第８章 壊れた約束

　ボスっと鈍い音がして、健太が崩れ落ちる。
「ぐぇ〜」
　ビシャビシャと、口から消化しかけた朝食が飛び出してくる。
　胃を直撃する強烈な一撃だった。
「健太！」
　走り寄ろうとする篤美を片手で捕まえて、ヒョイヒョイと、プレハブ倉庫の支柱にくくりつけてしまう。物慣れた手つきだ。
　ポケットの膨らみは、ロープを隠していたからだった。
「先生、やめてください！」
「俺、小さいときから、空手をやってて、昔、アメリカで教えてたこともあんだよ。どうだ、健太にもう一発、お見舞いしてやっか？」
　篤美にニヤリと笑いかける。
「いや！　やめて！　先生」
「じゃあ、おとなしくしてろ。教師として、反抗的な生徒には、身体で教え込んでおいてやる必要があるからな」
「ふざけんな、おまえが菜緒コーチと…　ぐほっ！」
　鍛え上げた筋肉が繰り出す鋭い膝蹴りが、健太の胃袋に再び正確にヒットして、吐く物もない胃が痙攣する。
　内蔵全体にダメージを与える、痛烈な一撃だ。
「やれやれ、せっかく湯川の頼みを。マネージャーに心配かけるのはいけないことだぞ」
　吐く物もない吐き気と、苦しみに、健太はのたうち回る。
「この程度で、そうなるってのは、腹筋が弱すぎるな。これから鍛え直してやるから楽しみにしてろ。全身の筋肉量がスピードを決める時代だからな」
　教師らしい言葉とは裏腹に、吐くに吐けないで、苦しむ健太を乱暴に引き立てる。
　後ろ手に縛った縄尻を、跳び箱の上に飛び乗り、天井の骨組みにヒョイと引っかける。
　シュルシュルと縄が滑る音がして、あっというまに、建太は吊される。
　肩を回すこともできず、苦しげに、かろうじてつま先で身体を支えるしかない。
「さてと。おまえ、健太とは幼なじみだったな。どうだ、もうやったのか」
　あまりの下卑た言い回しに、一瞬、反応できない。
『健太は、私のこと大切にしてくれるから、そんなことしないモン』
　キッと見返した目の鋭さに、船岡は一瞬たじろぎ、そして、ゲヘヘと笑う。
「どうやら、せっかくの幼なじみの身体を健太は見たことがないらしいな」
　あざ笑った瞬間、篤美の目がわずかに変化したのを船岡は見逃さない。
「なんだ、乳繰り合いくらいはしてるのか」
　あわてて篤美が首を振っても、船岡は取り合わない。
「いかんな、まだ早すぎる。どれ、湯川が妊娠してないか、確かめないとな。大変だが、これも教師の役目だ」
　下卑た笑いを浮かべ、獲物を追いつめるハイエナの動きで篤美ににじり寄ってくる。
「先生、なんにも、私たち、何にもしてないんです」
「それなら、調べればわかる。じっとしていればすぐすむことだ」
「だって、先生、ほんとなんです。私たち、本当になんて」
「ほう、ほ、ん、と、う、には、していないが、少しなら思い当たるようだな」
「そんな」
「いいか、静かにしないと、他の生徒も来る。こんな姿を見られたいのか？」
「きゃ！」
　衝撃のあまり、篤美が固まってしまう。篤美のジャージが下着ごと降ろされた。
　うっすらと茂る若草が、白い躰にくっきりと見える。
「ぐほっ、やめろぉ、てめぇ」
「しょうがないな。もう一発お仕置きが必要か」
「先生、やめて。お願い」
「ふん、まあ、湯川がおとなしく検査を受けるなら、見逃してやってもいいが」
「受けますから、先生。だから、お願い、もう、乱暴しないで」
「あつみ！いいから、俺のことはいいから、逃げろ」
　逃げろと言っても、すでに篤美は柱に縛り付けられている。そんなことは不可能だ。
「本人が受けると言ってるんだ。それもこれも、おまえのためだろう。黙って見てろ」
　まとめて脱がせた固まりから、レモンイエローの、パンティーというには、あまりに子どもっぽい下着を引き剥がして、健太の口に一気に押し込む。
「ぐ、ふぐぅふ、ふぐ」
「健太、湯川はこんな姿だ。おまえはもう見たことがあるようだが、他の生徒がこれを見たらどうかな」
