〜 序　〜

　競技場は、大学の校舎と、バス通りを隔てている。
　夏休みが終わる直前とあって、学内で一番人気のない場所だ。
　山を切り開いて造成した場所だけに、ぐるりと取り巻くように急な斜面がある。
　よく見ないと分からないくらいの細い小径をたどって「山」を越えると、工事現場だった名残のプレハブがある。
　今では、誰も近寄らない小屋の中には、夕日を浴びながら、二人の影が動いている。
「お、おう、おう、お、お」
　かけ声のように、下品な声を出しながら、白い尻に太い肉棒を突き立てている男。
　パンパンと肉をあたる音が響いている。
　日焼けした男の身体は黒い筋肉と精力のかたまりのようだった。
　そのたくましい腕で、日焼けの跡との境界線がくっきりとした白い尻を抱えている。
　頑丈で冷たいスチールの机に上体をもたれかけるようにしている女。まだ若い。下半身だけが裸だった。
　整った、それでいて幼さの残る卵形の顔に、あきらかな嫌悪の表情を浮かべている。
　日焼けをしているが、服の下の部分がくっきりと白く、本来は、色白なのがわかる。
「だいぶ、濡れるようになってきたな。感じてんじゃねぇか」
「感じてなんか」
　悔しげに一言だけ呟くが、後ろから差し入れられている肉棒は、既にヌルヌルとした液体に包まれている。
「何、我慢してんだよ。ほら、感じろ。我慢すんなよ、やっとイクのを覚えたんだしな。そのうち、おまえの方から欲しがるようになるぞ」
「くぅ。そ、そんなこと、なんて」
　ハアハアと息が荒くなり始めている。何かを必死になってこらえている表情だ。
「ほら、どのみち、写真は、あと１９枚ある。ようやく、こなれてきたんだ。後は時間の問題よ」
　勝ち誇った顔に、残虐な笑いが浮かんでいる。
「ほれ、胸もな」
「あう」
　いつの間にか、Ｔシャツが首まで持ち上げられていた。
　むだな脂肪のない、白い背中が、すっきりと伸びている。
　乳首を直接つままれれば、乱暴なセックスをされていても、女の躰は快感を感じないわけにはいかない。
「あぁ、いや」
　やや甘い声が漏れる。
「どうだ、これなら、ほれほれ」
「あうぅ」
　懸命に首を振るが、唇からは、ため息とも突かないわずかな声が漏れる。
「おぉ、やっと声が出てきたな」
「そ、ん、な、ちが、う、あぅ」
　男が腰の動きを速めた。両手で握りしめるように乳房を握りながらだ。むだな脂肪のない身体に不釣り合いなほど大きな胸だった、
　まだ硬い乳房が、女の経験の浅さを物語っていた。そう、この屈辱に耐えるのは、まだ、五回目だったのだ。
　この男に強いられるまでは、淡い憧れの先輩はいても、恋など無関係だった。それなのに、この間のベッドの上での吐き気を催すような屈辱の中で、女の絶頂を味わってしまった。
　今、この汚辱の中で、身体が、自分を裏切って、あの恥ずかしい瞬間を迎えないように祈るような気持ちだった。身体は犯されても心までは、と懸命に思っていた。
　もちろん、男は、そんなことはお見通しだ。だからこそ、この場所でバックからの一方的なセックスに持ち込んだのだ。
『プライドを破壊しちまえば、後はこっちのもんだ』
「ほれ、ほれ、かつて中学のあらゆる記録を塗り替えた美少女も、今では、尻から男をくわえ込んでるってわけだ」
「あぁ、やめて、お願い、言わないで」
「いやなら、おまえが声を出すんだな」
「え、あ、う、う、いやあ」
「感じるって言え」
「感じてなんて」
「清田もこれでお終いだな」
　突然出された名前に、女がビクッとした。
「あぁ、やめて、やめてください」
「感じると言え」
　クナクナと首を振り逆らう仕草を見て男はまた、あざけるような声を出した。
「おまえが故障した責任だとよ。これで、あいつは、この世界には残れん」
