３

　何だったのだ。一体。美夏の眼前で繰り広げられた行為は、始まったとき同様いきなり終わった。
　画面がプツンと切れたのだ。今はただおぼろげに美夏の顔を灰色のガラス面に映すのみだ。
　夢などではもちろんない。
　その証拠に、その証拠に美夏のパンティーは自らの愛液でぐっしょりと濡れている。乳首も痛いくらい勃起している。
　美夏は画面の中の親友の狂態にすっかり欲情してしまったのだ。
（自分もあんなふうに・・・・・・・？）
　犯されるというのか？それはありえない。
（寿子に何があったかは知らないけど、私はあんなふうに自分からお尻の穴を舐めさせてなんて頼まないわ。）
（・・・でも・・・・なんか・・・おかしいわ・・・・全然おさまらない・・・）
　美夏を刺激する猥褻画像は既に消えている。にもかかわらず美夏の体の火照りは一向におさまりそうにない。
　それどころか先ほどの映像を思い出したり、これから自分に降ってくるであろうおぞましい災厄を想像しただけで子宮の奥から快感がほとばしるようだ。
　美夏は自己の異変に戸惑っていた。
　したがって室内に人の気配があることに気がつかなかった。

「ひぁっ！？」
　いきなりFカップの巨乳を後ろから鷲掴みにされた。椅子に拘束されていなければ美夏は飛び上がっていただろう。とにかく驚いた。
「あなた・・・一体何処から・・・？」
　覆面の男は何も答えない。グニグニと両乳の触り心地を楽しんでいる。
「・・ちょっと！・・・んっ・・・な・・何かこたえなさ・・ぃ・・・」
　語尾のほうはかすれてしまう。それほど胸からの快感が激しかった。
　男はピンクの薄布越しに美夏の乳首を抓む。
「んっ・・・ふっ・・・・・・・・あ・・」
（・・この人・・・あたしの感じる触り方を知ってる・・・・何故？）
　美夏は二本の指で乳首を抓まれながら残りの指と掌で胸全体を練り上げるように揉まれるのが好きだった。
（・・・・でも・・・それにしたって・・・）
　おかしい。感じすぎる。乳房も乳首も美夏の性感帯の１つだが、今全身を包む快感はかつてないものであった。
（・・・まさか・・・薬物・・・？）

「・・・あのときの注射だよ・・・・・・。」
　まるで美夏の心を読んだかのように男が答えた。
（やっぱり！・・・・・ん？・・・えっ？・・・今の声・・・・・？）
　モニター越しではない生の声。美夏は快感で朦朧となりながらも必死に記憶を手繰る。　聞き覚えがある声だ。
　美夏は思わず後ろを振り向く。

