| １７ 宴の終わりを演出するように、由香と幸恵、それと緑の三人は、同じランジェリー姿で生徒用の椅子に大股開きでくくられていた。 動きの止まっている二人に比べ、緑はギャラリーの視線を反らすかのように顔を右へ左へと忙しい。それもそのはず、ボビーや市ノ瀬の責めを受けている時のラバーマスクは外され、昨年提出した吉川緑の履歴書をも首からぶら下げられている。 その履歴書には、大きな×印がなぐり書かれ、緑自身の存在すらを否定されている感じがする。このステージで決められた職務停止は、効力を発するのかも判らぬが、ギャラリーの発する言葉などから推測される正体は、緑に近き同業者であることは認識されていた。 「本日の教頭会は、これでお開きといたします。皆さま、来月の市長選挙、よろしくお願いいたしますよ。」 「えぇ、勿論です。六沢先生の返り咲きの６選、間違いないでしょう。」 「我々の息の掛かった教員は間違いなく、先生をお選びしますよ。」 口々に六沢三蔵への忠臣を誓うと、出口までの通路に並べられた三人の女の股間に指を差し入れながら帰路に着く。 「あぁ・・・。」 「はうぅぅぅっ・・・ま、またのお越しをっ。」 「さ、さわら・・・ないでぇぇぇっ。」 三様の反応を楽しむように、皆が通り過ぎる。最後の男は緑の尻を叩き続けた市ノ瀬だった。スラックスのファスナーを突き破らんとテントを張ったまま緑に近づく。 「吉川緑・・・大川一中ね。ま、職務停止６ヶ月は、辞職勧告に等しいが、泣き付くところは幾らでもある。ねぇ・・・鎌田教頭。」 「えぇ、相談に乗らなくもないよ。・・・君さえ良ければいつでも電話しなさい。・・・ここに。」 鎌田と呼ばれた教頭は、振り返ると再び緑の湿った股間に指を這わせ、ランジェリーの隙間に自身の名刺を挟んだ。それを見た市ノ瀬は調子付き、腰に挟まった名刺を、股布の厚い部分に横断するように挟み直した。 「へっへっ・・・ここだよな。女はここで考えるんだよなぁ、淫行教師。」 「いやいや、そこに挟んだら、すぐにふやけちゃうと思って・・・は、は、は、そうか、どうせすぐに電話をかけるからいいのか。」 笑いながら、二人はその場を離れ緑の視界からは消えた。そこに残ったのは、麗子と椅子にくくられた三人で、ボビーの姿も無い。 「好かったわよ三人とも。」 「・・・は、はやく、外して。」 「あーら、そんなに焦らなくてもいいわ緑。」 「あ、焦ってなんか。」 「ボビー、由香と幸恵を、例の所に・・・よろしく。」 扉の外から現れたボビーは、緑の顔を覗き込むと一言告げる。 「カマタサン・・・ワタシヨリ・・・オオキイネ。」 顔を背けた緑は、ボビーの言葉を理解したが、反論の言葉も、罵倒する言葉も発せない。拘束を解かれた由香と幸恵を肩に担ぐと、静に廊下へ向かい麗子の言う例のところへと向かった。 由香と幸恵の落ち着いた感じは、緑には伝わる。が、おおよその行き先と彼女達のこれからの仕打ちを感じ取った緑は、自分に置き換えこの後の対応を想像させた。 「さぁ、緑先生。これから、どうするのぉ？」 二人きりになった麗子と緑は、主従関係のような視線の高さで会話する。強気の言葉尻を感じさせるいつもの緑ではなく、怯えと不安を抱いた緑の声は、麗子の想像通りの答えを導く。 「で、電話をさせて、・・・まだ、教師を辞めるつもりは・・・。」 「あら、お早い回答ね。電話をしなくてもいいわ、鎌田教頭は二階でお待ちよ。」 「・・・こうなることを、知っていたの？」 「どうかしらね。そんなことより、早く行かないと、心証を悪くするわよ。鎌田教頭が、ご判断なさるらしいわ、あなたの今後を。」 結び目を解いた麗子は、その紐を束にし軽く緑の腿を叩く。