| 第31話 武史と環１ 徹の妹、山田 環は１６歳の女子高生で、真っ先に徹のオトコとしての成長に反応した女であった。 彼女は自分の肢体に絶対の自信があり、自分に釣り合う男がいないと感じていたが、兄ということで対象外であった徹が突然オトコの魅力を放ち出すと環の女の嗅覚が反応した。 そして自分のロストバージン相手は徹しかないと思い行動に移しつつあり、虎視眈々とそのチャンスを伺っていた。 徹は妹がロストバージンしたがっているという事実を知り、兄として無視できず、かといってどうすれば良いのか分からず悩んでいた。 久々に郁美と週末ゆっくり過ごせる機会が訪れ、濃厚に愛し合った後に、ベットでマッタリと抱き合っているときに徹はその事を郁美に相談した。 徹 「郁美 実は相談したいことがあって」 郁美 「うん 急にどうしたの？ 改まっちゃって」 徹 「妹の環 のことなんだけど」 郁美 「うんうん 環ちゃんね 可愛いというか 綺麗な妹さんよね それが？」 徹 「実は ロストバージンしたがっていて」 郁美 「そんな年頃だもんね」 徹 「それで 僕にって」 郁美 「えっえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！ なんでまた」 徹 「分からないよ 急に僕を誘惑するんだ」 郁美 「あらら 赤くなって なにかされたの？」 徹 「朝 マンションで寝てたら ベットに入られたり お口で」 郁美 「あらら それは 立派な誘惑だし 一線越えかかっているわね」 徹 「郁美 冷静だな」 郁美 「まあ 徹がお兄ちゃんだったら しょうがないか あっはっ」 徹 「そんな 他人事みたいな」 郁美 「ごめんね それは困ったわね」 「そう 環ちゃんがね」 徹 「やっぱり妹だし、大事にしたいし、放っておく訳にもいかないし」 「かといって レベルの低い男には任したくないというのもあるし」 郁美 「そうね 環ちゃん 彼氏とかいないの？」 徹 「同年代は子供 それにレベルが低いって 見向きもしない」 郁美 「あらら そういうの紗弥に似てる」 「ふさわしい相手が必要ね」 徹 「うん 郁美の推薦するような男じゃないと 僕も納得いかない」 郁美 「わたしに探せって言うの？」 徹 「自分で探すと 結局 自分が残るんだ」 郁美 「あはぁはぁ 徹らしい わかったわ」 「実は 心当たりが１人」 徹 「えっ もう すごい 誰？」 郁美 「徹 亜紀の結婚式手伝ってくれたとき、環ちゃん連れて来ていたでしょ」 徹 「うん 亜紀さんに頼まれて ウェディングドレスの裾を持つ介添人を頼んだよ」 郁美 「その時 ２人とも 会っている人よ」 徹 「あの時？？ 誰」 郁美 「武史くんよ」 徹 「ああ 亜紀さんの」 郁美 「わたし ビックリしちゃったもん イケメンで医学部」 徹 「確かに 僕も負けそうって思った」 郁美 「２人ってお似合いだと思わない」 「武史くんって 亜紀の弟だけあって、しっかりして誠実な子よ」 「そして徹と同じもの感じる 美味しそうな」 徹 「こらこら 浮気心が怪しい」 郁美 「楽しいな」 徹 「やれやれ」 郁美 「いずれにしても 亜紀に相談しないとね」 「武史くん もう女性経験あるって言ってたから、ピッタリの子よ」 「きっと 環ちゃんの自尊心を満たすわ」 「というか 乙女心に 火がつくかも」 徹 「あのう なんか複雑な気持ちなんですけど」 郁美 「徹って かわいい よしよし ふぐっむぅ」 ２人は環と武史のセックスを妄想し、自らの淫欲に再び溺れていった。 徹にとって郁美は既に母親以上の存在になっており、なんでも素直に話せて、セックスについても隠し立てなく求めるようになっていた。 その結果、今では口内射精、アナルセックスなどあらゆる行為を楽しむ関係に発展していた。 