「あぁ、やめて、言わないで」
「バージンを清田に捧げてなかったとはな」
「そんな関係じゃないもの、あう、やめて、そんな話、しないで」
「花のミスキャンも、いまじゃ俺様の肉便器ってわけだ」
「やめて！」
「ほら、大人しく、感じるって言えばいいだけだぞ。うら、うら、どうだ、どうだ」
　パンパンと肉が打ち合う音だけが響く。いや、わずかに湿った音が混じり始めているようだ。
「ほら、感じると言え、口だけで良いからな、ちゃんと声をだしたら、今日は写真を２枚返してやろう」
「あう、ほ、ほんとに」
『乗ってきた』
　ニヤリとした。
　なに、写真など最後の１枚を返す時にまた撮れば、いくらでもふやせるのだ。
「ああ、本当だとも、言われるとおりにセリフを言えば、一回少なくなるんだぞ」
　それでも、恥ずかしい言葉には抵抗がありすぎた。
　ハアハアとあえぐように口で息をしながら、小さな声で、許してとつぶやいていた。
「まあ、十八回も、十九回も同じか。そのうち、間違ってお前の中に出しちまうかもな」
「それだけは、ああ…」
　祈りに似た表情のまま、目を閉じて首をグッと持ち上げる。
「たかだかセリフを言うだけで、写真が手にはいるんだ。どうする？まあ、おれとしては、一回でも多くこの穴を使っちまったほうが良いがな」
　ああと、うめくと、女はとうとう観念したようだ。ガクッと首を折り、下を見つめたまま小さな声を上げた。
「…感じ　…ま　す」
「なんだ？聞こえねーよ、もっとだ」
「か、感じます」
「まだまだ」
「ああ、もう、許して。感じます！」
　一度口にしてしまえば止めどがなかった。
　感じる、気持ちいい。もっと、オチ○ボをくださいませ。マ○コ気持ちいい。
　あどけない表情の整った唇から、言われるがまま、次々と淫猥な言葉を吐き出してしまう。
　あたかも、トレーニングのかけ声よろしく、次々と、命じられた通りに。
　単なるセリフのはずだった。
　しかし、絶頂を知っている女が、男をくわえ込みながら吐けば、言葉に次第に真実が入ってくるのは当然だった。
「感じるぅ」
　何十度目に言わされた時だろうか。男を飲み込んだ部分がキュウッと締め付け始めていた。
　感じてはならないといくら言い聞かせようと思っても、感じると声に出してしまえば、身体はどっちの言うこと聞くのか。
「どうだ、感じるか」
「あぁ、感じる、感じます、あぁ、いやあ、だめ、感じてき、て…　あ、あ、あ」
　男は、チャンスと見て一気にスパートを掛けたのだ。
　ひいぃと絞り出すような声が流れる。
「逝くときにちゃんと言わないと、中に出すぞ」
「そんな、それだけは、あぁ、やめて、あう、感じる、あう、か、感じる、あ、あ、あぁ！だめ！イク！逝っちゃう！　ああ！」
　ヒクヒクと腰を振りながら、女は絶望的な絶頂に達したのだ。
　女は引き締まった足腰と細い足首だ。
　そんな女の締め付けは、強烈なものと相場が決まっている。
　男はかろうじてこらえた。
「よし、こっちも限界だ、どうする、このまま出してやろうか？」
「それだけは、お願い」
　まだハアハアとあえぎながらも、避けたい一心だった。
「それなら、教しえたとおりだ。もし、少しでも手抜きしたら、またぶち込むぞ」
　ヨロヨロと、男の前に跪く。身体から、全ての気力と体力が奪われているみたいだ。
「おっと、こんなもの、邪魔だな」
　まくれ上がったＴシャツを、ムリヤリはぎ取るように脱がすと、男は、そのまま窓の外に投げ捨てた。
「ひ、ひどい」
「なあに、誰も気が付きやしないさ。それより、ほら、早くやれ」
　目の前に突きつけられた、屹立した男のモノ。
　つい一月前まで、見たことの無かったものだ。