『他の生徒だとぉ』。
　そうなれば、篤美の恥ずかしい姿を見られてしまう。
　一瞬にして健太は動けなくなってしまう。
　ニヤニヤと、勝ち誇った顔の船岡だった。
「どうやら、わかったようだな。なに、本人もいいと言っているんだ。少しの辛抱で、おまえたちが不純なことをやっていないか証明できるってモンだ。すこし、黙ってろ」
　恥ずかしさに顔も上げられない篤美のロープをほどくと、あっという間にシャツも脱がしてしまう。
　下を脱がしたときに、既に、白いソックスも一緒に取られていた。
　今やブラだけの、はかなげな風情の篤美を、ほいっと跳び箱の一番上に乗せる。
　乱暴ではないが、ものを置くような無造作なやり方だった。
　層、大柄でもない篤美だが、頭と脚の部分がはみ出して宙に浮かんだ。
「いやっ！」
「動くと落ちるぞ」
　はっとなって、とっさに跳び箱の側面に手を伸ばして身体を支える篤美。
「そう、そのまま。おっと、こっちは、健太にサービスだぁ」
　片手で篤美を押さえながら、レモンイエローのスポーツブラを無造作にはぎ取る。
「あっ」
　小さな悲鳴を上げて、左手で胸を隠す。不安定な姿勢で、両手を使えないのだ。
　そんな篤美に頓着せず、膝の後ろに手を入れて、両脚をぐっと持ち上げて広げる。
「だめぇ」
　あわてて、胸から、股間に手を伸ばすが、ぴしゃりと手を払いのけられてしまう。
「隠すな、隠すと、健太にもう一発お仕置きだ」
「ぐっ」
　くぐもった声を健太が発する。どうしようもできない自分に、今にも、爆発しそうだ。
「どれどれ、さてと」
「痛い！」
　羞恥に顔を覆っていた篤美が悲鳴を上げる。いきなり無骨な指先が挿入されたのだ。
「おぉ、さすがに、何にもなしに指を入れては痛ぇか。よし、大サービスだ」
「やめてぇ！」
　声を抑えてはいるが、怒りと、羞恥、嫌悪が本気で入り交じった悲鳴だった、
「ふふ、大丈夫だ。健太なんかより、よっぽど上手だからな、安心して気持ちよくなれ。たっぷりと濡らしてやるぞ」
「あぁ、いやぁ」
　船岡の舌が、篤美の秘所に遣われたのだ。
　淡いかげり以外は、白桃に切れ目が入ったような谷間があるだけの未発達な秘所だ。
　健太との時は、その土手が自然に広がったが、今は、恐怖と怒りと、屈辱の中で、篤美の秘所は閉じられたままだった。
　そのきつい谷間に、ヌラヌラと舌先が強引に割り込んで舐めあげる。
「いやぁ」
　気持ち悪かった。軟体動物が、ソコを這っている気がした。
『こんなの、気持ち良くなるわけない』
　どのくらい我慢していれば、あきらめてくれるのか計りかねた。
　だから、篤美は、釣り下げられたままの健太のことだけが心配だった。
　マットの上に、つま先立ち。長く続けば、縛られた部分が相当苦しいに違いない。
　しかし、篤美がそんな「余裕」を持てたのは、ほんのわずかな時間だった。
「はぁぅ、うぅ」
　甘い衝撃が来た。
　不意に、胸を触られたのだ。
　さっきとは、うってかわった優しい動きだった。
　指先がわずかに肌をかすって、つつっと腋の方から上に滑り、先端に触る直前で、くるりとターンする。
　今度は谷間の方から、そろえた指先が、小さな円を描くように撫で上げてくる。
　そして、頂点に届く前に、指は、また、すっとターンしていく。
　それでいて、もう片方は、やわやわと柔らかく手のひら全体でほんのわずかに力が伝わるようにしながら、裾野から揉み上げてくる。
　こっちも、頂点に届く直前に、さっと手が離れる。
　両手が、違う動きで、繰り返し、繰り返し、胸を弄り上げている。
　乳首がビンカンなのは、健太との時で知ったけれど、ふくらみそのものが、こんなに、微妙な感じを与えてくるなんて、思いもよらなかった。
　そのくせ、意地悪な手は、篤美が頂点への刺激に、身構えていると、肩すかしをくったように、ふくらみそのものへの刺激が繰り返される。
