第４章　新生

「先生ちょっと」
　突然、その教師は校長室に呼ばれた。今日のテストを採点しているところだった。
　あと二年で定年だ。残りの教師生活を波風立てずに終わらせる事だけが望みだった。
　この時期に呼ばれるのは、来年度のことに決まっていた。この年で転勤するのは辛い。
　ずいぶん前に、今年は大丈夫そうだと耳打ちされたが、校長の気が小さいと、教育委員会の言うままだ。人身御供にへき地の学校に差し出されることだって十分ある。
　転勤ではないにしても、みんなが嫌がるクラブの顧問にされることだってある。
　身構える気分になる。
　やったこともない陸上部の顧問をしているが、幸い、出入りの業者さんがサービスのつもりなのかコーチを引き受けてくれていた。
　人柄は悪くないし、なにより、もと陸上の名門、Ｗ大のコーチをしていたということがこの教師を安心させていた。
　部員とめったに顔を合わせなくとも、万事、彼らがうまくやってくれれば、それで良いのだ。今さら、何か面倒なことを押しつけられるのはごめんだった。
　校長室には、来客があった。
「どうも」
　一言だけ挨拶した男は、三十半ば。細身に日焼けしたその顔はどこか油断できない。
　自信ありげな態度が気にくわなかった。
「紹介します。こちら、体育の船岡先生です。Ｓ中学から、今度、ウチに赴任されます」
　老教師はいぶかった。なぜ、わざわざ数学の自分を。やはり、陸上部のことか。
「先生のご活躍で、陸上部も、なかなか、有望な部になってきました」
　と一応、校長が自分を立ててみせるが、もちろん、校長は、あの業者さん夫婦が実際の指導しているのを知っているはずだ。　
「ついては、本格的に、陸上部を育てることにしました。そのために、やはり専門の先生に見ていただくのが一番かと」
　体よくお払い箱にされたのが分かっても腹は立たなかった。むしろ、少々盛んになりすぎた部活と縁が切れるのは、負担が減って歓迎したいくらいだった。
「まあ、やはり、よくやってくださるとは言え、外部の方、それも業者さんに見てもらっていると、癒着だとか言う人も出てきかねませんから」
　そっちか。気の小さい校長らしいと言えた。
　まあ、どっちでもいい。自分には関わりのないことだ。
　口ぶりでは、つきあいをなくしたいのだ。ひょっとしたらごたごたするかもしれない。
　ホンのちょっとだけ、あの、人のいい業者の夫婦のことが浮かんで、気の毒に思った。
　しかし、自分がそれに巻き込まれるのはごめんだった。
　淡々と、事務的な事だけを話して、あとは、コーチと話し合ってくださいとだけで、切り抜けることにした。
　どうせ、学校に出入りする業者、それも運動具屋なんて、数学の自分には無関係だ。この船岡とかいう若いヤツは、体育ということだから、その辺もうまくやることになっているのだろう。
　校長には頼もしく、老教師には、いささか鼻白ませるような、自信たっぷりに見える笑顔の奥で、船岡が高笑いしていることなど気づきもしなかった。

　
　平日の午後は、客足が途絶えがちです。その上、この辺りの中学は、今が学年末試験の真っ最中です。
　コーチに行くこともありませんが、試験中は学校からの注文も配達もありません。小さな運動具屋にとって、こんな時間は、ぽっかりと真空になったようなものでした。
　こうなると私のイタズラなエッチ心がムクムクと起き出してしまいます。
　妻に三拝九拝して、見本のユニフォームを着て貰いました。男子向きのバスケのヤツです。もちろん、邪魔な下着やサポーターをつけさせません。
　女子のものとは違い、男子向けのは、タンクトップがゆったりとしています。
　タンクトップの脇からこぼれんばかりの妻のやわらかな白い胸に、後ろから抱え込むように手を伸ばします。
