［３］ホテル

　ぼくは美術館のロビーにぽつねんと座って妻を待っていた。なま暖かい初夏の夜風が開け放たれた庭から吹いてくる。妻はぼくの前に出ることをはばかって迷っているのか、再会した恋人との別れを惜しんでいるのか、なかなか現れそうもなかった。さっきまで妻が犯される有様をあまり長い時間覗いたので、勃起しっぱなしだった股間に言いようのない疲労感があり、陰茎に軽い痛みが残っていた。みじめだった。いいようもなく痛ましく、悩ましい夜だった。
　駐車場にはぼくら夫婦をホテルに送ってくれる車も待機していた。
　運転台にはあの男、妻をポーズ中に犯したモデルが、この後も続く閨房の饗宴の美食を期待して、待ちかねているだろう。ぼくが頼んでホテルまで送ってもらうことにしたのだ。妻のために気をきかした、というと体裁がいいが、むしろぼくの面前で男に妻を犯させて、妻に弁解の余地を与えず復讐したいという計画だった。
　アトリエの妻と先生は何をしているのか。さっきの痴態がなまなましく目の前によみがえってくる。この期に及んで名残を惜しんでいるのか。それにしても遅すぎないか。
　ぼくは、何度も時計を見た。
　と、アトリエからの渡り廊下の方からバタバタ大勢がやってくる気配がした。見ると担架に妻が横になっていた。傍らには依田夫人がつきそって、男性の館員が２人で担架を運んできたのだ。
　夫人はひきつった表情で多くを語らなかったが、妻は酒を飲み過ぎてアトリエで倒れたので寝かせていたが、様子も落ち着いたので連れてきたということだった。依田は気分が悪くて引きこもったのであしからずという、ずいぶんそっけない挨拶だった。
　妻は意識はあったが酒のにおいをぷんぷんさせて、まだもうろうとした状態だった。夫人があまりあわてた様子もないので、大丈夫なんだろうと考えて、礼を言って妻を車に運んでもらい、ホテルへ向かった。
　車が人気のない山道を下りはじめた時、ハンドルを握って前方の闇を見つめたままの例のモデルの男がぽつりと言った。
「薬のせいです。奥さんは・・・」
　そういって、長い沈黙が続いた。ぼくのなかでまた疑惑がむくむくと頭をもたげ、はっきりさせたいことが次々にわいてきた。
　見ると、後部座席で 妻はいびきをかいている。ぼくは口が重い男から、根ほり葉ほり聞き出すしかなかった。
　それからホテルまでの道々、ぽつりぽつり、彼は恐るべき事実を明かしてくれた。
　依田が、アトリエの仕事の後は、決まって嫌がる妻に酒を強要し、その酒に媚薬を入れて、妻をニンフォマニアにして性の饗宴に駆り立てるのだという。依田が狂態の限りを尽くしひとり妻をほしいままにするらしい。学生時代のその習慣がきょうまた繰り返されたのだろうか。
　最後に男は、昔、妻はこの乱交のために父親の分からない子を妊娠し、堕胎させられた事実を明かした。ぼくの怒りは爆発した。
　あまりの驚きでぼくの息が荒くなると、男は黙ってしまった。
「で、君は陽子とはどういう関係だったんだ。」
「・・・・・」
「その子の父親はまさかお前ではないんだろうね」
「・・・・・」
「畜生、依田の奴め、殺してしまいたい！」
「・・・・」
「よりによって、オレを待たせておいて、こんなことをするなんて！」
　ぼくは恥を忘れてわめき、うめいた。
　と、この時、男はハンドルに伏せるようにしていた顔を起こしてちらとぼくの方を見て、正面に向き直ると、一大決心をしたというように口を開いた。
「あの、あなたも、仲間だと先生は感づいたんです」
「・・・・・」
　ぼくは、男の言葉の意味が全く理解できなたった。
「つまり、その、あなたは、奥様が他の男に犯されることを喜ぶタイプだと・・・」
