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　本通りからは、一筋離れているが江戸時代からつづく老舗旅館の伏見屋。
　３年前に行った改修工事を境に赤字経営に落ち込んだ。
　代々続く店の主人に特別な手腕はない。
　番頭の合田が紹介した、金融業者のマルフク。
「老舗旅館の伏見屋さんになら、ご入用なだけ…」
　毎月の回転資金のためにと湯水のように供給され、積み重なった借金は、すでに数千万になっている。
「伏見屋さん、老舗旅館の信頼で協力させてもらってますが、利子の入金が怠るようでは困りますなぁ」
　"マルフクローン"の看板を掲げる福田剛三は、町一番といわれる料亭"睡蓮"の奥座敷の上座に座り、外国タバコをフーと吹かしていう。
「来月には必ず…」
　伏見屋の主人の青木好司は、老舗旅館の後継ぎとして大事に育てられ、気楽な甘ったるい人生を送ってきた。
「そうは言っても、当てはあるんでしょうなぁ」
「それは…」
　言葉を詰まらせる好司に、剛三はたたみかけるようにいう。
「それじゃ、今日のところは恒例の宴会に奥さんの、何と言われましたか…、彩子さんに酒の酌でもして頂きますか」
「・・・・・・、それは、どういう…」
　突然の事に好司は、また言葉を詰まらせていう。
「いやいや、宴会といっても金融仲間、３．４人の小さな酒会ですよ…、どうです、これぐらいで利子が棒引きになるんだから安いもんでしょ」
　ぼんぼん育ちの好司は、剛三の口車に乗ってしまう。
「今月分は、まあ大目に見ることにして来月は奥さんにお出まし頂きましょう」
　剛三の言葉は気楽な調子である。
・・
　月が変っても資金繰りが大きく改善する訳も無く、宴会の日は近付いている。
「あなた、本当に大丈夫なんですか」
　美味すぎる話に嫌悪する彩子が問い掛ける。
「大丈夫だ、宴会で酒の酌をするだけだ」
「そうじゃなくて、お金の方は…」
「そりゃ心配ない、向こうの提案なんだから」
　そんな空虚な会話も時間を止める事はできづに、その日はやってくる。
・・
　しっかり身支度を整えた彩子。
先代の主人が、息子の嫁にと選び抜かれた彩子の着物姿は絶品である。
　長い髪は結い上げられ、ほつれ毛を通して見えるうなじが艶っぽい。
　大きな瞳に小さな口、鼻筋の通った小ぶりな瓜実顔、美形の少女が艶やかさを増して理想どおりに熟れた女になっていた。
　強いて欠点があるとすれば、大きく張出した胸が着物姿に窮屈そうな事ぐらい。
　睡蓮に出向いた彩子は、奥座敷の襖を開けると深く頭を下げた。
「このたびは…」
「おぅおぅ、よく来てくれましたな、堅苦しい挨拶は遠慮しますよ」
　剛三は上機嫌である。
　コの字に据えられたテーブルには、所狭しと料理が並べられている。
　テーブルには３人の男達、上座に座った剛三に資金を提供している不動産業の上倉隆治、町医者の米本弘樹、いずれも体格がよく人生盛りの中年男である。
　上倉と米本には、寄り添うように着物姿の女がついている。
　一人は、睡蓮の女将の淑子、数年前に未亡人となり町一番といわれる料亭を切り盛りしている、もう一人は彩子の知らない女だった。
「さぁ、こっちへ」
　剛三の言葉のままに、隣の空いた席につく彩子。
「それじゃ、メインディッシュの彩子夫人の登場でもあるしメンバー紹介と行きますか…」
（？？？）
　「メインディッシュ」の言葉に彩子は不安な思いを募らせる。
　剛三が知らぬ男達の名前と年齢、職業を告げ、女達の名前と出生を並べ立てていく、彩子の見知らぬ女は、幸代という会社員の妻ということだった。

　宴会はすすみ６人は、ほろ酔い加減で盛り上がっている。
（何とかなりそうだわ）
　彩子がほっと一息ついた頃。
「みなさん、それではそろそろ恒例の花見といきますか」
　酒の酔いに、いっそう上機嫌の剛三が声をあげる。
「さあ、彩子さんも二人にならって花見せですよ」
　剛三が彩子の背中をポンと突き放す。
「あらっ、まだ宵の口ですのに」
　淑子が立ち上がる、訳が解らず彩子はポカンとしていると、連れ添うように並んだ幸代も帯を解き始める。
「彩子さんも並んで立ってくださいよ」
