| ７ バスの車列は、７台を数え、数珠繋ぎのまま峠を越えていく。坂を登りきった草の生い茂った草原は出発地との温度差を感じさせ、駐車場に降り立った生徒達は、それに興奮する。 「さみぃぃ。」 「そんなに寒くないよ。」 口々に、その状況を一方的にしゃべり続ける男子。それをことごとく否定をし続ける女子。そのざわつきを感じ、制するべく大きな声をあげる教師。 「はいはい、一列に並びなさい。・・・ほらぁ、そこぉ。富田くん・・・真っ直ぐ並んで。」 吉川緑の声は、富田と呼ばれた生徒に向かう。その声は完全に届いて・ ぶらつく陰茎を、いつものようにボディーソープで洗い流すと、堂々とした動きで浴槽に数分つかる。 廻りにいた同級生達も、いつもの雰囲気が皆無な守を避けるように隣の浴槽に移動する。 「おーい、６組、交代だ、早くでろよぉ。」 担任の教師の声に、皆が従う。ぞろぞろ脱衣場に急ぐ生徒の最後に、風格漂う攻児が、下腹部を覆うことなく歩み寄る。担任の教師は、その姿を見て問いかける。 「おい、富田、ジムでも通ってるのか？帰宅部にしては、いい体になってるなぁ。」 「そうですか？」 担任の教師にファイティングポーズを構えると、たじろぐ教師を見つめ醒めた目で半笑いした。 「おい、柔道でもしないか富田？」 「女子部に入れてくれるなら、考えます。」 およそいつもの守らしからぬ返しに、後姿だけを見送り、違和感だけが残される。 ６人単位で入れられた部屋は、二段ベッドが３つのユースホステルのような作り。廊下との境はなく、会話は丸聞こえだった。消灯時間から数分後、大人しめの５人を言いくるめた攻児は、一人部屋を後にした。廊下から一番遠い場所の上の段の布団に荷物を入れ、カモフラージュするよう指示すると、攻児は一人闇に紛れてしまう。 「あぁ、つまんねぇ、餓鬼ばっか。女も小便くせぇし、まともな女は、露出狂の女空手家くらいか。」 宿舎の非常階段の一番上で、携帯を触り、郁にメールを打つ攻児。返信は、数分遅れで、攻児のイラつきはいっそう増していた。 「だれ、そんなとこに居るのは。」 「・・・。」 階段にへ垂れ込む攻児の目の前にいたのは、吉川緑。ジャージ姿にポロシャツといった、郁が画像に残したまさにそのままの服装をしていた。 「あ、吉川先生す、すいません。ね、眠れなくて。」 「富田くん、こんなとこにいたらだめでしょ。部屋に・・・。」 涙声を漏らし始めた守の姿に緑は、声を失い、そばに歩み寄った。階段の踏み面に腰掛けている守の横に緑は腰掛ける。 「どうしたの富田くん？・・・先生に話せる？」 「・・・。」 頷くだけの守の姿に、時間をかけるつもりの緑。問い詰めるような語りはやめ、自発的な吐露を待った。時間稼ぎには十分と、攻児の頭の中は、シナリオを完成させていく。 数分の時間稼ぎをもって沈黙の空間を引き裂く。守の口から放たれた言動は、緑の予想の範疇だった。 「ぼ、ぼく。クラスの皆にいじめられてます。いいだせなくて、ごめんなさい。だから、あの部屋に居たくなかった。」 「そ、そう。でも、だめだよ。こっそり抜け出すなんて。」 「は、はい。でも、僕には居場所がない。学校にも、家にも・・・。」 「そうか・・・辛かったんだね。」 「・・・その、ぼくの心の拠り所さえも、どこか遠くに行ってしまいそうで・・・。」 「それは、なに？富田くんの拠り所は？」 「・・・。」 攻児の指差したのは、吉川緑そのもので、指された本人は、拒絶できるわけもなく呆気に取られている。 「わ、わたし？・・・どうして、わたしなの富田くん。」 「み、みどり先生は、いつも優しかった。