| 第1話 入店 峰 郁美は、夕刻の神戸福原ソープ街にあるアダルトショップにいた。 彼女は長崎県出身で、今年で23歳になったばかりのＯＡメーカー系サービス会社に勤める入社３年目の女性社員である。 容姿は、可憐という言葉がぴったりと当てはまる。 身長156㎝ Bアンダー60のDカップ，W57，H88という小柄ながらグラマラスなボディを隠し持ち、まさに彼女のために「コンパクトグラマー」という言葉はあるのかもしれない。 最近では、知人からは女優「井上○央」似ていると言われ、事実、街を歩けば間違われてサインを求められることが何度もあるほどだった。 本人は、まるで自覚がないようではあるが、平凡なグレー色の清楚なビジネススーツに身を包んだ身体からは年齢に似つかわしくない匂い立つような成熟したオンナ香り、そう俗に言うフェロモンというものを周囲に無意識に撒き散らしていた。 それが彼女にとって、数々のトラブルの元になるのではあるが・・・・・。 アダルトショップの親父は、息もするのも忘れ、彼女に目が釘付けであった。 親父は驚愕していた。 なんでこんな娘がこの店に現れるのか理解に苦しむところであるが、どこかのソープに入店面接でも受けにきているのかもしれないという推測に行き当たっていた。 「そうだ！！間違いない！！」 最近の不景気から、ＯＬから風俗嬢に身を落とす女は数知れない。 それに彼女からは若い容姿にかかわらず、成熟したオンナ香りがしている。 「こんな娘がソープ嬢なら是非抱きたい！！ 勤める店の名前を是非聞き出したい！！」 親父は突然わき起こった欲望に、自分を抑制できなくなりつつあった。 どう聞き出そうか などと考えながら、久しく勃起していなかった肉棒が激しく勃起しているのを自覚していた。 郁美は、本日の仕事を終え、昨年友人となり、瞬く間に大親友となった同郷出身の森川亜紀の勤めるソープ店を訪れる途中に、このアダルトショップに立ち寄ってしまったのだ。 本人も、何故アダルトショップに立ち入ってしまったのか、よく分からなかったが、これからソープランドの入店面接を受けるという異常な自分の行動に、正直夢心地だったのかもしれない。 郁美は、別にお金に困っていた訳でもない。 実家は、長崎県でも幾つかの会社を経営する一族で、かなり裕福な家庭であった。 郁美は二人兄妹の妹にあたり、家族からの愛を一身に受けて育ったお嬢さん育ちだった。 にもかかわらず、セックスを安全にしたい、男に奉仕したい、そして逝かして欲しいという、普通ではあり得ない理由で、ソープ嬢に身を堕とそうとしていたのだ。 もちろん、実家にはバレないように今の仕事を辞めるつもりはなかった。 良家の子女、お嬢様というのは意外に孤独だ。 幼なじみという存在もなく、従兄弟と大好きな兄しか身近にいなかった。 表面上のつきあい程度の友人だけで、物心ついてからも相談できる親友は一人もなかった。 通学も運転手付きの送り迎えがあるので、通学途中の出会いも期待できなかった。 就職して実家のある長崎県長崎市より神戸に移り住み一人暮らしを始めてからも孤独は続いた。 本人は生まれた時から、そうなので苦には感じていなかったが、年頃の娘にとっては、親友の不在は望ましいことではなかった。 亜紀との出会いは、とある居酒屋で隣同士座ったことから始まった。 郁美は、交際を迫るある男性とその店を訪れていた。 郁美は、相手を傷つけないように、そしてストーカーなど怖いことにならないように、なんとか円満に交際を断ろうと四苦八苦していた。 何気に話を聞いていた亜紀が、突然話に割って入ってきて円満に話を解決したことから、二人の交流が始まった。 亜紀は郁美より2歳年上で、頭の回転が速く、郁美の感性にもピッタリの女性だった。 偶然だったが、亜紀も長崎県出身ということで、二人の距離は瞬く間に近くなり、気がつけば二人は時間が許す限り一緒に過ごすようになった。 郁美にとって亜紀は初めての親友、そして頼りがいのあるお姉さん的存在になった。 同年代の若い女性が、語り合えば当然のことながら赤裸々なカールズトークが花開く。郁美は、渇望していた信頼できる同性に話すという行為に酔いしれた。 当然、現在に至るまでのお互いの境遇や過去の男性経験などの話を、赤裸々に語り合ってしまう。 そしてお互いに、過去の経験について客観的意見を述べあうにあたり、相手からの回答・意見が自分が納得する、同意できるものだった為、ますますお互いを晒しあっていった。 