５．絢子

「嫌です！、そんなこと・・絶対イヤ。」
　絢子は泣きそうな顔で、一恵の提案を突っ揆ねた。
「いいの？、あなた、捕まるわよ。私が訴えたら。」
　一恵は勝ち誇ったような声で、絢子にそう告げる。
「・・・」驚いたような表情で言葉を無くした絢子は、青白くなった顔で一恵の顔を見詰める。
「小学生の子供を弄んだんだから、タダで済む訳がないわよね。どうするの？・・刑務所に行く？、それとも協力する？」
　意地悪く歪んだ一恵の表情を見て、完全に絶望した絢子は、項垂れて涙を流し始めた。
「いいのね。じゃあ、今度の土曜日にお店に来て頂戴。」
　一恵の有無を言わせぬ低くドスの利いた声に、項垂れたままの絢子は、力無く床に崩れ落ちた。

　次の土曜日の午前中、準備中の看板を出した居酒屋の２階。
　カーテンを閉め切った室内は、外の蒸し暑さが嘘のように、エアコンが効いていた。
「うれしいな。絢子ちゃんが相手をしてくれるなんて。」
　醜く腹のつき出た中年の男が、ネクタイを緩めながらそう呟く。
　ここに来るまでにかいたのだろう、男のシャツの腋の下の部分には、臭そうな汗のシミが大きく拡がっていた。
「実は、エプロン姿の絢子ちゃんに、ずっと憧れてたんだよ。ウェストが細いなぁ、て。」
　薄くなった髪をオールバックにした、同年輩の別の男は、ズボンのベルトを緩めながら、そう言って笑った。
　既に素っ裸になっている、もう一人の背の小さな男は、絢子の足元に座り、無言のまま、ギラギラした視線を彼女の下半身に向けている。
「年下の男の子としか、付合ったことがないんだって？」
　服を脱ぎ終わった中年太りの男は、ヤニ臭い息を吐きながら、絢子のすぐ右隣に座った。
　震えながら、布団の上に座っていた絢子は、男の醜いペニスが、彼の腹の下からむくむくとせり上がってくるのを見て、思わず顔を逆向きに背けた。
　すると今度は、絢子の左隣に座ったハゲの男が、もじゃもじゃの胸毛を撫でながら、彼女の顔を下から覗き込んでくる。
「絢子ちゃんのイメージとぴったりだ。明るくて爽やか・・」
　男はニヤニヤと笑いながら、毛むくじゃらの手で、絢子の左の二の腕をそっと撫でた。
（「ひっ！・・」）
　身の毛もよだつ感触に、思わず飛び上がった絢子の視線に、足元に座る小男の姿が飛び込んでくる。
　彼は、脂ぎった手で自らのどす黒いペニスを扱きながら、今まさに、彼女の脚に手を伸ばそうとしていた。
「！・・・やめて・・お願い・・」
　反射的に脚を引っ込めた絢子は、両手両脚を抱え込んだ姿勢で丸くなり、ブルブルと震え始めた。
　その色白の素肌には、すでに鳥肌が立っている。
「どうしたの？」「初めてだから、恐いのかな？」
　口々にそう言いながら、左右の男は更に距離を詰め、絢子のからだに手を回しながら、彼女の髪の匂いを嗅いだり、耳にキスをしたりし始める。
「あ、いゃ・・」
　とうとう我慢の限界に達した絢子は、小さな悲鳴を上げ、恐いものから逃れるように、顔を両手で被ってしまった。
（「こんなの嘘よ・・絶対嘘・・」）
「ねえ、絢子ちゃん・・」
　絢子の右側に寄り添った男が、優しい声で囁きながら、彼女の手首をゆっくりと握る。
「どんな事情があるのか知らないけど、おかみさんの話に納得したんだろう？」
　優しかった男の眼差しが、急に険しくなる。
「それなら、もっと協力しなくっちゃ。」
　男は、絢子の手を彼女の顔から無理やり引き剥すと、素早く彼女の唇を奪った。
「あっ・・んっ！、ん゛ッむん〜〜ッ・・」
　悍ましさから、一杯に見開いた目を白黒させながら、必死にもがく絢子。