「・・・あなた・・もしか・・・・？」
　男は覆面の下から美夏を見つめ返す。両乳を捏ね回していた手をとめ、深くため息をついた。

　男はゆっくり覆面を取る。
「もうちょっと謎の男で通すつもりだったけど・・・・・・、やっぱりおまえはこの触り方が一番好きなんだな。」
　男は不適にニヤリと笑う。
「・・・・・・・・・・・・直人・・・・・」
　鷹山直人。美夏の大学時代の恋人だ。卒業とともに別れたまま４年以上全く会っていなかった。
　確かフリージャーナリストを目指し中東に向かったと聞いていたが。
　変わっていない。精悍に日に焼け顔が痩せた印象を与えるが、腕や胸板は逆に逞しくなっている。何故もっと早く気づかなかったのか。
「直人・・・・・・・あんたなにやってるのよ！・・・・・バカなことしてないで早くこれ解きなさいよ！・・・別にあんたが寿子とどうなろうが・・・・・・どんなことしようが私には関係ないでしょ！？」
　美夏はかなりの剣幕で直人に言う。
　しかし直人は微笑を浮かべたままだ。
「相変わらずだな・・・・・寿子よりもよっぽど手間がかかるだろうけど・・・・まあ・・・・・・・・、」
　再び直人は美夏を後ろから抱き、愛撫を再開する。今度は胸だけでなく左手で大きく弧を書くように上半身を、右手ですっかり濡れそぼっている秘部を弄る。
「こんだけパンツ濡らして、マ○コの入り口パクパク開けてちゃ説得力ないよな。」
「ひっ・・んんんん・・ひ、卑怯よ！！・・・・麻薬なんて・・・」
「・・・・・麻薬じゃないよ・・・漢方みたいなもんさ・・・カシミールで見つけたんだ。向こうじゃ９０歳の爺さん婆さんも使ってるよ・・・害はない・・・まあ普通は飲むんだけどさ。」
　血管注射したことで快感が倍増したというのか。
　しかしそんなことは今の美香には関係ない。問題は全身がまるで秘部になったかのように敏感に感じているということだ。
「依存性もないよ・・・・・でも、鳥の雛のすり込みみたいなもんでさ、この薬を体が初めて受け付けた時の相手、つまり俺だけど、その人間に対して、そのうちションベン漏らすぐらいの快感を得られるようになるぜ・・・」
「いやっ！！やめ・・・・んっ、んんんっ・・・・・あはっ・・・」
　美夏はかつて自分の性感帯を開発した男に再び調教をされようとしていた。
　ブラジャーの上から胸を揉みしだかれ、パンティー越しに人差し指と中指でクリトリスと蜜壷の入り口を巧みに攻められる。
　さらに直人は桜貝のように赤く染まった美夏の耳を啄ばむ。
「こうやって・・・・穴の中まで舐めるのが好きなんだよな・・・・・」
　直人の舌がネチネチと美夏の耳の穴を舐める。
（あっ・・・・いやっ・・・こんなやつに・・・）
　美夏の気持ちとは裏腹に身体は素直に反応する。
　直人は攻撃の重点を下半身に移す。
　水泳で鍛え上げた形のよい太ももを押しのけ、パンティーの脇から両手でクリトリスを嬲り、蜜壷を刺激する。
「ここ・・・か？・・このへんだっけ・・・美夏のGスポット・・・・？」
「ひぐっ！・・・んあああっ」
「・・・ここか。見つけた。」
　直人は無邪気に笑う。笑うと案外幼くも見える。
　さらに右手のピストンを早め、Gスポットを攻める。左手のクリトリスも刺激し続ける。
「あああああああああああああああああああ」
　美夏の全身を激しい快感が駆け抜ける。ラブジュースで椅子の上には染みができていた。
　それまで必死にこらえてきた声を上げ、美夏はエクスタシーに達してしまった。
　それでも直人は手を緩めない。美夏は直人の手で何度も何度もいってしまった。

　ひとしきり両手で美夏を蹂躙し終えると、直人は美夏が息を整えているうちに腰縄を解き美夏を椅子から解放した。
　軽々と美夏を抱き上げベットに運ぶ。つきあっていた頃はよくこのように抱き上げてもらっていた。
　しかし今は直人に憎しみの感情しか持っていない。美夏は必死に逃れようとするが、手足は依然縛られているため上手くいかない。

「さてと・・・準備もできたみたいだからそろそろ入れるぞ。」
「・・・・やめて・・・なんで・・・」
　美夏はかつての恋人を再びベットの上から見上げた。
　形のよい眉をつり上げ直人を睨みつける。先ほど何度もいかされたために全身が軽く汗ばみ、色白の肌は今やピンクに染まっている。少し涙の浮かんだ目からは憎悪と欲情が汲み取れる。
「・・・・・どのみちあの写真があるんだからさ、ここは俺の言うこと聞くしかなくない？」
「・・くっ・・・・」
　そうなのだ。今、目の前の男から逃げ出してもあの写真を回収しなければ意味がない。　身体を受け入れるしかないのか。
「ま・・・、でもさ・・・・・、無理やりっていうのは一番嫌なんだよね。覚えてるだろ？俺の趣向？」
　そうだ。直人はことSEXに関しては絶対に強要しなかった。むしろ積極的にリードするくらいの女性が好みだと漏らしたこともある。美夏は一筋の光明が見えた気がした。
「そうかといってさ・・・目の前にいるこんな美人を見逃す手はないじゃない。しかもこんなに濡れてるし。」
　直人は美夏をみつめながら続ける。
「でさ・・・・・・、どう？前よくやったゲームしない？美夏が勝ったらデジカメも渡すし、解毒剤っていうか、薬を体の外に出すやつやるよ。それがあれば寿子も元に戻るぜ・・・。」
　美夏は悪魔の取引を持ちかけられた。
　直人のいうゲームとはどちらが先に相手をいかせられるかというものだった。美夏は学生時代ふざけ半分で直人とこのゲームをよくやった。
　美夏が負け、ノーパンノーブラのまま講義にだされたこともあった。真昼のマンションのベランダで干した洗濯物に隠れつつSEXをしたこともあった。
　もちろん美夏が勝ち、欲しかった靴を買ってもらったり、直人にレポートを書かせたりしたこともある。勝率は６：４ぐらいだったか。
「どうする？」
（・・・・・結局SEXする以外他に選択肢がないじゃない・・・・でも・・・勝つことができれば・・・そうよ・・・選択肢がないからこそ・・・だめもとで・・・・）
　たとえ美夏が勝っても直人が素直に従うという保障はない。
　しかし美夏は自然と肯定的に考える。もはや脳ではなく脊髄と子宮でこの事態を考えていた。
　なにより眼前の男を受け入れる以外この肉体の疼きを収めることができないことは子宮が理解していた。
「・・・・・・・・・・・やるわ・・・・」
「オッケー。」
　直人は無邪気に笑う。