郁美に言い寄る男は、非常に多く男に困っているわけではなかったが、淫乱な女と噂になるのを恐れて、職場関係の男は全て断ってきた。 彼女は、自分がどうしょうもなく淫乱なオンナになってしまったことを自覚し、日常ではそれをひた隠しに生きてきたのだ。 亜紀と出会ってから、重荷のような苦しみは無くなりつつあったが、秘密は秘密だった。 現実には、郁美の身体から無意識に発せられるフェロモンが周囲の男達の心をかき乱していたのだが・・・・・・。 社会人となって2年の間に、アフターファイブの単独行動で、数え切れないほどの男達とセックスを経験してきたが、彼女を満たしてくれる男は一人として出会うことが出来なかった。 ハプニングバーで、過激にも5人の男による輪姦経験もしたが、身体は満足しても、心がどうしても満たされなかった。 それでも淫猥に成熟してしまった身体は、毎日のように男を、肉棒を求め続け、それを押さえ込むことがもはや出来なくなっていた。 固定的なパートナー、彼氏を作るという選択肢もあるが、それに値する男に出会えないという現実が彼女を追い詰めつつあった。 ソープランドは、女に習熟した男が遊びに来るとは言えない場である。 むしろ、王様のように女に奉仕して貰いたいという男が多く訪れる場であろう。 郁美は、男に奉仕する行為はむしろ好きであり、この点は気にならなかった。 それより何より、アフターファイブの単独行動は、実にリスキーであり、レイプされそうになった経験は、１度や２度ではなかった為、もう彼女には他に良い方法が思いつかなかったのだ。 毎日のように安心して、お金が貰えて、色んな肉棒を味わえて、セックスが出来るなんて幸せと考えていた。 当然、親友となった亜紀の存在と彼女との会話が決心の方向に向かわせたのは言うまでもない。 親父の予想は、偶然ではあるが見事に的中していた。 郁美は、おもむろに「トリプルGバイブ」という白い太いバイブの箱を手に取り、興奮した親父の待つレジに向かった。 親父の興奮はピークに達しつつあった。 郁美 「これ下さい」 親父は、彼女の可憐な容姿とその容姿通りの可愛い声、そして買おうとしているバイブという淫具というギャップに嫌らしい笑みを抑えることが出来ずにいた。 親父 「ありがとうございます 3500円です ところで失礼ですが、ご自分用ですか？」 郁美 「えっ・・・・・はい」 郁美の耳までが真っ赤に色づき、やや俯き加減に答えていた。 親父 「そうですか・・・・・・こういった品は初めてですか？」 郁美 「はい」 親父 「それではローションとかお持ちでないですよね？」 「あなたに最適なローションがありますよ 値段は1000～2000円程度です」 郁美 「ローションですか？」 親父 「ヌルヌルするやつで、有ると重宝しますよ」 「ところで、失礼ですが、こちら近辺のお店にお勤めされている方ですか？」 郁美 「いえ・・・まだ・・・・、実は今から面接なんです」 親父 「おおお～、そうですか！！ 貴女なら絶対合格採用ですよ！！」 「宜しかったら、店名教えて頂いてよろしいですか？」 「教えて頂けたら、ローション1本プレゼントしちゃいますよ～」 郁美 「えっほんとですかぁ～ ●○●○●ってお店なんです」 親父は、店名を聞き出した喜びと共に、やや落胆していた。 その店は、いわゆる高級店で、2時間十数万円を払わないと遊べないところだったからだ。 だが親父は納得もしていたのだ。 芸能人に負けないほどの可愛い女なのだから、当然その価値があると。 そして親父は、通い詰める決心を固めつつあった。 郁美は、約束の時間が迫っており、小走りで●○●○●に向かっていった。 何とか時間に間に合い、 入口の蝶ネクタイをした中年男に入店面接の約束でやってきたと話しかけた。 その男は、郁美の足先から舐めるように見ながら、目を大きく見開いていた。 その男は、愛ちゃん（亜紀の源氏名である）から、郁美がどんな女性か、聞いていたのだが、想像していた以上の可憐な美しい女性の登場に正直驚いていたのだ。 愛ちゃんも、かなりの美人で、常にナンバーワン争いを演じる人気嬢であり、その男は、まあその同程度だろうくらいにしか思っていなかったのだ。 見たところ、郁美は質素な化粧しかしておらず、それでいて目鼻立ちがはっきりしており、可憐という表現がピッタリな女であった。 しかし中年男を更に驚かすような現実が目の前にあった。 郁美が小脇に抱える茶色の紙袋の包装テープが外れ、丁度中年男の方向から何が入っているか一目瞭然だった。 