快速電車は、変わらぬ混雑を保ったまま、僕の乗り換え駅を目指して走り始めた。
　僕の目は、依然として、僕の席のすぐ左側で行われている秘めやかな出来事に釘付けになっていた。
　鞄で伏せられている僕の下半身は、ジーンズの中で、行き場を探してもがくように膨らみ、硬直していた。
　恐らく４０代半ばと思われる、クラブママと思しき女性は、熟れた脚を何とか動かし、内腿を這う若い男の手にかすかな抵抗を見せていた。
　しかし、男はかまわず、素肌の上から内腿への愛撫を続けていた。
　やがて男は、内腿に這わせていた手を上に伸ばしていった。
　ママの下半身が、ビクンと震えた。
　ママは慌てて、両脚に力を入れ、懸命に床を踏みしめ始めた。
　それはあたかも、男の指に反応して恥ずかしく動いてしまい、周囲に不審に思われてしまう・・・それを防ぐための、ママの防御策のように見えた。
　逆にいえば、そうした策を講じなければならないほど、若い男の指は、ママを追い詰めているのかも知れない。
　僕の期待は、さらに高まっていった。
　僕は、さらに注意深く、ママの下半身を覗き込んだ。
　スカート部分は、男が手を内腿から上に這わせたため、かなりたくし上げられていた。　その隙間からは、高級そうな、小さな黒の下着が見て取れた。
　注意して見ると、ママの黒い下着は、腰のところが細く、どうやら紐で結んでいるようであった。
　男の指は後ろから伸びており、下着の上からママの秘めやかな部分を優しく捉えていた。
　ママの先ほどの震えは、男が、そこに手を触れた瞬間に発せられたに違いないと思われた。
　男は、慣れた手つきで、下着の上からママの秘部を愛撫し始めた。
　僕は、秘部を責められているママの顔を、たまらなく確認したい衝動にかられた。
　周囲に気遣いながら、僕は恐る恐る、目を上の方に向けていった。
　若い男は、淡々とした、無表情な顔であった。
　ママの顔は、羞恥と悔しさが入り混じっているのか、やや怒ったような、こわばった表情を見せていた。
　だがやがて、耐え切れないように顔をしかめ、歯を食いしばった。
　男の指は、秘豆があろうかという部分を、下着の上から優しく転がしていた。
　男は、秘豆を十分に楽しんだあと、指をさらに伸ばし、淫らな亀裂があると思われる部分をとらえ、指先でなぞり始めた。
　ママは、たまらず下半身をよじった。
　が、すぐに両脚を踏ん張り、必死に平静を装うとしていた。
　男の指は、ママの大切な部分を、繊細な手つきで下着の上から攻め続けた。
　やがて男の指が、下着をなぞりながら、ママの腰に伸びていった。
　男の指が、下着の紐にかけられたが、ママは身動きできない車内で、ろくな抵抗もできないようだった。
　男は、黒の下着をするりと外し、自らのポケットに仕舞い込んだ。
　ママは、男の指から逃げられないと悟ったのか、かすかに今までうかがえた、逃げるような仕草をやめた。
　どのみち、男には責め続けられてしまう・・・それなら、何とか気を確かに持ち、痴漢の指に体が屈するのだけは避けたい・・・そんな覚悟でも決めたのだろうか。
　男は、ママの黒々とした茂みをとらえ、秘部をめざして指を進めていった。
　気を確かに持つためか、ママの両脚が、前にも増して力強く踏みしめられたように見えた。
　男は、構わず指を進め、やや黒ずんだ秘豆を優しく捉えた。
　ママは、たまらず息を飲みこんだが、何とか両脚を持ちこたえて耐えた。
　男は、下着の上からよりもさらにソフトな手つきで、ゆっくりと秘豆に愛撫を加え始めた。
　ママは、男の指に負けまいと、目と唇をきつく閉じて我慢していた。
　しかし、ママの抵抗もそこまでだった。
　男の指が、とうとうママの最も大切な場所をじかに捉えた。
　たまらずママの腰が崩れた。
　とともに、ママの肉感的な唇から、官能的な悲鳴が漏れた。
「あがっ！」
　その声の大きさに、僕は心臓が止まりそうであった。乗客達も何人か不審そうに見回すものが出てきたが、何が行われているのか、確認まではできないようであった。