　ぼくは全身の血の気が引き、泡立つのを感じた。そしてからだ中に強烈な衝撃波が広がった。固まったからだを真空に投げ出されたような時間が流れた。その間ぼくはかろうじて呼吸を保ちながら、一生懸命男の言葉の意味を探っていた。
「失礼なことを言いました。取り消します。」
「でも、先生はきょうも先生の奥様をぼくに・・・。それと、きょうあなたが隠し部屋から覗いていたことも、先生はご存知でしたし・・・、先生と陽子さんのセックスごらんになった貴方が、このあとホテルで陽子さんを愛してさしあげることで、すべては帳尻が合うとお考えなんです。」
　ぼくの思考は氷りついてしまった。
　市街地に入って、いくつかの賑やかな交差点や信号を過ぎて、だんだんわれをとりもどしてきたぼくは、ヘッドライトの向こうに出口が見えたような気がして、座席に沈んでいた体を立て直した。
　そして、車が流れるようにホテルの明るい車寄せに着けられたとき、ぼくのなかで音をたててスイッチが切り替わった。
　そうなんだ。依田のいう通りだ。男の観察は当たりだ。ぼくは、妻が奴らとのセックスで悦ぶ姿にたしかに勃起したのだ。心のどっかで、密かに期待していたことが起こっただけではないか。あとは、陽子とうまく決着をつければいいだけなんだ。

　異様に熟睡を続ける妻の柔らかなからだを、あの男が背負い、ぼくが先導してホテルの部屋に入った。
　入り口で妻を背中に受け取り、ベッドへ運んだ。着衣を脱がそうと思ったが、そばに男がいるのでためらった。
「ぼくはちょっとはずしましょうか」
　男は気をきかせて言った。
　とっさにぼくは、このままゲームを始めようと思った。
「いいですよ出なくても、それより脱がせるの手伝ってください」
　いいんですか、という表情を一応見せてから、男は手慣れた様子で妻のスーツを脱がせはじめた。
　ぼくも負けずにスカートにかかった。
　陽子の白い、引き締まった、むっちりしたからだが目の前で他の男の目に露出されることに、味わったことのない興奮があった。
　ぼくがパンティーストッキングを脱がせている間に、彼はブラジャーに手を掛け、
「どうしましょう」
　と聞いた。
「脱がせてください」
　ぼくは押し殺した声で冷静を装って答えた・
　かれは、妻の半身を起こして背中のホックをはずした。
　ぽろりとブラジャーが落ち、形のいい上向きの乳房がこぼれた。
　かれの目があやしく光ったのを見逃さなかった。
「きれいでしょう」
　ぼくは挑発した。
「ええ、本当に」
　かれは受け流した。
　半透明のピンク色の乳首は、２センチくらいの茶褐色の乳うんの真ん中にうずくまってまだ眠っていた。しかし、その艶のあるピンクのふっくらした乳首が、乳うんから立ち上がって勃起した時の美しさを思うと、夫のぼくでも生唾がでるくらいだ。
「乳首も眠ってますね」
　ぼくは彼女の寝息に合わせて上下する可愛い乳首を見ながら言った。
　かれは今度はまともにぼくを見て、
「美しいですね」
　いいながら、そっと陽子の半身を元の位置に戻して寝かせた。
　そのときぼくの中から彼への敵愾心が消えた。
「いいですよ、どうぞ」
「え？」
「乳首です。」
「ああ、ええ、では・・」
　ぼくの目顔を受けて彼は、陽子の胸に顔を寄せた。
　乳首にそっと唇をふれ、乾いた唇でくわえたり、つつついたり、遠慮がちに愛擦を続けた。
　彼女が、はーっと深い呼吸をして、身じろぎした。意識が覚めかかったのだろうか。
　彼は、ちょっと顔をあげて様子をうかがってから、今度は、口で乳首を濡らしてみて、唇の中に深くくわえ、静に出し入れをはじめた。
　それを息を殺して見守るぼくの股間に、甘美な情感が漂ってきた。