バイブとローション・・・・・そして目の前に立つ可憐な若い女というギャップが中年男の妄想を加速させていった。 いつしか郁美の身体から匂い立つようなオンナの色香が早くもその男を狂わせつつあった。 男は自問自答していた。 「嘘だろう・・・・・自分の店に入店したら、この女と遊べない、抱けないではないか」 店員は、店の女には手を出せない暗黙の掟があった。 「掟を破ったら殺される・・・・・」 男は、事務所に郁美を案内しながら、10年近く働いた店を離れる決断をしつつあった。 事務所には、普段は滅多に姿を現さないオーナーである田原 凌と雇われ店長である中山 勉が待っていた。 中年男は、田原が居たことを驚きを感じていた。 オーナーが面接？ 中年男の10年ほどの勤務経験では、そんなこと記憶がなかったのである。 オーナー達と郁美を紹介しつつ、いろいろ妄想する中で、この新人女性は愛ちゃんの紹介であり、彼女の友人だとの話を思い出していた。 「ああそれで・・・・・・・・」 愛ちゃんは田原さんのお気に入りで、愛人との噂も同僚の間で流れていたのだ。 中山から愛ちゃんを呼んでくるようにと指示を受けながら、そんなことを考えながら、中年男はその場を立ち去っていた。 「あの女まで田原に渡してなるものか！！ 愛ちゃんだけで十分じゃないか！！ 欲張りめ！！」 田原も、中山も、いろんな女を見てきた百戦錬磨の男達だったが、その二人して、現れた郁美を見て、唖然としていた。 二人とも内心は穏やかではない心境で、久しく感じたことが無い興奮を覚えていた。 田原 「あなたが愛ちゃんから紹介があった、峰 郁美さんですね」 郁美 「はいそうです よろしくお願い致します」 中山 「オーナー 彼女は合格ですよね～」 田原 「うん お嬢さん採用しよう」 郁美 「ありがとうございます 勤務時間についてなんですが・・・・・」 田原 「ああ愛から聞いているよ 問題ない 可能な時間だけで自由に出勤して貰えば良いよ 細かいことは店長の中山と相談してくれば」 中山 「お任せ下さい」 普通は家庭環境など身上調査を兼ねた問答などをして、親バレなどの後々の問題発生リスクを色々確認するのだが、二人とも省略してしまったのである。 亜紀の紹介というのもあったが、正直言って二人とも郁美を一目見て気に入ってしまったのだ。 高級店で人気店となると、入店希望の女性は非常に多く、入店は難関を極めた。 なにせ、お金の実入りが通常のソープ店の数倍にもなり、１日で普通のサラリーマンの月収を手にすることも夢ではなかった。 ただ客層の要求レベルは高く、若いだけ、容姿が良いだけでは、すぐ飽きられ指名をとり続けるのは困難であり、多くの女性が数ヶ月で解雇退店を余儀なくされる正に女の戦場であった。 一般ソープ店からステップアップとして入店を希望する女性も多い。 素人新人で入店を果たすのは、２０歳以下の若く美形の女の子があるだけであり、２３歳の郁美が入店を果たすのは異例中の異例だった。 その後の会話は、雑談でたわいのないものばかりだった。 既に中山は、新人講習で真っ先に味見が出来ると思い、激しく肉棒の勃起を自覚していた。 その時であった。 田原にアゴで見ろと促されて、郁美がハンドバックと共に置いたテープの封が開いた茶色の紙袋に目をやった瞬間、中山の淫らな欲望が弾け、その口から淫らしい言葉が噴出した。 中山 「おお～ 郁美さんはバイブがお好きなんですか？」 田原 「バイブプレイ公認とは、実に嬉しい限り」 二人の淫猥な会話は一気に盛り上がっていた。 郁美は、突然のことで顔を赤らめながら、曖昧な受け答えをするのがやっとであった。 田原は郁美に右手を伸ばしつつ、言い放った。 田原 「そのバイブを見せて貰えませんか？」 郁美 「えっ」 とっさに郁美には、何のことが分からなかったが、田原の伸ばした手の方向は郁美のハンドバッグの方に向いていたので、目線を投げかけ事の次第を理解したのだった。 あまりの恥辱に、絶句してしまった。 その間も、バイブをどうのと色々な淫猥な言葉を浴びせられ、真っ赤に顔を染めながら、女の恥ずかしい部分に濡れを感じて目が潤んでしまっていた。 その時、ドアのノックが響き、亜紀が顔を覗かせつつ部屋に入ってきた。 亜紀 「あらら～もう始まっちゃったの？」 田原 「おう 彼女は合格採用だ よろしく」 亜紀 「もう～待ってって言ったのに オーナーのスケベ！！」 「仕事休みの日なのに、来たのに～～」 田原 「おいおい 失礼な まだ面談しただけではないか」 中山は凍り付いていた。 