　だが、その抵抗も徐々に力を失ってゆき、やがて諦めたようにぐったりと、彼女の全身から力が抜けた。
　それと同時に、見開いたままの絢子の眼から、大粒の涙が溢れ落ちる。
　これを見た男たちは、それぞれ、にやけた笑みを浮かべながら、お互いに目配せをして頷き合った。
　右側の男は、そのまま彼女の口の中の感触を愉しみながら、絢子の手に、勃起した自分のペニスを握らせる。
　その間に左側の男は、彼女の上着をゆっくりと捲り上げていた。
　同時に、絢子の足元に躙り寄った小男は、彼女のスカートを脱がそうとしている。
　やがて、無表情になった絢子が、男たちの手で布団の上に仰向けに寝かされた。
　清楚な白のサマーニットと、デニムのミニスカートを脱がされた絢子の下着姿は、男たちが思わず息を呑むほどに、完璧だった。
「なんて綺麗なんだ・・」「ほんとだ・・まるで彫刻だな。」
　今にも涎を垂らしそうな表情の男たちは、まるで美術品に触れるような手つきで、すべすべの絢子の素肌に手を這わせる。
「ハァ、ハァ・・」「堪らん・・」
　一瞬の忘我の後、若い女に飢えた獣たちは、一斉に絢子のからだにむしゃぶりついた。
　花柄の可愛い下着を剥ぎ取られた絢子のからだは、ひっくり返され、押し開かれて、じっくりと覗き込まれる。
　さらに、無抵抗な身体の上を、３つの口が這い回り、いやらしく蠢く６本の手が、柔らかい肌を揉み上げ、撫で回しながら弄んだ。
　だが、男たちの濡れた舌で、体中を舐め回されても、絢子はまだ、無表情のままだった。
　やがて、膝上までのニーソックスを穿いたままの絢子の両脚が、男たちの手で左右一杯に押し拡げられ、剥き出しになったその中心に、男の中の一人が顔を埋めようとする。
　薄笑いを浮かべた小男が、絢子の陰唇を指で摘むようにして左右に引き拡げ、その内側に長い舌をゆっくりと差し込むと、彼女はやっと我に返った。
　自分の内部から伝わってくる悍ましい感触に、びっくりしたように下腹部を見下ろし、声をあげようとする。
　階下の一恵の耳にも、絢子のその絶叫に近い悲鳴が聞こえてきた。
「はっ！、あぁ・・いゃあぁ、いや、いや・・やぁあぁッ、止めてぇーーッ！」
「ふふ・・可愛いよ、絢ちゃん。腹が波打ってる。」「気持ちがいいんだろう？・・ほら、腰が浮いてるぜ。」
　デブと禿げの二人が、身動きが出来ないように絢子の手足を押さえつけると、蛇の様な小男の舌が、剥き出しにされた赤い陰核を擦り上げ始める。
「・・やあっ、はぁうっ！・・んっ、ふっうぅ・・はぁ・・あ゛〜〜・・」
　頭では拒否しながらも、勝手に上下する絢子の腰。悶絶するような絢子の呻き声が長く続いた。
　だがその声もすぐに聞こえなくなり、居酒屋はまた元の静かさに包まれる。
　階下でこの様子を窺っていた一恵の口元には、氷のような冷ややかな微笑みが浮かんでいた。
（「いい気味・・」）
　一恵には、美しい女の子の腰が、クネクネと卑猥にくねるのを見た時の男たちの反応が、手に取るようによくわかっていた。
（「うふふ、限りなく続くわよ・・気絶するわね。」）

　それから数時間にわたって、男たちは欲望の限りを尽くした。
　２階からは時々、男たちの囁き声や雄叫び、そして卑猥な笑い声が聞こえてくる。
　その異様な時間の長さは、男たちの凄まじい興奮を表していた。
　全てが終わり、満足そうな顔で階段を降りてきた男に、一恵が声をかける。
「ゆっくりでしたのね。」
「ああ、つい夢中になってね。」照れながら返事をする男。
「よかったわ・・気に入ってもらえて。」
「手間をかけさせて、すまなかったね。」
「いいえ。どうか、また御贔屓に。」
　靴を履く男たちに、一恵が丁寧に頭を下げる。
