| １３ 管理棟と教室棟の間の渡り廊下で話し込む二人の教師。新人と主任教諭の二人は、周りの人気の無さを感じると、話の内容を変えた。 「どうでした、そのぉ・・・。」 「あ、ランジェリーショップのことですか？」 「えぇ、名前はなんでしたっけ？」 「テンポラリーです。えぇ、行って来ました。杏子は、常連のようで、そこの主人に聞かれました、杏子はどうしてるのかって。」 「答えたのですか？」 「いいえ、杏子に紹介されてお店に来たことになってるので、それは言っていません。他の先生との関連は？」 「えぇ、ありました。以前に亡くなられた先生方も、そのお店に出入りしていたようです。」 「そうなんですか。じゃぁ・・・。」 「じゃぁ、どうされたんですか？何か、おかしな動きでも？」 「い、いえ、そうじゃ・・・。」 「危険なことがあれば、すぐに引いてください。緑先生にもしものことがないとも限りません。」 「ありがとうございます。・・・一つ、お願いが。」 「何なりとおっしゃってください。」 「あのお店の商品・・・けっこう高額で・・・。」 「あぁ、そうですね・・・これくらいあれば・・・。」 陣野は、財布を開け中に入った札を数枚取り出した。二つ折り三つ折りにすると、緑の手に握らせる。 「あ、・・・ありがとうございます。」 「これくらいしか出来ませんが、報告が上がり次第、お礼はたっぷりさせてもらいます。」 緑の握った枚数は５枚程度。万札なら良いが千円札五枚では、使ったお金の半分にもならない。 ランジェリーショーの前に常連化するべくつかったお金は、緑の財布を圧迫していたが、先日通帳記帳したところ、『テンポラリー』の名で、それに見合う額の送金がされていた。 「じゃぁ、引き続き調査の方よろしくお願いします。くれぐれも・・・。」 「はいっ。」 陣野が管理棟へ、緑は教室棟へと向かうその姿を、守の密偵山崎が一部始終を録画している。 「金・・・金を渡すって・・・まさか、陣野主任と・・・。」 あらぬ想像を膨らませた山崎は、動画を再生させ金銭の授受の場面を目を凝らし何度も再生している。 「いくらだ、五万。・・・まさか、援助交際・・・まさか。」 「何してんの山崎。」 「あぁ、守さま・・・こ、これを。」 動画をリスタートさせ、陣野と緑の金銭の受け渡しを見せた。守の動揺を見逃さない山崎は得意になって緑と陣野の関係を想像する。 「援助交際・・・じゃないでしょうか。」 「まさか。」 「でも、五枚は折られてますよ。」 「そんなことはない、だって、みどりは水泳野郎と。」 「それはそれ、これはこれ、なんでは？」 「山崎、いい加減なことを・・・よし、おまえに命じる、みどりの私生活を徹底的に調べろいいな。」 「わ、わかりました。・・・陣野との事が、本当であれば・・・お父上に。」 「あぁ、ちくってやるよ。・・・お前の手柄だよ。」 守に会釈をすると、教官室へ移動を始めた山崎。守は、再び緑の携帯からデータを写したメールのテキストデータを読み返し、陣野との接点を解析し始めた。 三者面談でも、体育祭の後の代休でもない平日の午前十時に、攻児の家では、締め切られた窓の内側から嗚咽する女の声がこだましていた。 「こうじさん、お、おおきぃぃ・・・か、かおるくん・・・じ、らさずにぃぃ。」 「小百合・・・就職おめでとう・・・今日は、お祝い兼ねて、３人でなかよく・・・逝こうね。」 「最後だからな、小百合のお○んこ。・・・いっぱい、楽しませてやるよ・・・朝までなぁ。」 「あ、朝まで・・・よ、よろしく・・・おねがいぃぃ・・・しますぅぅぅっ。」 郁が小百合の膣穴に勢いよく突き刺した瞬間、小百合の体はベッドから落ちかけ、握らされていた攻児の陰茎は指先から抜けた。 抜けた陰茎は素早く小百合の顔に跨った攻児によって、喘ぐその口内にズッポリ収まった。頭蓋骨を締め付けられるように攻児につかまれ、自分の意思とは違う動きをさせられる。 「うぐぅぅぅ・・・うぐっぽっうぐっぽっ・・・ジュルッポッジュルッポッ。」 腰を打ちつけることなく攻児の陰茎は小百合の口内を行き来する。切れ長な目を大きく見開いた小百合は、視線の先にある攻児の目を見ながら、哀願を訴えた。 「どうした・・・一年半で、パーマネントになれたことの感謝なのか？」 