| ２８ 「ガタガタッ・・・ガタガタッ。」 緑の片方の乳首にむしゃぶりつく横川は、壁の向こうの音を耳に捕らえている。ガタガタと軋みをたてる音は、自分と同期だが２歳年の若い教諭の部屋だった。 緑への愛撫を止めることなく続け、隣の教諭に喘ぎを聞かせたいと横川はその衝動にさいなまれる。舌先で捕らえられぬほうの乳首は指先で転がし続ける。 「はぁぁ・・・はぁぁっ。」 緑の喘ぎは、横川のリズムと同様に刻まれ、喘ぎのリズムを静止したい緑は、横川の薄くなりかけの頭を抱き、動きを抑制する。 「ペロペロペロッ・・・チュパッチュパチュパッ。」 「あぁぁぁぁ・・・はぅぅぅぅぅんっ。」 横川が強く吸い上げ、歯先で乳頭の先端を甘咬みすると緑の後頭部を支点にしブリッジを形成した。持ち上がった腹筋に押し上げられるように横川の体も離れず、緑の乳首を吸い込んだ。 大きな喘ぎを発した直後、隣の軋み音は数秒止まる。２つ年下の男性教諭も、自分らのパートナーは判らないものの、性的行為が行われていることは気がついたはずだった。横川は、三人の女性教諭の中でも、一番のタイプで客観的にみても美形な部類の吉川緑を相手にしていることを知らせたかった。 乳首への刺激だけで発された緑の喘ぎは、横川の想像を超えていた。ＡＶを毎日のように共にした男は、喘ぎの演技には目も耳も肥えている。演技らしからぬ緑の軽い絶頂は、その先の刺激へ触手を伸ばさせる。 ブリッジを元に戻すと、腹筋の動きはピッチを早め、呼吸の荒さが目に付いた。横たわったままの緑のスラックスのベルトに手をかける横川。飾りのようなベルトにはテンションが掛けられておらず、ユルユルだった。 「ベルト、緩いんだね。ウエスト細くなったの？」 「いえ、飾りみたいな物なんで、ベルトは。」 女性にファッションに疎い横川は照れ笑いすら忘れ、再び緑の胸の谷間に顔を埋めると、スラックスのホックを外し、ファスナーを下げた。視神経から緑のパンティーの具合をリアルの女性体験は空っぽの脳みそに伝達したいが、肌触りから伝達させる。 恥丘の部分に手のひらを置き、指先は湿り気を感じさせる箇所まで進ませる。幾度も幾度も行き来させる指先は、色合いは別として肌触りから形状、素材の感覚まで楽しんだ。 緑は、暗闇で安心していた。ブラックの下着は、クロッチの裏側まで黒く、染み具合が目立ちにくいが、てかり具合は白より目立つことを気にしている。 カサカサと音をさせながらパンティーの重要な部分は摩擦され、熱を帯びる。幾度となく擦られた陰唇の割れ目は、パンティーを食込ませ、くっきりと筋が浮き出ている。 「はぁぁぁぁっ・・・あっ・・あっ。」 小刻みに腰を浮かしスラックスの解放を願い出る緑。大きく足を広げられないスタイルのままだと、淫らな汁がパンティーに染み付く度合いを増やす。汚れ具合を見られるのを嫌った緑は、自ら腰を浮かし、スラックスの腰を掴みずり下げる。太股までずり下げると、自分の指先を離れ、ファスナーの終点付近にいた横川の指が、足首までずり下げた。 解放されたスラックスは、ベッドの下に投げ捨てられる。ベルトのバックルがカチッと床に触れる。その音でのあと横川の指先は、パンティーの筋から、筋肉質な太股の内側に移る。膝の内側から股関節の付け根にかけて頻繁に行き来する横川の指先は、緑の性感に触れはじめ、閉じたかった両の脚はＭ字開脚にしてしまっていた。 「柔らかい、思ってたより・・・やわらかい。」 太股の筋力は普通の女性と変わりない緑の内股を撫でさすり続け、マッサージ師のように揉み込んだ。 