１．集結

　そっと歩いてもギシギシと音を響かせる古びたアパート。
　学生時分から勉強が不得手だった北川武司は、大した就職先に付けなかった。
　武司の今の収入では、キシミ音が出るようなボロアパートがやっとなのである。
　頭の出来には恵まれなかったが、体は大きく屈強で毛深く男らしい男に育っていた。
　もちろん、男のシンボルも他に引けを取らない一品である。

　仕事帰りにブラリと本屋に寄った武司。
　金駒堂は１０畳ほどの狭い本屋、商売っけのない６０過ぎのオヤジがレジをみている。
　武司は、どんな本でも気まずい思いをせず買えると、ひいきにしている。
　何気なくＳＭ雑誌を手にした武司に、声を掛ける男がいた。
「すいません、ちょっとお願いしたい事が…」
　声を掛けた男は、真新しいスーツをキリリと着こなし、いかにも優良企業のサラリーマン、お金には困っていないといった風情である。
　作り笑顔の男は女好きのする甘いマスク、どこか人を引き付けるものがある。
（何を？）と訝しがる武司も、その風貌に気をゆるした。
「はぁ」
　あいまいに答える武司に、男は名刺を差し出してくる。
「籾山といいます、同士と見込んで、是非とも協力願います」
　丁寧な口調だが、鋭く意気込んだ眼差しが武司を萎縮させるほどである。
　名刺には、○○商事（株）、籾山誠二とある。
「同士っ？」
「ここでは…、直ぐ近くなんで家まで来ませんか」
　足を進める籾山に、なぜか吸い寄せられるように武司は着いていく。

　１２階もある鉄筋コンクリート造りの豪華なマンション、ゴトンと金属音を響かせ扉が開くと、そこは武司の住むアパートとは別世界の華やいだ部屋がある。
　ただ、中央にある不必要に思える白木の柱と大きなベットには違和感を感じる。
「さあ、どうぞ」
　籾山が窓ぎわに置かれたソファを進めると、武司は柔らかい椅子に体を沈めた。
「まあ、お茶でも」
　と部屋の隅に据えられた小さなキッチンからたて置かれたコーヒーを、金色に縁取られた、いかにも高価そうなカップに注いで運んでくると、芳ばしい香りが鼻をくすぐってくる。
　右手横には買い足す物など何も無いような、大きなモニター画面のＡＶユニットが目に付く、何もかも武司には羨ましいものばかりである。
　籾山が武司の向かいの椅子に座る。
「お名前を聞かせてもらえますか」
　籾山の問いに武司は名前も名のっていないことにあらためて気ずいた。
「北川武司です」
　先のよめない武司には、「よろしく」の言葉もなかった。
「籾山誠二です、よろしく。単刀直入に話させてもらいます。……お願いというのは、カメラマンを務めてもらいたいのです。もちろん、上手く事が運べば北川さんにもプレイに参加してもらってかまいません」
「同士とか、プレイとか、何のことですか」
　話の理解できない武司の口調が荒くなる。
「本屋で手にされてましたでしょう、…それですよ」
　ＳＭ雑誌を思い浮かべる武司。
「ＳＭプレイの撮影を？」
　武司の問いに、籾山はこと細かく話を始める。
　その話は、籾山には里美という恋人がいる、最近ＳＭプレイを楽しむ関係におちいったので何とか記録に残したいのだが、一人でプレイと撮影をこなすのは難しい、まずは武司にカメラマン役を担当してもらいたい。
　最初はハーフミラーの付いたクローゼットに隠れて撮影してくれればいい、というのである。

　武司が興味を引かれたのは撮影対象が、その種のプレイだったことにある。
　アパートには、武司の買い集めた、その種のエロ雑誌が多数転がっている事からも、はっきりしている。
　それでも、武司にとってその世界は絵空事であり、現実のものではなかった。
　ところが今、目の前で現実のものになろうとしている。

「やってみましょうか」
　武司の返事に否定の言葉がでるほど冷静でいられるはずもなく話は進む。
「話は決まりだ。里美は８時に来るよう呼んであるんです。すぐ準備にかかりましょう」
　籾山は立ち上がる。
・
　事前に用意されたビデオカメラを手に、屈強な体を持て余しながら狭いクローゼットの中に潜り込んだ武司。
　籾山は何やら怪しげな物を目の前のベットの上に並べプレイの準備に余念がない。