　秘所への舌より、こっちの方が気になっていた。舌の方はさっきよりは、マシになったが、気持ち悪いのは相変わらずだった。
　もう何度目かの動きかわからないけれど、また先端に近よった手が「離れる」と思った瞬間だった。
「あん！」
　鋭い声が出てしまった。
　ピンクの先端を、両方一度につままれたのだ。
　ふくらみに埋もれていた乳首が、いつの間にか飛び出ていた。
　気がつかないうちに、もやもやとしたものが、篤美のおなかに溜まっていた。それが、先端をつままれた瞬間、一度にズキンと突き抜けた感じだ。
「ほれ、どうだ、感じてきたろ」
　ニヤニヤしながら、先端を指先で転がし続ける。
　指先からの衝撃が篤美の背中を貫く。
　唇をかみしめて、懸命に耐えようとした。けれども、ヒクヒクと腰が震えてしまう。
『健太の時と違う…』
　なんだか、焼けた火箸を突きつけられたような、激しい感じだ。
　クナクナと顔を振る。
「感じてなんて、うぅぅ」
「そうか、なら、これはどうかな」
「あぁん！」
　我慢しようと思う間もない衝撃だった。
　舌先が、クリトリスを弾いたのだ。
「あぁ、いや、だめ、感じてなんか、ない、あぅ、やめてぇ」
　一度突き抜けた快感は、意志の力では止めようがなかった。
　篤美のむなしい抵抗をあざ笑うかのように、ふくらみかけた胸を、やわやわと揉みしだき、小さなクリトリスに舌を遣い、乳首を指先で転がしてくる。
　その一つ一つから、どうしようもない快感が湧き出してくる。
　頭の中に、ビンビンと電気が流れるような、激しい快感だった。
『健太が見てるのに。ダメよ、我慢しなくちゃ』
　懸命に健太のことを考えて、こらえようとするが、乳首を転がされる度に声が漏れ、舌を使われる度に、足が自然に広がってしまう。
「あっ、あっ、あうっ」
　短い声が、篤美の声から漏れ始める。我慢しようとしても、クリトリスがクチュっと舐め上げられるとヒクンと腰がうごめいてしまうのだ。
　ぬちゃっとしめった音がして、舌が、篤美の秘唇の中に、そっと忍び込んでくる。
『あぁ、だめぇ、はいってきちゃ、だめぇ』
　そのくせ、いつの間にか、脚がこれ以上ないくらい広がってしまっているのだ。
　舌を差し込んだまま、鼻が、篤美のクリトリスを巧妙に弄んでくる。
『あうぅ、電気みたい』
　甘い電流のような物が、そこかしこに生まれていた。
　篤美の甘い声が漏れる度に、舌が、少しずつ、狭い入り口に潜り込んでは、すっと抜かれ、入り口をなめ回しては、また潜り込んでくる。
　少しずつ小刻みに、しかし確実に、ヌメヌメとした舌が、篤美の奥に侵入してくる。
　それがわかっていても、抵抗できない。
　躰がふわふわとしている気がして、もはや、両手は、跳び箱の側面から離せないのだ。
　脚を大きく広げたまま、白い躰をオトコに差し出している格好だ。
「あぁ、だめぇ、もう、いや」
　腰の奥が蕩けそうな予感。
『あぁ、ダメ、建太、見てるのに、いやぁ、でも、我慢、しなく、あぁ、ちゃぁ』
　舌先が、思わぬ深さまで入れられたときだった。
　不意に身体の奥で、何かがはじけた気がした。
「あ、あぁ！」
　ヒクンと躰を硬直させて、短い声を放っていた。
　躰に埋め込まれた舌先をキュッキュッと立て続けに締め付ける動きだ。
　男の手慣れた技に、篤美が幼いオーガズムを迎えた瞬間だった。

　篤美に二度目のオーガズムを与えた後、船岡は建太の顔を覗き込んできた。
「ふむ、どうやら、おまえ達が、スケベなことをやっていることは確かだな」
　すでに検査などと言うお題目はどこかに行ってしまっていた。
　健太は、目を血走らせている。船岡ののど笛にかみついてきそうな勢いだ。
「ふむ。どうだ、健太。オンナというモノは、こうやって楽しませてやるものだ。おまえにできるかな」
　そんな建太をからかうように、ニヤニヤしながら、建太の縛られた手をぐっとつかむ。
　細いロープに長く縛り上げられ、痺れた両手には激痛だ。
