| 第23話 ふたりの天使 亜紀の日常は結婚以来、多忙の一言だった。 田原は何事でも亜紀に相談してくるし、夜は夜で亜紀にベッタリであった。 女子会も、紗弥を迎え、ますます盛り上がる一方で、徹の成長ぶりが最大の関心事であった。 紗弥の父親の件も、デリケートな問題なので、綿密な作戦が必要であった。 一番はお父様を精神的に傷つけずに済ましたいということだった。 紗弥は徹の話に期待を胸踊らせていたが、そのままでは恋になりかねないので、当面は女子会の中で留めることにしていた。 亜紀の思惑通り、紗弥は日に日に亜紀に心酔していった。 里奈はどうしても家庭があるので欠席が多く、徹の面倒は敬子に任せて、亜紀は郁美と紗弥を独り占めして楽しんでいた。 昼も夜も大忙しの亜紀であったが、田原の仕事上のつき合い、酒宴にも同席する機会も多かった。 その日は湾岸施設跡地再開発関連事業契約締結お祝いの酒宴に同席して、二次会で北野坂にある高級クラブに案内された。 田原は夜外で飲み歩く男ではないが、神戸では注目の有力者である。 その田原が訪れたのだから、高級クラブはたちまち貸し切り体制となり、最高のおもてなしが始まった。 亜紀の他、先方も夫人を伴う集まりであったので、担当したホステスは選りすぐりの数人のみであった。 亜紀は、ホステスという仕事に興味津々であった。 自身が１８歳の頃、深く考えずソープの道を選んだが、こういう道もあったんだと考えていた。 もしこちらを選んでいたら、田原と出会って結婚もなかったのかと思うと不思議であった。 源氏名「由紀」こと藤村悠希は、予想だにしない亜紀との出会いに動揺していた。 ナンバーワンホステスの悠希は、当然のように田原の横に座るように促された。 三井が想いを寄せる忘れらない女性「亜紀」は、田原を挟んで直ぐ隣に座っている。 田原を伴った店の常連客が悠希を田原に紹介してくれたが、悠希は亜紀が気になって仕方なかった。 田原 「さすがナンバーワン 美人だね」 悠希 「ありがとうございます これからもよろしくお願い致します」 田原 「うん？ 由紀ちゃんは 亜紀に興味有り なのかな？」 「席 変わろうか？」 悠希 「あっいや その」 田原は少年のような笑顔を浮かべ、悠希を促し席を入れ替わってしまった。 悠希は予想だにしない展開に、言葉が出なかった。 亜紀 「初めまして 由紀さん この仕事 長いの？」 悠希 「はい ８年になります」 亜紀 「失礼だけど お年はわたし同じ位よね」 悠希 「はい 同じ歳、同級です」 亜紀 「あれれ 何処かで 会ったことあったっけ？」 「それより みんな なんで 聞き耳を立ててるの？」 田原 「そりゃ美女２人の会話が気にならない男がいる筈も無し がはは」 「ごめんごめん おう みんな飲もう」 田原は亜紀の意図を察し、直ぐに場の中心を自分に持って行ってくれた。 店のスタッフも、田原を伴った人達も、田原の一挙一動に大注目であった。 神戸地域経済の有力者であり、田原と懇意にすることは成功に繋がる早道であった。 同席できないホステス達は、その場に呼ばれないかと色めき立っていた。 亜紀 「初めて会ったのに」 悠希 「共通のある方とお知り合いなんです」 亜紀 「ある方 あっまさか あなたが」 悠希 「はい わたし 本名 藤村悠希と申します お見知りおきを」 亜紀 「まあ こちらこそ 田原亜紀です よろしく」 「うふふ あの方を よろしくお願いします」 ２人とも、三井の名前は公然と出してはいけないものなのを心得ていた。 悠希は緊張していたが、すぐに亜紀の懐の広さに心許していった。 「なんて自然体の素敵な人なの なんかずっと話していたくなるわ」 同学年の気安さと同じ男性を知る気安さが、２人の距離感をあっという間に縮めた。 ２人は場の喧噪を他所に、２人だけの会話に夢中になっていた。 クラブのママは気が気でなかった。 悠希が主賓である田原そっちのけで、亜紀と盛り上がっていたからだ。 実はその心配は杞憂で、田原はこういう場で亜紀が退屈しがちなのを気にかけており、その日は亜紀が楽しげに話している姿に安堵していた。 「亜紀が気に入るとは この由紀という子 良い子に違いない」 新婚の田原を囲めば、当たり前のように２人の馴れ初めの話になった。 そこで田原は亜紀が聞いていないことを良いことに、自慢していた。 田原 「初めて亜紀に出会ったとき、１８歳だったんだが、一目で まさに天使かと思ったよ」 一同 「うわぁぁぁ まさに一目惚れですね」 田原 「想い続けて ８年 いや〜長かった」 「改めて悟ったよ 天使は金で買えないって事を がはは」 「だが天使は冗談ではなくて、天使に出会ってから 物事が全て上手くいくようになったんだ」 一同 「羨ましいぃぃぃ」 場の視線が突然自身に集まったのに違和感を感じた亜紀は、また田原が亜紀崇拝節を吹かしていると直感した。 亜紀 「もう またみんなに大げさな事言っているでしょう 困った人」 田原 「大げさな事言ってないぞ だだ俺は亜紀に夢中なんだって言っていただけだ」 亜紀 「はいはい」 悠希 「いつもなんですか？」 亜紀 「そうよ いつも 褒め殺し あっはぁ」 悠希 「それはそれは」 亜紀 「それはそうと 今度プ羅衣ベートでお会いしたいな」 悠希 「えっよろしいんですか？」 亜紀 「もちろんよ もっと悠希さんのこと 知りたいわ」 悠希 「こちらこそ よろしくおねがいします」 「ちょっと待って下さい この名刺にプ羅衣ベートのメルアドとか書いてお渡ししますね」 横で小耳に挟んだ田原は、心中穏やかでなかった。 「おいおい 亜紀ぃぃぃ まさか 由紀ちゃんまで 食べちゃう気か」 「郁美ちゃん 敬子ちゃん 紗弥ちゃん まったく困ったオンナだ」 「まあ そのお陰で 俺も楽しめるわけだが」 悠希は亜紀がレズビアンだと全く知らなかったし、既に心許していた為、いつしかテーブルの下でお互い指を絡めていたのを気にもとめていなかった。 「亜紀さんとお友達になれるなんて うふふ」 「悠希さん 素敵だわ この子なら 三井さんに相応しい」 「でも その前に 味見させて頂くわ うふ」 クラブが定休日である水曜日のお昼に、悠希は亜紀に誘われて、神戸メリケンパークオリエンタルホテルのバイキングレストラン入り口で待っていた。 すぐに亜紀も現れ合流して、連れだってバイキングレストランに入っていった。 悠希は、その日を心待ちにしていた。 あの日は、やはりみんなが居るので話す内容に注意しなければならず、しかも仕事中であった。 実際、閉店時にママからお小言頂く結果を招いてしまったが、直後にあった開店１５周年記念日に田原から悠希宛で豪勢な花輪などが届いて面目を挽回した。 ママは驚き半信半疑であったが、悠希が田原氏の心を掴んだ証明ともなった。 実際、田原は時々店に顔を見せるようになり、配下のグループ会社にも利用を推奨したため、連日盛況となってしまった。 もともと田原は、そういった夜の町で飲み歩くことが無かったので、配下のグループ会社幹部面々も習って自粛傾向が強かったのだ。 グループの総帥が好んでいない遊興にうつつを抜かす訳にはいかなかった。 それが一転して機会ごとにこの高級クラブを利用するように、そして俺の酒は自由に飲んで良いと言われて、彼らの喜びは言葉で言い表せないものがあった。 そうなるとクラブのママは嬉しい悲鳴を上げながら、困ってしまった。 女の子が足りないのだ。 高級クラブともなると、女の子は誰でも良いという訳にもいかない。 他店からの引き抜きは、いろいろ軋轢を生むしママの主義に反した行為であった。 