　米本は彩子の手を引き立ち上がらせると、淑子と幸代の間に立たされた。
「何を…？」
　戸惑う彩子をよそに両脇の淑子も幸代も長襦袢姿になっている。
　米本は脱ぎ捨てられた二組の着物を抱えて部屋の隅へ運んでいく。
「そろって同じように……そうそう、忘れてましが幸子さんも、奥さんと同じように借金抱えた夫をお持ちなんですよ」
　上倉が幸子の事情を明かす。
「まぁ」
（そういうことなの）
　彩子は今まで以上に緊張し手を振るわせる。
「そうなんですよ、事情がよく飲み込めたようですな…、さあ、旦那のため・借金のため人肌脱いで頂きますよ」
　上倉がそう言って酒をあおると、剛三は淑子たちに目配せする。
「さあ、さあ、早く用意してください」
　淑子と幸子が彩子の帯に手を掛ける。
「まって、待ってください。…そんなこと聞いていません」
　膝頭をガタガタさせて、座り込んでしまいそうな彩子を二人の女が引き上げている。
「子供じゃないんだから、奥さん、酒を注いだくらいで金になるとは思ってないでしょう。…さぁさあ、３人そろって花見といきましょう、それとも汁ヶたっぷりのザクロに成ってるかな」
　酔いのまわった剛三の口は絶好調である。
「それじゃ、いいでしょ」
「…」
　言葉のない彩子の様子に、淑子が帯を解く。
「後は自分でねぇ」
　長襦袢姿になると彩子は、力なく座り込んでしまう。
「おぅ、その調子、みんなも腰を降ろして花見せじゃ」
　米本がはやしたててくる。
　淑子と幸代は、いつもの事とばかりにガバッと股を開いて襦袢の裾をたくし上げていく。
「おぅおう、景気のいい開きっぷりじゃ、…相変わらず女将は濃いいのう」
「もぉ〜、いやだわ」
　米本と淑子は異様に気さくに、卑猥な会話をする。
　男達は、宴席の配置のペアで、特等席に鎮座する。
「伏見屋の奥さん、そうもったいぶってないで、頼みますよ」
　お預けをくらった剛三は、彩子を急かして言う。
「いやっ、できませんそんなこと」
（どうしてこんなことに…）
　恥じらいに頬を染めて、訴える彩子。
「いいんですか、伏見屋が人手に渡っても」
「そんなぁ」
「世話がやけますなぁ」
　剛三は返事も聞かず彩子の白いたびを履いた足首を押し広げる。
「あぁっ、やめっ…」
「いいんですか、止めても…そぅそう、パ〜と開いててくださいよ」
　剛三は足首を取ったまま覗き込んでいる。
「おぉぅ、なんと…上品な生やしっぷりですなぁ」
「ビラビラの色がうすくて、若々しい」
　隣の男達が覗き込んでいう。
「いやぁ〜ん」
　平静を装う淑子と幸代を前に、彩子はビクビク身悶えている。
「ふむふむ、これは待たされたかいがある」
　剛三は、納得顔で、"どうだ"とばかりに米本達と顔を見合わせ、なぜか自慢げにしている。
「見ているだけではつまらんでのぉ、船盛りの刺身でも味合うか、濃いタレをつけてのぉ」
　剛三の声に上倉が船盛りを引き寄せてくる。
「疲れるだろう、そお突っ張ってないで肩を落としていいぞ」
　後ろ手に身体を起こした女達が肩を落とすと、上倉が枕を３つ用意する。
「みなさん、これ使ってくださいよ」
　米本がタップリのわさび醤油を用意すると、一番になって淑子の股間に醤油の滴る鯛の身を塗りつける。
「あっ、冷たい」
　淑子が身体をヒクッとさせて身悶える。
「それじゃ、こっちも」
　上倉が幸代の股間にこねこねする。
「いゃ〜ん、もぉ、気持ち悪い」
　幸代は、腰をフリフリ逆らっている。
「こっちは、丁寧にまんべんなくやりますよ」
　剛三はビラビラを一枚一枚剥がすように、濃いわさび醤油を塗りつける。
「…」
　耐えるようにして声のない彩子をよそに、剛三は奥へ奥へと鯛の身を送り出す。
「あっ」
　彩子の喘ぎ。
「あらあら、鯛が飲み込まれてしもうたがな」
　やけに嬉しそうな剛三。
「心配いらん、直ぐに取り出してやるからのぉ」
　たっぷりわさび醤油を手にからめて秘園を探りだす。
「あっ、だめ、早くして」
　慌てて身体を起こす彩子、コネコネいじっる剛三の指先は鯛の身を突き入れている。
「あっ、早く取ってぇ〜、あっ、だめぇ〜、あっ」
「奥さん、なかなか敏感ですなぁ」
