１２．堕落のシナリオ

　急行電車の最後尾車両。身動きできないほどの混雑。
　いちばん後ろのドアの横と車掌室の間は、椅子がなく、人１人分の幅しかない、狭い空間になっている。

　その車両の隅に押し込められている、４０代後半の、知性的な女……水原教授。
　縁なしの眼鏡。はちきれそうなグレースーツ。
　平静を装った、冷たい表情。
　進行方向を向いた状態のまま、ドア横の壁に押し付けられている。　

　教授の前……大柄の男。教授の体を隠すように、背中を向けて立っている。
　教授の右側……車内のドア横の壁。
　教授の右手が、だらんと下げられ、壁に密着している。
　教授の左側……教授に体を預けている、２０歳前半の若い男……奥山孝。
　教授の左手も、体の横にだらんと下げられ、孝の体に密着している。
　教授の手のひらのあたり……ズボン越しに、孝の硬直したものが触れている。
　教授の手のひらは外を向いており、硬直を包む形になっている。
　教授、無表情のまま手を抜こうとしているが……動かせない様子。
　教授の後ろ……車掌室と車内をさえぎる壁。
　教授との間の、わずかな空間……そこに、孝の右手が伸びている。
　孝の右手……指を開いた状態で、指先を下に向けて……グレーのタイトスカートの上から、水原教授の尻にやさしく張り付いている。

　水原教授……孝に目を合わせないまま、何事もないような表情。
　教授を観察しながら、落ち着いて、右手を動かしている孝。
　孝の右手……ソフトな手つきで、下から上へ、教授の尻を撫でている。
　同じリズム……丹念に、繰り返しながら……脚の付け根あたりから、尻にかけて……やさしく撫で上げ続けている。
　無表情の水原教授……身動きできないまま、尻を撫で続けられている。

　走り続ける急行電車。
　すでに１０分近く、同じ体勢を保っている２人。
　相変わらず、無表情の水原教授……しかし、その高い鼻が、ややふくらんでいる。
　密着で動かせず、どうしても孝の硬直を包む形になってしまう教授の左手。
　手のひらの中で、ますます逞しさを増していく孝の硬直。
　キッと唇を噛む水原教授。
　孝から目をそらしたまま、周囲に知られないよう、体を動かそうとするが……思うようにいかない。
　孝の右手……相変わらず、教授の後ろに伸び、同じリズムの動きを繰り返している。
　まったく慌てる気配を見せない、孝の手の動き。
　逃げられないまま……１０分近くも撫で続けられている、水原教授の尻。
　撫で上げるたび、孝の中指が、尻の谷間を……はちきれそうなグレーのタイトスカートの上からも、ありありとわかる、尻の谷間を……いやらしく、這い上がっていく。
　ときどき手を止め、尾てい骨のあたりで……中指だけを尺取虫のように動かし、尻の谷間を上下になぞっていく孝。
　教授の鼻……やや、ピクピクと反応している。
　教授の鼻息が……無意識のうちに、やや荒さを増している。
　ときどき、唇を結びなおしながら、何とか平静な表情を装うとしている教授。
　だが……やや汗ばみ、紅潮してきている教授の顔。
　尾てい骨のあたりを……中指で攻め続けられている教授の尻。

　途中駅が近づき、カーブで揺れる電車。
　辛うじて、体の余裕ができる教授。
　逃げようと、体をよじるが……次の揺れで、ドア横の壁に、体の正面から押し付けられてしまう。
　その背中から、孝の体がかぶさり……まったく動けなくなる教授。
　教授の左側……広い男の背中……体格のいい、人のよさそうな男。
　自分の後ろで行われている痴戯に、まったく気づいていない様子。
　周囲の目から、完全にさえぎられている、教授の姿。
　教授の両手は、胸元で、ドア横の壁を押さえており……自分の体につぶされ、動かせない。
　何とか平静を保つ教授の顔だが……急に、焦りの色が浮かぶ。
　慌てて、体をよじろうとするが……まったく動かせない。
　教授を焦らせた、孝の動き……両手を、グレーのタイトスカートの裾に伸ばしている。
　そのまま、ゆっくりと、スカートをたくし上げていく孝。
　教授の願いも空しく……腰の近くまで、じりじりとたくし上げられ、固定されてしまったグレータイト。
　孝の手が腰に伸び、ベージュのストッキングの端に指がかかる。
　その感触に、思わず息を飲む水原教授。
　その手を固定させたままの孝。
　スカートをたくし上げられたまま、身動きのできない水原教授。
　動かない２人を乗せ、途中駅のホームに滑り込む急行電車。　