「じゃあまず１５分ね。先行は美夏にやるよ。格好は？上になる？フェラでもいいけど？」
　直人は美夏の縛めを解きながら尋ねる。
「直人寝っころがって・・・・」
「騎上位ね・・・・・」
　最初の１５分で美夏が直人をいかせれば勝ちだ。美夏の経験上、騎上位での勝率が一番高かったはずだ。
（・・・・たしかこの格好で入れて・・・お尻の穴に力をいれるようにしながら動けば・・・・）
「・・んんんんん・・あっ・・あふっ・・・」
　美夏は思い切って一気に直人の剛直を咥え込んだ。先ほど指によって解された秘肉は肉棒を難なく受け入れる。
「ああああっ・・・・はんっ・・・あんっ・・やんんっ・・・ああ・・・」
　美夏は途端にあられもない声をあげる。
（・・・嘘・・やだ・・・なんでこんなに・・・）
　感じるというのか。今までのSEXとは比較にならないほどの快感が全身を襲う。
「ああんっ・・・ああっ・・ああっ・・いやぁっ・・・んふっ・・・ああっ・・」
（・・・いや・・駄目・・・・ああ・・・なんで・・・・・なんでこんなに・・・）
　美夏は自らの股間から発生する快楽の波にいいように翻弄される。
　直人の胸に置いた両腕はがくがくと震え、力が入らない。
（・・・駄目よ・・私の番なのにこんなに感じさせるなんて・・・なんとか１５分以内に・・・私だけじゃなくて寿子まで・・・）
　そうだ。ここでいかされれば美夏、寿子共に無間地獄に落とされてしまう。
　もっとも寿子は既に落ちているといえるが。
（ああっ・・・でも・・・・）

　必死に声を抑え、汗をたらしながら理性を保とうと試みるかつての恋人を直人は冷ややかに観察していた。
（この様子だとそろそろか・・・まあ、なんにせよ性感帯が前と変わってなかったのが幸いだな・・・結婚してけっこう経つけど旦那もアホだな・・・こいつの身体は開発すればするほど味が出てくるのに・・・・）
　パンッ、パンッ、パンッという肉同士のぶつかり合う音と美夏がかすかに鼻から漏らす唸り声が室内に響く。
　しかしその音が突然止んだ。美夏は眉間に皺をよせ、まるで便意を堪えるかのように微動だにしない。背は軽く反らせ瞼を固く閉じている。
　しかし突如堤が決壊するかのように、
「んんんんっ・・・あぐっ・・っっっっく・・・」
　と口の端から溜息を漏らし身体をカクカクと揺らす。直人の胸に当てた手は爪を立てていた。
（・・いったな・・・）
　直人は途端に上半身を起こし美夏の身体を両手で引き寄せる。
「よし、美夏、この勝負俺の勝ちだな・・・・好きにやらせてもらうぜ・・・」
　直人は両手で美夏の尻たぶを鷲掴みにし激しく腰を使いはじめる。
「いやあああんっ・・」
　美夏は歓声とも拒絶ともつかない声で応える。

「ああんっ、ああんっ、あんっ、あんっ、あんっ、ああ、あう・・・」
　直人は美夏の尻と腰を抱き腰を使う。いつのまにか美夏も直人の肩に腕をまわし背中に爪を立てている。
「・・フフ・・・美夏さ・・抱っこされるの好きだったもんな・・・」
「・・アン・・ん・・そんなんじゃ・・・ない・・んん・・あっつ・・」
　美夏の声を聞き終わらないうちに直人は美夏の胸にむしゃぶりつく。
　舌の先端を尖らしピンクの乳輪をなぞったかとおもうと乳首を咥え甘噛みする。かとおもうと真っ白な乳房全体に吸い付く。
「このあいだも大学生のガキ二人にこうやってチュウチュウ吸われてたらしいな・・・・・・寿子がしっかり撮っていたぜ・・・・・」
「・・ん・・・・あっ・・・・・そんな・・・・・・」
　直人の言葉に美夏は驚愕する。
（そんな・・・・・・・あの写真は・・・・・・じゃあ私は寿子に・・・・・・・）
「俺が寿子に言ったのさ・・・・美夏に旦那以外の男をあてがってみろって・・・・・そしたら案の定一晩で二人も咥え込んだらしいじゃないか・・・・・この胸で誘惑したのか？」
　直人はしばし腰の動きを止め、両の手で美夏の両乳首を嬲る。
「んんっ・・・」
　拒否しようとしても美夏の体は反応してしまう。両の乳首は恥ずかしいほどに立ち上がり、淫口から来る刺激にシンクロするように淫らな電流を体全体に発信する。
　直人との結合部はどうしようもないほど濡れそぼっている。シーツはグッショリと重い。
（ああ・・・駄目・・駄目なのに・・・あああ・・・いい・・・・気持ちいい・・・あっ・・もう・・・もう・・）
　直人の首にまわした美夏の腕に力がこもる。自ら角度を調整し、Gスポットに当たるように直人の剛直を受け入れている。
「あっ、あっ、あっ・・・もう・・・もう・・・ああっっ・・」
　美夏は匂い立つような艶かしさをもつ真っ白な背中を反らし、何度も何度も官能の世界を漂う。全身が細かく震えている。
　直人は一番大きな痙攣が治まるとあっさりと美夏を引き離した。バックスタイルをとらせる。美夏は既に抵抗の素振りすら見せない。