　紺のナイロン。薄く、すべすべした生地の上から、丸い膨らみを手のひらに入れて、サラサラと撫でまわすと、乳首がツンとわずかに飛び出してきます。
「あぁ」
　ヒクンと肩をすぼめるようにして、わずかに顎が上がります。
「あなたぁ」
　胸全体を包み込みながら、クリンクリンと手のひらの中で乳首を転がすようにすると、
　そっと手を差し入れると、弾力のある妻の乳房が手の中で、フルフルと震えます。
　あぁ、とわずかにうめくような声を漏らしながら、次第に背中を私に預けてきました。
「ああん、もう、あなたったら」
　緩やかなタンクトップの脇から、そのまま、スルッと手を差し込むと、ひんやりとやわらかな膨らみの頂点で、乳首だけが硬く尖りきっています。
　ユニフォームの上から、私の手を押さえますが、なめらかな生地のおかげで、自由に動けます。
　乳房の柔らかさを楽しみながら、表面を撫でるように、サワサワと触ると、妻は、いつも急速に反応が激しくなってきます。
「もう、あなたったら。あん、ね。そろそろ良いでしょ。もうお客さん来ちゃうわ」
　背中を預けながら、懸命な表情で訴えます。
　そのくせ、妻がかろうじて押さえている手の下で私がサワサワと動くと、あぁとうめいて溶けるような反応をしてしまうのです。
「大丈夫、こんな時間に来やしないの知ってるだろ。ほら、乳首、すっごいよ」
「いやん、やめてったらぁ」
　妻の声が、完全に湿ったものとなってきました。
「すっごくエッチだね」
「いやあ、あなたのせいなんだからぁ」
　イヤイヤをしながらも、妻の押さえる手に、力が入りません。
「こっちはどうかなぁ」
　パンツのすそをからげて、指をそっと差し入れます。
「あれ、ルール違反」
　妻は下着を着けていたのです。
「だって、汚れてしまうもの」
「へぇ〜、そんなに濡れてるの」
「いや！　バカぁ」
　甘えた声を出しながら、否定できないのが妻です。指先が秘唇をとらえます。
「あぁ」
　この手触りは、スポーツ用の薄い生地でできたいつものパンティーに違いありません。
「え、え、あう、あうう」
　底の方から、やわらかなくぼみに沿って指を動かすと、なぜか慌てたような、それでいて蕩けるような声を出します。
　すでに、下着の上から分かるほど濡れそぼっていました。ビショビショです。　　
「濡れてるね、すっごく」
「いやあ」
　イヤイヤをしながらも、妻は首を回してキスをねだります。完全に、オンナの欲情した表情になっていました。
　ねっとりと舌を絡め合うキスをしながら、指をくぐらせると、すでにドロドロと熱くたぎっていました。
　妻のうめき声が、私の口でふさがれながらこぼれます。
　そのまま、容赦なく掘り起こす動作から、そろえた指先で一気に撫で上げると、すでに、クリトリスはくっきりと尖っています。
「感じたみたいだね」
　キスを引きはがすようにして、妻の耳元に囁くと、恥ずかしい、と小さな声を漏らして、私の肩に顔を埋めます。
「ほら、クリクリッと」
　ヌルヌルとしたぬかるみの中で、おもしろ半分に、そこだけクリンとした硬質の感触を転がすように弄くってしまいます。その時でした。
「あう！やめ、あう、あ、あう、あ、あ、あなた、だめ！」
　私にしがみついた手にヒクンヒクンと力が込められ、そのまま、すうっと力が抜け私にもたれかかってきます。
　店の片隅です。半裸のようなバスケのユニフォーム姿のまま、指先だけで、遊び半分のように弄っただけなのに、妻は逝ってしまったのです。
　もちろん、その逝き方は軽いものだったのでしょう。
　しかし、立ったまま、いつお客さんが入ってくるのかも分からない店の中で、こんなに簡単に逝ってしまったのには、心底驚いてしまいました。
　驚きながらも、指先は調子に乗って動きます。
「あう、あう、あなた、もうダメ、あなた、お願い、あう、あん、また、ヘンになっちゃうから、あん、ああ、やめてぇ」
