょう。大きく息を吸い込みました。 「マゾよ。マゾが入ってるみたいだって。あぁん、もう、恥ずかしいぃ」 唖然として見つめてしまう、私の視線がまぶしいとでもいうように、両手で顔を覆うと、次の瞬間、私の頭を抱えるようにして、唇がむさぼられていました。 舌を絡めながらうかがう、春佳さんの表情には、うっとりした陶酔と喜悦の入り交じったものが浮かんでいます。 春佳さんの舌が、私の舌に絡みつきながら、何かをせがむように動かされれば、唾液が、トロトロと春佳さんの口の中に流れ込んでしまいます。たっちゃんの妻は、夫の友人の唾液を、コクリ、コクリと飲み干す度に、まるで、身体の奥底に精液を注ぎ込まれたかのように、総身をわななかせるのです。 あるいは、マゾ性を持っているという言葉通りに、たっちゃんに強いられた恥ずかしい告白をすることで、精神的なオーガズムをえているのかもしれません。 それにしても、そんな春佳さんと同じように、妻に、マゾ性があるなんて。 しかし、それを否定できない私がいます。 少し前までは考えることもできないほど恥ずかしい姿を、そして、オンナとしてしてはならないような羞恥の行為を、最近の妻は経験していました。そうやって、辱めが、強いれば強いるほど、そして、それが屈辱的なものであればあるほど、崩れるように深く感じていったのを、他ならぬ私自身が、確かめていたのです。 店先で、見も知らぬ中年男性から、痴漢よろしく、思うがままに辱められながら、みだらな絶頂に達してしまった妻の顔が浮かんでいました。 春佳さんが、背中に爪を立てながら、ヒクン、ヒクンと身体を震わせ、舌を絡めた口から、くぐもっているけれど、妻に負けないほど艶めかしい声を漏らします。 オーガズムの快感を増幅してあげるように、私も腰をゆっくりと動かします。 心地よい、背中の爪の痛みがスッと抜けて、春佳さんの身体が、硬直から、柔らかさを取り戻します。 「はうぅ、はぁ」 声にならない声を漏らした後で、二つ、三つと、深呼吸のような大きな呼吸をしてから開いた瞳は、濡れたように輝いています。 「敦子さん。いっぱい感じると思う。結婚してから、敦子さんは、あなただけ？」 「と、思うけど」 「でも彼。もちろん、あなたと逢う前のことだけど、あの頃。きっと、いろんな人に、敦子さんを見せたと思うわ。授業でも、モデル。うん。そうよ。普通なら、モデルさんを雇うけど、彼に言われて、モデルをしてたの」 「え？順番にって言ってたけど……」 「順番？男の人なら、どうかわからないけど、クラス中の男性に見られるのよ。いくらなんでも、普通ならそんなことするはずない。だけど、自分からモデル役をするって言うなら別。敦子さん、彼にやれって言われて、いっつも、泣いて嫌がったんだって」 「嫌がるのを無理矢理？」 「ううん、泣いて嫌がるから、どうせ、してこないだろうって思うと、自分で申し込んでくるんだって」 「自分で」 「そう。それでね」 一瞬、眼がクルクルとイタズラな表情で動いてから、大きく腰を遣います。応じるように私も、腰を動かします。 「モデルをした日は、すっごく感じやすいんですって。ううん、彼が、さっきのアルバムの写真を撮ったときも、すっごく嫌がるのに、すぐにトロトロって」 あぁ、と身震いしたのは、ひょっとして、敦子のモデル姿を思い浮かべて、春佳さんは我が身に置き換えてしまったのかもしれません。マゾ、と言うだけに、そんな羞恥の光景に、身もだえするほど感じてしまうのでしょう。 もちろん、想像しただけの春佳さんですら、こうなら、妻は…… とっさに、モニタの中の妻を見上げていました。 見るまでもなく、さっきから、悲鳴のような嬌声が、一瞬たりとも止まないのです。