　３人は軽く片手をあげ、無言のまま彼女に挨拶をすると、そのまま帰って行った。
　その後、一恵が２階に上がってみると、廃人のようになった絢子が、涎を垂らしながら布団の上に転がっていた。
　その腰は、まだヒクヒクと勝手に痙攣している。
　すぐに、刺のある一恵の声が飛ぶ。
「この前の事は忘れてあげる。予定があるの。はやく帰って。」

　絢子が去った後、まだ男たちの精液の匂いが漂う薄暗い部屋の中で、一恵は一人、布団に入っていた。
　寝ているわけではない。
　眼は開かれ、天井を見つめている。
　何かを待っているようだ。
　時間は、午後４時になろうとしていた。
　するとそこに、階段を上がる足音が聞こえてくる。
「和樹なの？」一恵が、扉の向こう側にむかって声をかけた。
「うん・・」扉を開け、和樹が部屋に入ってくる。
「どうしたの？」
「あの・・また、お願い・・」
「また？、昨日したばかりじゃない。・・駄目よ、毎日来たら。」
「だって、忘れられないんだもん。ねえ、お願い。今日はもっとゆっくりするから。」
「もう、しょうがない子ね・・・じゃあ、１回だけよ。」
「うん！」
「まだしたくても、５時になったら帰るのよ。いい？」
「わかった。」
　目を輝かせた和樹が、嬉しそうに服を脱ぎ始める。
「また、口でする？」
　全裸の一恵が、上半身を起こしながら和樹に訊ねる。
　和樹は夢中で頷きながら、急いで母の枕元にしゃがみ込み、股を開いた。
　一恵がゆっくりと息子の股間に顔を埋めると、途端に、和樹の瞳は閉じられて、その口はだらしがなく開かれたままになった。
「アッ、アッ、あぁ〜・・」
　幼い身体が快感に震え始め、無意識のうちにその腰が前後に揺れ続ける。
　その後、短い時間で、和樹のペニスが彼の腹に貼り付いたままになると、一恵は、いつものように敷き布団の上に仰向けに寝て、息子のために掛けぶとんを開いた。
「いいわ・・さあ、いらっしゃい。」
「ふう、ふぅ・・ハァ、ハァ・・」
　大きく息を荒げた和樹が、ふくよかな一恵の身体の上に、その身を重ねると、彼女は両手両脚で包み込むようにして、少年の小さなからだを下から抱きすくめる。
「ハッ、あ、あぁ・・すごぃ・・あ゛・・ん〜・・」
　歓び震える和樹の腰に、下からぴったりと密着した一恵の白い下腹部がうねうねと妖しく蠢く。
　熱く波打つ肉壁で、幼いペニス全体を包み込まれた和樹は、涎を垂らしながら、夢中で腰をくねらせる。
（「さあ、好きなだけ出しなさい・・全部受け止めてあげる。」）
　一恵は、際限無く腰を振り続け、勃てたままのペニスから、何度も熱い精液を噴上げる、愛しい和樹の姿を想像していた。
　それと、そんな息子を抱き締めながら、うっとりと陶酔している自分の姿も。
　頭を反らし、目を瞑った一恵が、自分の上で狂ったように上下する幼い腰の感触に夢中になっていると・・
「アッ・・んッ、出ちゃう・・うぅっ、あっんぁ〜〜ッ！」
　おぼえたての快楽に我を忘れた和樹が、一恵の腕の中で激しく跳ね踊りながら、１度目の絶頂を彼女の奥に流し込み始めた。
「あぁ、熱い・・素敵・・はぁ〜」
　その暖かい感触に酔ったようになった一恵は、思わず、和樹の腰に回した両脚に力をこめて、自分の中の息子の一部を強く絞り立ててしまう。
　和樹は、小さな尻をブルブルと痙攣させながら、いつも通りに母の胸に顔を埋めて、また次の絶頂に向かって昇り始めた。
「ハァ、ハァ・・あぁ・・」「はっうっ・・ん〜・・」
　夕闇が忍び寄り、薄暗くなった居酒屋の２階に、母と子二人の啜り泣くような喘ぎ声が響き合い、部屋中にムッとするような濃い性臭が充満してゆく・・