| 第17話 天使降臨そして亜紀結婚 三井 剛は、亜紀と田原の結婚式が間近に迫ってきて、心中穏やかではない日々を送っていた。 田原は自分の敵う相手ではないし、亜紀を何不自由なく幸せに出来る男であるのは認めていたが、亜紀を想う気持ちは理屈や頭で簡単に諦められるものではなかった。 三井が生まれて初めて、真剣に好きになった女が亜紀であった。 客とソープ嬢との関係ではあったが、元々路上で亜紀を見かけて、一目惚れから始まった恋であった。 どういう形であれ、一目惚れしてから肉体関係を持ててしまった事が恋の炎を抜き差しならぬものにしまった。 亜紀との会話は時間を忘れるほど楽しく、身体もセックスも最高で、身も心も亜紀に夢中になり惚れ込んでしまった。 亜紀は、ソープ嬢を引退する時、膝の上で号泣する三井を優しく受け止めてくれた。 三井は極道になってから初めて本気で泣いた。 三井自身、まさか自分が女のために泣くとは夢にも思っていなかった。 それも片想いが夢破れた時に、その女の膝の上で泣くとは、一生の不覚とも言える醜態であった。 三井は「親父」こと組長直属の懐刀で、「親父」に刃向かう者に対して容赦しない絶対零度の存在であった。 舎弟に京都大学卒のインテリ系、元陸上自衛隊特殊部隊出身者、警察機動隊出身者と粒ぞろいの猛者達を配下に従え、組織内外から最も恐れられる軍隊なみの破壊力を秘めたグループのリーダーであった。 三井は幼い頃に両親を交通事故で亡くし、父の友人であった「親父」に引き取られ、子供に恵まれなかった「親父」に我が子のように育てられた。 早く自立したいと防衛大学校に入学して陸上自衛官幹部候補生となったが、育ての親である「親父」が刺されて重傷を負うという事態に、恩義に応えるために戻ってきて組織の一員となった。 新参者ではあったが、すぐに猛者を集めたグループを結成し事態を収拾し、後日「親父」を組織の長へ押し上げた原動力となった。 三井は男色家ではないかと噂されるほど硬派で女っ気がなかったが、甘いマスクで女性からの人気は高くて、その気になれば何不自由ない性生活を送れたであろう。 そんな身辺も潔癖な彼の人柄も手伝って、彼の統率力、組織力、人脈の幅の広さは抜きんでていた。 そんな三井は亜紀の膝の上で泣いた日から人柄が変わった、いや亜紀と出会った頃から変わっていたのかもしれない。 もともと女性に乱暴、暴力を振るうタイプではなかったが、母の愛を知らずに育った過去の影響が色濃く表面化して、女性に対し甘えたり優しさをみせるようになっていた。 亜紀とのセックスで女体の魅力を知ってしまっただけに、それが絶たれてしまうと肉欲を押さえ込むのは日に日に困難になりつつあった。 気軽に奔放に女性を楽しむ配下の久保が羨ましくも思えたが、亜紀への熱き思いが自らの行動を律する形となり、自由な性生活を送れずにいた。 この戒めを解くことが出来るのは亜紀だけであった。 あの郁美救出劇の日、亜紀の愛車の中で亜紀本人は意識してはいなかった筈だが、無意識に三井に救いの手を差し伸べたのだ。 亜紀 「頼もしいわ 三井さんが助っ人だなんて」 三井 「恐縮です」 里奈 「あのぉぉぉ ２人は一体」 亜紀 「うふっ 彼は わたしの大ファンなの」 三井 「部下には内緒にして下さいよ」 里奈 「あらら それって亜紀の思う壺よ」 三井 「はあぁぁぁ 愛しても手に入らないって辛いです」 亜紀 「こらぁ 初めから駄目って言ったわよ」 三井 「そうは言っても そんな風には」 里奈 「お気の毒 でも 三井さん 見る目あると思うわ」 亜紀 「そうそう そして わたしより良い女 見つけられるはず」 「今日こそ 亜紀の呪縛から解き放ってあげますから」 三井 「亜紀さん 俺は」 亜紀 「分かってます 気持ちは嬉しいし、わたしは幸せ者」 「でもわたし １人しかいないの」 「あなたには 別の運命の人 絶対いるわ」 「見つかるまで メル友しよっうか」 三井 「えっ いいんですか！！」 