　毎日のように飲まされ、犯されるのも五回目、となっても、やはり、好きでもない相手のモノだ。
　それも、自分の愛液でグショグショになったモノを飲み込むのには、思い切りが必要だった。
　目をつぶって、一気に飲み込む。
『うぐう、いやぁ』
　中に出される恐怖から逃れたい一心で、必死にこらえながら、男のモノに舌を使う。
　教わったとおりにだ。
　さんざん、女の中で暴れ回った後だ。程なく、男もフィニッシュを迎える。
「よし、出すぞ。一滴でもこぼしたら、ただじゃおかんぞ。そうだ、写真を掲示板にでも貼りだしてやるか」
　わずかに首を振る。喉の奥まで容赦なく突かれ、涙がこぼれている。
「よし、出すぞ、出すぞ、ぐっ」
　男は後頭部に手を回し、思いっきり中に押し込む。
　吐き気と戦いながら、男が一瞬大きくなった後で爆ぜた瞬間、喉の奥に出されたモノを懸命に飲み込む。
　生臭いモノが喉の奥を通り過ぎた瞬間だった。
「そこで一体何をしている？」
　警備員の厳しい声とともに、二人は、まぶしい明かりに照らし出された。
　白く照らされた口元から白濁した液をトロリとこぼして、陶然とした目をしながら、女は身体を隠すのも忘れて、ただ呆然と跪いていた。

第１章　ささやかな幸せ

　東京郊外の私鉄。その小さな駅前に私のささやかな店があります。
　定休日の前日。火曜の晩が楽しみでたまりません。
　十歳近く年の離れた妻との、週に一度のエッチの日だからです。
　妻を布団で待ちながら、今年で三十四にもなったくせに、我ながら高校生のようにガツガツしていると苦笑してしまいます。
　下半身はすでにいきり立っていました。
　妻の白い乳房がちらついたのです。
　パチンと音を立てて部屋のあかりが消されます。
　飾り気のないナチュラルホワイトのパジャマ姿のまま、布団に入り込んできました。
「奈緒、どうせなら、裸で来ればいいのに」
「そんなことできるわけないわ」
　いくら二人っきりで暮らしていても、お風呂以外で肌を見られるのは恥ずかしいようです。結婚して、もう一年も経つのに、いまだに妻は恥ずかしがり屋のままです。
　もっとも、いったんエッチを始めると、最近はだいぶ、いろいろと応じてくれるようには、なってきましたが。
「ほらほら、脱いだ脱いだ」
「きゃ、あなた、ちょ、ちょっと、まって」
「だいぶ待ってたよ」
「もう、あなたったら、子どもみたいなんだから」
「奈緒が待たせるから悪いんだよ」
「あ〜ん、もう」
　そう言いながらも、すっかり慣れた仕草で、私の背中に片手を回したまま、大人しくしています。
　奈緒のパジャマにむしゃぶりついて、あっという間にボタンをすべて外してしまいます。我ながら『熟練の技』です。
　サラリとパジャマがはだけ、奈緒の白くしまったお腹が、暗くなった部屋でまぶしく見えます。
　まだ、二十五歳の妻に、オンナのアブラは乗り切っていません。それどころか、陸上をやっていたせいで、無駄な脂肪がなく、結婚当初は筋肉ばかりだった躰です。
　最近でこそ、細すぎる躰に適度な肉がついてきました。
　ほんとうは、もっとたくさんエッチをしたいのです。
　新婚当初は、それこそ毎晩のように妻を求めていました。
　でも、妻が感じる姿を見るのが私は大好きです。そんな私が相手では、何度も逝かせるべく張り切りすぎて、終わる頃には、妻はくたくたになってしまいます。
　駅前の小さな運動具店を維持するためには、家事とともに、妻には店の手伝いをしてもらわなければなりません。
　駅前に構える小さな私の店では、バイト君など雇っている余裕はないのです。
　妻の躰が持ちません。
　それで、いつのまにか、エッチは休業日の前の晩だけと言うことになったのです。