　反対側のドアが開く。
　降りる客は、ほとんどいない。
　停車中の車内で……再び息を飲み、険しい顔になる水原教授。
　孝の手が……徐々に教授のストッキングを下ろしている。
　ストッキングと一緒に、教授の白い下着も、脱がされてきている。
　唇を噛み……悔しさにあふれる教授の顔。
　身動きできず、孝の手にまったく抵抗できない、教授の下半身。
　膝のあたりまでおろされた、ストッキングと下着。
　そのとき、一瞬の隙間ができ……孝から逃げようと、一瞬脚を動かす教授。
　しかし、後ろから乗り込む客の流れに押され……再び、ドア横の壁に押し付けられる。
　教授、動かそうとした右足が、そのまま下におろせなくなり……右足を上げた姿勢で、蛙のように脚を開いたまま、ドアに押し付けられてしまう。
　教授の右腿の下に、孝の右足が割って入る。
　教授の右膝から脛にかけて、ぴったりと、車両の角にはまってしまう。
　完全に浮き上がったまま、下ろせなくなった、教授の右脚。
　そのまま右の膝から、ストッキングと下着が、浮き上がった右の足元へ下ろされていく。
　孝に背中を向けたまま、歯を食いしばり、いやいやと首を振る水原教授。
　教授の抵抗も虚しく、右の足元から、ストッキングと下着が、するりと抜け落ちる。
　左膝のあたりにだらしなくストッキングと下着を下げたまま、蛙のように脚を開き、ドアに押し付けられている教授。
　反対側のドアを閉め、再び走り出す急行電車。