　ママは、懸命に立とうとしていたが、腰の震えを我慢できないように見えた。
　男はいったん手を引き、ママの背中に自分の体ごと押し付け、ママの体をドアに張り付かせた。
　そのとき一瞬見えた男の下半身は、すでにファスナーから出されており、ありありと逞しくなっていた。
　男にドアへ押し付けられ、ママは完全に動きを封じられたようなものだ。
　男は、改めて前から手を忍ばせ、身動きできないママの秘部を、残酷なほど優しく愛撫していった。
　ママは、太腿をこすり合わせ、襲い来る快感に懸命に抵抗しているようだった。
　だが、先ほど以上に動けないその状況では、思うように脚をもじつかせることもままならない。
　その一方でママは、腰ががくがくと震えてしまうのを、抑えきれないようであった。
　その震えは、ママがドアに押し付けられたことで、封じられているように見えた。
　しかし一方で、わずかな隙間の中で、ママの腰が、恐らくママの意思とは別に、勝手に動いてしまっているのも見て取れた。
　その腰の震えのために、ママは、ワンピース越しとはいえ、尻にあてがわれている男の怒張の刺激を、まともに受けてしまっているに違いなかった。
　迫り来る快感から逃げるすべのないであろうママの状況を思い、僕の下半身は、先ほどにも増して、はちきれんばかりになっていた。
　そのとき、車内放送が入り、次の駅が近いことを知らせた。
　男は、それを聞いて、意を決したように、指の動きを早めていった。
　それはまるで、次の駅までに、電車の中でママを上り詰めさせようという意思を持っているかのように僕には見えた。
　ママは男の意思を感じてか、かすかに体をよじろうとしたが、かえってますます男との密着を深める形になった。
　やがて、かすかにママの声が聞こえた気がした。
　官能的な吐息にも聞こえたが、明らかに、何か言葉を発しているように感じた。
　僕は、ゆっくりと視線を上らせ、事の真偽を確かめようとした。
　ママは俯いていたが、かろうじて視線だけを後ろの男に向けているような、そんな顔の向きをしていた。
　表情は髪で隠れて見えなかったが、肉感的な唇がはっきり見て取れた。
　ママは、唇を震わせながら、必死に男に対し、囁くように訴えているようであった。
　僕は、必死に耳を済ませた。すると、搾り出すようなママの囁きが聞こえてきた。
「・・・だ・・め・・・・・・・・・・あ・・・だ、だめ・・・」
　その悩ましい声に、僕は、下半身がたまらず暴発しそうになるのを、慌てて抑えた。
　僕は、自制ができなくなるのを恐れつつも、ママの官能的な訴えから耳をそらすことができなかった。
　ママは、さらに必死の囁きを続けていた。
「だ・・・だめっ・・・・ゆ・・・許してっ・・・・・・・・あ・・・はあっ！・・」
　若い男は、自分よりはるかに年上のクラブママが必死に訴える顔を、憎らしいほど落ち着いて、無表情に見つめていた。そして、一言も返さないまま、ひたすら愛撫を続けていた。
　電車が、駅のホームへ入るためのカーブに差し掛かった。
　電車の揺れで、ママの顔は、再びドアの方へ向けられた。
　男は、しっかりとママの体の自由を奪い、最後の愛撫を秘部へ加え続けた。
　ママは、唇を噛んで懸命に耐えていたが、とうとう、最後の喘ぎをもらすに至った。
「・・・・あくうっ！・・・・」
　それはまさに、卑劣な痴漢・・・しかも、自分よりはるかに子供の、若い男・・・に対するママの屈服の喘ぎに他ならなかった。
　喘ぎと同時に、ママの腰が、がくがくと前後に激しく動いた。
　それは、女が絶頂に達してしまうときに見せる、独特な、卑猥な腰の動きであった。
　その動きが、密着していた若い男の下半身に、激しい刺激を加える結果となった。
　ママの腰の動きに耐え切れなかったのか、男の怒張から、白濁した液体が、激しく放出されていった。
　そして、ママの熟れた尻を包む黒のスカート部分を、白くべったりと汚していった。