紗弥との経験以来、徹は口内射精に夢中であった。 そんな徹の性癖、要望を、二言三言で理解し、濃厚に応えてくれる郁美に、徹はますます溺れていった。 アナルセックスは、ある理由で郁美は避ける傾向があったのだが、徹だけには許すようになった。 もちろん徹が夢中になるのは避けるように工夫は忘れなかった。 郁美にとっては、トラウマとも言うべきあの人「健二」との関係を強く思い出させる行為がアナルセックスで有り、それを払拭する意味でも出来れば避けたいが本音であった。 徹を愛すれば愛するほど、自身の身体に刻まれた「健二」の刻印が色濃くなる気がして、心の中では葛藤し苦しんでいた。 「あぁぁぁん どうして どうして わたしを放してくれないの 健二さん」 「こんなに徹のこと 愛しているのに どうしてなの」 郁美が葛藤しているとは夢にも思わない徹は、郁美の肢体に溺れ誠心誠意尽くして愛しぬいた。 その純粋な気持ちに郁美は救われる思いで応えていた。 「ありがとう 徹 わたし あなたがいなかったら 生きていけない」 「綺麗な身体で 徹に出会えたら どんなに良かったことか」 「あぁぁぁぁぁ いいわぁ 会うたびに成長しているわ」 「いつか わたしの全てを 徹色に染め上げてね その日こそ」 数日後の夜、郁美と徹は環の件を相談するべく亜紀のマンションを訪ねた。 亜紀 「あらら ２人揃って来るなんて珍しい いつも１人ずつなのに」 郁美 「そうなんだ そんなに徹１人で来るんだ」 徹 「たまに です」 郁美 「ふぅぅぅぅぅん 怪しい」 亜紀 「あっはぁ ところで相談って なんでしょう？」 「ちょうど わたしの方も ２人に相談したいことあったから」 徹 「それは良かった それでは亜紀さん 先に聞かせて下さい」 亜紀 「えっ わたしから？」 郁美 「わたし達の話 長くなりそうだから」 亜紀 「そうなの？ では わたしのは青春って感じの話よ」 郁美 「青春？」 亜紀 「うん 武史がね 紹介して欲しいんだって」 郁美 「えっ？ 武史くんが？」 徹 「そうなんですか・・・・・」 亜紀 「どうしたの？ ２人とも なんか がっかりしてる」 郁美 「実は わたし達も 武史くんに お願いしたいことがあって」 亜紀 「あらら 武史に なにをお願いしたいの？」 郁美 「その ロストバージンの相手役」 亜紀 「えぇぇぇうそ 徹がいるじゃない なんで武史に」 徹 「女の子 妹の環なんです」 亜紀 「えっ あっはっ なんかおかしい あっはぁはぁ」 郁美 「どうしたの？ 笑うなんて」 亜紀 「わたし達 同じ話 相談しているみたい」 郁美 「えっ？ 武史くん 環ちゃん えっ？」 徹 「うぅぅぅん？」 亜紀 「武史ね 環ちゃんに一目惚れしたらしいの で 紹介して欲しいって」 徹 「えっえぇぇぇぇぇ」 郁美 「環ちゃん 美人だし、結婚式の介添人衣装姿 素敵だったもんね」 亜紀 「うん 花嫁真っ青」 郁美 「あっはっ そういうこと それは好都合だわ」 亜紀 「ここは 普通に２人紹介して 自然に任せるのがベストね」 「武史 もうすぐ大学休みで 帰ってくるわ」 郁美 「そうなんだ なんかドキドキする」 亜紀 「わたしも 姉のわたしが言うのも変だけど 武史って超イケメンでしょ」 郁美 「うんうん わたし興味津々」 亜紀 「もう 郁美ったら」 徹 「なんか複雑なのは なんで」 亜紀 「それは徹がオトコになった証拠よ うふふ」 郁美 「面食いで、お嬢様で、要望高い 環ちゃんの反応が楽しみね」 亜紀 「武史の希望で ダイレクトに伝えて欲しいらしい」 「好きになったので 一度デートして欲しいって」 郁美 「まあ まさに直球ね うんうん 武史くんらしいわ」 徹 「うぅぅぅん 環 どうなんだろ？」 