　男の唾液で濡れた乳首が唇からこぼれた。かれはそれをくわえなおして、吸い付けた。はじめは軽く、だんだん強く、そして大胆に音を立てて。と、乳首がくちからこぼれながら、にょきにょきと固くなり、勃起した。
　妻はまた一段眠りが浅くなったのか、はーっと息をはいてみじろぎしたが目は覚めそうになかった。
　ぼくのいたずら心はエスカレートした。
　妻の汗ばんだショーツを手早く脱がせると、両膝を広げて立たたせ、彼を手招きした。かれは、今度はすぐのみこんで、ぼくと入れ替わって妻の足下に立ち、無遠慮に妻の白い太股の間に顔を入れた。陰毛を鼻でかきわけながら、彼は陰唇に軽いキスをくりかえしている。それを見てぼくの股間に甘美な感覚が画然と立ち上がった。
　ぼくは、男の耳元に口を寄せて囁いた。
「陽子が目を覚ましても、かまわず続けてくだい。彼女はピルを使っていますから、そのままどうぞ。」
　彼はびっくりして目をみはった。自分でも驚くほどすらすら言葉がとびだした。しかし決して心にないことを言ったわけではなかった。言ってから一層股間が切なくなった。そうだ、ぼくが長い間妄想を繰り返した、妻の陰裂に他の男の精液が流れ出る光景が、もうすぐ現実になる。そう気がつくと武者震いのような甘美な震えが背中を襲った。
「ぼくは、衝立の向こうで待機します。頃合いを見て妻とは話しをつけますから、そのあと、例のお願いの件をよろしく。」
　一語一語噛みしめるようにやっとの思いで言い終わると、歯の根が合わないのを隠そうと口を結んだ。もう股間はびしょびしょだった。ぼくは急に力が抜け、よたよたと部屋の隅に身を寄せ、衝立の陰のソファに身を沈め目をつぶった。
　部屋には男が陽子の陰部のひだを吸い立てる淫靡な音がびちゃびたと響きはじめ、彼のはげしい息使いとベッドのきしむ音が衝立の向こうの気配を伝えていた。
　どれくらい時間がたったろうか。
「あっ」陽子の声がした。
　覗くと男の顔を膝で挟み込んで、妻がのけぞっていた。目が覚めたのだ。
「イヤッ」
　鋭く拒絶した陽子は、男をけ飛ばそうとはげしく足をうごかしていたが、足がもつれて蹴ることができなかった。男はそれを見て、すぐ気をとりなおして膝を押し広げて陽子にのしかかっていった。男は顔をそむけた陽子の腕をねじ上げて自由を奪い、うなじから脇の下へ、軽いキスをくりかえしていた。彼女の好む愛撫だ。男はなおも、勝手知ったコースをたどるように、髪の毛の中から耳を口でくわえだし、息を吹きかけ、何か陽子に囁きかけていた。
　こうして、はげしいもみあいはすぐけりがついた。
　陽子は、まだ体調が回復していないのか、あきらめて顔をそむけ、虚脱したようにからだを投げ出していた。男は、おとなしくなった陽子のからだを抱えるようになおしつこく愛撫を続ける。下腹部をなめていた舌がへそから横腹、乳房と、白い皮膚に唾液をなめくじのようにひからせて、はいっまわっていた。陽子の胸が次第に大きく上下し、切迫した自分の感情をもてあましはじめたようだった。
　妻の投げ出され大股開きの太股が小刻みに震える切なそうな動きを見ながら、ぼくは息が止まるほど興奮していた。
　しかし、獲物を追い込んだ男が妻の両足を押さえていざコトに臨もうとすると、陽子は縛られた足の代わりに腰を振り、必死で抵抗を続けた。男の２０センチはくだらない太く固い陰茎はむなしく空を切り、分泌液で濡れて光る亀頭が、陽子の白い股の上で、透明な液をまき散らしてヒクヒク上下した。
　そのとき、バタンという隣室のドアの開く音がして、部屋に入った者があった。仮面をつけた大柄な男だ。上半身裸、黒のスパッツ姿で、ヒョットコの面をつけて、手にはロープを持ち、陽子に背後から近づくとあっという間にからだにロープをかけ、彼女の股間をうかがっていた男を蹴飛ばして追い払い、彼女の足をマングリガエシのポーズでしばりあげてしまった。彼女は股を膝で広げてしゃがんだ姿勢のまま仰向けになり、股間を大きく露出させられ、口には猿ぐつわをかけられている。