　しかし、苦痛の中にも、怒りの表情は収まらない。
「どうやら、まだ懲りてないらしいな。おっと、恋人のこんなところを見たら、苦しくもなるよな。おまえも湯川に劣らず、スケベだもんな」
　勃起していたのを、見抜かれて健太は狼狽する。やるせない哀しみと怒りの中にも、若い肉体が恋人のエッチな姿に反応してしまったのだ。
　懸命に隠そうとするが、不安定に吊られた躰では、どうしようもない。
　ペロリとジャージが降ろされると、そこから角が生えているかのごとき、ペニスが現れる。皮を半ばかぶったままだが、シャツを持ち上げる勢いがあった。
「ほぉ、なかなか、立派じゃないか、おぉ、皮を被ってるな。まあ、仮性包茎はいずれ治るから心配はいらねぇぞ」
　グフフと口の奥で笑いながら、ひょいと足下を見下ろす。
「湯川、おまえのいやらしい姿を見て、こうなっているんだ、何とも思わないのか」
　篤美が転がって、物憂げな、それでいて、悲しげな瞳で見上げていた。
　健太が見ている前で、二度目の絶頂をさせられたばかりだった。
　しどけない姿で、足下のマットに転がされても、もはや抵抗する気力はなかった。
『健太…』
　決して望んでいないのに、恋人の前で、他の男に二度も逝かされてしまった。
『建太以外のヒトに逝かされちゃった…』
　裏切りだと思う。
『でも、健太は、怒っているのに、なんで、そんなに勃起してるの？』
　篤美には、それが何でなのかわからない。自分がエッチなのがいけないのか。
　だから、建太が勃起しているのを怒れない。いや、むしろ、勃起しているのを、何とかしてあげたい、と思ってしまっていた。
「さてと、とりあえず、湯川が、スケベなことはわかった。後は、妊娠するようなことをしていないか、だな」
　フゴフガと健太が躰を揺らして抗議するが、たちまち、しびれきっている両手を強く握られ、身をのけぞらせて苦悶する羽目になる。
「さて、湯川、スケベな躰で、さんざん感じまくりやがったんだ、何にも知らないとは言わせねぇぞ」
　ぐったりした篤美は、ただ、そっと足を閉じて、顔を背けただけだった。
「まあ、答えなくてもいい。今から試せば、ちゃんとわかるからな」
「試す！？」
　ぎょっとして、目を見開く篤美。
「うん？そんなの当たりめぇだろ」
　こともなげにつぶやいた次の瞬間、ズボンをしごき降ろして、船岡は篤美の足の間にいた。黒く巨大なモノが、篤美に狙いをつけていた。
「いやっ！」
　我に返った篤美は、小さく悲鳴を上げて、船岡の躰の下から何とか脱出しようとする。
「おい、抵抗するならしてもいいが、どうせ、おまえはやられる」
　押さえ込んだ船岡が耳元に囁やいてくる。
　無視して、懸命に逃げようとするが、がっちりと抱え込まれている上に、激しいオーガズムを感じたばかりの躰では力が入らない。
「おまえが暴れるなら、その分、健太に、痛い目にあってもらうことにしようか」
　小さな声だが、篤美の動きが凍り付いたように止まる。
「ひ、ひきょうよ」
　気丈な声で、篤美は、言い返す。ごく小さな声で。
　健太に知られてはいけない気がした。
「どのみち、やられるなら、痛い思いはしない方がお互いのためだろう」
「何にもしないで」
「さんざんぱら、感じて、逝きまくってたんだろ。自分だけ感じてそれでお終いか？」
　からかうような声に、精一杯反抗する。
「それはあなたが勝手に」
「元はと言えば、おめえらが、大人の事情に勝手に口をつっこんできたんだ。そういうやつは罰を受けて当然だろ」
　そう。事の起こりは、さっき二人で体育教官室に乗り込んだのだ。
「菜緒コーチに手を出すな、これ以上するなら、コーチに言うぞ」
　抗議する建太に、最初、船岡はきわめて紳士的で、丁寧な態度を見せる。
「こんなところでは、菜緒コーチもお困りになるだろう。きちんと事情を話すから来てくれないか」