ここでまたもや悠希が大活躍して、北新地時代の仲間達を５人も集めたのだ。 悠希 「そういえば お店の方 田原さんのお陰で大盛況です」 「ありがとうございます」 「お陰様で 仲が良かった女の子達も呼ぶことが出来て 楽しくなりました」 亜紀 「そうみたいね でも一番喜んでいるのは うちの会社の人達みたい うふふ」 亜紀は今では他言無用、関係者は口も裂けても口外しない様な自身の経歴を隠し立てなく悠希に語った。 悠希は自身と似たような境遇で、道は違ったが、女を武器にお金を稼いできたことに共感を覚えた。 亜紀 「わたしの場合 初めからホステスって選択肢 あの当時 思いつかなかったわ」 「思えば そういう道あったのよね」 悠希 「ホステスも同じようなものですよ」 「いわゆる枕営業しちゃうと 枕ホステスって呼ばれて、レベル低いってされるんですけど」 「長いお客さんで、将来的に後ろ盾になってくれそうな人とか」 「こっちが好きになっちゃうとかあると やっぱり男と女だから」 「それにこれだけ景気が良くないと」 「みんな苦労して 枕ホステスって呼ばれないように注意してやってます」 「まあセックスするしないは色々あるにしろ」 「わたしの場合は 口説かれすぎて 逃げるの慣れちゃいましたが あっはぁ」 亜紀 「そうなんだ 男って ホント女体好きだもんね」 悠希 「そうですね でも最近 それが可愛いなって」 亜紀 「同感」 悠希 「その為に 大金注いでくるじゃないですか」 亜紀 「あるある 貢ぎ物攻撃」 悠希 「すると こっちも勘違いしてきません？」 亜紀 「わたしって そんなに高いの？ みたいな」 悠希 「はい まあ だからこそ 成り立つ商売なんですけど」 亜紀 「まあね その代わり 取り戻せない代償払うけど」 悠希 「ですね わたしにしても もう普通の奥様には 成れないですから」 亜紀 「かといって 伴侶は欲しいし、子供も欲しい」 悠希 「そうなんですよ そして伴侶は 誰でも良いわけじゃ無い」 亜紀 「同感」 悠希 「なんにしても あの田原さんゲットするなんて まさにシンデレラストーリーですよね」 亜紀 「うふふ 詳しく知りたい？」 悠希 「はい 知りたい！！知りたい！！」 亜紀は２人の本当の出会い、結婚までの顛末を語った。 女同士の楽しいランチタイムは、会話も進むが、食も進む。 バイキング形式なので、まさに選り取り見取り、そして食が美味しいと、会話も盛り上がる。 亜紀は郁美達の存在など語り始めた。 悠希 「女同士ですか 実はわたし興味あるんですよ」 「実は ホステスの世界も レズって多くて わたし よく口説かれるんです」 亜紀 「やっぱり そうなんだ」 悠希 「やっぱり？」 亜紀 「やっぱり男性相手の商売 それも心身を犠牲にする商売って」 「普通の女性の感覚では無理よ そういう人 なかなかのし上がれない」 悠希 「あっ なるほど そうですね」 「わたしみたいの数少ないかも」 亜紀 「好きでもない男に身体許せるほど 女は強くない」 「でも男なんて どうでも良かったら 関係無し」 悠希 「分かります」 亜紀 「ところで 女同士興味あるのに 今までなんで」 悠希 「ずばり 好きになる女性いなかったから」 「もちろん尊敬する女はいますよ」 亜紀 「納得 そうよね 誰でも良いわけじゃない」 悠希 「わたし 亜紀さんなら 良いかなって」 亜紀 「うふふ あの日 悠希さんの瞳 見たときにピンときたの」 悠希 「あれれ ばれちゃいました」 「自分でも内々気がついていたんです」 「好きになる芸能人 女性ばかり」 亜紀 「分かるわよ うふふ」 悠希 「そうそう それより聞いて下さいよ」 「剛ったら まだ わたしに手も出さないんですよ」 「もう毎週のように わたしのマンションに来るのに」 「わたし もう欲求不満！！」 