二階への行き方を尋ねると、売り物の首輪を施し、繋がった鎖を引き鎌田の待つ部屋へと誘導した。 「コンコンッ」 「早かったね、マダム麗子。」 「えぇ、素直な教師ですわ。」 「皆が、こうであれば、管理職も楽なのですが。」 「では、ごゆっくり。」 鎖を鎌田に預けると、扉は閉まり、外側につけられたサムターン錠はロックされ、中からの開錠は不可能となった。 「吉川緑先生。・・・大川一中の梅川校長とは、同期でね。私はまだ教頭、あいつは教育一家の出でね、私は自営業の出だ。」 「・・・。」 「まぁ、ここにいるというだけで、あなたの決意と、その見返りが何たるか、想像がつきますが、何をどうして欲しいのかを簡潔に、述べていただけますかな。」 「まだ、教師を続けさせていただけないでしょうか。脅されてしてしまった行為は、許されないかもしれませんが、どうか、動画のことは、内密に。」 「ほぉ、あの動画を持ち込めば、梅川校長の立場は地に落ちる。それは、わたしが数十年望んだこと、それの見返りは、どれほどの物か想像がつきますか？」 「いかなることも、覚悟の上です。」 「いかなることもねぇ。たとえばどんな？」 無言になった緑の行動は、鎌田の想像する動きと同じで、それを期待した分身は解放を待っていた。ベルトを緩める緑の指先は、かすかに振え、バックルを外すとスラックスのボタンを外し、するりと床へ近づけた。 「なかなかの手さばき。さっきの動画の少年にもそうしてやったのか？」 「・・・し、してません。」 足首に絡まるスラックスを脱ぎさる鎌田。長めの丈のＹシャツが股間を隠すが、ボリューム感はボビーのそれと遜色がなかった。 「目を逸らさないでいい。見たいだけ見ろ。」 「・・・。」 垂れ下がらず、へそを覆い隠さんとした陰茎は、緑の目にはっきり映り、獰猛な獣に睨まれた様に怯える。見た目と臭いでも獣感を嫌というほど印象付けられたその物に、敬意を払うかのように目を閉ざしたまま口内に沈める。 「ハムッ・・・カプッ。」 亀頭の先端を隠し、口内で舌を巻き込み先端への責めを増していく。一日の垢をこそぎ落とすような舌の動きは、鎌田への心証を良くし、一時前の処罰への手心をアピールするには十二分だった。 「おぉ、下手糞な処女相手も良かったが、好きものの女教師相手もなかなか。吉川先生、処分が下っても働き口は、困りませんねぇ。」 鎌田の言葉を気にせず、一心に陰茎をしゃぶり続ける緑。杏子の自殺の一因を鎌田が述べたにもかかわらず、自らの保身と、自らに芽生えた牝の喜びを優先させ、問いただすことなく涎をこぼす。 目を閉じたまま、陰茎から口を離すと、鎌田のＹシャツのボタンを外し、露になった毛の生えた乳首を舌先で転がし、指先は唾液で濡れた陰茎を高速でシゴキだした。 「どこの誰から教わったのか、知りたいところだがそれは次回のお楽しみとして。」 「こ、これで、処分は？」 「こんなことぐらいで処分を検討するには値しないよ。我々の存在にも気付かれたんだ、切り札は残しておかないとねぇ。」 鎌田は緑を教頭会のツールに出来たことを確信したのは、再び自らの陰茎が空手教師の口内に収まったときだった。 収まった陰茎を自ら動かすことなく、緑の耳を手で塞ぎ、オナホールのようにして頭を前後させる。 全てではないにせよ、聴力が弱まった鼓膜の奥に教頭会に嵌められた杏子らのすすり泣く声が聞こえていた。 |
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| 2012.8.11掲載 |
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