　それでも我慢ができなくなれば、妻は口ですることをためらいません。裸を見せるのは嫌がるくせに、フェラチオを嫌がったりはしないのです。
　おまけに、フェラチオが大変上手いのです。そして、いったんフェラをすると必ず飲んでくれるのもうれしいことでした。
　これも、大学時代に処女を奪ったという彼氏のお仕込みでしょうか。見たことのない、妻の元彼に嫉妬をしたものです。
　もちろん、妻は、相手のことを一つも教えてはくれませんでしたが。
　そんなことがあっても、妻のやわらかな膨らみを見ると、いつも、シアワセを感じます。もちろん、ちょっぴり、まだ見ぬ元彼に嫉妬を感じずにはいられませんけれど。
「ふふふ。奈緒のオッパイが見えてきた」
「いやん」
「最近、少し大きくなったよね」
「あなたが、毎日触るせいよ」
　そうなんです。
　本格的なエッチこそ週に一日でしたが、妻の痩せている割に大きく柔らかいオッパイが大好きで、客の来ない時に、店の奥でしっとりと触ることなどしょっちゅうでした。
「う〜ん、良い形だなあ」
「あぁん、あなたったら。あん」
　柔らかいのに、仰向きでも形が崩れないシンの硬さを持ったままのオッパイを、やわやわと揉みしだくと、それだけで、真面目な妻の顔が快感にゆがみます。
　我慢している顔です。
　最近、妻は、すっごく感じやすくなってきたようです。
　そのくせ、感じるのを恥ずかしがって、ムダな抵抗をするのです。まあ、そこがカワイイのですが。
「エッチなんだからあ」
「最近は、奈緒の方がエッチなんじゃない」
「そんなことないぃ」
「でも、ほら」
　チュッと音を立てて乳首に吸い付きます。
「あん！」
「たったこれだけで」
「あぁ、だめぇ、あなたったらぁ」
「ほれ、ほれ、じゅる、ひゅる、ほぉんあに、ふぉら、かんでぃて」
「ああ、だめえ、あなたぁ」
　乳首の周りを、舌先がクルクルと巻き付けるように愛撫すると、たちまち乳首がツンと尖ってきます。
　グミキャンディーの弾力が、唇にかえってくるようになったら、妻が本格的に感じてきた合図です。
「あぁ、あなた…　あぁ…」
　微かなため息ともつかない甘い声が漏れ始めました。
　妻の腰がヒクリ、ヒクリと動いて、両脚をこすり合わせるようにモジモジとし始めています。
「あん、あぁ、あう、もう、あぁ、あなた、もう、こまっちゃうぅ」
　私にしがみつくようにして、甘い声をあげます。
「なんだい、奈緒、もう我慢ができなくなったの」
「あ〜ん、いじわるぅ。もう、ねえ、あなたったらぁ」
　妻の甘い声に誘われるように、下に手を伸ばすと、妻の薄いヘアの感触があります。
　両脚は、手を誘い込むように、ごく自然に広がります。
「あう、あん、あん、ああぁ」
「ほら、もうビッショリだよ」
「いやん、恥ずかしい」
　イヤと言いながら、妻の両脚は、膝を軽く持ち上げたまま、さらに広がっています。　美肉はさらに、熱く濡れています。
「ねえ、あなた、ねえ、あう、ねえったら、あうう」

　ときおり、包皮にくるまれたままのクリトリスをトントンと指先でタップすると、それだけで熱くなった妻の躰がわななくのです。
「あん、いじわるう、あなたったら」
「なんだい」
　それは妻のおねだりでしたが、あえて、じっくりと濡れそぼつ秘裂をそっと撫で続けます。
「ああ、もう、お願いぃ、あうう」
　軽く指先を秘唇に差し込むと、ねっとりと、熱い感触に包まれます。ヒクヒクと指先を物足りなげにくわえ込む動きです。
　どうやら、軽く達してしまったのでしょう。
　しかし、軽く達しただけというのは、満足よりも、もっと奥深い欲求を女にもたらします。妻は、もはやこらえられなくなったのでしょう。
「あなた、お願い、もう、きて、ね、あなたぁ」