　誰にも告げずに来たことをさりげなく確認してから、船岡は、この第二体育倉庫に連れ込んだのだ。
　ここは体育祭の道具が入っているため、秋のシーズン以外に誰も来ることはない。
　おまけに、高い天井にある天窓以外は、頑丈に囲われているから、不良が入り込むこともできない。もちろん、カギは体育科に置いてあった。
　その上、体育館の裏側にぽつんと一つだけ離れているこの場所は、どんなに気まぐれな教師でも来るはずがなかった。
　引き継ぎを受けた船岡が、いずれ狙う次の奴隷を陵辱する場所として、真っ先に目をつけた場所だ。
『まさか、こんなに早く使うとはな』
　内心、苦笑混じりだったが、湯川というのは、意外な獲物だった。
　まだ何回も練習を見ていないが、船岡への警戒心が露わだったから、篤美は、初めから対象外だった。
　少しボーイッシュだが、本来なら真っ先に狙いたい美少女だったのだ。
　それが、いま、激しいオーガズムを感じさせ、ピンクの美肉まで、あとわずかだ。
「検査」などするまでもなく、未通の秘所だとわかるキレイな美肉だ。
「さて、どうする、あくまでも抵抗して痛い目に遭うか？それとも、健太がこれ以上痛い目に遭わないように、おまえが我慢するか？」
　悔しさに、血が噴き出しそうなほど白い歯が唇をかみしめて黙り込む篤美。
「そうか、じゃあ、考えておけ、とりあえず、五発ほど蹴りを入れてやろう」
　船岡が身体を起こそうとした瞬間、目を閉じて、篤美は全身の力を抜いた。
「好きにしなさいよ」
「くくく、まあいい。なかなか物わかりがいいということにしておこう。湯川はいいマネージャーになるな」
　篤美は、一切の反応をしないと決めて、その、気持ちの悪い猫なで声を無視した。
「じゃ、ご褒美に、一回感じさせてやろうな」
「そんなこといいから、さっさとしなさいよ」
「そうはいかん、さっきからスケベに感じて、だいぶマ○コも広がったが、おまえの躰は、まだ、未完成だからな。ゆっくり楽しませてやるぞ」
　さぞ、窮屈な肉孔が楽しめるだろうと、船岡は、舌なめずりをする。
　良く聞こえない二人のやりとりから、急に抵抗をやめた篤美に建太は焦った。
『このままでは、篤美がやられちゃう』
　一メートル向こうにいる恋人が、今まさに、他の男に、やられようとしているのに、どうすることもできないのだ。
　腕よ折れよとばかりにもがいても、いっこうにロープはゆるまない。むしろ、ぎしぎしロープが鳴る度に腕がしびれ、感覚がなくなる一方だ。
　それなのに、健太のペニスは、ヘソにくっつきそうになったまま、いっこうに戻らない。
　篤美が、他の男に弄ばれているのに。
　いや、さっきから、篤美が、こらえきれない快感の声を漏らす度に、ヒクヒクと脈打って、ますます猛った姿になってしまうのだ。
　自然に包皮が剥けて「一人前」の姿だ。
　足下で、篤美が男に激しく舐められてもだえている。
　こらえきれずに篤美が漏らす声は、目を閉じている健太の怒張をはげしく刺激し、わずかに躰が揺れる振動で、射精してしまいそうになる。
　篤美の声が急に切迫する。
　思わず目を開けると、胸を弄られながら、白い背中でブリッジを作って、あうっ、という、こらえきれないうめきを連続して漏らしていた。
　篤美が三度目のオーガズムに達した瞬間だった。
　恋人が、男の愛撫にのけぞった姿を見て、今にも射精してしまいそうなほど、ペニスが張りつめてしまう。
　そのまま、カエルのように両脚を広げ、その間に、男がゆっくりと被さっていく。
『あつみ！』
「痛っ」
　初花を散らした瞬間に、篤美が思わず漏らした声だった。
　顔を建太から背けていた。
　小さな篤美の躰が、船岡に押しつぶされるように広げられていた。無惨な姿だった。
「高校に受かったら、初めてを、お祝いにね」
　昨日、照れたように約束しながらキスしてくれたのが、ずいぶん遠い記憶のように健太の胸に響いている。
　初めて見た、小さすぎる篤美の秘唇。