「お店では駄目って」 亜紀 「はい だって未練が かえって残るでしょ」 「でも あなたは特別 今日お世話になるし」 「それに あなたの顔は 本気 真剣だもの」 「亜紀クリニックは アフターサービス万全なり」 里奈 「これこれ ますます惚れさせる気か！！」 三井 「がはぁはぁ〜 参りました」 亜紀 「というわけで 救出作戦 よろしくお願いします」 「でも殺しちゃ駄目よ」 三井 「はい 努力します」 「でも亜紀ファンは 辞められそうもありません」 亜紀 「これこれ 仕事に集中しなさい くれぐれも郁美のこと お願いね」 三井 「命かけて 守ります」 亜紀 「あなたも死んでは駄目よ あなたも大切な人なんだから」 三井 「はい」 そんな些細な会話が性的な閉塞感から、三井を解き放ったのだった。 三井は、亜紀と会話していると満たされなかった幼少時代を思い出す。 それは亜紀に母のような存在を見いだしているのかもしれず、自然と素直に心を開いている自分を自覚しており、それがなによりも心地よかったのだ。 だが彼らを殺さないという亜紀との約束を守れなかった為に、それがまた三井を違った苦悩に誘った。 彼らの悪事は過去の分まで知っており、一切同情を感じてはいないが、亜紀に嘘をついた自分自身の立場を呪っていた。 そして真実を話して亜紀が悲しむ事態は何がなんでも避けなければならないと思っていた。 亜紀の挙式の日が迫って、亜紀との距離を自覚し諦めにも似た心境に落ちついてくると、三井は自分の周りには自身に想いを寄せてくれている女性が複数居たことに気がつき始めていた。 「俺って 今まで全く気がつかなかった 女達からこんなに誘われていたのか」 それまでの反動か、三井はのめり込むように女達の間を渡り歩いていた。 「これでは 久保のこと あれこれ言う資格無いな」 そんな中でひとつの出会いがあり、また恋愛に愚直な三井らしい生き方に立ち戻るきっかけとなる。 大阪、北新地高級クラブの若いホステスが金銭トラブルに巻き込まれ、地元の貸金業者とトラブルを起こしていた。 藤村悠希２５歳、ホステス歴７年になる中堅どころで、北新地でも一二を争う人気ホステスであった。 お世話になったクラブのオーナーママに頼まれて、資金繰りの借金連帯保証人になっていたのだが、運悪くママが病気で倒れて帰らぬ人になってしまい、ママを欠いたクラブは敢えなく閉店し借金だけが残ったのだ。 債権者は当然のように悠希に肩代わりを迫るが、悠希自身も家庭の事情で水商売に身を投じた状態で、いくら人気ホステスといえ簡単に返済できる額ではなかった。 悠希は女優柴○コウに似た美形であった為、債権者の愛人になれば借金が免除されるという話は持ちかけられたが、６０代親父の愛人になるなど飲めない話であった。 連日の取り立てに嫌気がさして身の危険を感じた悠希は、夜逃げ同然で神戸に逃げてきたのだった。 そして神戸三宮、北野坂の高級クラブで働き始めたのだが、たちまち人気ホステスとなって目立って債権者に見つけられてしまい、そこで再び彼らから逃げたことで一悶着となった。 北野坂の高級クラブのママは三井と懇意にしている関係で、新人で有望な悠希を助けて欲しいと仲裁を依頼してきたのだ。 まさに三井の様な人物が間に入らねば済まない段階に入っており、悠希は幸運であった。 そうでなければ、東南アジアかアラブのような海外に、売り飛ばされていたかもしれなかった。 それが縁で、三井と悠希は出会った。 三井にすれば以前お世話になったママから依頼された頼み事に対処した出来事で、悠希は美人だなとは思ったが、それで女性に恩を着せるような男ではなかった。 