くぐもった声になるのは、自らキスをせがみ、オトコの舌をむさぼっている間だけでした。 オトコの腰を挟み込むように、グッと閉じては、ヒクンと、開くのは、何度も、何度も、小さなオーガズムを、立て続けに送り込まれているからでしょう 「じゃあ、敦子の描いたヌードって」 「敦子さんが描いたのなら、それはモデルさんのよ。たぶん。あぁ、敦子さんのヌードなら、写真を見て自分で描いたか…、あうぅ」 また、春佳さんの中を、さざめきのようなオーガズムが駆け抜けていきます。 「は、は、は、あう、あのね、一度だけ」 「？」 「一度だけ、ああん、あ、あ、また、きそうよ、ああう、か、彼も、あう、潜り込んだんですって、ああ！あう、もっとっ」 私の動きにシンクロするように、春佳さんの細い腰がうねうねと左右に動きます。 「潜り込む？」 「あう、そう。ああん、頼み込んで、あう、一緒に描かせてもらったんですって」 「たっちゃんが描いた？」 「そうよぉ。ああ、どんなのかって言うのは、あん、もう、あう、教えて、くれなかったけどぉ、ああ、だめ、来ちゃうぅう！あう！また、いくっ！」 左右に腰をウネウネと蠢かしながら締め付ける春佳さんの美肉を、不思議に、他人のことのように感じていました。 頭の中が白い泡と、点滅する文字で飽和状態だったのです。 聞かなくてもわかります。 あの実家で見た、見るからに挑発的な、あの絵。 やや前屈みで、片足を広げる形で台に乗せ、台に乗せた片膝に両手を当てた、あの絵が、ありありと脳裏に浮かんでいました。なぜ、もっと早く思い出せなかったのか。 あの絵だけにあった「Ｔ」のサインが、目の前で点滅していました。 不思議な色気は、人前で脱ぐだけではなく、それを「恋人」に見られて、密かに感じてしまっている、妻の、羞恥の快感を、見事に描いたからこそ、生み出されていたのです。 妻は、たっちゃんに強制されたとは言え、自分でモデルを志願したと言うことになります。春佳さんの言葉通りなら「泣いて嫌がりながら」申し込んだ。 妻は、何を考えて、モデルをしたのでしょうか。 恋人の命令に従うため？断れなかった？羞恥より、恋人の意に沿う方を選んだ？ しかし、あの、たっちゃんが描いた、あの表情は、何よりも妻自身が強制されたとはいえ、密かな女の悦びを感じていたとしか思えませんでした。 春佳さんが、ゆっくりと回復してくる間に、目の前のモニタの中では、また妻が、悲鳴のような声でオーガズムを告げています。 「いったい、何度やれば……」 オトコのセックスは、妻を徹底的に逝かせようというやり方です。執拗なまでに、人妻に快感を刻み込むようなセックスの前に、妻は、オトコの意のままに快感を絞り出されていました。 年齢を感じさせない、逞しい動きすら見せるようになってきたモニタの中の腰遣いに、しばし唖然とするしかありません。 「大丈夫。最初の人は、たっぷりするけど、後の人は出すだけ。なるべく短時間で、入れるだけって感じね」 「出すだけって、そんな。だって、みんなが…… だろ？」 みんなが妻とヤルんだろう、とは口に出せませんでした。言葉に出しただけで、妻の身体にオトコ達の精液が、ビシャビシャと掛けられていく、そんな気がしたのです。 出すだけ。 オトコ達は、私だけのものであった美肉を好き放題に使って、妻の奥深くに欲望の塊をドロドロと放出するのでしょう。 妻にのしかかかるオトコ達の背中が見えた気がしました。 次々と差し入れられる、違うオトコ達の怒張に妻はどう反応してしまうのか。 たとえ、出すだけと言っても、人数が増えれば、これほど感じすぎている妻がどう反応をしてしまうのか、想像することさえ怖いほどです。 妻は、のたうち回るような快楽の中で、どれだけ多くの男を、今日一日で知ることに、いえ、どれだけたくさんの精液を流し込まれることになるのでしょうか。 