　あの部分に、ちらりと見えた、男の凶悪なモノが入っているのだ。それは、健太とは比べものにならないくらい大きなものに見えた。
　
　いくら逝った直後の柔らかい美肉でも、未発達な篤美の躰には大きすぎた。
『いっぱい過ぎる！』
　処女を散らされた哀しみよりも、躰が目一杯広げられているほうが今の篤美には大きな問題だ。のど元まで貫かれている気がした。身動きできない。
　最初に、躰の奥でプチンと何かが切れた瞬間以外、痛みは思ったよりひどくない。
『このままだったら、我慢できそう。でも…』
　男は動かずに、両手で、胸のふくらみをそっと触っているだけだ。
　痛みが薄らいで来るにつれ、不安が大きくなっていく。
『もし、もしも、このまま…　感じちゃったら…』
　さっき、弄られて逝ってしまった。でも、今しているのは、本当の「セックス」だ。
　これで感じてしまったら、建太の顔が二度と見られない気がした。
『そんなにエッチじゃないもん』
　懸命に自分に言い聞かせているが、胸をサワサワとやさしく触られると、さっきと同じように背中がぞくぞくする感覚が生まれている。
　その上、乳首をやさしく弄られると、なぜだか、痛いはずの場所が、キュンとしてしまうのだ。
『あぁ、なんだかヘン』
　痛いはずの場所から、モヤモヤした感覚が生まれていた。
「あう！」
　不意に、敏感なボタンを弄られた。
　はっきりとした快感が生まれていた。
「いや！」
　慌てて逃れようとするが、かなうはずもない。さっき、否応なく躰に教え込まれた快感が蘇っていた。不安なほどの快感に耐えるには、何かに掴まるしかないのだ。
「いやぁ」
　そう言いながらも、篤美の細く白い手は、すがりつくように船岡の背中にまわされ、忌むべき陵辱者をしっかりと抱きしめてしまう。
『そろそろか』
　もはや、動いても良い頃合いだった。
　何人もの処女を奪ってきた船岡は、初めてでも、感じさせる技を知っている。
　感じてしまうと、処女は他人に訴えられない。己の恥だと思うからだろう。
　乳首を軽く捻ると、オンナの淫声が漏れ出る。もはや声を我慢できないのだ。その上、怒張を包む美肉がわずかにヒクリと動き始めていた。
　二人の間に差し込んだ左手で、小さなクリトリスを本格的に弄り始める。
「うっ、あうぅ」
　乳首をサラサラと掃くような動きで右手で触りながら、クリトリスも、クルクルと円を描くように動かす。
『こいつは有望だ。こりゃ、ひさしぶりに、ロストバージンで逝くか？』
　未発達なように見えた美肉は、十分軟らかく怒張を包み込んできていた。
　膜が破れた痛みが薄らいでいるようだ。これなら天性の性感をむき出しにできそうだ。
　ゆっくり、ずるずると、引き抜く動作をする。
　数度のオーガズムでビショビショの秘唇から、ぴちゃっというしめった音がする。
　ホッとしたという表情の中に、いくばくかの違う表情が見えた。
　反転すると、とたんに、苦悶の表情を浮かべる。しかし、痛いとは言わない。
　あくまでもゆっくりと。しかし、止まらず、クリトリスを弄ったまま、動き続ける。
　そのまま十数度も動いた時だった。
「あっ」
　突然、小さな声が、かわいらしい唇から漏れてきた。
　いつの間にか、怒張を包む美肉に、新たな蜜が湧き出していた。
　クリトリスから手を離し、肘で躰を支えながら、両手で乳首を集中して攻めてやる。
　代わりに、深く入った時に、躰をこすりつけるようにして、クリトリスを刺激する。
「あう、あう、はぁ〜、うっ」
　もはや、はっきりと船岡の動きに合わせて、あえいでいた。
　ピッタリと巻き付くような美肉の中に、処女特有の引っかかりがカリを刺激する。
　何かを拒否するように、篤美が急にショートヘアを振り立て始めた。
　船岡の背中にまわされた華奢な指先に力が込められる。
『よぉ〜し、ここだ！』
　一気にスパートを掛けた。背中を丸めて、美少女のやわらかな唇を奪う。
