第６章

１．再び

「美希、開けるぞ」
　シャワーを浴びて着替えようとしたとき、突然、男がドアを開けた。
　美希は、慌ててバスタオルで体を隠す。
「これを着な」
　男は、そう言って、脱衣籠に服を投げ入れた。
　男が持ってきたのは、美希の学校の制服だ。
（・・・・制服？・・・・・どうして・・・・）
「美希、わたし、入るわよ」
　麻子の声だ。
　考えている暇はない。美希は、麻子と入れ替わりに制服に着替えてバスルームを出た。

「おじさん。どういうこと？」
　美希は、男のそばにより、小声で訊いた。壁の向こうにはまだ、里美がいるはずだ。
「いろいろ考えたんだがなぁ。呼び出していきなりレイプってんじゃ、完璧に犯罪だろ」
「だって、さっきだって、いきなりレイプしたでしょ・・・」
「あれは、撮影だ」
「今度も撮影でしょ」
「あのな。さっきのは、こっちとしては、一応お前たちが了解しているという前提でやったことだ。だから話を聞いてない麻子も里美も優美にだまされたと思ってる。でも、今度は、こっちも優美が了解していないことを知ってるからな。優美に訴えられたら、お前も、知らないじゃすまないぞ・・・・」
　男は、最後の一言をさらに声を落としてしゃべった。
「優美が訴えられないように手を打っとかないとな」
「どうするの？」
「教室でお前を撮ったビデオな。あれには優美は写ってない。声は入っているが、声じゃ本人だと特定できないんでな。優美達がお前をいたぶってるところをビデオに撮っておく」
「わたしを？」
　美希の表情が曇った。
　復讐のためとはいえ、もうさんざん男達に嬲られた後である。
「・・・どうした？・・・今、やめたら・・・うそがばれるぞ」
「わかってる。やるわ」

　３０分ほどで優美と正彰がやってきた。
「来たわよ」
　部屋には、男の他に、カメラと照明、壁際に学生服姿の男が３人・・・それと制服姿の美希がいた。
「悪いな。壁の穴からだから、誰でもいいかと思ったんだが、あれのサイズも違うし・・・やっぱり本人のほうがまちがいないんでな。」
「こいつ、あれだけはでかいからなぁ」
　優美が正彰の股間に手を当てる。
「やめろよ。こら」
　正彰が優美の腕を払う。
「何だよ。美希とやれるってだけでのこのこついてきやがって・・・」
「うるせぇって・・・」
「麻子たちは？」
「帰った。最後のシーンだけだからな。彼女らは必要ない」
「そう・・・」

　優美は、床に座ってうつむいている美希の横に行って美希の顔を覗き込んだ。
「美希も女優さんになっちゃうんだねぇ。AVだけど・・・・」
　美希の顔に手を掛けて、正彰のほうに向けた。
「ほら、お気に入りの美希ちゃんだよ」
　美希は、ぎっと奥歯をかみ締めた。

　学校での屈辱的な思いが美希によみがえった。
（今だけよ。同じ目に合わしてあげるわ・・・）
　美希の目は、もう怯えてはいない。

　学生服に着替えた正彰が、壁の向こうに立った。
　優美も制服に着替えてやってきた。
「さぁ、用意はいいか？始めるぞ」
　男の声で、カメラが回りだした。

「さぁ、口をあけて、舐めるんだよ」
　優美が、穴から突き出された正彰の肉棒に美希の口を近づけるが、美希は口を閉じたままだ。
「早くしな」
　学生服の男が、しゃがみこんだ美希の股間に靴のつま先をこじ入れた。
　美希は、あの時同様、下着を着けていない。
「あっ・・・」
　美希の体が前に動き、顔に正彰のものがあたった。
　美希は、不快さを顔いっぱいに浮かべながら、正彰の肉棒を手で持ち上げて、舐めあげた。