亜紀 「あらら 三井さんらしい」 悠希 「えっ そうなんですか？」 亜紀 「知ってるとおり 一途だからね」 「彼ってそうなの」 「わたしが現役の頃だって、お店に来たのに抱かれたの初めの頃だけ」 悠希 「えっえぇぇぇぇぇ」 亜紀 「プラトニックタイプね でも誠実な人よ あんな仕事してるけど」 「つまり 悠希さんが見事に三井さんにとって大切な人になった証拠」 悠希 「そうなんでしょうか？」 亜紀 「心配しなくても 三井さん いざとなると超絶輪だから」 悠希 「えっえぇぇぇぇぇぇ そうなんですか！！」 亜紀 「経験者は語る それについ最近まで 女遊び豪遊していたみたいよ」 「後輩達ところにも現れて みんな スゴイって夢中になってたもん」 「それが わたしの結婚式あたりから ピタッと止まったの」 「心当たり あるんじゃない」 悠希 「あっ あります それじゃ作戦成功かな」 亜紀 「やっぱり 何か仕込んだでしょう」 悠希は、あの結婚式の朝に、全裸に白いＴシャツ1枚にエプロン羽織って朝食作る後ろ姿で誘惑したことを語った。 正直、そのまま三井を引き留めて、自分の色香で夢中にさせたかったと告白した。 でも三井は、獣にならず誠実な態度で対応してきたので、やむなく結婚式に送り出したと。 それを聞いた亜紀は、それは効果的だったに違いないと断定して、関連して三井の悲しい生い立ちを悠希に話したのだった。 悠希 「辛い人生ですね 恩がある 男の世界ですね」 亜紀 「わたしね 田原に出会わなかったら 彼の人生に付き合ってあげても良いって思ってた」 「でも それは仮定の話」 「だから」 悠希 「バトン 喜んでお引き受けします 剛 守ってみせます」 亜紀 「うふふ よろしくお願いします」 「ところで 郁美とか わたしの親しい人達と会ってみない？」 悠希 「えっ良いんですか？ 是非」 亜紀 「実は 女子会って呼んでいるんだけど 今５人なの」 「やっぱり偶数が都合良くて 今６人目大募集中なの」 悠希 「それは 皆さんのお眼鏡に わたしが適うか」 亜紀 「悠希さんなら 合格間違いなし」 悠希 「よろしくお願いします それと さん付け止めて下さい 悠希って呼んで下さい」 亜紀 「はい それでは 悠希 わたしも亜紀って呼んで下さいね」 悠希 「はい」 亜紀 「で 実は 明日みんな全員集合する予定なの」 悠希 「えっえぇぇぇぇぇいきなりですか！！ ドキドキする」 亜紀 「今日お休みでしょ」 悠希 「はい だからゆっくり出来ます」 亜紀 「ゆっくりだなんて 今日一緒に ここに泊まりましょうよ」 「実は もうスイートとっているの」 悠希 「あらぁ 実はここのスイート泊まってみたかったんです」 「お言葉に甘えちゃう うふっ」 亜紀 「だから 夜通しおしゃべりして 親睦深めましょ」 悠希 「はい そういうの経験無くて ワクワクします」 亜紀 「そしたら ちょっとお茶してから 一緒にエステ行きましょうね」 「気持ちいいわよ 毎日身体ちゃんとケアしてる？」 悠希 「それが 毎晩夜遅いから ちょっとサボりがちなんです」 亜紀 「駄目よ 自分への投資怠らないこと 自分自身が商品なんだから」 悠希 「そうなんですよね 気をつけます」 亜紀 「その様子では サボりそう」 「分かったわ これから毎回エステ連れて行ってあげる」 悠希 「そんなお手間かけては」 亜紀 「なに言っているの もうその身体は わたしのものよ」 悠希 「えっえぇぇぇ大胆発言 うふふ」 ２人は食後のアフタヌーンティーを楽しむと、連れだってホテル内のエステに向かった。 悠希は今までに女性２人でこういった時間を過ごしたことが無かったことに気がつき、しゃにむに働いてきたことを実感すると共に、その楽しさ、心地よさに心奪われていった。 