　ヒョットコ面は、陽子の股間に顔を近づけると、ヒョットコの面のとがった口でヴァギナをつついたり突っ込んだりのいたずらをはじめた。妻は逃れようのない状態で、股間を露出したポーズでされるにまかせながら顔をそむけた。
　ヒョットコは、スパッツのスリットから黒光りするイチモツを引き出した。仰向けの妻は、顔の上で両膝を縛られ股間を割られ、膝を広げて大きく露出させられ濡れてべたべたのヴァギナに、ヒョットコの亀頭がこすりつけられ糸をひいた。彼女の淫液で濡れた亀頭は陰裂のひだの中をくぐり、陰唇の内側を上までなぞり、また外陰唇に沿って下へとなぞる。繰り返し繰り返し、亀頭が陰唇を濡らして上下するにつれ、陽子の呼吸があらあらしくなってきた。
「ウーン」
　また妻のよがり声がした。
　よくみるとヒョットコはクリトリスを亀頭でもみはじめていた。陽子の割れ目にはげしくあふれ出すものがあり、股間はおびただしく濡れはじめた。亀頭がまたクリトリスをつついた。
「あん」
　妻のよがり声だ。
　亀頭はクリをすりぬけ、下腹部の陰毛をさまよった。
　妻の割れ目はヒョットコの陰茎をくわえる格好だ。
「アーーン」
　甘えた調子は妻が愛撫をせがむ声だ。見ると腰がヒョットコの陰茎を追っている。
　ヒョットコはさっと妻から離れ、ベッドの端で様子を見ていた男を手招きした。
　ヒョットコに何かを言われた男は、ショーツを脱いで、びんびんに起立した巨根を振りかざして、妻の露出したスリットにせまり、一気に突き入れた。
「ハーン」
　妻は息を詰めた。
　さっきヒョットコ面の陰茎でじらされた割れ目に、男の生の陰茎がずぶずぶと、あっけなく埋め込まれた。
「あー、あ−」
　妻がやっと声を上げた。あまりの手早さに、妻は根本まで挿入されてからまた息を詰めた。
　大きなストロークで、男の送抽が始まった。男の太く固いイチモツが、ピッチリ食い込んだような彼女の陰裂は、おいしい好物を固くくわえて離さない、いつもの好色でどん欲で愛すべき陽子のオ○ンコになっていた。やがて膣の奥の方で感じてるに違いない切ない快感のあえぎが始まった。はー、はーと陽子の呼吸が激しくなってきた。彼女のはじらいとは裏腹に、淫靡で大胆な変貌がはじまった。
　ピチャピチャ音が出始めた。彼女の狭まった膣内できつかった亀頭の出し入れが、いくぶんなめらかになっているはずだ。陽子は紅潮した顔をそむけて、動かせない体位にせいいっぱいの抵抗をしめすものの、快感に身を震わせていることは隠しようがなかった。
　ヒョットコがぼくを見た。自分の股間を指さして見ろというしぐさだ。おれの番をよくみろということか。
　男が切迫した表情で陰茎を陰裂に押し込み、ピッチをあげようとするのを制して、ヒョットコは、男を陰部を妻に密着させたまま仰向けに寝かせ、妻も陰部を繋いだまま男に跨る姿勢で体を起こし、男に覆い被さるように転がされた。すかさず、男に跨った妻の大きく広げた尻の谷間にヒョットコがのしかかり、指に唾液をつけるとアナルを濡らし、勃起したイチモツをぬるりとアナルに挿入した。亀頭まで一気に入れると、妻は「うっ」とくぐもった声でこらえていたが、「うーん」と一声、尻を繰り出してヒョットコを迎えた。その仕草を見て、ぼくは心臓がつぶれるほど驚いた。妻はアナルセックスを受け入れていた。知らなかった。妻は調教済みだった。依田だ、依田の調教だ。ヒョットコは依田だ。