　啼くような、それでいて、何とも頼りなげな妻の声が、私の黒い欲望を刺激します。
「ね、もう一度着替えてくれる」
　妻の躰がわななき、今にも、また達してしまいそうです。
「あぁ、もう、だめ、いやあ、もう、ね、お客さんが来ちゃうわ、あなたお願い、もう、やめ、あう、あう、え？あぁ！いやあ」
　妻が拒否の言葉を口にしながら、また逝きそうになったその瞬間、指を外したのです。
「ね、お願い、あと一回だけで良いからさ」
　逝きかけた妻が、登りつめないように慎重に指先を妻の秘裂の中に泳がせます。
　こうすると、逝くことも、かといって落ち着くこともできず、妻は中途半端なままに置かれるはずです。
「ちょっと着てくれるだけで良いんだよ」
「お願い、もう、あぁ、いやあ」
　泣きそうな声を上げながらも、妻の腰は微妙にうねります。
「ほら」
「きゃ！いや！」
　私は、その妻の隙を突いて、タンクトップを脱がしてしまったのです。
　紺のゆったりしたバスケットパンツだけを履いた妻の白い裸身が、店の中に映えるのは不思議な光景でした。
「あなたったらぁ、返して」
　しゃがみ込むようにしながら、片手で胸を押さえますが、もちろん完全に隠すことなどできません。左の胸が、まろび出ています。
「ほら、こっち」　
　妻の前に、ブルーの小さな布を突きつけました。Ｈ中学校用のスクール水着です。
「いやあ、あなた、返して」
　妻は、いつ客が来るとも分からない店の中で、乳房をさらけ出してしまった狼狽からでしょう。座り込んだまま、返して、返してと繰り返すだけです。
　しゃがみ込んで抱き起こしながら、妻の耳に囁きます。
「ほら、これ、ちゃんと着れば、すぐだからね」
　妻が理解できたのかはわかりません。しかし、私は妻を立たせた瞬間、躰を反転し、沈み込む動きで、一気に妻の穿いているものを降ろしてしまいました。
「ひっ！」
　息を詰めたまま、信じられないという表情で妻が一瞬固まります。
　片足ずつ抜き取ってみれば、妻は、靴を履いてはいても事実上全裸です。
　店の片隅で全裸を、それも、さっきオンナの頂点に達してしまったばかりの、いやらしい裸身をさらけ出していたのです。
「さ、ほら、こっちを着て」
　さっと、今脱がせたものを遠くに投げてしまいます。
「うそ！」
「さ、こっちを着ようね」
「あぁ、もう、ひどいんだからぁ」
　妻は渋々といった様子で、水着を受け取りました。
　きっと、後で、いつもの妻に戻れば、本気で怒るでしょうが、今はそんなことを気にしてはいられません。今は、欲求不満になったメスの妻に欲望をむき出すときです。
　黒い欲望は、むき出しになって、怒張がズボンの下で、これ以上ないくらい硬くそそり立っていました。
　スクール水着も昔とは違って、競泳用に近くなってます。生地が薄くしなやかになっているため、裏地になっているサポーターを外してしまうと裸同然です。
　もちろん、私がヒマを見て、外しておいたものです。
　裸よりはマシだと思ったでしょう。ふらつく躰を私に支えられながら、一生懸命に躰を押し込んでいます。
　まだ、裏地のないことには気がつきません。
　冷たいリノリュウムの床に裸足にして、立たせてます。
　良く伸縮する薄い生地が妻のプロポーションをくっきりと浮かび上がらせています。
　中学生の胸を隠すのには十分なデザインも、Ｄカップにまでなってきた妻の胸を隠すことはできません。
　グッと盛り上がった胸の頂点に、ポッチリと乳首が浮き立っています。
「なんか、いやらしい姿だよね」
「あん、そんなことないもの」
　さっき逝きかけた身体をもてあますように、白くはみ出た尻が、フルフルと震えます。
「脚広げてみて」
「いやあ、えっち」
　そのくせ、恥ずかしりながらも、素直に肩幅ほどに広げるのです。
　妻の股間に、しゃがみ込むと、目の前の妻の秘所に、見る見るうちに黒い染みができていました。