今は遠くにいる、母さんのようだった。」 「そ、そうなんだ、ありがとう。・・でも、先生は遠くには行かないし、第一ここにいるわ、今日も明日もその先も。」 「・・・。」 攻児は、ポケットから携帯を取り出す。取り込まれた画像を大きくすると、あの晩の光景を緑の眼前に差し出した。 「こ、これって・・・な、なんで。」 「ある晩、送られてきたんだ。知らないアドレスから、こいつをばら蒔けって、で、でも僕にはメールをする友達もいないだから、まだ送れてない。」 「ど、どこのアドレス？・・・ほ、ほんとに知らないの？」 「こ、これ、やっぱり、みどり先生だよね。」 「・・・。」 「やっぱりそうなんだ。・・・こ、この男と、遠くに・・・。そして、僕は、また一人になるんだ。」 「わ、わたしはどこにも行かない。で、でも・・・ま、守くん、この画像を伝播されちゃうと、せ、先生、もう守くんの前に居られなくなるかも、だ、だから。」 「だから？」 「だから、それ、消去しましょ。」 「消去してもいいけど、送り主には、まだ残ってる。それを消さないと。」 「そ、そうね。それを、つきとめましょ、二人協力して・・・ね。」 「う、うん。でも、ぼく、この画像消したくない。だって・・・こんなに、興奮するんだもん。」 攻児のジャージの膨らみは、中学生の域を超えていることは経験の薄い緑にも理解できていた。この少年が何を欲し、何と取引をしようか考えていることも理解できた。 「と、富田くん・・・でも、先生も困っちゃう。だから、その画像は消して、お願いだから。」 「うん、わかった。でも、みどり先生、記憶から消してしまうのはもったいないんだ、だって先生の体とてもきれいだった。だから、僕の体にその記憶をとどめるために・・・ね。」 大きく膨らんだジャージの先端を摩りながら緑の目を見つめる攻児。どうしていいのかわからず、非常階段の上に煌めく眩い星を見つめる緑。 二人の欲する思惑は少しズレながらも、脱線しない程度の合意を見出していた。 「ぜ、絶対、内緒だよ。・・・それと、約束して、これが終わったら、その画像消去するって。」 「う、うん、約束するよ、絶対。」 「ありがとう、じゃぁ、富田くん・・・終わるまで、目を開けないで・・・ね。」 「・・・。」 攻児は、軽く頷くと目を瞑り、緑の動きに体を預けた。一瞬、目を開けたら、生徒指導の教師達に囲まれてるのではと想像したが、ジャージの腰ゴムに指がかかっった瞬間にその恐れは消し飛んだ。 ９月の高原を通る風は、下界と違いひんやりとした空気が攻児の股間を襲う。膝までずり下げられたジャージとパンツは、ぬくもりを膝に留め、覆っていた陰茎の熱は放熱された。 瞬間的に熱は奪われたが、新たな覆熱器が陰茎を覆い、血液による発熱も盛んになりだした。 「うぅ・・・み、みどりせんせぃぃ。」 「と、とみらくん・・・こえを・・らさないれ・・・らまって・・・ジョボッ。」 陰茎の先端を口内に含むと、ムクムク起き上がる攻児の幹の部分は緑の長めの舌を押し込んでいく。押し込まれた舌を自由にするためか、陰茎の幹を囲い込むように右へ左へと舌先を転がした。 「・・・ふんぐっ・・・ジュルッ・・・ジュルポッ。」 攻児は、緑の頭を押さえつけ主導権を握りたいと思う衝動を抑制し、後ろ手に構えると尖った先端をより以上に咽喉奥へ突き当てる。 「ふんぐぅっ・・・ジュルジュル・・・ハァァ。」 緑は、鼻で呼吸を始めると、荒くなった呼吸を整えるように一時的に前後運動を止める。運動は止めたものの、舌先での刺激は休むことなく続けられ、攻児の先端からは先走りの汁が緑の唾液に混じっていった。 