「ふふ、エッチな奈緒。お望み通りにね」
　私だって妻の熱い場所に包まれたかったのです。
「じゃあ、いくよ」
「ああ、あなたぁ」
　のしかかる私の重みを感じながら、妻のまつげが期待に震えています。
「あ、あう、あん、あん」
　一気に貫いて、数度のストロークをすると、私が奥を突く度に、妻が呼吸を合わせるように可愛い声が出るのです。
「あう、あん、あん、ああぁ、あなたあ」
「感じるかい」
　少し恥ずかしそうな顔をしてから、コクリと黙ったままうなずく顔は、まだ、初めてであった頃のあどけなさが残っている感じがします。
「ダメ、ダメ、ちゃんと言わないと」
　幾度かイヤイヤをしましたが、ストロークを速めると、妻の声が一際大きくなって、遂に言ってしまいます。
「あ、あ、あ、あ、あなた、あう、あう、か、感じる、あなた、感じるのぉ、あん」
　ムリヤリ恥ずかしい言葉を言わされた反動でしょうか。せっぱ詰まった声を出しながら、妻の美肉が強烈に締め付けてきます。
　元陸上選手の妻の筋肉は、こういうときにも強烈に働くのです。
　そのまま、一気に動きを速めます。妻は、私のモノを、その奥まで求めているのです。
「奈緒、ほら、ほら、いいよ、ほら、いきそうだろ」
「あう、ああ、恥ずかしい、でも、あう、いいの、あん、あなた、あう、いい、いい、あ、あ、あな、た、い、いくっ！」
　短く叫ぶような声と共に、一度、妻の腰が大きく持ち上げられるように動きます。
　そのまま、反転するように、今度はブリッジをするような強烈な動きをしたのです。
　熱い美肉が、私のもののを掴むように強烈に締め付けて、奥へ奥へと導くようにヒクンヒクンとケイレンします。
　下から抱きついてきた妻の手も、グッと背中にしがみつくように力が入り、そのまま、脇のシーツを握りしめるように、モジャモジャと動きます。
　早くも迎えた妻のオーガズムでした。
　すでに、ピチャピチャと音が出るほど濡れています。尻の方までこぼれているようです。
　動き続ける私に、あぁ、と抗議するようなため息混じりの声を出しながら、妻の両脚は、私の足に絡みつくようにしてきます。
　男を逃したくないという、オンナの自然な動きでしょうか。
　それとも。
　考えたくもありませんが、つい頭に浮かんでしまうのです。
　こんな動きを仕込んだのは誰なのか。
　スポーツ一直線の清純派としか見えなかった大学時代の妻に、あの上手なフェラを仕込んだのは誰なのか。
　見える相手なら、戦いようもありますが、妻は一切話してくれません。
　だから、頭に浮かぶ、大学生時代の妻の姿。
　その妻が、しなやかな脚を絡める相手の顔は黒い霧が掛かったままです。
「どうだ、奈緒、ほら、良いか、どうだ、良いか」
「あう、あん、あん、ああぁ、あなた、あなた、あう、いい、いいの、あなた、好きぃ、大好きぃ、あぁ、あなたぁ」
　妻の手が再び私の背中をギュウギュウと掴むように撫でまわしながら、両脚に力が入ってきます。
「あ、あ、あなた、あなた、いいの、お願い、私、あう、もう、ああ」
「イキそうなの？」
　カクンカクンという感じで妻がうなずきます、
　もはや、せっぱ詰まっているようなのです。
「よし、奈緒、一緒だ、俺も、出すよ、ほら、逝って良いよ、ほら、ほら」
　一気に動きを速めると妻の中をオーガズムの波が駆け抜けようとします。
「あ、あ、あ、あなた、逝く、逝く、逝っちゃうから、あう、ああ、あう、い、イクっ！」
　腰をクイクイと動かしながら、両脚が私に絡みついたまま、美肉が強烈に締めつけてきます。
　その締め付けの中で、私も引き金を引いたのです。
　しきりに私の背中を掻き抱くような妻の両手を感じながら、ドクドクと妻の中に注ぎ込んでいました。