　目がトロンとなっています。
　真面目な妻の表情に、これ以上ないほどの淫靡なものが浮かんでいたのです。
「ね、店の真ん中に出てみようよ」
　小さな店とはいえ、真ん中に出れば、すぐ奥に引っ込むわけにはいかないのは妻も承知しています。けれど、こんなときは、めったに客などこないことを妻も知っています。
　なにより、既に外側まで分かるほど濡らして、いやらしい気持ちが出ているせいでしょう。私が強く言うと、ちょっとだけなら、と承知したのです。
　恥じらいながら、店の真ん中でクルリとポーズを取った瞬間でした。
「こんにちは」
　元気よく入ってきたのは建太でした。
　坊主頭がやや伸びたのは、試験だったからでしょう。真っ黒に日焼けしながらも、運動部っぽくない、どこか上品で、繊細な表情をしています。
「ひっ」
　妻は立ちつくすだけでした。
　私はとっさに、逃げ出そうとする妻を片手で制して、耳元に、ささやきます。
「じっとして。もう見られてるから、逃げるとよけいにヘンに思われるよ」
「だって」
「大丈夫、ちゃんとごまかすから。話を合わせて」
　妻の返事も聞かず、扉に手を掛けたまま凍り付いている建太に笑顔を向けます。
「おぉ、建太良いところに来た。試験はもう終わったのか」
「あ、はい、今日はもう。あの、あの」
「何をモジモジしてるんだ、さ、入った入った。今、ちょうど、新作の水着を見てたんだ。建太の意見も聞きたいな。よし、ちょうどいい、こっちに座れ」
　パイプイスを妻の真ん前の、手を伸ばせば届く距離にセットしました。
「は、はい」
　選手とコーチの関係です。私に言われれば、建太は言うことを聞くしかないのです。
　目の前には建太の「憧れのコーチ」が水着姿で立っているのですから、見て良い、いや、見ろと言われて、これほど都合の良いことはないはずです。
　遠慮がちながら、それでも、目を見開いてぎこちなく腰掛けます。
　妻は、真っ赤になりながら、私に非難の目を向けます。
　知らぬ振りです。そのくせ、なぜだか、これ以上ないほど怒張が硬くなっていました。
「よし、健太、これ、来年、学校で使う予定なんだ。意見を言ってくれ」
「意見といっても…」
「なに、この辺がきつそうだとか、見た感じとかだな。コーチの躰に肉がついてるなんてのでもいいぞ」
　ハハハと、笑いを込めますが、建太には聞こえていないのかもしれません。
　妻は恥ずかしげにできる限り躰を腕で隠そうとしています。
　健太は見たくてたまらない風情ですがオドオドして目が上げられません。
「よし、怖いコーチがこっちを見てたら、建太は安心できないよな」
　私はとっさに、そばにあった景品のスポーツタオルで目隠しします。
「ちょ、ちょっと、あなた、これ」
　狼狽する妻に、大丈夫ちょっとだけ我慢だよといいながら、パイプイスを引き寄せて、背もたれに掴まらせます。視覚を奪われた妻はじっとするしかありません。
「建太、ちゃんと手を伸ばせ。モジモジしてるのはダメだといつもいってるだろ、そんなんだから、本大会で記録が伸びないんだ」
「で、でも」
「仕方ないな、度胸をつけなきゃ、今度も、決勝で硬くなって失敗だ。よし、俺が許す、このまま、良いというまで、コーチの躰を撫でてろ」
　私はムリヤリ建太の手のひらを妻の両方の腰にくっつけます。
「あう、あなた、何を」
「いいから、建太の練習のためだ、協力してやれ。ほら、おまえからもちゃんと頼め」
　建太の目は今にも泣き出しそうでした。そのくせ手を離そうとはしません。　
「ほら、早くしろ。いいか、そっとだぞ。そっと、撫でまわすんだ」
　命令は、絶対でした。それに、建太にとって妻が憧れであるのは分かっています。
　だから、はじめは恐る恐るでしたが、あっという間に熱心に、妻の腰から背中にかけて手を動かしていたのです。