横川は満遍なく緑の所によっては硬く、所によっては柔らかさの残る女体をほぐし続ける。 「はぁぁぁ、よ、よこかわせんせいぃ。」 緑の芯の抜けかけた目を見つめた横川は、緑の訴えを感じ取った。上半身のＹシャツを脱ぎ去り、膝立ちからベッドに立ち上がると、緑を眼下に捉えながら、自らトランクス一丁の姿になった。 最後の一枚を脱ぎ去る勇気が、２８年間なかったのか、そのチャンスさえ作ろうとしなかったのか、ここにきてもその一手を戸惑っているようにみえる。 緑は、腹筋を生かし、肩から抜くことなくボタンだけ外れ、カーディガンのようになったＹシャツのまま、ベッドに尻をつけた。トランクスのゴムに指をかけた緑は、一瞬ためらった。 「えっ？」 「出ちゃうんですよ・・・先っぽ。」 一枚を脱ぎ去る勇気ではなく、その収まりきらない物を見せびらかすようにしているように緑は思えた。 しかし、照れを隠せない横川は、裏筋に手を当てると、引っ込めるように押し込むが、うなぎが逃げ出すようにトランクスのゴムの縁を踊っている。 「い、いやですよねこんなの、先っぽでてるなんて。」 「・・・。」 視線を落とし、頭を振る緑は、嫌悪よりも恐怖と昂ぶりを覚えている。数秒のためらいの後、膝までずり下げたトランクスは、横川みずから足を抜き、後ろ手に休めの立ち姿になると、一枚を脱ぎさった勇気が後追いし、精通して十数年間、口に出せなかった言葉を言い放つ。 「フ、フェラ・・・してくれる？」 緑は、頷きもせず答えも口に出さないまま、横川の注文に答えた。太さは、左程でないものの、長さは日本人離れし、黒人のボビーも、鎌田らも及ばなかった。ましてや、大神信二は、土俵にも登れないことを緑はその目と指先で感じ取った。 「ペロッ・・・ペロペロペロッ。」 陰茎の中ほどを指で支え、いきり立つ先端を目の前に下げさせる。尻をついたままのフェラチオは、緑のささやかな抵抗だった。膝立ちでのサービスは、自分の中では敗北で、今の状況は、イニシアチブが取れている行為であると感じていた。 手の支えをしていなければ、臍の上に行きそうなほどの陰茎は、緑の眼前に屈折させその血流を両の手と舌先に感じさせていた。 先端の亀頭は尖りきり、その大きさは一般的であると感じた緑。全てを口に含むと、長さのある陰茎をシゴキ、口内に押しとどめた亀頭を舌先で舐めまわす。 口内の圧迫感はこの頃にはなく、フェラチオは自らのペースだった。 「おぉぉ・・・そこ、そこ・・・おぉぉっ。」 腰の引けた横川は、緑の口淫と別れを惜しむかのように、後頭部を掴み、離れないよう押し当てた。 「うぐぅぅっ・・・ジュルゥゥゥ。」 少し咽喉の奥に亀頭が当たると、溜まっていた唾液は、ベッドに垂れ、陰茎を伝い緑の添え手にも流れ着く。 いきり立つ反動は、緑の上顎を疲労させ、下がりきらない下顎はそれに追随する。下顎に溜まった唾液は、容赦なく陰茎を伝いベッドと手を汚す。 緑の後頭部を押さえつけ、陰茎のいきりを緑の上顎に押し付ける横川。それに吊り上げられる格好になった緑は、釣り針を餌と間違えた魚のように一本釣りにされる。 「ギシギシギシッ。」 簡易ベッドは、軋む。緑はイニシアチブの根幹である尻を持上げる羽目になり、膝立ちに吊り上げられた。 水平に口淫を施すことが不可能になるほどいきり立った陰茎は、臍の位置にそのベクトルを変えた。 |
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| 2012.9.22掲載 |
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