| １２ ３人のランジェリーショーが終わり、来場者の関心は半裸の３人のこの後の行方だった。テーブルに備え付けられた、メモ紙に数字を書き、ショー終わりの小百合が手にした投票箱に皆が入れた。 「えー、みなさま、入札のほうは終わりましたでしょうか？」 「あぁ、前回は惜しいとこでこの人に負けた。今日は、奮発したで。」 「ありがとうございます。それでは、落札者さまの発表を前に、飛び入り参加の新人をご紹介いたします。」 マイクを手にしていた麗子は、手招きをすると、袖からボビーに突き出された緑の姿が、興味深げなギャラリー達の目に飛び込んだ。 「ご紹介します。空手２段の、みどりです。」 「な、なまえは・・・。」 「いいの、だれも本名だと思ってないわ。顔だって半分以上マスクで隠されてるんだもの。」 私服のままステージに出された緑は、名前と同じ緑色で舞踏会に使いそうな仮装マスクを施し麗子のそばでもじもじしている。 「ほぉ、空手を・・・男勝りの女は、中々このようなとこでお目にかかれん。マダム、早く、早く。」 「佐山社長、そう急かさずとも、・・・みどり、始めて、さっき、言ったとおりするのよ。」 「え、えぇ。」 少し内股気味の緑は、小百合たちのような動きは出来ず、麗子のシナリオ通りに動き始めた。麗子が肩口に手をやると、両の手を上げ、淡いブルーのチュニックを頭から抜きさり、クルリと纏めてステージの外へほり投げた。 「おぉ・・・腹筋が割れておる。・・・見られることを想像して興奮したのか、みどり嬢、少ない布地でも乳首が隠れておる。」 自分の着けてきたものと違うマイクロビキニは、緑の固くなった乳首と乳輪を隠し、割れた腹筋と、小振りだが形のいいおわん形の乳房を強調させていた。 チュニックを脱いだときに乱れた髪の毛を気にし、手串で直していると、耳元で囁く麗子の声が聞こえた。 「ほぉら、みんな見てる。すけべそうな爺たちも、その連れのおば様たちも嫉妬してる。さぁ、汗に蒸れた下も見せておやり。」 「・・・。」 形だけのベルトのバックルを緩めると、腰を落としながら、穿いていたショートパンツを両の脚から脱ぎさり、麗子に破られたままのレギンスをクルリと剥き、麗子に手渡した。すると麗子はチュニック同様、ステージの檻の隙間から、ほり投げ、真ん中付近のテーブルの男に手渡った。 受け取った６０代の男は、連れ合いの視線をよそにレギンスの破れた部分を鼻にあて、大きく鼻から吸い込んだ。 「おとうさん、どぉ、牝の臭いがするかしら？」 「あぁ、どおやら、直近まで自慰か、手淫を施されていた。ほれ、嗅いでみろ。」 「あら、いやらしい臭い、どこまで助平な臭いか、直に確かめてみたいわ。」 連れ合いの女は、股間の陰部の当たっていたレギンスを裏返しにすると、汚れや臭いを入念に調べている。その姿を見た緑は、恥ずかしさを声に出すことが出来ず、マスクの裏に隠れる眼は潤み始めていた。 「さぁ、見ているわ・・・あなたの得意分野、空手の形を・・・お見せして。」 「・・・チャタンヤラ・・・クーシャンクー。」 少し大きめな声で気合をいれ、演舞の題目を皆に宣言する。肩幅より広めに開いた脚、両の手を際どいマイクロビキニを隠すように股間で重ね、演舞に入る。 恥ずかしさを隠すように、いつもどおりの演舞を始めた緑。腰をすえ、両の拳を素早く前に突き出し、檻の外にいるギャラリーを威嚇する。 素早い腕の振りで、小振りの乳房は大きく揺れ、マイクロビキニのブラも緑の乳首を隠そうと必死に着いて来る。 拳を引き胸に当てると、その勢いに負けて、左の乳首は檻の外のギャラリーの目に飛び込む。 「薄めの乳首、あまり男を知らんのか、その割にはいい度胸だ。」 演舞の動きに合わせ右の軸足を起点に後ろ向きになると、マイクロビキニの紐が尻を割り裂いているのがわかる。筋肉質な双尻に皆が目をやる隙に、左の乳首を隠す緑。再び、軸足を起点に前を向くと、隠れた乳首に落胆の声が届く。 「おぉ、隠れてしまった。しかし、乳房の周りも、赤く染まって、なかなか魅力的だ。ボンデージもスパンキングもお似合いかも。」 引き気味の腰を据え、掌ていを前に突き出しながら檻の直前までにじり寄る。かぶりつきの夫婦の視線は緑の股間の小さい股布に当てられ、新たな事実を見出した。 「おやおや、汗かなぁ、それとも、淫汁？小百合嬢の穿いてたのと同じ素材を穿かなきゃ。」 そ う、言われるのと同時のタイミングで前蹴りをした緑。しっかりとそのタイミングを逃さなかった夫婦は、水分の源を確かめ演舞中の緑を囃し立てる。 「あらぁ、空手家さん・・・お○んこから、いやらしいお汁が滴ってるわ。そんなんじゃ、試合の時の空手着もびしょ濡れで失格になっちゃうわ。」 前蹴りの後、後ろ向きに深く腰を落とす動作の時、はみでた陰唇が露出し、周りの陰毛までが夫婦の目に入る。 「下の毛の処理も甘い。・・・今度の試合は、パイパンでなさい。私が綺麗に剃毛して差し上げるから。」 その罵声も耳に入りつつ、演目を続ける緑。右へ左へ体を変え、同じように掌ていを出し手首を小刻みに返しながら進める。いつしか、入らなくなったギャラリーの声も、演舞の終盤でようやく耳に戻り始める。 「とうとう、両方の乳首がご対面ね。腕を振るたびに、挨拶でもしてるみたいにゴッツンコしてるわ。」 「アイィィィヤッ。」 ギャラリーのいやらしい視線を蹴り飛ばすように、前方に飛び蹴りの形を取ると大きな掛け声を上げた。 ブルンと揺れる両の乳房と、引き締まりながらも着地の時に軋む双尻肉。４分ほどの演舞の最後に阿吽の像のような形で静寂を作ると、辱めるために集まったギャラリーに礼をして終わる。 「おぉ・・・ブラボー・・・すばらしいショーだよマダム麗子。」 「この、みどり嬢には入札できないのかい？」 「えぇ、本日はまだ、でも、次回はわかりませんよ、ね、みどり。」 「・・・。」 大きく息を整えながらの緑には、その入札の意味を考える余裕はない。袖から扉を開け、近づいてきたボビーは、汗を拭わせるバスローブを手渡し、袖に引くよう肩を引く。 「ミドリ・・・ネクスト、タイム・・・スーパーリンペイ・・・ＯＫ？」 「ハァァ・・・ハァァ。」 空手を知るであろうこの黒人に、同じ空手を扱う者として嫌悪感を覚える緑。 疲労感と昂拗感に襲われた空手家は、人の目に晒され火照った体を押さえるためにバスローブを纏い袖に消えた。 |
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| 2012.3.14掲載 |
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