悠希は、イケメンと言って良いルックスと明らかに危険な香りのする雰囲気、それでいて知性を感じさせる言動など、今までで会ったことのないタイプの三井に惹かれたのだった。 悠希はママを通じて三井に会いたい、お礼がしたいと誘い、それが縁で三井は毎週のように悠希の店を訪れるようになった。 悠希はホステスをしながら関西大学に通って経済学部を卒業した努力家でもあり、知的でウエットに跳んだレベルの高い話をする女性で、次第に三井の心の隙間、満たされぬ思いを満たしてくれる良き話し相手になっていった。 三井にとって、悠希との出会いは１人の女性を愛して大切にするという自身本来の女性観を取り戻すきっかけになり、悠希のことを大切に思うようになった。 それでも三井は未だ亜紀に対する想いを引きずっており、自身の気持ちが落ち着くまでに悠希の想いになかなか応えることが出来なかった。 三井に同行して悠希に出会った三井の筆頭舎弟である久保隼士も一目惚れしてしまい、三井の目の前で悠希を何度も誘ったが、三井への想いを逆に告白され降参する有様であった。 そしていつしか久保は悠希の恋の応援者になるという、柄にもない立場になってしまったのだった。 それだけ悠希は、身持ちが堅く一途な一面が有り、それでいて頭脳明晰で計算高い女性で、久保ですら舌を巻くほどオンナの特権を有効に使う強か者であった。 三井は、そんな悠希に亜紀の存在、亜紀への想いを素直に打ち分けてしまった。 当然のように偶然にも同じ年である亜紀への羅衣バル心が悠希に芽生えたが、亜紀が別の人と結婚してしまうこと、三井への思いやりのある断り方など知ると、いつしか亜紀に対する共感のようなものを感じるようになっていった。 亜紀の結婚式前日、三井は悠希の元で深酒をして、自らを慰めていた。 そんな意気消沈している三井を心配した悠希は、普通であれば指名が多数入る身で有りながら、その日は全てキャンセルして三井に着きっきりであった。 三井 「うぅぅぅん 悠希良いのか そんなに指名断って すまない俺の為に」 悠希 「何言っているの 剛さんは わたしの恩人よ やっとお返しできるわ」 「心配しないで 悠希のファンは そんなことで怒らないわ うふふ」 三井 「恋って こんなに辛いなんて初めて知ったよ 参ったよ 悠希居なかったら死んでいたかも」 悠希 「こらあっ！！ 剛には悠希が居るんだから、馬鹿な事言わないで」 「その気持ちを悠希にも させる気なの？ ヒドイぃぃ」 三井 「ありがとう そんなこと言ってくれるの 悠希だけだよ」 「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅう」 悠希 「分かるけど ちょっと飲み過ぎよ もうボトル３本目よ」 三井 「今日はトコトン飲んで酔って 酔いが覚めたら吹っ切れるような気がするんだ」 「こんな身勝手な俺を待ってくれるかな」 悠希 「はい ずっと待ってあげます」 三井 「ありがとう ありがとう ・・・・・」 悠希 「人を好きになる気持ちって わたしも最近初めて知ったの」 「あれれ 寝ちゃったの？ もうぉぉぉ自分ばっかり しょうがない人」 悠希は三井の仕事も知っていて普通は近寄ってはいけない存在だと認識をしていたが、そんな世界の住人だとは思えないほど繊細で熱い人だと感じて、知れば知るほど惹かれていた。 悠希は大きな酒屋を経営する家庭に生まれた一人娘で、金銭的には何不自由なく育った。 悠希が中学生の頃に、大手コンビニエンスチェーンの誘いで、酒屋からコンビニエンスストアに鞍替えした頃から彼女の人生に影が差し始めた。 それまでは悠々自適、安定した収入と地域社会との調和の中で暮らしていたのだが、急激なコンビニエンスストア戦争に巻き込まれ、過当競争に晒されていった。 