・
　８時を少し過ぎた頃、マンションに来客を知らせるチャイムの音が鳴り響く。
　武司は、いよいよかと踊り出すほどの興奮を胸に、使い慣れないカメラを掲げ身構えている。
　平然とした態度で玄関口へ向かう籾山の後姿をカメラの小さなファインダーに見ると視界から消えていった、里美と呼ばれる女が来たのだろう。
「よう」
　籾山の声に返事をする声も聞こえずガサゴソとした衣ズレの音、顔を見合わせた二人は、挨拶もそこそこに抱擁している。
　武司が誰もいない部屋の風景に苛立ちを覚えたころ、やっと一人の女が姿を表わした。
　ＯＬ風の女、大した苦労もなく裕福で我がままに育ったと言わんばかりに高価なスーツを着こなしている。
　武司には高根の花ともいえる、美人である。
「今日も縛るからな」
　籾山はベットの脇にある、よくなめされた縄をこれ見よがしに手にして自身もその感覚を確めているようだ。
「誠二さんがお望みなら」
　籾山は、抗う様子もなく立ちつくす里美に向かい、スーツのボタンに落ち着いた手つきで手を掛け剥きあげていく。
　外目には目立たなかった大きな胸の膨らみが自慢げに張り出し、真っ白なブラウスを高く持ち上げている。
　籾山の器用な指が上着に続いてタイトで短いスカートのホックを外す。
　むっちりと張りのある太腿、長い足、付根にはサイズを間違えたのかと思えるほど小さな逆三角形のパンティが淡い肌色のストッキングの奥に透けて見えている。
　里美は、籾山がブラウスのボタンに手を掛け始めると、指示もなく籾山の上着を脱がせネクタイを緩め始めた。
　いかにも恋人同士といった雰囲気が漂ってくる。
（俺もこんな女がいれば・・・）
　武司は暑くなってきた狭い空間で、屈辱感と初めて見るエロ雑誌に向かう少年のように官能的な興奮に大きく身悶えていた。
　馴れ合った二人は、助け合うようにして素早く身体を剥き身にした。
　服の上から見ても大きかった胸の膨らみは、くびれたウエストが露わになると、そのボリュームはより際立って見えてくる。
　ぽってりとした腰つきは異様に官能的で、バランスのとれた理想的な背の高さは下着モデルを思わせる。
　籾山が里美を背中に向け、武司のカメラを意識しているのか身体を横にズラせて、大きく膨らんだ尻たぶを自由にもてあそぶ。
「はぁ〜」
　里美が早くも身悶えの声をあげると、籾山は両の腕を後手に大きく重ね黒ずんだ麻縄で縛り始める、グイグイと容赦なくきつく縛るとグイッと縄尻を引き上げた。
「うっ、痛っ」
　里美の声など無視し、表を向かせて縄掛けを進める。
　大きな胸の上下を縛ると、胸はさらに大きく飛び出し、突端の干しぶどうは皺が伸びるほど突き出し張りを持ってきた。
　二本の縄尻を背中の腕から肩を通して、顎の下で一度結び首縄にして、さらに胸の谷間で上下の胸縄を繋いで、さらに締め上げる。
　くびれた乳房は痛々しいほど、くい締められている。
　籾山の手が、飛び出した乳首をやさしい手つきでなぞりだす。
「あぁっ」
　里美の喘ぎを聴くと、違和感を感じていた白木の柱に引き連れていく。
　伸ばした手にぎりぎり届く高さに付けられたフックに、里美の腕が繋がれる。
　グイグイ吊り縄を引き締める籾山、里美の爪先はピーンと伸ばしてやっと床に届いている。
「苦しいわっ」
　揺れる身体のバランスをとるのもやっとの里美は、白く豊満な腰をくなくなとＳ字にくねらせ身悶える。
　籾山は手を止めることなく縄掛けを続けている。
　ぽってりした腿をなぜると、左膝上をグルグル縛り縄尻をフックに掛ける。
　上品な恥毛に胸躍らされていた武司は、美女の秘密の園の公開にビデオの画像に目が釘付けになる。
（おぉっ）
　里美の左腿が引き上げられると、思わず声が洩れるのを必死で押しと留める武司だった。
　カメラのズームを効かせて局部に近ずくように拡大する。
　籾山が吊り上げた足をグイッと引き回して、秘部をクローゼットに向けてくる。
　腿を大きくはだけられたそこの縦すじは、すでにしっかりくつろげ奥の秘肉のピンク色までカメラはとらえている。
　漆黒の恥毛は亀裂まで届かず秘園の奥までスッキリと見せる上品さである。