　どちらかといえば標準サイズの小振りの依田の陰茎が、赤みを帯びた表面に静脈を浮き上がらせて精一杯勃起して、妻のツルリとした形の良い白い大理石のような尻の上で、小刻みに上下に動いていた。亀頭部分でアナルの内部を広げると、さらにするりと音もなく深く挿入がはじまり、みるみる陰茎の根本まで１０センチほどがう埋め込まれていた。
　妻は息を詰めてうかがっていたが、はーっと大きく息をはくと、用心深く臀部を揺らしながら、まるで甘い飴ん棒を大事にしゃぶるように、ヒョットコのじっと動かない陰茎を中心に尻を揺らしはじめた。ゆらしながら、「あ、いーー！」「いい気持ち」という声がうめくように漏れ、ヒョットコが妻の痛みを配慮して動かさない陰茎を、妻のアナルがまるでいたわるようにしゃぶってやる気配なのだ。
　と、陽子の股間にもぐっていた男は、ヴァギナの中でじっと待機していた巨根が彼女の動きではずれそうになるのを防ごうと、彼女の動きを追って腰を上下させはじめる。と、男は、彼女の膣の突き当たりの隔壁の向こうに、柔らかく突き出す、ヒョットコの亀頭を感じた。ヌルヌル、ぬたぬたと、おたがいに壁越しのつつき合いが続く。その動きに合わせて「はッ、はッ」と切迫する妻。彼女の腰がぐっと緊張する。きっと膣が狭まり引き締まったにちがいない。
　下の男が腰を突き上げて突き入れた陰茎が膣ににぎりつぶされそうな瞬間に耐える。ヒョットコが狭く固いアナルから押しだされそうな陰茎を押し込むように耐えて踏ん張る。少しの動きにも快感の火花が散る。透明な液体がびゅっとあふれ出る瞬間。「あーー、いーー」妻が叫ぶ。「イクー、ー、−、−」
　妻をはさんで、上下のダイナミックで淫靡な動きが急をつげていた。
　長い放心の時間が過ぎて、まずヒョットコが妻の尻を離れた。白磁のような妻の尻の谷間から、白濁があふれていた。大の字になったヒョットコに並んで、妻が寝返って仰向けになった。
　男が追いかけるように覆い被さって妻の乳首を唇でまさぐっていた。
　妻の割れ目には、止めどなく流れる透明な液体に混じって、奥深く注入されていた男の白濁が流れだし、精液の強烈な臭いっを放っていた。どろり、どろりと、一向に止まらない大量の精液が流出し、妻の白い股と黒々と繁った下腹部の陰毛を汚し続けた。
　それを見てぼくは歓喜した。勃起した。ぼくは切迫した亀頭を妻の汚れたスリットにあてがい、吹き出す白濁を浴びせ続けた。
　白濁が、白濁に加わり、あふれ、流れ、汚した。
　ぼくは、妻の乳房を吸っていた男を押しのけ、妻を改めて抱きしめ、口づけした。
「ゆるして」
　妻はぼくをのぞき込んで言った。
「ごめん」
　ぼくも、それ以上の言葉がみつからなかった。
「入れて」
　妻は、二人の男を見返しながら、ぼくに言った。
　依田拓がぼくの肩越しに妻に口づけした。男は、目で妻に会釈した。そして彼らは部屋を出ていった。
　ぼくは、今までになく固く太く長く、立ち直ったモノを握りしめて、しずしずと彼女に中に沈めた。彼女もしっかり握り返してきた。
　ぼくは、経験したことのない快感で震えた。
　彼女も奥歯を噛みしめて震えていた。
　白い足がぼくの腰にまきつき、ぼくらは深く媾合した。そして彼女は長い至福の時間へ舞い上がった。
「イクーヨー、イー、イー」
　ぼくは、彼女の時間を守りきり、動かないで耐えたまま、快感の終着点を迎えた。
　こうしてぼくら夫婦とあの男たちとの激しく淫靡な日々が始まった。
　ヒョットコと男は今度はどんなことを妻にしかけるのだろうか。
　ぼくは、妻のからだが彼らのセックスで悦び輝くのをまた見たいと思っている。そう思うだけで、陽子の美しく整った下腹部の黒々と輝く陰毛の中のスリットに、おびただしい白濁が流れ、他の男の精液でまみれるイメージが目に浮かんでくるのだった。　　（完）