「ちまちまやってねぇで、咥えろよ」
　優美のつま先が美希の脇に食い込んだ。
「早く・・・・」
　ようやく美希は、それを口に含んだ。
「ぐっと、飲み込むんだよ」
　優美が、たたみかけるように美希の後頭部に手を当てて、ぐいと前に押す。
　正彰のものが美希の頬の内側に当たる。
　美希は、壁に手をあて、前に押されないように手で支えた。
　あの時と同じだ。
　押されて正彰のものが咽に当たった。
「ぐうぇ・・・・」
　一度、戻されてまた押される。
　今度は、喉の奥に入った。
　悲しいことに、あのときほど苦しくは無い。
　もう、息もできる。
「はぁーっ」
　美希は、戻された瞬間に息を吸うが、また押される。
「ぐふぉえっ」
　むせたのは、正彰のものだという嫌悪感からで、苦しいからではない。

「おい、出すぞ」
　壁の向こうで、正彰はもう声を作ってはいない。
「早っ」
　優美がまた、あきれたような声で言った。
　美希は唇に力を入れて、口を前後に動かした。
「もっと早く」
　優美が、頭を押した。

（来る・・・・来る・・・・あっ・・・）
　美希は一瞬、顔をそむけようとしたが、こらえて、正彰のものを口で受けた。
　相変わらず、むっとする匂いだ。
　正彰は、大量に出した。
「口をあけて、見せてごらん」
　美希は、吐き気をこらえて、口をあけた。
　そこにカメラが寄った。
「すんごい量だねぇ・・・・」
　正彰のそれは美希の舌を完全に覆い隠すほどの量だ。
「飲み込むんだよ」
　わかっている。そうしなければならないことはわかっているが、やっぱり悔しい。
「ああ・ああああ・あああ・・・・・」
　美希の頬にまた涙が溢れた。

　ごく

　美希が飲み込む音が大きく響いた。

２．同じ目に・・・

　男の手の合図で優美が美希から離れ、カメラは、美希を捕らえたままゆっくり引いていく。
　スタッフが、美希に向かって何かを投げてよこした。
（パンツ？）
　男が、後ろを向いてパンティーを穿くように指示をしている。
　美希は、床に落ちたパンティーを拾って立ち上がり、カメラに背中を向けてパンティーを穿いた。

（わたしのだ・・・あの日、穿いてた・・・どうして、ここに？）

　カメラは、最後に壁の穴に寄って撮影は終わった。

「ごくろうさん」
　男が、美希に声を掛けた。
「ねぇ・・・どうして・・・・」
　美希は、男に話しかけたが、男は、もう美希の言葉を聞いてはいなかった。

「まだ、終わってないんだ」
　髭の男は、さっさと着替えを済ませた正彰に近寄って、正彰の腕をつかんだ。
「何すんだよ」
　男は、ポケットからナイフを取り出した。
　美希のバタフライナイフだ。
「何だよ・・・おい・・・」
　正彰の表情がいっきに青ざめる。
　それまで照明やカメラをいじっていた男達が、いきなり正彰と優美のまわりを取り囲んだ。
「何なの・・・おじさん・・・」
　事の成り行きが理解できない優美が声を掛けた。
「今度は、お前らが主演だ」
「何言ってるの？」
「おい、こいつのスカートとパンツを下ろせ」
　学生服姿の男優２人が、優美を左右から抱え、持ち上げる。
「いや。やめろ。やめろーっ」
　優美は足をばたつかせるが、男３人がかりではどうしようもない。
　上半身を持ち上げられて、シャツは持ち上がり、下半身は丸出しになった。
　カメラが、下からお尻を舐めあげる。

「いつも、こいつとやってるんだろ。出して舐めてやんな」
　優美は、両脇の男達に引きずられるように正彰の前に座らされた。
「早く、咥えるんだよ」
　優美を脱がした男が、頭を押して、優美の顔を正彰の股間に擦り付ける。
　優美が、手を突っ張って抵抗すると、男は、優美のアナルにホワイトボードマーカーをあてて、少し押した。
「いやーっ」
「言われた通りにしないと、けつに突っ込まれるぞ」
「やめて・・・痛い・・・痛い・・・・」
　優美は、急いで目の前の正彰のジッパーを降ろして、正彰のものを取り出した。
　喉元にナイフを当てられた正彰のものは、悲しいほど小さくなっている。
「大きくしてやりな・・・・」
　優美は、小さくなってしまった正彰のものを全部口に入れて、舐めるが、なかなか大きくはならない。
「ひざをついてこいつの頭を持て」
　男は、今度は正彰に耳打ちする。
　正彰は、言われたとおり床にひざをつく。
　男の位置が下がったので優美は、しかたなくよつんばいになった。