悠希にとって今まではエステは退屈な場に過ぎなかったのだが、亜紀とのそれは一転楽しい癒やしの空間に変わってしまった。 なんと言っても亜紀と同学年という世代観の一致が、何を話しても共感できるという楽しさに繋がった。 一緒に垢すりを受けた後、お風呂も入って、お互いの身体を褒め合いバストの触りっこもしてしまった。 すっかりリラックスした２人は、スイートルームに向かった。 亜紀 「どう？ エステの感想は？」 悠希 「こんなに楽しかったの 初めてです」 「女の楽しみって まだまだあるんですね」 亜紀 「うふっ こんなのまだ序の口よ」 ２人はいつしか指を絡め合いながら手を繋いでいた。 エステでさっぱりして颯爽とエレベーターに乗る２人は、さながら天上界に戻る天使のような雰囲気を醸し出していた。 忙しい亜紀と里奈が不在の中、郁美と紗弥、敬子はレズビアンの世界を謳歌していた。 徹はその頃、大学の方が忙しく限られた時間しか郁美達と過ごす事が出来ず、欲求不満気味であった。 そこに美しい紗弥が現れた為、彼女のことで躍起になっていた。 既に何度も郁美に、紗弥とのセックスを懇願し続けていた。 郁美の従姉妹で、郁美に優るとも劣らない美女で有り、体格が郁美とほぼ同じということが徹のオトコに火をつけた。 しかし話せない事情があるから今しばらく待ってと言われ、お預けで、その時はまだかと盛りのついた犬状態であった。 今まではそんなこと無かったのだが、構内で敬子と何度もセックスするほど激しい欲望であった。 その報告は敬子から郁美に逐一入り、徹が限界だということは把握していた。 郁美 「うぅぅぅん さすがに わたしと 急に週一になると駄目かな」 敬子 「無理よ ほぼ毎日だったのに」 「わたしが今 毎日襲われてる かなり獣化してるよ」 郁美 「だって徹が忙しいのよ」 敬子 「日中構内しかないみたい」 郁美 「わたし 行っちゃう？」 敬子 「だって 彼女でしょ」 「でも本心は 紗弥さん狙いみたいよ」 郁美 「あっはぁ そういうことか」 「そうよね 敬ちゃんで満足しないはず無いもんね」 敬子 「オトコって どんどん欲張りになるよね」 「徹さん 見ていて実感しちゃう」 郁美 「それが可愛いところ」 「実は 紗弥も徹にすごく惹かれていて」 敬子 「紹介するの早すぎたね」 郁美 「紗弥パパの件と当時進行しないとね」 「紗弥 徹派になったら あぶれたパパかわいそう」 敬子 「だよね 来週だっけ 紗弥パパ」 郁美 「そう 徹はその日 予定空けているよね」 「そろそろ その日は紗弥とデートって教えてあげようか？」 敬子 「嬉しそうな徹さんの顔 見たくない」 郁美 「あれれ 敬ちゃん妬いているの？」 敬子 「モチよ お姉ちゃん不安じゃ無いの？ 紗弥さん美人だし、良い女だし、わたし負けそう」 郁美 「正直 わたしも不安 盗られちゃうかも」 敬子 「ほらぁ」 郁美 「その不安を打ち消す 紗弥パパへの興味が」 敬子 「もう お姉ちゃんって いいオトコハンターなんだから」 郁美 「徹 信じてるもん それが年上の女」 敬子 「強がっちゃって わたし 知らないもん」 郁美 「分かったわ わたし連絡する」 ピンポーーーーーン 敬子 「あっ紗弥さん来たぁ」 紗弥はすっかり女の世界に嵌まってしまっていた。 不思議なことに、毎日日常の物事が違って見えていた。 父親とのことを思い悩んだ紗弥は、もはや何処にも存在していなかった。 つづく |
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| 2011.7.6掲載 |
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