悠希が高校卒業間際には、結局利益優先、オーナーの自己責任という都合の良い解釈に基づく合理主義、オーナーの利益より組織利益優先主義などについていけない両親は撤退を余儀なくされてしまったが、ハイエナのようなコンビニエンスチェーンにより何もかも剥ぎ取られて全て失ってしまった。 残ったのは土地だけであったが、ほとんどが借金の抵当に入っており事実上全て失った状態であった。 悠希は両親を助けたくて、夢見た進学を諦めて両親の反対を押し切って水商売に飛び込んだ。 悠希は父親譲りの酒豪ぶりを発揮して、また抜群の容姿と頭の回転の速いトーク力を武器に、あっという間に人気ホステスに登り詰めていった。 そういう状況の中、収入が安定してきたタイミングで、夢見た関西大学経済学部進学を自力で実現して、見事に留年無くストレートに卒業を果たした努力家だった。 彼女の夢は、大株主になって、あのコンビニエンスチェーンから富を取り返すことであった。 亡くなったオーナーママは、高校卒業したばかりの悠希に、業界のしきたりから、男性への対応の仕方、お酒に飲まれない飲み方など、全てをイチから教えて可愛がってくれた母親のような存在であった。 折からの関西経済の不況から北新地のクラブも苦しい経営を余儀なくされ、店の回転資金を融資される際には一番の人気ホステスとなった悠希を退店させない担保として、悠希も連帯保証人となることが求められる状態であった。 悠希はママを裏切る、退店するなど考えたことも無かったので、快く契約に応じたのだった。 それから半年もしないうちに、心労がたたってママが病に倒れてしまったのだ。 悠希を中心に一丸となって店の従業員達は必死にママの留守を守り続けていたが、あえなくママは亡くなってしまった。 オーナーを失った店は為す術もなく閉店となり、失意の悠希は茫然自失状態であったが、現実はゆっくり感傷に浸る時間を与えなかった。 人気ホステスであった悠希には、続々と他店から勧誘の誘いが入ってきたが、自身のことは後回しにして一緒に苦楽を共にした女の子達の再就職に駆けずり回っていた。 それがお世話になったママへの最後の恩返しなんだと悠希は感じていたのだ。 そんな喧噪が一区切りついた直後に、例の借金返済の話が持ち上がった。 悠希は、その金額に驚いた。 借金は数百万円であったはずなのに、それが高利で十数倍に膨れあがっていたのだ。 これには裏事情がある。 そもそも貸し手の思惑として、目当ては悠希にあったのだ。 本当は、その時点でも返済すべき借金は300万円程度と大した利子は加算されていなかったのだ。 それをオーナーママの死に便乗して無理難題をふっかけて、悠希を我が物にしょうと企んだのだった。 貸し手のボスは、悠希の店の常連客であり、ママの良き友人であった。 だからこそ、低金利で高額な運転資金の融資に応じたのだ。 貸し手のボスは、美人で頭が良くて気立てが良い悠希に夢中で、実際何度も後ろ盾になるから独立してママにならないかと再三誘っていたほどであった。 それは愛人となることを意味しており、またママを裏切るなど考えもしない悠希には、さり気なく丁重に断られてしまった。 ママが亡くなってしまい遠慮する必要がなくなった貸し手のボスは、強引に悠希を手に入れようと画策し始めた。 なので悠希が夜逃げ同然で逃げ出しても、配下の者達に悠希を傷つけることは厳しく禁じていた。 三井が仲裁に入ると話の拡大を恐れ、正規の金額の返済で手打ちとなった。 返済の全額を三井個人が立て替えたことから、悠希は三井の保護下にあると思われ、悠希に手を出すことは三井に喧嘩を売ることに等しく、貸し手のボスは諦めざるをえない状態であった。 