恐る恐る聞きたくもないことを聞いていました。 「今日は、何人くらいいるの」 「え？男性がってこと？えぇっと、今日は、みんなが待ってる新会員、って奥さんのことだけど、が来るんだから全員そろってるわ」 「何人？」 「あら、いやだ、そんなに心配？柔らかくなっちゃった。ふふ、大丈夫よ。六人だけだから」 「六人！」 「あ、ごめんなさい。ウチの人を入れると七人ね」 スピーカーからは、また、妻の絶叫が聞こえます。また、達したのでしょう。 「いつまで続ける気だ」 つぶやきは、さっきより、大きな声になっていました。いくぶん、剣呑な色を帯びていたかもしれません。 「あ、ヤキモチぃ、ふふ、そうよね、心配よね」 黙って、首を縦に振っていました。 「大丈夫よぉ、あの人ね、一回出しちゃうと、二度目ができなくなっちゃうから、ちょっとしつこいだけだもの。う〜ん、でも、敦子さん、キレイだし。失神するまで、ヤられつちゃうかも」 ちっとも、大丈夫なんかじゃありません。春佳さんが、サラリと物騒なことを言います。 「さっき、失神したじゃないか」 思わず語気を強めます。 「ううん。あんなんじゃないの」 ツッと目を閉じて、ビクッと肩をすくめます。 「そんなに？」 コクリと頷いた瞬間、春佳さんのやわらかな肉ヒダが、ヒクンと強く収縮を見せました。 力を失った私のものが、つるりと吐き出されてしまいます。 無言で、春佳さんの両脚をカエルをひっくり返した時のような角度に思いっきり開いてから、柔らかいままの私を、無理矢理押し込みました。 ぬめり切った柔肉に、するりと滑る込みます。 春佳さんは、そんな私を優しげな眼で見守って、したいようにさせてくれます。私のものが飛び出さないようにするためでしょう。その広げた脚を、私の腰の後ろに回して、腰ごと抱えるようにしてくれます。 「どうかなっちゃうのよぉ。あの瞬間」 甘えた声は、私にでしょうか。それとも、そのときの記憶が、春佳さんをそうさせたのでしょうか。 囁くような言葉で、恐ろしいことを言いながら、愛しげに、私の胸元を這い回る、柔らかい手は、不思議な安心感を与えてくれました。しかし、春佳さんが、どうかなっちゃうという相手と、今、むさぼるようなセックスを、妻はこの瞬間もしているのです。 ブルッと震えるようにしながら、一度閉じ、再び、そっと開いた眼は、潤んでいました。 「まわりから見られてるでしょ。視線が、身体に突き刺さっちゃうんだからぁ。一度逝くと、そこから引き返せなくなっちゃうのよ。もう、脳の中が沸騰しちゃってるみたいになって。波がね。ずーんと押し寄せて、その後、波なんかじゃなくて、もう、ずっと、嵐の中に巻き込まれてるお船みたいに」 はぁ〜と、ため息を一つ付いてから、ゆっくりと、私の頭を引き寄せます。 「気持ちいいって言うより、頭の中で、白い電気がずっと、スパークし続けちゃって。いつ終わるのかも、どのくらい続いているのかもわからなくなっちゃうの」 引き寄せた私に、唇を突き出します。寄せた唇に、舌を差し出してから、舌をねぶるように求めてくるのは、あの男とのセックスを思いだしているせいでしょうか。 たっぷりと、私の舌に口中を犯されるかのようなキスをした後で、目を閉じたまま、春佳さんは、独り言のように、言葉が出ていました。 「あんな風に、そのまま何度もされたら。あぁ、もう、他に全部いらないから、このオ○ン○ンだけほしいって感じになっちゃって。もう、狂っちゃうのよ」 また、プルッと震えます。 「あの時は、自分じゃなくなっちゃって。奴隷にしてっ、毎日オ○ン○してって、え、うん、もちろん、最初は確かに、言わされたんだけど、最後の方は本気で叫んじゃったんだもの」 「え？