「あぁ、もう、そろそろ、ね、あなたぁ、許して」
　泣くような、それでいて、何か別のものがたっぷりと含まれた、甘い声を無視して、さらに建太をけしかけます。
「ほら、いつまでも同じ所ばかりじゃダメだ。全部だぞ。良い機会だ、コーチの躰全体をマッサージしてやれ。ほら、早く」
　叱りつける私の声に、ためらいがちに、それでいて、男の子の欲望を乗せた手が、妻の腰から、徐々に探索範囲を広げて動き始めたのです。
「良いぞ、そのまま」
　黙ったままの妻の腰が、建太の手が尻タボを撫で上げた瞬間わずかに動きました。
　静かに店の入り口にカギを掛けに動きます。
　ほんのわずか離れただけなのに、建太の手は大胆に動くようになっていました。
　けれど、背中に周った手が、脇から前に行きたそうにしますが、どうしても乳房には触れられないようです。いきなり横から建太の手を掴んで、妻の乳房に押しつけました。
「根性がないな、いいか、こうやって、ここもだ」
「あぁ」
「そうだ、いいか、ギュウとするなよ、あくまでも撫でるだけだからな」
　妻がわずかに声を漏らして、イスの背に掴まる力が込められたのが見えます。
　男の本能がそうさせたのでしょう。妻のため息のような声を聞いて、乳房に置かれた手は激しく動き始めます。私に言われたとおり、表面を撫でるような動きです。
　スルスルとした薄い水着越しに、撫でまわされれば、妻はたまったものじゃありません。まして、ついさっき、逝きかけたのをムリヤリ押しとどめられていたのです。
「あん、あなた、あう、あぁあん」

　ベッドでも上げないような甘い声が妻の口から絶えず漏れるようになってきました。
　私は建太の耳元で、囁きます。
「まだ、触ってないところがあるだろ」
　興奮しきった表情のまま、手を動かして、首をひょいとかしげて見せます。
　いつの間にか、肩幅よりもだいぶ広がってしまった妻の脚の間に手を差し入れます。
　妻に触れないようにして、下からすくう仕草をして見せます。
　一瞬ぎょっとした表情になった後、本当に良いのでしょうかと目顔で尋ねてきます。
　捨てられた子犬がクゥンと見上げるような表情です。
　私は何も言わずに建太の右手首を掴むと、そのまま妻の股間に持って行きます。
「あう！いや！だめ、健ちゃん」
　健太の手に衝撃を受けて、一瞬ふりほどこうとする妻の躰を後ろから抱き留めると、そのまま肩越しにキスを仕掛けます。
　舌を絡めたまま、妻が何事か抗議しているようでしたが、グッと妻の両手を押さえているため、身動きできないまま、少年の手を受け止めていなければなりません。
　逝きかけた躰。薄い水着越しに少年の熱心な手がうごめく秘唇。
　建太の注意が下に行ってお留守になった胸の先端を、つまみ上げるようにひねります。
　ほんの一分もかかったでしょうか。
「む、むぐぅ、ぐ、ぐぅ、むぅ〜」
　妻の躰にピンと力が入ったかと思うと、そのまま崩れたのです。
　薄い水着一枚の躰を少年に触られて、逝ってしまったのでした。
　呆然とする建太の股間は、ジャージを大きく膨らませていました。
「さ、今度は、君が、建太を楽にしてあげないとね」
　ビクッと妻が震えます。
「建太、そこに座って。いや、その前に、その下を脱ぐんだ」
「え、あの、えっと、あの」
「またか、意気地のないヤツだな。一度言われたらすぐやれ。ほら、これだ」
　いうが早いか、私は、建太のジャージに手を入れ、トランクスごとしごき降ろしてしまいます。
「あ！」
　まだ皮もむけていないままでしたが、きちんと男のカタチをした怒張が、へそにくっつかんばかりの角度でピンと立っていました。　
「ほら、奈緒ばかり感じてないで、健太が可哀想だろ」
　目隠しをむしり取ると、まぶしげに目をしばたたかせると、目の前にある若いオスの怒張に目が吸い付き、いやあと小さくつぶやきます。