お金を三井が全額立て替えた事実を悠希が知るのは、ずっと後のことであった。 翌朝、心地よいベッドで気がついた三井は狼狽えていた。 その寝室は、初めて訪れた女の部屋そのものであった。 昨晩は、悠希の店でしたたか飲んで酔いつぶれて寝てしまったところまでは覚えていたが、その後の記憶が全くなかった。 酔いに任せて、どこかの女と情交に耽ってしまったのかと思ったが、自身の肉体的にはそんな痕跡はなかった。 パンツ1枚となった姿であったが、三井の衣服は丁寧にハンガーで吊されており、面倒見られて寝かされていたというのが自然な解釈だった。 「まさか ここは悠希の そんなことは 悠希は」 三井は恐る恐る部屋のドアノブを回して、リビングをのぞき込んだ。 長くて白いＴシャツ１枚の上にオレンジ色のエプロンをした悠希が台所に立っていた。 その後ろ姿は白く伸びた両脚が眩しくて、ご馳走のようであった。 悠希 「おはようぉ 剛さん 大丈夫ぅ？」 三井 「・・・・・悠希・・・・・あっ おはよう こっこれは」 悠希 「ひどいぃ 忘れちゃったの？ わたしをあんなに激しく犯したくせに」 三井 「えっえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！」 悠希 「しくしくえぇぇぇぇぇぇぇん」 悠希は両手を顔に当てて、しゃがみ込んで泣き真似をした。 三井は脱兎の如く、パンツ１枚で悠希の元に駆け寄った。 悠希 「やっぱり 一夜限り慰みものにしたのね」 「しくしく ぐすん」 三井 「そんなぁ ごめん 悠希 俺は悠希のこと大切に思っているんだ」 「もう ちょっと時間が欲しかっただぁ あっ騙したな」 悠希 「うふふぅ 騙された？ うふっ」 三井 「おいおい 勘弁してくれよ」 悠希 「ごめんなさい あんまり幸せそうに寝てるから悪戯したくなっちゃったの」 「だって こんなに良い女がそばに居るのに手も出さないなんて」 三井 「そんなつもりじゃ」 悠希 「剛って可愛い！！ ますます好きになっちゃった」 「まあ色々ね あるみたいだけど 悠希は ずっと愛しています」 三井 「あっありがとう 照れるな」 悠希 「そうそう 簡単だけど 朝ご飯 作っておいたから食べていってね」 「急がないと 亜紀さんの結婚式 間に合わないわよ」 「式だけでも 出席するんでしょ」 三井 「あっそうだった 急いで帰って着替えないと」 悠希 「それなら準備してあるわよ そこ」 三井 「えっなんでここにある？」 悠希 「うふ 昨晩 久保さんに届けて貰ったの」 三井 「いつの間に 久保を手下にしたんだ 悠希は」 悠希 「それは秘密 どう悠希の手並みは？」 三井 「参ったな 間違いなく旦那を尻敷くタイプだな」 悠希 「ピンポン♪♪」 三井 「やれやれ」 お味噌汁と目玉焼きにハムという簡単な朝食であったが、三井が味わったことのない家庭の味であった。 それだけで何か心穏やかの気分にさせられて、冷静に、そして純粋に亜紀を心から祝福して見送ることが出来たのだった。 亜紀のウェディングドレス姿は、まさに天使のような美しさであった。 亜紀は三井を見つけると、誰にも分からないように三井だけにウィンクして、祝福の感謝をしてくれたのだった。 三井はその姿を一生忘れることは出来ないであろう。 亜紀達を見送った三井の瞼には、今朝見た悠希の後ろ姿、そして白く伸びた両脚が浮かんでいた。 三井が、自分の元に新たな天使が舞い降りたことを自覚した瞬間でもあった。 つづく |
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| 2011.6.8掲載 |
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