「あっ、ちゃんと取ってください」
「どこです、ここですか」
「あっ、いやぁん、あっ、その…その奥、あっ、そこそこ、あっ」
「ほら、奥さんも腰を振って手伝ってくださいよ、そうそう」
「あっ、あっ、そこじゃなくて、あっ、もっと奥にぃ〜」
　彩子と剛三のやりとりに淑子も幸代もあきれている。
「ねぇ、なに見とれてるのよ」
　淑子が米本に嫉妬の混じった苦情をいう。
「よしよし、わかった奥をさぐってやるからな」
　酒の残った銚子を手にする。
「こいつも効くぞ」
　毛深い恥毛を分け入って銚子を押し込んでいく。
「あっ、なにそれ、あっ、お酒残ってるじゃない」
　嫌悪を隠さぬ表情の淑子。
「それじゃ、こっちはこれだ」
　ビール瓶を取っていきなり突き込む上倉。
「あっ、痛、だめ、まだだめよ」
　腰を引く幸代。
「何がだめだ、もうこんなに咥え込んでるじゃないか」
「あっ、もぉ〜、…あっ、すごい、あっ、ふといわぁ」
　３つの花遊びは花盛り。
「ふぅ、やっと取れましたなぁ、ほら、醤油が白い液に化けてるぞ」
　剛三は鯛の身をかざしている。
「あっ、いやっ」
　彩子は、わさび醤油に股間を疼かせ、くなくなと腰を振る。

「盛り上がって来たところで、花見の次は松茸刈りといきますか」
　剛三が声を掛けると、女達は裾を整えて正座すると、男達が寝そべった。
「ただ探していても、松茸は見つかりませんよ」
「一番に見つけるのは誰かな」
　淑子と幸代はさっさと米本と上倉の股座に顔を寄せ、しゃぶりついている。
「奥さん、松茸を探し後れると松茸の料理担当してもらいますよ」
　剛三が彩子を急かしていう。
「松茸の料理？」
「そうです、しっかり焼いて、いい匂いの汁をしぼるんですよ」
「そんなぁ」
「早くしないと負けますよ」
　そう言われて剛三のゆかたの裾を手早くめくる彩子は、なえてまだ松茸に成りきらない肉根をパックリ咥えた。
　このころには、彩子もすっかり卑猥な宴会の雰囲気に染まっている。
「松茸見つけたわ」
　淑子と幸代が、そろって手を上げる。
　米本も上倉も、そんな宴会を好むだけあって片手に余る大きな松茸を競うように掲げている。
「ほら、言ったじゃないですか、奥さん」
　わざと残念そうな素振りの剛三。
「料理前に、松茸がりの指導をしてあげますよ」
　剛三は彩子の頭を上下する。
「こっちは松茸が無くならないようにしておかないと」
　淑子と幸代は、たっぷり唾を垂らしてしごきだす。
「奥さん、松茸の表と裏は解りますか…裏を舐めて」
　言われて彩子は、淑子たちの松茸よりも一際太くて長く育った松茸の裏すじを舐め上げる。
「そう、そこです」
「それじゃ、松かさの境目は」
　彩子は、はちきれそうに伸びきった結び目に舌を添えていく。
「ここかしら」
「そう、そこ、そこが一番見つけやすくする所ですよ…その上の割れ目もいいかもしれませんなぁ」
「次は、松かさを舌で、ぐるりと一周です」
「あぁっ、大きすぎて、あぁ」
　くぐもった声でもごもごいう彩子。
「次は、根元まで飲み込んで」
　３分の１程をやっと飲み込む彩子。
「それじゃだめだなぁ、口だけじゃなく喉を膨らませて奥まで飲み込まないと」
　やっとの思いで３分の２程を咥えこむ。
「まあ、大きい松茸ならそんな物だろう、それをしっかり往復する…そうそう」
「萎えた松茸の対処を知っとかないと」
　剛三の指導に、米本が割り込んで言う。
「それには、根元をしっかり絞り込むようにする、これは実地は無理だなぁ、どれも胞子を撒き散らす準備が整ってるからなぁ」
「まあ、そいつは次回にして、料理に取り掛からないと」
　焦れた様子の上倉が言う。
「まあ、今日のところは数も合ってることだし、好きに料理しようじゃないか」
　剛三が提案する。
「それじゃ、料理は飛ばしていきなり食べますか」
　米本も待ちきれんとばかりに、淑子を押し倒すと、次々と３組の花と松茸が繋がっていく。
　３組のペアは、いつしか乱れて、どの松茸も全ての花を味わった。

　汗だくで髪を振り乱した彩子は、呆然とした表情で寝そべっている。
「奥さん、どうです来月も酒の酌、頼みますよ…もちろん入金があれば別だが…」

つづく