　髭の男が、目配せをする。
「ああ・・・・痛い・・・・いやーっ」
　お尻ではなく、前のほうにバイブの先端が挿入された。
「急げ・・・早くしないと、どんどん奥に入っていくぞ」
「あっ・・・・・」
　バイブの振動が始まって優美が思わず声を上げた。
　首元のナイフから解放され、男達の要求も概ね理解できた正彰は、ようやく落ち着きを取り戻した。
　正彰からも優美のお尻は見える。
　シャツの裾から真っ白な優美のお尻が露出して、それはバイブの振動を嫌がって微妙に揺れる。
　正彰のものが優美の口の中で大きくなっていった。

「よーし、そろそろ、穴に突っ込もうか」
　男達が、優美の両肩を持ち、正彰から離した。
「その前に、あれを噛ませろ。噛まれちゃ、大変だからな」
　髭の男の指示で、男達は、優美の口にホールギャグを咥えさせた。
　優美の口が開いたままになる。
　ゴム製のふたまでついている。
　それは、まるで洗面台の流しのゴム栓のようだ。

「いいぞ、穴につっこめ」
　髭の男の指示で、男達は、優美を壁の穴に押し込んだ。
　美希は、少し離れてずっと眺めていた。

（こんなふうに見えてたんだ・・・）

　壁から出たお尻は、ただの性器だ。
　自分のこの格好を笑いながら見ていた女の性器だ。

（もっとよ。もっとひどい目にあえばいいんだ・・・）

「さぁ、続きと行こうか」
　男は、正彰の肩を押して、優美のお尻の前に立たせた。
「いつものようにやってくれればいいんだよ」
　男は、片手で起用にバタフライナイフを操った。カチャカチャと音がするたびに刃が出たり消えたり・・・・。
　正彰は、自分のものを握って優美の中に深く差し入れた。
「中に出せ、いいな」
　男は、正彰の耳元で小さくささやく。
　美希には、聞こえなかったが、正彰の表情がはっきりと曇るのが見て取れた。

　ドアが開いて、麻子たちが入ってきたが、正彰も、もちろん優美も気づかない。
　大きく口を開かされた優美は、壁の向こうで呼吸音なのかうめいているのかわからない声をあげている。
　学生服の男が二人、壁の向こうに回った。麻子たちもその男達の後ろについていく。
　優美は、口を開いたままの醜い表情を晒していた。

(麻子・・・里美・・・)

　優美の視界に麻子と里美が入った。
「よくも・・・・」
　いきなり里美は優美の腹に蹴りを入れた。
「ぐふぉぇっ」
　優美の体が曲がる。
「里美・・・やめなって・・・」
　麻子が必死に里美を抱えて優美から引き離した。
　里美が大声を上げて泣き出す。

（何？・・・なんで・・・・）

　優美は、この状況がまったく理解できない。
　なぜ、二人がいるのか？どうして二人には何もなく、自分だけがこんなめにあっているのか？
　そして、なぜ里美が怒っているのか？
　わかっているのは、目の前の男達が、自分の口を使おうとしていることだけだ。

　男は開いたままの優美の口に差し入れると、そのまま、まっすぐ根元まで差し込んだ。
「ぐふぉ・・・おえぇっ」
　男は、むせる優美の頭を両手で固定し、ぐいぐい差し入れる。
　もう一人の男は、シャツ越しに優美の乳首をつまんでひっぱる。
「ぎゃぁぁぁ」

「はぁ・・・・はぁ・・・・・」
　正彰の息遣いが荒くなっている。
　そろそろ我慢も限界なのだろう。動きが鈍くなっている。
「出せ・・・」
　今度は、美希にも男の声が聞こえた。
（出せ･･･出せ・・・中に出しちゃえ・・・）

「ああ・・・・・あっ」
　正彰の動きが止まった。
「抜くな。じっとしてろ」

（いやーっ・・・・・）

　中に出されたことは、優美にもわかったが、それをどうすることもできない。悲鳴すら上げられない。
　男のものが喉の奥に入っていた。
　そして、そこにも男のものが放出された。