| ３２ 教頭会主導の研修会は幕を閉じ、散会した教諭たちは各々のメールアドレスなどを交換していた。男女ともがアドレスを交換するのを鎌田は見届けている。 「では、また、メールします。」 など、社交辞令な感じのものはないように見える。自信を深めたのは、最終面談での女性臨時教諭との会話で、本採用になるのはいつなのかと問い詰められた感じから、性交渉の斡旋を訴え出ることはないと感じ取っていた。 鎌田と市ノ瀬は、教育長の富田に連絡を入れると、５０代の男性教諭二人を指導不適格にし、一年間の文部科学省の指導研修に出すことを明言した。 すぐさま、市ノ瀬は二人の女性臨時教諭にそのことを告げると、９月中の採用の確約を告げる。 「また、二つ駒が増えました。」 「梅木とかいう教諭は、顔はいまいちだが、これが・・・立派だ。」 胸のアピールを鎌田が行うと、市ノ瀬は、 「３０前の小谷は、なかなか、積極的に腰を振っていました。監視カメラの映像見ながら、二回抜いてしまうほどで。」 「市ノ瀬くん、一緒に混じっても拒否はされなかったんでは？」 「いやぁ、本採用の話をしてるさいに、なんとなく、私、市ノ瀬でも構いませんよと言わんばかりの目をしてましたから。」 「そうかいそうかい。それは頼もしい、今度、本採用前にマダムの店にお誘いなさい。」 「監視画像をねたに、いくらでも、喘ぎ声を出させてやりましょう。」 「君も、教頭会になれてきたみたいだ。」 「はいっ。でも、吉川先生の朝まで五連発、録画できなくて残念でした。」 「施設長にもいったんだ、監視ビデオの台数を増やすように、二台しかなく、緑と横川の筆おろしは撮れなかったんだよ。」 「まぁ、彼女の場合、いくらでもこれから・・・。」 「そう、横川の長い物にご執心だそうだから、どうにか、彼らを・・・。」 市ノ瀬は、鎌田が最後まで出さなかった単語を理解していた。その、情景を浮かべると今後の楽しみは倍増していく。 湖畔の外周を走る車中、緑の携帯はマナーモードのままバイブレーションしている。 「あっ・・・信二さんかぁ。」 「もしもし、緑？」 「はい、いま、終わったよ。」 「いまから・・・どう、食事でも。」 「ご、ごめん。・・・昨日遅くまで、研修の課題とかしてたから・・・眠くって。」 「そ、そうか・・・じゃぁ・・気をつけて帰れよ。」 「うん、ありがとう。じゃぁね。」 そっけない感じの電話は３０秒ほどで終わる。会いたくないわけじゃない、彼氏でもなくその日始めてあった男と、都合、五回もの射精を受け止めた自分には、合う資格はないと感じていたからだった。 「ごめんね、信二さん。」 その言葉を呟いた時も、思い出されるのは信二の顔ではなく、横川の長く尖った陰茎だった。もう、入ってもいない物が、再び刺さる感覚を覚え、アクセルを緩め夕日が沈みきった湖畔の駐車場に車を止めた。 数台の駐車車輌には人影はなく、散歩を楽しむ老夫婦がいるだけだった。一番端の人気のない場所に車を止めた緑は、エンジンをかけたまま、リクライニングシートを限界まで倒す。 最初は何気なく携帯の画面をスクロールし、受信メールのフォルダを開いたりしている。夕日は完全に湖面から消え、向こう側に消えた。 折りたたんだ携帯を助手席に置くと、片手をヘッドレストにかけ、余った右手を、形ばかりのベルトの隙間をぬった。 ボタンを外し、ファスナーが半分ほど下がる。昨日、横川にまさぐられ続けた黒のショーツではなく、白地の綿ショーツの上からタッチした。 何度か、人気を感じ、窓から顔を出しその場の空気を確認し、助手席側に体を横向けると、内股に挟まれた指先を、柔らかく動かした。 「はぁんっ。」 緑の指先の動きは、横川よりピンポイントで昂ぶりを与える。ショーツの上から筋目の作り、陰核包皮を押し込むと、長い吐息が車内に漏れる。 「うぅぅぅぅぅんっ。」 目をつむり体を九の字に折った緑は、片足をハンドルに当て内股の圧迫を失くした。指先の動きは、再び柔軟になり、筋目を押し込んでいた指は、ショーツのゴムを越境する。 伸びかけの陰毛は手のひらに刺激を与える。その先にある、陰唇は刺激を忘れるほど湿り気があり、砂漠の奥にオアシスを見つけていた。 「はんっ。・・・いや、こんなにっ。」 自宅でする自慰でここまで短時間に湿潤することはなかった。最近、窓とカーテンをあけてする自慰より早く湿潤はＭＡＸに達していた。 包皮を中指で押し、揉み、そして摘み出す。このローテーションは、中学生の頃から変わっていない。 繰り返し行うその刺激の最中、脳裏にフラッシュバックされるのは、横川の３回目の射精だった。 １、２回は、短時間で射精してしまったが、３度目は挿入して突き上げられている時間が１時間を越えていた。長時間で解された子宮口まわりのポルチオ性感帯は、その隙間を拡げ、性感の昂ぶりと同時に子宮全体が下がってきていたのを実感していた。 今だ、下がりかけている感じのする膣奥の子宮口は、緑の昂ぶりを沈めることなく、自慰を強要し続ける。 「コンコンッ。」 運転席側に背を向けたままの自慰行為中の緑に、不意の訪問者がノックする。 我に返るまで、数秒、身動きがとれない。ショーツの中から、悟られず指先を抜き、ファスナーを上げる。ボタンをとめると、ベルトのバックルの位置を直し、訪問者の顔をのぞく。 「こんばんは、大川署のものですが。どうかされましたか？」 「・・・い、いえ・・・なんでも・・・ちょっと、眠かったので。」 「そうですか、ちょっと、免許証、確認させていただきます。」 「あ、はい。」 緑は指先を拭い忘れ、そのまま財布から抜き取り、警らの警官に手渡した。警らの警官は、ライトをあて免許証を確認し、車内に視線をやる。 「吉川緑さん・・・ご職業は？」 少し濡れた免許証を戻しながら、正確に言う。 「市立大川第一中学の教諭をしています。今日は、自然の家で研修の帰りで・・・眠たくって。」 「そうですか、ごくろうさまでした。ここの駐車場のこれからの時間、女性一人では危険ですよ。」 「は、はい。」 「では、お気をつけて。」 敬礼をし、二人ともがパトカーへ戻る。警官の後姿の身振り手振りは、あの女、オナニーしてたといった感じのジェスチャーで、相方の警官は、緑の車を振り返り、顔を見損ねたと言っているようだ。 助手席に乗り込んだ警官は、緑の車内がヘッドライトで照らされると、顔をまじまじと確認し、笑みを浮かべ通り過ぎていく。 そのすべての空気を読んだ緑の股間は、指先の刺激以上に熱く火照りきってしまっていた。 |
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| 2012.10.3掲載 |
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