田原は、この界隈の実力者で、地元のヤクザ達も一目を置く人物。 「やはり 愛は・・・・・、これは注意しなくては」 亜紀 「じゃあ契約書は未だだよね」 田原 「当たり前だ 折角だから愛から詳細は説明してくれよ」 「中山は もう良い。仕事に戻れ」 中山 「えっ・・・・・分かりました」 中山は、新人講習を田原に取り上げられたことを今になって気がついたのであった。 「オーナー クソ～なんで一番のご馳走の時に、来るんだよ」 新人講習で、本番行為は基本的に御法度であった。 ソープ経験のある女に、そんなことしたら、文句言われるわ、お金は請求されるわ、大変なことになることが多い。 だから、大抵は設備説明と段取り説明のガイダンスが主なものである。 初心者の場合、具体的なサービスの説明は先輩の女性に任せることが多い。 だが中山は、今回ドサクサに紛れて抱いてしまおうと企んでいたのだった。 クビになっても良いとすら考えていたのだ。 その夢に破れ、うな垂れてその場を立ち去っていた。 契約書は、賃貸契約書を模したもので、形式上各ソープ嬢が店から部屋を借りるというもので、部屋の中でのサービスは、店は一切関知しないというものだった。 つまり部屋での行為は、お客とソープ嬢の自由恋愛の結果という説明を亜紀から聞かされる郁美であった。 仲の良い亜紀がやって来たことで、郁美は先ほどの恥辱を忘れ、にこやかに色々な説明を受けた。 郁美 「ソープ嬢は個人事業者なんだ」 「そうなんだ！！」 見るもの、聞くことが興味深く、郁美はこの世界の奥深さに感動していたのである。 金銭的なことについては、初めての1ヶ月は試用期間ということで、店側が7割・女性側が3割で、以後店側が5割・女性側が5割の等分となることと、部屋の消耗品、衣装などは基本的に全て女性の自己負担などが定められていた。 あと、表面上はコンドーム使用が前提となっているが、実態はコンドーム不使用が前提であり、ピルなど避妊策は自己防衛で行うとの話だった。 妊娠を望まない郁美は、既に必要に応じてピルは経口していたので問題無かった。 田原は、そんな郁美を妄想を肥大させながら見つめていた。 「この女を俺の自慢の肉棒で限界までよがり狂わしたい・・・・・・」 この男は、48歳という年齢ながら尋常とはいえない精力の持ち主だったのだ。 愛した女を一晩中責めて責めて、女がアクメで限界までよがり狂った顔を見ないと満足しないという、いささか倒錯した性癖でもあった。 しかし相手の女性は誰でも良いわけでもなく、現在、それに応えて満たしてくれる女は、亜紀たった１人だけだった。 田原は、亜紀に何度も求婚し断られていた。 それにもかかわらず身体の関係は続いており、それはかなり濃厚なものだった。 田原 「そうだ 源氏名だが 「真央」にするぞ」 郁美と亜紀は、顔を見合わせ笑っていた。 二人は、やっぱりそう名付けるかと目で会話を交わしていた。 田原 「今日 新人講習するんだろう？」 「愛 よろしく頼むぞ 俺は見学させて頂くからな」 亜紀 「はぁぁぁい そうだと思った うふふふふ」 郁美 「えっ今日ですか？ 今日は会社上がりだから・・・・・恥ずかしい」 亜紀 「脱げば一緒よ さっ行きましょう」 「あらっバイブ これどうしたの？」 郁美 「そっそれは・・・・・」 田原 「彼女の持ち込み品だ それで可愛がって欲しいらしい」 郁美 「そっそんなぁぁぁ」 亜紀 「そうなんだぁ～」 そう言った亜紀の目が怪しく光ったのを、郁美も田原も気がつかなかった。 実は、亜紀は レズビアンだったのだ。それもかなり重度の・・・・・ 郁美に出会ってから、実は虎視眈々とずっと郁美を我がものにするチャンスを伺っていたのである。 「遂にきた！！ 郁美 愛しているわぁ～誰よりも」 その心の声を 郁美は知るよしもなかった。 亜紀 「さぁ～ 私の部屋に行きましょう～」 亜紀は、郁美の手を取り、指を絡めるようにしながら、亜紀がいつも使う部屋に引っ張っていった。 郁美の後ろ姿は、彼女の高揚感なのか、更なる淫猥なフェロモンを溢れさせつつあった。 何か甘い香り・・・・・彼女の男を狂わす体臭なのかもしれない。 田原が、郁美の足元を舐めるように見ながらそれに続く。 遂に、郁美の初体験が始まる。 つづく |
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| 2011.1.15掲載 |
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