| ３１ 湖畔の少年自然の家は、鳥のさえずりや虫の音が響くはずだが、獣と化した男女の喘ぎが今夜は圧倒していた。 ２階で聞こえる牡と牝の盛りのついた喘ぎは、丑三つ時を過ぎる頃にようやく落ち着きを見せた。 男女に分かれたはずの６部屋の教師は、３部屋に分かれたままで、全裸のままベッドに横たわる二組は、シャワーを浴びることなく寝息をたてている。 が、一番奥の部屋の緑と横川は、ベッドではなく簡易的なテーブルと学校で使い古された学生用の椅子に座っていた。４回の射精を緑の腹で果てた横川は、５回目の射精を午前５時をまわった今、迎えようとしている。 テーブルの上に尻を乗せた横川。学生椅子に正座をし、右手についた自らの膣液と唾液で潤滑しながらシゴキ上げている。縮こまった睾丸の袋は、左手で握られ、先端の赤く腫れ気味の尿道口は射精の瞬間をカウントダウンしていた。 「あぁぁぁ・・・み、みどりせんせいぃぃぃ・・・ビュッ・・ビュビュッ。」 ５回目の射精で薄まった精液は、密度がなく透明に近い液体が勢いだけ増し緑の前髪を汚す。鼻筋や、顎にも掛かる精液の臭いは薄く、嫌悪感はあまりなかった。 顎と鼻筋の精液を指で拭うと、数枚の濡れティッシュを横川から受け取る。 「ご、ごめん。勢いが・・・よくって。」 「いいんです。口に受けられなかったんだから。」 横川の望みは口内射精。その望みは顎の疲れとタイミングの違いで顔面射精になっていた。カーテンの隙間から霧がかかる湖畔がのぞく。壁掛けの時計をのぞくと午前の５時を過ぎていた。 「シャワー室・・・五時から使えますよ。」 施設を利用したことのある緑は、横川に告げる。五回の性交から緑の含みのある言葉尻は理解できていた。 「じゃぁ・・・一緒に。」 緑はかいがいしく、濡れティッシュで汚れた陰茎を拭う。シャワーを浴びるのだからしなくてもよさげだが、自分の恥を拭うようにしていた。 ゴミ箱に濡れティッシュを隠すように捨てると、身支度を軽く整えた。横川は、持参していたＴシャツと半パンに、緑は、昨日ぬがされたままのＹシャツとスラックスを再び履いた。 一人づつ分かれて部屋を出ると、緑はいったん部屋へ戻り、横川に先に行くよう促した。緑は自分の部屋へと戻ると、中に人の気配を感じ取る。 「おはよう、吉川先生。昨日は、虫の音が聞こえなんだ。どうも、発情した牡と牝の獣のよがり声が邪魔してねぇ。」 「・・・。」 「どうだった？筆おろし・・・成功したか？」 成功と性交をかけ冗談めかして鎌田は笑う。 「し、しました。」 「ほぉ、朝まで・・・何発？」 「四、四回。」 口や手こきでの５回目は入れず、挿入での射精回数を答えた。 「まさに獣ですねぇ。どうでしたか、彼の如意棒は？」 「な、ながかった、そ、それだけです。」 「結構、結構。横川の満足度は、後で本人に聞くとして。」 「そ、そんなこと、聞かないでください。」 「いやぁ、他の教諭にしゃべるとも限らん。童貞男というのは、初体験を吹聴するのが得意でねぇ。あることないこと言いすぎるものなんですよ。」 「・・・。」 反論を口ごもった緑に近づき、体から放散している牡の臭いを嗅ぎとる鎌田。 「臭う、四回以上出されたように臭うねぇ。」 「四、四回です・・・濃かったからだと。」 「ハハハッ、ゴム無しだと自ら説明いただけるとは、童貞男と四回もゴム無しでねぇ。」 「・・・。」 「いい経験をしましたねぇ、吉川先生も、横川先生も、二人はいいパートナーになれそうだ。」 鎌田は、高笑いを残しながら、緑の部屋を後にする。そんなに臭うのかと我に返った緑は、四回出された腹に鼻を近づけ大きく息を鼻で吸う。 「麻痺してる。そんなに臭わないけど。」 そう自答すると、タオルやらを持ち、シャワー室へ向かう。入り口付近で、緑を待っていた横川は、緑の姿を見つけると、手招きをした。一緒に淫汁にまみれた体を流そうと考え、承諾されていると思っていたが、緑は鎌田の蔑みで完全に冷め切っていた。 「ご、ごめんなさい、もうすぐ、みんな降りてきます。別々で・・・。」 頭を下げると、女性用とかかれたシャワー室に消える。それを追うわけにいかない横川は少し、立ちすくむと諦め、男性用に消えた。 間仕切りはあるが、誰が入っているか顔と足元は見える仕組みのシャワー室。横川は、少し萎えた陰茎を余韻を楽しみながら、しごき洗う。 「やぁ、おはよう、横川くん。」 「あ、おはようございます教頭。」 「朝シャワーですか？昨日寝苦しかったですか？」 「えぇ、寝汗をかいたんで・・・床が変わると、どうも。」 「そうですか。ところで、昨日は吉川先生と何かお話でもされましたか？」 「え、まぁ。」 「面談の時に彼女にそれとなくあなたのことを聞いてみたのですが。興味をもたれてたんでね、どうなったかと。」 「は、はい、話ははずみました。おかげさまで。」 「夜は、長かったが・・・その辺は？」 「えぇ、ここでは・・・ちょっと。」 「ほぉ、自信を持たれたようですねぇ横川くん。」 「は、はい。・・・か、彼女には・・・。」 「いいませんよ、そんなこと。セクハラで訴えられても困るから。退職金を当てにしてるかみさんに捨てられますよ。」 「そ、そうですね。」 「で、朝まで・・・何回？」 「え？・・・あぁ、５回。」 「ほぉぉ、タフですね。私なら１回で、寝てしまう。朝まで、あの体力のありそうな体育教諭を寝かさないなんて。」 「ほ、ほんとに、内緒に・・・。」 「あそこは柔らかいが、口は堅いほうですよ。・・・ハハハッ。」 横川と緑の回数の違いをほくそえみながら、会話を遮断し水流の音だけをシャワー室に流していた。 |
| あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。 |
| 2012.9.29掲載 |
はちみつ太郎さんの作品群→ |