先端を舌の動きで翻弄させている緑だが、いっこうに発射の気配を見せない攻児の気配が気になり視線をあげる。 「みないれ・・・めを・・とじれれ・・・は、はるかひぃから。」 攻児の視線は、緑の鼻頭へ向けられ、その表情は童貞のそれとは違い、何か征服者の表情に見て取れた。緑の中の露出願望は、その時はっきりと芽を出し始め、女の中心はジンジンと熱を増していることを自覚した。 「ま、まら・・れないのぉ・・・せんせい、あごが・・・。」 「う、うん・・・き、気持ちいいけど・・・も、もう少し・・・あぁぁ。」 攻児の敏感な部分を反応で確信した緑は、フィニッシュを急ぐため重点的にそこを攻める。亀頭だけを咥え、根元の部分をシゴキ、余った手は睾丸を軽く握り二つのボールを擦り合わせる。 「あぁぁ・・・せ、せんせぇぇ・・・が、がまん・・できま・・せん。」 「・・・。」 全てを受け入れるべく緑の三つの動きは程よく連動し、その瞬間の訪れを違う次元に葬るがごとく目を閉じほとばしりを待った。 全てを吐き出す攻児の視線は、緑の頭頂部に向かい、後ろ手に組んでいた両の手を緑の側頭部にあてがうと獲物を捕らえた獣の目つきで牝を捕食する。 「ドブュ・・・ビュビュッ・・・ビュッ。」 三度ほどビクついた攻児の陰茎からは、青臭いほとばしりがむせ返るほど放たれ、それを受け止めた緑の口内から鼻奥にかけ淫臭が漂った。 先端からの精液は数秒出続け、口内から陰茎を取り出すまで数十秒かけられた。射精の事実を視界に捉えたくなかった緑は、全ての射精液を飲み込み、胃粘膜の保護を担わせた。 「せ、せんせい・・・きょ、今日のことは、一生忘れない。」 「う、うん。二人だけの内緒だよ。・・・それと、画像のこと・・・お願いね。」 「はい、それと・・・学校では、画像の話はやめましょう。全て、メールか、外で話をしませんか。」 「そうね、もちろんいいわよ。そのほうが、先生も助かるわ。じゃぁ富田くん携帯を・・・。」 「あ、はい・・・先生が消去してください。」 ジャージをあげることなく陰茎をぶらつかせたままの攻児は、緑に自分の携帯を渡すと、添付されている画像を消去させる。一枚だけかと気になった緑は、他の画像を探すがそれ以外画像は見当たらなかった。一枚も他の画像がないことはさして気にも留めなかった緑は、攻児にズボンを上げるよう促すと、バツの悪そうな顔をし、てれを隠すように元に戻した。 「そこで、何してるっ。」 生徒指導の男性教諭の声がすると、緑は攻児を庇い階段の奥へ移動させる。 「吉川です・・・すいません、星空がきれいなもので・・つい。」 生臭い口臭を気付かれまいと男性教諭と距離を取りながら歩み寄る緑。視界に捉えられたのは吉川緑だけだと確信した男性教諭はこわばる顔を緩め、その場で歩を止めたまま緑に声を掛ける。 「なんだ、吉川先生ですか、意外とロマンチックですなぁ。生徒達は皆、寝ています・・・明日の登山に支障をきたします、早く戻って休みましょう。」 「はいっ。」 緑が壁になり男性教諭をごまかすと、タイミングを見て戻りなさいと合図だけをして二人は立ち去った。 「なかなかのもんだ。口内射精で、全部飲み込みやがった。こりゃぁかなりのエロ教師だな。」 攻児は、静まらぬ陰茎をさすりながら、次の手立てを月夜の下でイメージさせていた。 |
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| 2012.2.22掲載 |
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