郁美 「２人とも面識ある筈よ 結婚式の日 話していたもん」 亜紀 「うぅぅぅん 武史 あれで手早いからね」 郁美 「乙女心にロックオンですか？」 亜紀 「でも 一応 遊びなら あの子は駄目ってクギは刺したんだけど、本気って力説されたの」 徹 「まあ 武史くんほどの人なら 環にふさわしい人だとは思います」 「あとは 環 次第」 郁美 「あぁぁぁん 待ち遠しい 出会いって素敵よね」 環は郁美という素敵な彼女がいながら、いろんな女性とデレデレしている兄、徹に最近怒りを覚えつつあった。 「確かに みんな綺麗な人ばかりだけど デレデレし過ぎ」 「なんか ガッカリだわ」 「男って 頭の中 エッチなことばっかり」 「お兄ちゃんだけは 違うって信じていたのに エロエロ もう」 「そういえば 結婚式で会った あの人 素敵だったな」 「確か 亜紀さんの弟さん あぁぁぁん 名前訊けば良かった」 環はテレビ等でもてはやされるイケメン俳優などには興味なかったし、魅力を感じたこともなかった。 その環が生まれて初めてイケメンで素敵と感じた人が偶然にも森川武史、亜紀の実弟であった。 武史は環が今までで会ったことが無いほど光り輝いていて、魅力的だった。 物事に尻込みせずハキハキものを言う環ですら、結局バージン乙女の弱さをさらけ出し、気が引けてなにも訊くことが出来なかった。 「あぁぁぁん わたしって意気地無し メルアド交換すれば良かった」 「あの人が 彼氏だったら わたし全てあげちゃうのに」 亜紀の実弟、森川武史（１９歳）は東京大学理科三類の１年生で、現役ストレートで進学を果たした秀才であった。 両親を幼少の時に病気で亡くして姉亜紀と２人苦労し、中学卒業時には姉を支えるために働くと主張したが、姉の夢が自身が立派な大人になることなのだと諭されて紆余曲折ありながら育った。 姉の苦労に報いるために、寄り道せず学業に励み、遂には成績上位で東大医学部へ現役ストレートでの合格を果たした。 姉、亜紀は自分のために、自身の夢「弁護士」を捨て、不本意なソープ嬢となり稼いでくれたことを武史は知っていた。 なので、人一番姉思いの弟であったし、姉を尊敬していた。 姉が払った代償を、如何に自分が最大限に取り戻すのが自身の責務だと自覚し自身に課していた。 その結果が東大進学という形で実を結んだ。 その直後には、亜紀が田原氏という凄い実業家と結婚して幸せになるという恩賞のようなサプライズが待っていた。 武史は田原を信頼していたし、とても感謝しており、一生かけて田原に恩返しするつもりであった。 田原が武史と会ったのは、もう３年ほど前の高校１年生の頃であった。 その時に田原は亜紀と結婚したいが、なかなか承知してくれなくて困っていると武史に話してくれた。 大人ぶらない自然体の田原に好感を持った武史は、男同士の相談相手としてなにかと連絡を取るようになっていった。 父親という存在を知らない武史にとって、田原は兄であり、そして父親のような存在になるまで、さほど時間を必要としなかった。 学費でまた亜紀に負担を掛けるのが気がかりで希望する医学部を躊躇していた武史であったが、田原は快く無利子の融資を約束してくれた。 その代わり亜紀との仲で、武史は田原を全面的に応援するという約束であった。 武史は鍵っ子として成長したが、その隙をつくかのように中学３年生の頃に近所の３０代人妻に誘惑されて、初体験を経験した。 当然の如く３０代人妻の熟れた肢体に、若い武史は夢中になり溺れていった。 ３０代人妻にオンナの喜ばせ方、愛し方を指南されて、半年もしないうちに武史は立派なオトコに成長を遂げた。 高校進学する頃に、３０代人妻は遠隔地に引っ越ししてしまい、突然別れが訪れた。 