　そのくせちっとも嫌がってない証拠に、妻の目はじっと注がれたままです。
「ほら、ちゃんと握って。可哀想だろ。このままだと苦しいんだぞ」
「苦しいの？」
　座り込んだ妻が、イスの健太を見上げます。それは尋ねると言うより、自分に言い聞かせているようでした。
「そうだよ。健太苦しそうだろ。出してあげるんだよ」
　妻の後ろからそう言い聞かせると、床に膝をつけたまま、妻の手が恐る恐る伸びてきたのです。
　私の目の前で、妻の細くしなやかな指先が、私以外のオトコに伸ばされるのです。それは、まだ発展途上の怒張にスルスルと巻き付いていきました。
「あぁ」
　少女のようなため息を漏らすと、皮をかぶったままのオトコがひくりと震えます。
　妻が、たおやかな手首を返すと、それに連れられて、先端まで覆っていた包皮がズルリとめくれ、ピンクというより赤に近い先端部が顔を覗かたのです。
「建太、ちゃんとここ洗ってないな」

　私の言葉に健太は消え入りたげな仕草です。仮性包茎特有の白っぽいチーズのようなカスが、敏感そうな亀頭の周りの所々についていました。
「すみません。だって…」
　ちゃんと教わらないと、こんなところまで洗わないのは良くあることです。
「奈緒、キレイにしてあげないと」
　すでに妻の目は、魔物に取り憑かれたように妖しげな光を放っていました。
　私の言葉にコクリうなずいたとき、確かに、舌先がペロリと唇から覗きました。
『まさか』
　私はレジの脇にある、ティッシュを取ろうと動きかけたのをピタリと止めました。
　妻が建太の前に向き直り、跪いたのです。
『おい、まさか』
　妻が何をやろうとしているのか、もはや明確です。
『いくらなんでも、そんなことまで、奈緒！』
　妻の顔が建太の恥垢のついたままの怒張に近づいていきます。
　やめろ！と心の中で叫んでも、元はとといえば、私がけしかけたことを、今さら止めることなどできません。
　そして、それ以上に、妻の思わぬ行動に、私のどす黒い欲望が、今にも張り裂けんばかりに膨らんでしまっていたのです。
「コーチ、あ、ああ」
　天井を仰いで、建太は、心持ち、背中がピンと張りつめた気がします。
　妻の白い指先が添えられて、建太のピンクの先端にチロチロと舌が這っています。
　舌先がスッと通りすぎるのかと思えば、何度も同じ場所を繰り返し舐め返し、一度通った場所も、また舌先が這います。まるで、楽しんでいるかのようでした。
　その舌先はしきりに口の中に入っては、また、舐めるという動作を繰り返します。
『飲みこんでる？』
　そうです。舐め取ったものを、しきりに飲み込んでいたのです。
　それだけではありません。チロチロと舌先が這う度に、建太のうめくような声が漏れ、その度に、次第に舌先の動きが大胆になっていったのです。
「コーチ、き、気持ち…　良くて…」
　絡められた指先は、幹を軽やかにさするように、しごくように動きます。
　ハアハアと息がすっかり荒くなり、目をきつく閉じて天井を向いています。
　一瞬、舌先が引っ込んで、妻の整った唇が、ぱっくりと開いたのがスローモーションのように見えました。
「あぁ」
　その声は建太の声でもあり、私の叫びだったのかもしれません。
　愛する妻が、少年の前に跪いて、恥垢にまみれたペニスを、いとおしげな表情で口に入れたのです。
「あぁ、コーチぃ」
　うわごとのように建太が呟きます。
　まだ発展途上といえども、すでに、十分な大きさでした。あんな風に唇が建太の根本に届くほどまで飲み込めば、先端は妻の喉にまで届いているはずです。
　やや、右に首をかしげるように顔を動かしながら、今は、きっと、あのヌメつく舌全体が亀頭のカリをこすっているのだろう。
　いつも私にしている通り、いえ、それ以上の熱心さで、顔を振り立てながら、妻の右手は、袋をやさしく撫でる動きです。