　直人はいきなり挿入することはせずジュクジュクになっている美夏の淫肉を手で嬲る。後ろ向きの美夏に悟られないようにクリーム状にしてある先ほどの薬を指に掬ってある。　クリームをクリトリスや膣壁全体にすり込むように刺激する。
「あむっ・・・んん・・むん・・・ふっ・・・」
　美夏は四つん這いで首を下に垂らしている。全身は快楽と羞恥で桜色に染まっている。（・・あああ・・・さっきよりも・・・・指だけなのに・・・）
「んんんん・・・・・・・・い・・・・ひぃ・・・・・・・・」
　美夏は全身を硬直させる。イキ癖のついた身体は指だけで絶頂に達するようになった。直人は手をゆるめない。
「ああ・・・・ぃや・・・いや・・・いやあああ・・・ああ・・・あ・あ・・？」
　再び登りつめていた美夏だったが、直人はふいに手を離す。
「・・・？」
　姿勢はそのままで後ろを向く美夏。唇の周りは涎でべとべとだ。
　そんな美夏の顔を直人は冷淡に見つめる。
「・・・・さっきのゲームに勝ったのは俺だ。だから写真も返さないし、これからも好きなときに好きなやり方でお前を抱く。いいな？」
　直人の口調は確認ではなく命令であった。再び指を動かし始める。
「うんんっ・・・・ん・・」
　美夏は枕に顔を埋め快感に耽る。直人の返事にはこたえない。
「どうなんだ？美夏？こたえろ！・・・・・・・こたえるまで指だけで続けるぞ・・・・・・。」
　直人は指をネチネチと動かす。膣口や膣内の急所をわざと外しながらもさらにクリームを塗りこむ。アナルの蕾にも軽く塗り入り口を指でマッサージする。
「・・はあっ・・あっ・・はぁ・・・・はあ・・・はああっ・・・」
「おらっ・・・・このまま何時間でも続けるぞ・・・・」
　美夏の全身の毛穴から芳しい汗が滲み出ている。牝犬の姿勢で顔は垂らしたままだ。シーツを固く握り締めている。自ら尻を妖しく振り、秘肉は直人の指をぱっくりと二本くわえ込んでいる。愛液は形のよい太ももを伝わり膝にまで垂れている。
「・・・・・んん・・・・・・い・・・も・・・もう・・・・」
　美夏は顔をシーツに埋めたまま言った。
「・・・もう・・・いれ・・・て・・・・・・・入れてぇ・・・」
（・・とりあえずは、まあ、こんなもんか・・・・）
　直人は凄まじい笑みを顔に浮かべた。

　直人は美夏を背後から貫き、犯しぬいた。その様子をいつのまにか入り込んでいた寿子がデジカメで録画している。
「寿子っ。ほらっ・・・正面から・・・美夏の顔を撮ってやれ。」
　直人は美夏の髪の毛を掴み強引に顔を持ち上げる。
「はーい・・・ああぁ・・・ちょっと、ちょっと・・・・美夏・・すごい顔してるわよ・・・色っぽいわぁ・・」
　美夏はもはやそんな寿子に応えるゆとりなどなかった。

　１時間後デジカメをもっていたのは直人であった。
　レンズは直人の肉棒を奪い合うように舐める美女二人を捕えている。
「・・美夏・・・そんなに強く玉を吸うなって・・・・うん・・・そうだ・・・寿子・・・ははは・・お前・・・アナル舐めるの好きだな・・・」