　籾山の指先は、包皮に包まれた肉芽を剥いたり被せたりを繰り返し擦りあげた。
「あっ、いやっ」
　身悶える雪のように白い身体がファインダーの中で大きく揺れ動く。
　厳つい籾山の指が、くつろげた秘園の口に添えるように宛がわれるとよく発達した花弁が指に絡みついている。
　ズルッとなぞりあげると、蜜液にまみれた指が照輝いているさままでレンズを通してよく見える。
　指に絡まる、ぬめった淫水を肉芽にまぶすように捏ねます。
「あっ、はぁ、うくぅ」
　里美のムッチリした腰が指の動きに応えてクイ、クイッと突き出すように、止めようもなくうねりだす。
　武司はきつくなったズボンのチャックを引き下げ一物を投げ出した。
　秘穴の奥に溜めた蜜液をトロリと吹き始めると籾山は、里美の唇をしっかり覆い舌を絡めてディープなキスしながら、秘園の壺にヌルッと中指を突き入れる。
「あはぁ〜」
　顔をずらせて必死で呼吸を整えようとする里美の動きを許さず追いかけるように唇を重ねる籾山。
　指は薬指を加えて２本になり、小指と人差し指で大きなＶ字をかたどった手が激しく出し入れされている。
「あっ、あっ、あっ・・・」
　激しく喘ぎ身悶える里美の声にまじってクチャ、クチャと蜜液の卑猥な音が響いている。
　ムニュ、ムニュと２本の指に絡みつく秘肉の感触を楽しむ籾山は、半立ちのそれをうずかせ、スポッと音がでるほど素早く指を抜く。
　真っ黒で二股に分かれた張形を手に怪しげなクリームを塗りつけ始める。
　短く太いそれは武司の初めて見る異質な形状。
　ローター部分がやけに長く伸び本体部分が短かい。
　籾山はヌルヌルした秘口をクニュクニュと探り、ここぞとばかりにブスリと突き刺した。
「いやぁ〜っ、だめぇ〜」
　抗う言葉と裏腹に、くなくなと腰をくねらせ揺り動くさまは太短い張形を歓迎しているとしか思えない。
　焦点が定まらず潤んだ里美の瞳はうつろに宙を舞っている。
　スローな注送に応えるように欠かさず喘ぐ里美。
「あっ…・・・あっ・・・・・・いいっ」
（あっ、すてき〜、どうにかなっちゃう〜）
「あっ、・・・もっと、してぇ〜」
　短い張形を迎えるように腰を突き出し揺さぶる腰は発情した牝そのものである。
　真っ黒だった張形が乳白色の粘液で白く見えるほどの汚れてを見た武司の片手は、怒りきった一物を擦らずにはいられない。
　籾山のスローな注送の周期を無視して素早い前後の腰ふりを始める里美は頂上を迎えて忘我の境地をさまよっている。
（あぁ〜、いきたい、いきたい、いきたい）
「おねがい、もっとぉ〜」
　籾山は、里美の要求に張方の電源スイッチをスライドさせた。
「あっ・・・・・・あっ・・・・・・」
　前後に動いていた腰ふりが、張形の回転に合わせて廻りだす。
　激しく身悶え、のけぞらせた首筋を籾山が下から上へ舐め上げる。
「あぁ〜〜」
　股間の注送の時より大きく喘ぐ里美。
「も、もういやっ、おねがい・・・・・・い、いかせてぇ〜、あっ、あっ」
　籾山は、里美の耳にフゥーと息を吹きかけ、ローターのスイッチをスライドさせる。
「あぁ、あっ、いいっ・・・・・・いくぅ〜〜〜」
　張方の根をきつく締上げ大きく一声あげて往き果てると、ヒクッ、ヒクッと身体を痙攣させ、陶酔しきった表情でガクリとうなだれてしまう。
　豪快な往きっぷりにクローゼットの武司も、思わず熱いほとばしりを発射してしまっていた。
「まだまだ、これからだぞ」
　張形を引き抜いた籾山は、小さな丸椅子を用意し、うなだれ吊り縄に体重を預けきった里美を引き起こし少し縄を緩めると、深いお辞儀スタイルに調整した。
里美の顔の真下に丸椅子を置き直すと、潜りこむようにして座る。
　籾山はカメラアングルが気になるのか、クローゼットにチラッと視線を投げると少し体の向きを変え、里美の髪の毛を鷲掴みにした。
「さぁ、分かるだろっ」
　怒張にグイッと唇を押し付けると、里美は素直に頭を上下させている。
　籾山の調教の成果なのか濃厚なフェラチオ、腹に押し付けるように吸いつき、しきりに上下したかと思うとパクッと、くわえてすぼめた唇でエラを細かく往復させる、そうかと思うと喉奥が膨らむほど深く飲み込んで根元から穂先までズルズルと大きくスライドさせる。