「あ！コーチ！ダメです　あ！」
　健太が急に焦ったように目を開けます。しかし、ペニスを唇にはさまれたまま動けるわけもありません。
　むしろ、妻の顔の動きが、ねっとりと何かを搾り取るように、素早く飲み込み、じっくりと上にしごき上げる動作が速くなった気がします。
　ほんの数回動いたときでした。
「で、でちゃう！うっ！」
　少年の短い声。脚をピンと伸ばした姿は、快楽の頂点を表しています。
　妻の動きが急にゆったりとしたしごき上げる動きに変わりました。
　今、少年の濃い精液が妻の口中にたっぷりと放出されているはずです。
「なお…」
　小さな声で妻の名前を呼んだ瞬間、妻の喉がコクリと何かを飲み下すのが分かりました。
　チュポっと湿った音を響かせて、妻の唇から、ペニスが出てきます。
　驚くことに、勢力が有り余る少年のモノは、力をいささかは失っても、まだ、硬さを保ったまま天を向いていました。
　しかし、私の方は限界です。
「奈緒」
　短く叫んだ瞬間、私の手は、薄い水着を肩からむしり取るように引きはがします。
「いや、だめ」
　小さく抵抗の言葉を口にしましたが、全てを脱がされた妻は、健太にすがりつくように尻を差し上げたまま、バックスタイルで受け入れようとしてくれます。
　一瞬驚きます。実は、たいていのことは受け入れる妻が、このバックスタイルだけは結婚以来受け入れたことがなかったのです。
　一貫して、拒否でした。
　それなのに、今は、物欲しげに腰がうねっています。
「行くぞ」
「あぁ、あなた、恥ずかしい、あう！ああ！」
　そうです。妻は、自分が射精させた少年の前で、後ろから私に犯されたのです。
「ドロドロだ」
　思わず呟きました。
　妻の秘唇の中は、熱くドロドロとしたものが湧き出していました。ふと見ると、妻の右手は、再び少年のペニスに絡みついて、激しく動いています。
　私の動きにシンクロさせているようです。
「あ、あ、あなた、あう、あぁん、はずかしくて、あう、あ、でもぉ…」
　私が大きく動きます。
「ああ、あなたあ、良いのお、とっても、ああ、もっと…っぅぐ」
　妻の可愛い声が突然くぐもりました。
『え？また』
　妻はまたもや、建太のペニスを頬張っていたのです。
　私のモノを秘唇に受け入れながら、建太のものをしゃぶり尽くしているその姿。
　まさに、淫婦の動きでした。
　真っ直ぐに伸びた、無駄な肉がない妻の背中が、いやらしくうごめいています。
　それに刺激されるように、私も腰をたたきつけるように動かします。
　パンパンと、妻の肉に私の腰があたる音が響きます。
　美肉は私のモノにドロドロと絡みつくようにうごめいています。きっと、妻の舌は、同じように、いえ、もっと激しく建太のものに絡みついているはずです。
　妻の激しい動きに建太は、早くも登りつめそうです。射精を予感するように、まだひげも生えていない顎がクイと上を向きます。
「奈緒、行くぞ、出すぞ」
　ハイと答えるかのように妻の美肉がヒクンヒクンとうごめきます。
　スパートを掛けます。
「あぁ、コーチ、もう、出る」
　短く建太が呟いたのを合図に、私も、引き金を引きます。
　たまりきった欲望を妻の中にドクリと放っていました。
　大きな塊を吐き出すような、苦しみにも似た放出でした。
　妻の腰がヒクリと震え、尻を持ち上げるように、背中が湾曲します。
　上と下から、男のエキスを流し込まれて、妻も、激しいオーガズムに達しているのが伝わってきました。
「ふぐぅ」
　ジュボッと、湿った音を立てて、建太を吐き出すと唇からはよだれがたらりとこぼれ落ちます。あるいは、飲み込みきれなかった建太の放出の残滓だったのでしょうか。
　若いオスの股間に顔を埋め込んだまま、いつまでも快感の余韻に震えていたのです。
　白い尻がいつまでもうごめいているのが、妻の快感の大きさを語っているようでした。