　素肌を晒したまま、孝に固定されている教授の右脚。
　その太腿を、孝の右手が、やさしく攻めていく。
　たまらず顔をしかめ、首を上げてしまう教授。
　太腿の横から前側……指先をやや開き、軽く立てたまま、撫で上げるように手を這わせていく孝。
　教授の無防備な太腿を、孝の手が滑っていく。
　ドア横の壁に額を押し付け、必死に孝の愛撫に耐えている、水原教授。
　太腿を攻めながら、左足を教授の脚の間に入れていく孝。
　そのまま、ゆっくりと脚を広げていく。
　混雑したままの車内で、孝の動きに押され、徐々に脚を開かされる教授。
　左手を、教授の左側のドア壁につく孝。
　右手を、下に伸ばして……教授の右の内腿を攻め始める。
　「うぐっ！」
　たまらず、低いうめき声を上げてしまう教授。
　孝の手……教授の右の内腿を、素肌の上からまさぐり、指先を軽く立てて、いやらしく撫で上げている。
　内腿をすべる手が、さらに腿の裏側へと伸びていく。
　内腿から腿の裏側にかけて、まんべんなく、ソフトに攻められていく教授の右脚。
　手をらせん状に動かし……さらに、脚の付け根に向けて丁寧に撫で上げ……再び、円をかくように腿に手を這わせて……執拗に加えられる愛撫。
　教授、必死に声を押し殺して耐えているが……さらなる攻めに、たまらずうめき声を上げ、首を震わせてしまう。
　「んんんんっ！」
　震える教授の左側……孝が、左手のひじをドア横の壁につけ、安定させている。
　そして左手の先は……教授の左耳に伸び、愛撫を加えている。
　
　壁に額を押し付け、体を震わせながら、唇を結んでいる水原教授。
　孝の手によって……身動きできないまま、すでに５分以上も、耳と太腿に愛撫を加え続けられている。
　蛙のような姿勢のまま、逃げられず、孝の手で攻め続けられる教授。
　孝の右手、腿を這いながら……さらなる侵入を試みている。
　教授、必死に抵抗を試みるが……両脚を完全に固定され、まったく閉じることができない。
　教授の思いも虚しく、やすやすと侵入を許してしまう教授の秘部。
　茂みをかきわけていく孝の右手。
　孝、耳への愛撫をやめ……右手の動きに集中する。
　ゆっくりと……とがった肉芽をとらえる孝。
　ビクンと痙攣する教授の体。
　すっかり膨らんだ、充血しきった肉芽を……指先でつまみ、指の腹で、やさしく転がしていく孝。
　たまらず唇を開き、喘いでしまう教授。
　「あぐっ！　……あっ……」
　慌てて声を押し殺そうと……しかし、歯を食いしばるのが精一杯で、唇を閉じることができない。
　火照った教授の体に、舌でなめるような、とろけるような愛撫を加えていく孝。
　孝の指の動きに、従順に反応してしまう教授の肉芽。
　震えを止めることができない教授。
　肉芽を攻められ、体中が脈打ち、ビクンビクンと反応している。
　歯を食いしばったまま、息を荒げ、必死に耐えている教授。
　さらに指を進めていく孝。
　孝の指が、すっかり潤った、みだらな亀裂をとらえる。
　溝に沿って、いやらしく指を往復させていく孝。
　指を軽く曲げながら、ソフトな攻めを加えていく。
　孝のなすがまま、感じてしまっている教授。
　孝の指が、さらに追い討ちをかけていく。
　亀裂を割り、最も大切な部分に侵入していく、孝の指。
　深く、浅く、深く、浅く……ゆっくりと教授の秘部を、指で犯していく。
　その動きが、ある意思を持つかのように、早くなっていく。
　徐々に、中で掻き回す動作が加わっていく。
　額を壁につき、眼鏡の奥で顔をしかめ、歯を食いしばり……鬼神のような表情で耐える教授。
　その教授の左耳を、再び、孝の左手が愛撫していく。
　耐え切れず、低くうめいてしまう教授。
　「あ……だ、だめっ……い……いくっ！……」
　耳と秘部を、丹念に指で犯していく孝。
　腰をがくがく動かし……やがて、壁に体をはりつけたまま、蛙のような格好で、だらしなく果ててしまう教授。

　駅が近いことを示すアナウンス。
　孝の右手が、再び動き始める。
　思わず、身構えてしまう水原教授。
　孝の右手が……裸の尻をとらえる。
　たまらず震えてしまう、教授の尻。
　裸の尻が……指先を立てた孝の手によって、ソフトに円を描かれていく。
　思わず声を上げそうになり……慌てて、肩口で口を塞ぐ教授。
　丹念に、やさしく、慌てずに……淫らな円を、いくつも教授の裸の尻に描いていく孝。
　尻を襲う、たまらない官能……塞いでいるはずの教授の口から、時々、耐え切れないように息が漏れる。
　孝の手……今度は５本の指がバラバラに動き、蜘蛛のように教授の尻を這い回る。
　５本の指が、すべて、触れるか触れないかのタッチで、早い動きでリズミカルに這い回っていく。
　もはや、うめき声を止められない教授。　
　「んくうっ！　……んんっ！　……」
　孝の滑らかな指の動き……官能の渦から逃げられない、教授の裸尻。