春佳さんが？」 「そう。もう、何もわからなくなっちゃてたのよね。はじめは、夫に申し訳ないって一生懸命我慢しようとしたのに。うん、感じちゃいけないって思ったのよ。ホント。でも、吹き飛んじゃったの」 挑発的な眼で、私を見上げました。 「彼のことも、全然思い出せなくなってた。後で、そのビデオを見せられて、うん、恥ずかしかったんだけど、それどころじゃないわ。あんなことを言ってるって、うちの人、泣きながら私に入ってきたのよ」 「泣きながら…」 「でも、その時に分かった。ああ、この人、もう私だけ見てくれるって」 あのたっちゃんが、という思いと、もし、妻がそんなことを叫んだら、私自身、どうなってしまうのかと不安が募ります。 本来なら、春佳さんの告白に、男が萎えてしまいそうなものです。 それなのに、複雑に動く美肉に包まれた私のモノは、なぜか、コチコチに、力強くなってしまいました。柔らかかったはずの怒張が、あっという間に、春佳さんのびっしりと包み込む美肉の圧力をはねのけるかのように、硬く、大きくなっていたのです。 柔らかな時には、感じられなかった、美肉の微妙なうねりも、ヒダヒダも、まるで、硬い怒張を大歓迎しているように感じ取れました。 ひょっとして、手の中の、柔らかで、それでいて張りのある乳房が男を安心させるのでしょうか。いえ、今、身体をつなげている人妻が、それほど溺れたセックスをした相手が、今、この瞬間、妻を貫いている。 その事実が、なぜか、私をこんなにしてしまったに違いありません。 それにしても、これほど、大きく、硬くなってしまうなんて。 「あら、やっぱりぃ。大きくなってる。想像しちゃった？」 私が黙って頷くと、ちょっとはにかんだような笑みを、唇の端に浮かべてから、今度は、顔全体で、得意そうな笑顔を見せます。 「黙って見ているだけの方が良かったかしら？」 横で、妻の痴態だけを見ている。 そんなシーンを浮かべてみると、とてもではありませんが、耐えられそうにありません。妻の悲鳴のような淫声を、浴びるように聞かされていても、こうやって、柔らかな肉体に包まれているからこそ、耐えられる気がしたのです。 「ムリ、だと思う」 正直に答えるしかありません。第一、この瞬間も、妻より、少し硬い春佳さんの乳房を握りながらでは、ウソをつくことなど不可能です。 「そうよぉ。奥さんが、こうされている瞬間は、別の女性に入ってないと、男の人って、許せなくなっちゃうんでしょ？」 言っている意味が分かりました。 たしかに、この瞬間、黙って見ているだけなら、暴れ出したくなるに決まっています。 今でさえ、夫の私が見たこともないほど、矢継ぎ早に妻を逝かせ続けているあの男を、押しのけ、私を入れてしまいたくなるくらいです。 「ただね、奥さんは、あん、あぁ、すっごい。あう、あん、ひっかかるぅ」 律動を開始していました。硬く張り出したカリが、春佳さんのきつい締め付けを掻き分ける感触がしっかりと伝わります。 「あう、あう、い、いく、またぁ、あう、もう、あうう、あう、許してぇ、あう！、あう、い、いく、また、い、いくぅ〜」 かすれ気味になった妻の声が、再びの、大きなオーガズムを告げていました。 「あうう、あう、いい、あう、すごい！すごいわ！あう！」 妻の達する声がスピーカーから響き渡る中で、私もまた、親友の妻の口から、淫声を絞り出すことに夢中になっていました。 |
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| 2008.3.12掲載 |
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