　もはや、逆らう余裕もないのだろう。
　甘い口中を、舌で好き放題に犯し、唾液を流し込む。
「ふぐぅ、あぐ、ふぐ」
　口をふさがれて安心したのか、舌を絡められたまま、あえぎ声が漏れている。
　流し込まれて唾液をコクリコクリと飲み下していた。
　その身体に、ヒクヒクッと力が入った瞬間だった。
　チュポンと音を立てるようにして舌を引っこぬいた。
　ふさがれているはずの口から、声が止まるわけはなかった。
「あうぐぅ、あ、あう、はうぅ！、い、いく！いく！」
　キュキュッと狭い肉孔が締め付けながら、篤美の白い躰は、望まないオーガズムの快楽に満たされてしまっていた。

『汚れちゃったの。ごめんなさい』
　心の中で謝り続けている。
『犯された』
　それは仕方ないと思った。健太のために、犠牲になっても良いと思った。
『逝っちゃった…』
　ムリヤリ犯されたはずなのに、感じてしまった。
　高校に受かったら、結ばれるはずだった、ふたりの約束。
『約束、守れなかったね』
　初めてのセックスが、恋人の目の前で他の男と、だなんて。
　しかも、あと数日で生理を迎えるはずだと聞き出した船岡は、思いっきり感じてしまった篤美のナカに、生臭い精液を、ドクドクと注ぎ込んできたのだ。
　熱いモノが躰に広がるのを感じながら、自分がどうしようもないほど汚されてしまったのだと思った。
「おい、スケベなおまえを見て、カレシが逝っちまったぞ」
　気がつくと、篤美のそばに、建太の匂いが、点々とこぼれていた。　
　手も触れないまま、建太は爆ぜてしまったのだ。
　目の前の恋人が犯されているのを見て、射精してしまったようだ。
　建太は顔を上げない。よほど恥ずかしいのだろう。
『私だって、どんな顔をすればいいのよ。でも、建太も、きっと苦しかったのよね』
　恋人の目の前で逝ってしまった自分を、篤美は責めるしかなかったのだ。
　だから、建太を楽にしてあげられるのなら、何でもできると思った。
『汚れちゃったけど、建太が気持ち良くなってくれるなら』
　そんな篤美の気持ちを、船岡は正確に見抜いて命令してきた。
「後始末だ。キレイにしたら、建太とやらしてやる」
　ニヤニヤしながら、ドロドロと汚れた怒張を篤美に突きつけてくる。
　篤美は、自らの血と秘液でドロドロと汚れた船岡のモノを舐め取るしかない。　
　建太と同じような味。でも、全然違う味。
　微かに鉄の味が混ざっているのは、篤美の初めての印だった。
　一刻も早く建太を迎え入れてあげたい一心で懸命に舐め取って、飲み下したのだ。
　建太に、自分の躰で、早く気持ち良くなって欲しかった。
『汚れた私だけど…』

　だから、縛られたまま建太が横たえられて、篤美は、ためらわずに馬乗りになった。
　まだヒリヒリする篤美のナカに、建太の硬いモノが入ってくる。
　他のオトコの精液を溜めたままの美肉を、カチンと音がしそうなほど硬くして、建太が貫いているのだ。
　他の男のモノで感じたオーガズムは、篤美の秘所を柔らかくしていた。
　血と秘液、そして、違う男の精液でドロドロに汚れたままの美肉が、恋人のペニスを飲み込んでぐちゃぐちゃと動いていた。
　いざ迎え入れてみると、この格好では、どう動いて良いのかわからない。
　コツが分からぬまま、建太を飲み込んだ腰を懸命に動かし続けた。
　建太が「やめろ」と叫んでいるのは見ないふりをして。
『ヒリヒリする。でも、やめない』
　うっすらと汗を浮かべながら、篤美は動き続けていた。
　突然、建太が激しく首を振った。
　どけ！と叫んでいるのが分かる。
『いいの。汚れちゃった私だけど。建太、出して。いっぱい』
　わずかに痛む、心と美肉を振り立てながら、建太が身体の中で、熱いモノをいつまでも噴き出し続けるのを感じていた。
　噴出を受け止めて目を閉じた篤美に、初めて流れた涙は、何だったのか。
　その涙に、ストロボの閃光が何度も反射していた。