　駅に滑り込む直前……車内アナウンス。
　先行車両がホームに……一時停車の知らせ。
　駅を目の前にして、停車する急行電車。
　動きを止める２人。
　先ほどと打って変わった、静かな車内。
　と……静かな車内で、孝の指が、尻の谷間に滑り込む。
　たまらず息を飲むが……何とか声を押しとどめる教授。
　恥ずかしい声を漏らせば、明らかに気づかれてしまうような、静かな車内。
　孝の指が、無情にも、尻の谷間を優しく撫で上げていく。
　中指を巧みに使い……ていねいに、何度も、執拗な愛撫を加えていく。
　歯をギリギリと鳴らし、息を荒げながら、必死に声だけは抑えようとしている教授。
　ていねいな愛撫が、しばらく、尻の谷間に続けられる。
　絶え絶えに息をもらす水原教授。
　「くっ……ぐ……う……くうっ……」
　必死に耐える教授……しかし、孝の指に、とうとう追い詰められてしまう。
　尻の谷間をやや開き、指先を進める孝。
　その指先が……菊の形をした、尻のもっとも敏感な部分に触れる。
　たまらず体を震わせる教授。
　孝の指が、その尻の大切な入り口を……ていねいに、なぞるように愛撫していく。
　中には指を侵入させず、表面だけで十分に敏感な尻の入り口……優しく撫で上げる。
　絶望的な快感に襲われる教授。
　壁に額を押し付けながら、絞るようにつぶやく教授。
　「う……い……いや……お尻で……いきそう……そんなの……いや……」
　だが、孝の指……滑らかに、優しく、執拗に肛撫を繰り返していく。
　必死に耐えようとする教授……ぶるぶる震え、腰がひくひくと反応している。
　動く気配を見せない電車。
　意を決して、孝の指の動きが早くなる。
　優しい手つきのまま、リズミカルに加えられていく肛撫。
　その攻めに、とうとう、快感の喘ぎをもらしてしまう教授。
　「あぐうううううっ！」
　その声に、いっせいに振り向こうとする、周囲の客達。
　左側の大きな男が、驚いて体を動かし……そのため、２人の痴態が……客達の目にさらされる。
　驚きを隠せない乗客達の目に映る、２人の姿。
　熟年女性を攻めている、まだ２０歳前後の若い男。
　攻められている女性の顔……テレビでも見かける、水原教授の顔。
　有名な女性問題の論客が、こともあろうに、電車の中で尻をあらわにされ……２０歳以上も年下の男に、尻を攻められ、悦びの声を止められないでいる。
　その姿に、好奇の目を向ける乗客達。
　世間的に許せないはずの、孝の行為……しかし、教授のはしたない姿に、誰も孝に非難の目を向ける者はいない。
　視線を感じ、たまらない羞恥の色を浮かべる教授。
　だが、優しく続けられる肛撫に、自分を抑えることができない。
　「はうっ……は……あ……あぐ……」
　孝の指の動きが、さらに早くなる。
　その動きが、ついに教授を追い詰めてしまう。
　ぶるぶる腰を震わせ、歯を食いしばる教授を、最後の肛撫が襲う。
　「あ……や……い……いく……んぎいいいいい！……」
　尻を攻められ、絶頂に達してしまう教授の声が、停車中の静かな車内に響き渡る。
　そのまま、脱力した表情で、壁に体をあずける教授。

　ようやく動き出す、急行電車。
　徐々に、われに返る水原教授。
　ゆっくりと、後ろを振り向き、孝と視線を合わせる。
　とまどったまま、教授の視線を受け止めている孝。
　やがて……教授の口元に、ゾクリとするような、妖艶な笑みが漏れる。
　その迫力に、思わず後ずさりする、孝……周りの乗客達。
　満員のはずの教授の周りに、教授が何とか動けるだけの空間ができる。
　笑みを浮かべたまま、ゆっくりと、下着とストッキングを整える教授。
　駅に入っていく電車。
　扉が開き……孝の手首をつかみ、ホームに降りていく教授。
　教授に連れられるまま、改札口を抜け、街中に出る孝。
　教授、孝の方を振り向かぬまま、ずんずんと路地裏に入り……小さなホテルの前で立ち止まる。
　事態がやや飲み込めないまま、立ち尽くす孝。
　教授、振り向き、孝の方を見つめ……入り口へ促そうとする。
　動こうとしない孝に、教授の声がかかる。
　「いいから……入りなさい……」
　その声に押され、ようやく動き出す孝。
　その後を追うように、ホテルに入っていく、水原教授。