二人はどんどんと林の中へ入っていったが、多少平場になっているところで立ち止まった。
「夏生ちゃん、この辺でいいかな？」
「そうだね。」
　河原に来た二人は男が持ってきた物を拡げる。やはりビーチマットのようであった。そこに二人並んで腰を下ろす。
「やっと二人になれたね。」
「うん。」
「夏生ちゃん。」
「？」
　男は夏生に視線を合わせる。
「最初っから夏生ちゃんを狙っていたんだよ。」
「あらら。」
　夏生も男から全く目を逸らしたりはしていない。
「・・・・・」
　二人に附いてきてしまった優美は、自分の行動を公開しつつも結局のところ太い木の根本でしゃがんだ。
「こっちか・・・」
　一旦は立ち止まった場所にそのまま隠れたが、思い直したように二人の姿がよく見えるできるだけ近くの木陰まで移動した。
「最初っからなんて、ホントかな？」
　優美がすぐ側で息を潜め出したのに気付いていないのだろうか、夏生はいきなり男の首に両腕を回して囁く。
「昨日はゴメンね。」
「え？」
　予想していなかった夏生の行動に男は一瞬戸惑った。
「あたしの方から『もう一回』って言ってたのに別な人としちゃって。」
「あ、いや・・」
　男が首を振ると、夏生は回した両腕をすぐにほどいて不満げな表情を浮かべる。
「だって、関元先輩とも始めちゃうんだもの・・」
「それは・・・」
　言い訳をしようとしたが、夏生の視線がそれ程責めている感じでないのに気付き、自分の方に抱き寄せた。
「ゴメンゴメン、あとはずっと夏生ちゃんとだけだよ。」
「ホントにぃ？」
「ホントだよ。」
「うん・・・」
　夏生はトロ〜ッとした目つきで自分の方から男に口唇を合わせて、
「じゃあ許してあげる。」
「ありがと。」
　今度は夏生の口唇を塞ぎながら少し寄りかかるように力を加えると、あっさり後ろに倒れていく。
　「あ・・・」
　いくら近くにいるとはいっても、優美には二人の囁き合いが聞こえない。しかし勿論二人が口唇を合わせてビーチマットに倒れていく様子ははっきりと目に映っていた。
「夏生・・・」
　絶対にこの場にいてはいけないのだとどこかで自分に警鐘を鳴らしつつも、さらに引き込まれていく優美。

「夏生ちゃん・・」
「厭・・・」
「えぇ？」
「ナッちゃんがいい・・」
「そっか。じゃ、ナッちゃん・・・」
　ねっとりとした甘い声で囁きかけると、夏生のＴシャツをたくし上げた。
「ナッちゃん、いい形だね。」
　そして予め何も付けてこなかった夏生の乳丘をゆっくりとこね始める。
「ふ・・・」
　男の指が自分の胸を侵し出すと、深い溜息をついて右手の中指を噛み締める夏生。
「わ・・・」
　思わず声が漏れて自分でも驚いた優美であったが、それ以上に今のが二人に聞こえていなかったか心配になった。
「ナッちゃん、感じやすいんだね・・」
「ん・・・」
　良かった・・・
　何の反応もなく、心配には及ばず幸い二人にまで優美の声は届いていないようだった。
　少しの間指で夏生の胸を堪能していた男だったが、やがて交互に勃起した突端を舌で転がし始めた。
「んぁぁ・・・」
　男の言うとおり、夏生はかなり感じやすい体質らしくて、首を左右に振って喘いでいる。
「ナッちゃんのここ、固くなってるよ。」
　指で摘み上げ、擂り潰すような動きをする。
「ぃやぁ・・・」
　痛いのではなく、既に湧き上がる快感への身悶えの声を上げる夏生。

「ぁ・・・・・」
　いつか優美は両膝立ちになりジーンズのボタンを外しファスナーも下げて、ショーツの中に手を潜り込ませていた。
　昨日もしちゃったのに・・・
　自分の行為を恥じる一方、視線は夏生達から離せないでいるばかりか性懲りもなく再び自慰を始めてしまうなんて。自責の念に耐え切れなくなってきつつある優美の眼前で衝撃的な光景が広がっていくのだった。
　二人がビーチマットに倒れ込み、男が夏生の乳房に指と舌を這わせるようになってから、どのくらい経ったのか判らないが、夏生の息が絶え絶えになってしまった頃、男は立ち上がって下着ごと五分丈のズボンを脱ぎ捨てた。
　それと同時に男の股間でビンと跳ね上がる物が現れた。
「!!」
　もちろん優美は怒張した男性器を見るのは初めてだったし、それからすぐに夏生がとった行動で優美はヘナヘナと滑るように尻もちをつくように座り込んでしまった。
「わ・・」
　夏生も突如目の前で剥き出しになった肉棹に驚いたようだったが、
「わぁ・・」
　とても夏生の年齢にはそぐわない妖しげな目つきで一瞥すると、迷わず手を伸ばした。
「すっかりカチコチだねぇ。」
　握り締めて慈しむようにしごき始める。
「座って・・」
「ん。」
　男がビーチマットに座ると、夏生は男の膝元で四つん這いになって、再び肉筒をキュッと握り締めた。
「ああ・・・ナッちゃん・・・」
「いくよ。」
　ゆっくりと手の上下を始める。
「う・・・」
　夏生の動きは徐々に勢いが付いて、かなりの摩擦を加えている。
「寝て。」
「？」
「あたしのも・・ね？」
「あ、うん。」
　すぐに夏生の意図することが判って、マットの上で仰向けになる。ちょっと立って素早くタイトミニごとショーツまで脱ぎ去って下半身を晒すと、夏生は体勢をそれまでと反対にして、男の上で四つん這いになった。
「じゃ、今度は・・」
「!?」
　男の性器を握って摩擦しているのでさえ優美にとっては衝撃だったというのに、何と夏生はそこへ舌を這わせ出したではないか。
「ん・・ふ・・・」
　チロチロと舐めたかと思うと、根元から亀頭の舌辺りまで一気にペロ〜ッと舐め上げたり、夏生の舌技は昨日今日の賜物ではなさそうだった。
「ナッ・・ちゃん・・・」
　絶妙な口奉仕に呻きながらも、男は夏生の淫裂を指で押し拡げ、花弁の中心に舌を差し込んだり、淫裂全体を丹念に舐め回し、時々トロトロ滴り出る夏生の蜜をすくい取ったりしていた。
「んは・・・」
　発育途上の肢体にも関わらず性感は急弧を描いて上昇しているらしく、
「んむぅ・・・」
　舌を這わせるだけでは物足りなく丸く口を開けて棹頭を咥え込んだ。
「おぉ・・・」
　昂ぶる性感を沈めぬよう夏生の頭を押さえる。夏生は口から一度吐き出して男に訊く。
「・・・関元先輩とどっちが上手？」
「もちろんナッちゃんだよ・・」
「嘘つき・・」
　しかし、嬉々として頭の上下を始めた。