「攻児くん・・・小百合の逝き顔・・・見てぇぇ・・・おれのちん○の具合確かめてぇ。」 大きく脚を割り腰を振付ける郁は、たくましい攻児の背中を見るだけで、膣穴の持ち主のよがり具合を確かめられないでいる。ましてや、その声色も攻児の陰茎で塞がれていては、聴覚からも確認できなかった。郁の場合の性的昂ぶりは視覚、聴覚、触覚が三位一体にならなければ絶頂を極められないのであっただろう。 「ね、ねぇ・・・攻児くん・・・小百合の逝き顔、拝ませてくれよ。」 「郁、見ないほうがいいかも。・・・化粧はグシャグシャで、鼻水たらしてるぞ。」 「そ、そんなに・・・それでもいい。・・・つんとした女がそこまでなるのをミテェェェェ。」 視覚と聴覚を遮られた郁の性的欲求は、一点に集められ、掘り出したトンネルを貫通させるべく、ドリルのほさきを深く潜らせた。 「あうぅぅぅ・・・・ひ、ひぃぃぃっ。」 「ガチャッ」 １２畳の部屋の扉が開いたが、ベッドの上の３人は、そっちを向く余裕も意識も無い。扉から声を掛けることなく、３Ｐを眺める女は、郁の腰つきを以前と比べていた。 「郁くん・・・上手になったわ・・・回数ね、やっぱり。」 「あ、麗子さん、こんちは・・・おいっ、攻児くん、お母さん。」 「なんだよ・・・今日は、小百合の卒業祝いしてんだからさぁ・・・下に居てくれる。」 「あなたが呼んだのよ、見せたいものがあるって。・・・もしかして、小百合との交尾？そんなの見飽きたわ。」 「あぁ、忘れてた・・・おいっ郁、小百合逝かすんじゃねぇよ・・・朝まで焦らすんだ。」 「えぇ・・・わかったよ。」 小百合のこめかみから両手を離した勢いで、攻児の滾った陰茎は口内から吐き出された。 「うぐぇぇぇ。」 陰茎についた唾液を小百合の下着で拭い去ると、ベッドを離れ麗子を手招きし、階段を下りる。 「郁くん、ごゆっくり。」 「はぁぁぁい。」 大きく返事をした郁は、自らの突き刺しでグシャグシャになりかけている小百合の顔を舐めまわすと、開いた口内に舌先をぶちこんだ。 「攻児、下着ぐらい穿きなさい。」 股間からぶら下がるものを隠しもせず、母親を前にして郁の持ち込んだビデオカメラをテレビに接続する。 「なぁに・・・あんた達のＡＶみても・・・。」 「誰だかわかる？」 「吉川緑？」 「良くわかったね・・・どう、良く撮れてるでしょ。」 「撮ったのは郁くん？」 「あぁ、音声付さ、車のボディーにくっつけると中まで聞こえるマイクを使ったんだ。結構高かった。」 「あとで、支払うから、・・・これを使えば、回りくどいことしなくても良さそうね。」 「何、回りくどいって。」 「みどり、デビューしたのよ・・・昨日のショーで。」 「本番？」 「いいえ、空手ショーよ、マイクロビキニで。」 「本番よりエロいかも。」 「すごく評判良くて・・・次の、ショーで・・・ボビーと対戦さえようかと。」 「いいね、あぁ、それでこのビデオ使って・・・。」 「そう、回りくどく、納得させようかと思って、手を打ち始めたけど、お金を振り込んだり、緑の性癖を利用したり。」 「露出癖かぁ。」 「露出じゃないわ、あれは、見られながら犯されたい、視姦癖ね。」 麗子は、話の最中も一切弱まらぬ攻児の陰茎を見つめていた。 「あぁ、お父さんも、あなたくらい強かったら。」 「よわっちいから、守と合うんだよ。おれは母さんに引き取られて正解さ。」 「女をあてがって貰えるからかしら？」 「そうかもね。」 そう言うと、カメラのメモリーを抜き去り、麗子に手渡すと手だけを挙げて階段を登る。 「攻児、小百合に渡して、これ。」 「何それ？」 「小百合の就職先の辞令よ。」 「ふぅん・・・浦田小百合を大川西小学校三年二組の担任に命じる。」 無造作に脇に抱えた封筒の中身を確認する攻児。閉ざされた小百合の人生を開ける一枚の通知には興味も無い。 閉ざされた扉の奥で聞こえる小百合の昂ぶった喘ぎは、開かれた未来への宣誓なのかもしれない。 |
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| 2012.3.17掲載 |
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