（やって、もらいてぇ〜）
　クローゼットの中で手を往復させる武司。
　里美は舌を突き出して怒張の結び目をチロチロと舐めている。
　バリエーション豊かなフェラがひたすら続き、武司がテープがもったいないかと録画スイッチに手をやろうとした時。
「まだぁ」
　里美が甘えた声で問い掛ける。
「どうした」
「もう、疲れたの、はやくぅ〜・・・」
「早く、何だ・・・えっ」
「いじわるねぇ〜・・・・・・入れてぇ、もおいいでしょう」
「何が、いいんだ」
「だってぇ〜、こんなに・・・硬くなってるわ」
　籾山のいたぶりも、武司には馴れ合った二人の甘くとろけるようなやり取りに聞こえ羨ましさを超えて苛立ちを覚えてしまう。
　里美の顔をよけて立ち上がった籾山は、里美に腰縄を巻き腰からも吊り上げ、腕の吊り縄をまた少し緩めると頭を床近くまで下げた。
　カメラに里美の顔と○○○○が同時に写るスタイルを狙っているようだ。
　武司は、長くフェラチオに精をだし淫水も乾き花弁がしおれて見えるのが残念でならない。
　そんな○○○○に籾山は、素股の要領で怒張を擦り付ける始める。
「あっ、あっ」
　肉芽に穂先が突き当たると、すぐさま甘い喘ぎ声をあげてくる。
「あはぁ〜ん・・・いやぁ〜ん、じらさないでぇ」
　籾山の怒張を淫水で潤ませ、○○○○もみるみる精気を取り戻す。
　しおれた花弁は大きくひるがえって花開かせ光輝くと、真っ赤に色づく花芯をあからさまにし、肉芽も大きく存在感を増してくる。
　籾山は淫水にまみれた肉棒をピンとはねあげ、里美の股間から外すとコネコネと秘口をさぐってヌルッと穂先を交えた。
　ムニュとした例えようも無い薔薇色の感触を感じつつ、しっかり充血し熱を持ってヌルヌルの蜜壺にズンズン進入する。
「あはぁ〜」
　奥深く嵌まり込むと初めて子壺に届くと特別な甘い喘ぎ声をあげる里美。
　二人の交合が何時果てるともなく続いた。
「あぁ、いい、×××いい、あぁ〜、いいっ、×××すてきぃ」
　クイッ、クイッと子壺を蠢かせ、秘口の締め上げを繰り替えしている。
　溢れでた蜜液がタラ〜と糸を引いて滴りだす。
「ぁうっ・・・だめっ、いくっ、いくいくいく、あっ、だめ、だめいっちゃう〜」
　秘口を締め上げたかと思うと、ピュッと可愛く潮を吹き往き果てる。
　その雫は籾山の陰嚢をも超えてポタポタと滴っている。
　肉棒をしっかりくわえ壺口はヒクヒク絡みつき卑猥に蠢いていた赤くただれた壺口に垂れ下がり、ねばっこい粘液を潮の液が押し流している。
「あっ・・・あっ・・・ま、まって、ちょっと・・・まって、あっ、止まって」
　里美のアクメにもしっかり耐えた籾山が、注送を再開すると息苦しそうにして訴える。
　籾山は腰を少し引いて動きを止めると、里美は呼吸を整えるように大きな息をして肉の快感を味わういい表情を見せ数秒まどろむと再び要求する。
「いいの、もう、動いて、あっ・・・そう、そう・・・突いて突いて」
　嫌らしく腰を振り籾山の股間に押し付けだす里美。
「あぁ〜、いい、奥に当たるぅ〜〜、あっ、あっ、すごい」
　吊られた腰をも蠢かせ、くなくなと揺さぶり動く。
「あっ、だめっ・・・い、いくっ・・・・・・また、あっ、またいきそう」
「いいぞ、何度でもいけばいい」
　籾山の許容の言葉に自ら激しく腰を揺さぶる里美。
「あっ、いっしょに・・・いっしょに、いってぇ〜〜」
　必死な形相で耐えている里美に、激しい突き出しをみせる籾山。
「いい、あぁ〜、あっ、あっ・・・・・・うっ、いくっ」
　全身を強張らせる。
「うぐっ」
　収縮で進入のおもくなった密壺に強引に大きな突き出しを加えて牡汁を放出した。
　いきはてた二人は石のように動かなくなり余韻を噛み締めるひと時が過ぎると、籾山はクローゼットに向かってＯＫの指をかたどって手を掲げる。
　武司に打合せどおり出てきていいぞというのである。
　萎えた一物をきつく喰い締める壺口から引き抜くと溜めた蜜液が滴り落ちる。
　籾山は黒い鉢巻で里美の眼を覆っている。
　どんな小さな仕草にも冷たいサディスティックな感覚を感じさせられる籾山に、里美が深い愛で応えている、そんな感慨を持った武司がビデオカメラの録画を止めた。