　木陰に座り込んだ優美は呆然とただ眺めているだけで、もはやほとんど何も考えていない精神状態だった。
　彼女の視線の先では、Ｔシャツも脱いで全裸になった夏生がマットに仰向けとなって、欲棒を胎内に受け容れようとしているのだ。
「ナッちゃん、いくよ。」
「・・・」
　夏生はただコクッと頷いた。
　桜色に濡れ光る膣口にあてがわれた醜悪な肉塊。優美の手首より幾分細いくらいのあんな物が本当に小柄な夏生の中へ収まるのだろうか・・・
　優美の無垢な思いにも関わらず、ゆっくりとではあるが男の醜肉は夏生に突き刺さっていった。
「うぁ・・・」
　搾り上げるような夏生の喘ぎ。
　根元まですっかり夏生に埋め込むと、男はすぐに腰を振り始めた。
「う・・・ナッちゃんの中熱いよ・・・」
「ん・・・」
　最初からかなり激しく抽送されているのに、幼い媚襞ではすぐに性感を得られないらしい。
「・・・あぁ!?」
　しかしそのうちにやっと淫肉が感じ始めたらしく、男の首を抱えて半ば強引に引き倒すと、口唇を貪るように重ねていく。
「はぁっ、あぁっ・・・」
　自らも腰を振り立てる。
「ナッちゃん、凄いよ・・・」
「う・・んぁっ！」
　二人の身体が激突することで織りなされる肉音そのものは優美の耳に届かなかったが、初めて目の当たりにする性交の様子は優美の目を開き放して瞬きさえも忘れさせていた。

　夏生が絶頂へ向かっていく中、欲棹は音を上げた。
「ナッちゃん、ダメだ、もう・・・」
　やっとそう呻いて男が夏生の淫裂から抜いた瞬間におびただしい量の白濁が一気に爆発し、色白な夏生の腹をさらに白く汚して、その先の体格の割に豊かな両丘にまでかなり押し寄せた。
「あぅ・・・いっぱい・・・」
「あぁ・・・ナッちゃんのが凄く良かったから・・・」
　息を切らして淫棹の雫を切る男をよそに、あどけなくも淫靡な笑みを浮かべる夏生。
「そうぉ？じゃ、も一回くらいできるよね！」
「まぁ・・・」
「んふ・・・」
　夏生が再び屹立させようと芯を失っていく肉棒を口に含み出すと、優美はフラフラと立ち上がり呆然とした表情のままテントの方へ歩き始めた。

「・・・あれが射精・・・あれがセックス・・・・・」

　夕食はログハウスの中で行われた。
　誰も平然とした顔で居並ぶ中、優美だけが呆然としている。
「優美、あまり進んでいないようだけど？」
　隣に座っていた夏生が訊いてくる。
「？」
　不思議そうに振り向く優美。
「食べないの？」
「・・何だかお腹減らなくて・・」
「そう、じゃ、あたしにくれる？お腹空いちゃって。」
「うん・・」
　優美は先ほど目にした夏生の狂態を思い起こしていた。しかしそれは何かしら遠い過去のようで、それどころか全て幻だったような気さえしてきた。
　ところが突然夏生はフッと短く溜息をつくと、優美に寄り添うようにした。
「優美・・・あたしね、さっきのことは判ってたんだよ。」
「！」
　ハッと息を呑む。
「覗かれてたからどうだってんじゃなくて、興味ないならあたしらがイクまで見てないで、そのまんまいなくなっちゃえば良かったのに。」
「あ・・」
　それは夏生の言うとおりだ。優美に反論できる材料はなかった。
「ま、いいよ。」
　椅子の上で脚をブラブラさせ始めた。
「優美だってこのキャンプ来てるんだからぁ。」
「・・・・・」
　優美の場合、何を目的としたキャンプであるのか全く知らなかったのだから、ある意味騙されたというのかもしれないが、この場に参加している限り夏生が言うような見られ方をされて否定はし切れない。
「絶対間違いないと思うけど・・・」
　夏生は一旦言葉を切って優美を眺め、
「優美ってエッチしたことない子だし、まぁ、あたしも最初の時うまく進めてもらえたから、優美はあたしなんかとより・・・」
　佳織達の方を眺めながら、言う。
「先輩達と一緒にいれば事がうまく進むし、絶対楽しいはず・・・」