　それが僕の限界だった。
　男に連鎖するかのように、僕の怒張も、ジーンズの中で、耐え切れずに暴発してしまった。

　乗り換え駅に着くと、僕は急いで電車を降りた。
　ママやホステス、痴漢していた若い男の行方に関心を示す余裕もなく、僕はトイレに駆け込み、慌てて下着の中で放出された液体をふき取った。
　幸いにして、ジーンズは汚れずに済んでいた。
　途中下車し新しく下着を買うことも考えたが、僕としては、一刻も早く家に帰りたかった。
　ゴワゴワした不快感を下半身に感じたまま、僕は各駅停車に乗り換え、家路についた。

　家について、ベッドの中に入っても、さっきの電車の出来事は、頭から離れなかった。　特に、痴漢されていたのが、いわゆる熟年女性だったこと、そして、夜の女とはいえ、きちんと品格を備えた女性であったことが、僕の印象に、強烈に残った。
　そんな女性が、あろうことか電車の中で、しかも店の女の子がいる前で、痴漢に上り詰めさせられた・・・このことが、たまらなく卑猥な出来事に思えた。
　欲求不満の熟年女性が多いというのは、話によく聞くところだ。
　また、仮に欲求が満たされていたとしても、若い女性に比べて豊富な性体験を重ねているぶん、体も開発されているはずであろう。
　となれば、男と事を行うことによる快感も、若い女性とは、比べ物にならないくらい高いのではないか・・・
　となれば、今日のクラブママみたいに、痴漢という卑劣な行為にさえ、感じてしまうことも・・・
　そして、恥じらいとたしなみを重んじる熟年女性なら、そのことに羞恥し、声も出せずに耐えてしまうかも知れない。
　まして、相手が僕のような若い男性だとしたら、その羞恥はさらに高まるだろう。
　しかも、クラブママのように、夜の街とはいえ一種のステイタスを持つ女性であれば、なおさらその可能性が高いように思われた。
　これをもし、社会的地位と置き換えるなら・・・一種の聖職者が、その対象であろうか。
　そう・・・・例えば、女医・・・弁護士・・・あるいは、女教師・・・

　自分が電車の中で、熟年女性を痴漢する・・・
　僕に非難の目を向けつつも、体が感じてしまい、どうしようもなくなる熟年女性・・・それも、聖職者のような、社会的立場のある女性・・・
　僕の想像は、もはや歯止めが利かなくなっていた。

　僕は急に、たまらなく、ある１人の女性を汚したい衝動に駆られた。
　僕は、急ぎ昔受験した大学のパンフレットを探し、そこの社会学部の紹介をしているページを開いた。
　そこには縁なしの眼鏡をかけた、４０代の、とある大学教授の写真があった。
　僕はその大学に合格することはできなかったが、彼女は僕の通っていた大学の講師も務めていたらしく、学内でもたびたび見かけることがあった。
　彼女は女性問題を専門にしており、世間ではなかなかの論客として知られていた。
　最近はテレビでも見かける機会が多く、クールな顔立ちも相まって、「氷の女」という、あまりありがたくない異名もとっているようであった。。
　彼女はゼミの学生と一緒に集合写真で写っており、濃紺のニットスーツを身にまとい、すらりとした姿で立っていた。
　僕は、そのページを開き、枕元に置いた。
　僕は左手で、すでに剥き出しになっている自分自身を、しっかりと握り締めた。
　その後、右手を写真に伸ばし、指先でスカートから出ている教授の膝のあたりをとらえた。
　僕はそのまま、今日の痴漢と同じように、写真の上から、教授の太腿や膝を愛撫した。　僕は指を進め、スカートの上から、教授の秘部のあたりを指先でこすり始めた。
　今日の痴漢の指の動きを思い出しながら、懸命に、写真の上から指を這わせていった。　そのとき、教授の冷たい顔が、心なしか、快楽に歪んだように見えた。
　そこまでだった。
　耐え切れなくなった僕の怒張は、左手の動きに促され、勢いよく、白濁した液体を放出していった。
　白濁した液体は、写真の上から、教授の顔を、胸を、そして下半身を汚していった。