そうなると若い性欲は捌け口を求めて、チャンスがあれば同級生だろうと、人妻だろうと口説いて性交に持ち込んでいった。 既にセックスにおいては大人顔負けの武史は、女性達を次々に夢中にさせていった。 いくらでも機会、そして素敵な女性がいたにも関わらず、武史は特定の彼女を作ろうとしなかった。 セックスに溺れながらも自身の本分は学業にあり、セックスは息抜きだと切り替えが出来る性格だった。 大学進学と同時に東京という遠隔地に移り住んだということもあるが、パッタリと女遊びを止めてしまった。 容姿は道行く女性達が振り返るほどのイケメンであり、同級生だけでなく先輩の女性からも毎日誘いを受ける状態にも関わらず、不思議とそんな気が起こらなくなってしまった。 そんな中、亜紀と田原が結婚するという知らせが入り、誰よりも喜んだ武史であった。 やっぱり学費融資は田原に申し訳ないという思いがあったが、正式に義理の兄ともなれば、その思いも多少和らぐ思いであった。 亜紀の結婚式では、武史は運命的な出会いをした。 亜紀の友人の妹という高校生という少女に出会い、一目で夢中になった。 そこには武史の理想像そのままの少女がいて、身長もスラリと高く、何事にもハキハキして、目元クッキリの元気娘であった。 １９歳にして既に色事師レベルの武史が、その可憐な少女には話しかけるのが精一杯で、メルアド交換すら出来なかったのだ。 唯一の新婦側の家族として、バタバタしているうちに東京に戻る形になってしまった。 東京に戻ってから思い出すのはその少女の笑顔ばかりで、生まれて初めて学業に手がつかなくなった。 順番が逆さまではあるが、それが自身の初恋なんだと自覚した。 肉欲を熟知してからの初恋というものは、男にとって狂おしい熱病のような効果をもたらした。 若い肉体は爆発寸前になり、毎日のように夢精を繰り返す有様であった。 それで堪らず、亜紀にその少女を正式に紹介して欲しいと懇願したのだった。 山田 環は、突然亜紀に呼び出された。 場所は神戸国際会館近くのスターバックスコーヒーであった。 亜紀 「あっ たまき 環ちゃん！！ こっちよ」 環 「こんにちわ 亜紀さん 先日はありがとうございます」 亜紀 「こちらこそ さあ座って なに飲む？」 環 「あっ自分で」 亜紀 「いいの わたしもお代わりするし、呼び出ししちゃったんだから ねっ座ってて」 環 「そうしましたら グランデで、キャラメル マキアートをお願いします」 亜紀 「うふっ はい」 環は亜紀の後ろ姿を見つめながら、何事かとドキドキであった。 亜紀の後ろ姿は、同性の環ですらドキッとする色香が漂う大人の女性の姿そのものであった。 自分もいつかあのような色香を身に付けられるものなのか、自信がなかった。 環は同年代の女の子に対しては自分が上という絶対の自信があったのだが、亜紀と郁美に対しては逆立ちしても勝てない大人の色香に敗北を認めていた。 だからこそ環は亜紀と郁美に対しては素直になれたし、母親にすら話さないようなことも話すようになったのだった。 亜紀 「お待たせ 食べたくなってドーナッツとマフィンも頼んじゃった」 「一緒に食べるでしょ？」 環 「はい 頂きます マフィン 大好きなんです」 亜紀 「どうぞ ところで 環ちゃん 彼氏出来た？」 環 「全然です なかなか素敵な人いなくて」 亜紀 「あっはぁ 高望みしてませんか？」 環 「もちろん 超高望みです あっはぁ」 亜紀 「まあ 環ちゃん 可愛いし 美人だし モデルさんみたいだもんね」 環 「実は いくつか事務所から 誘われているんです」 亜紀 「まあ みんな 目敏いのね」 環 「興味は有るんですけど 歌が上手いわけでも、演技が出来るわけでもないので」 「容姿だけって 痛くないですか？」 亜紀 「まあ 使い捨てにされやすい」 環 「そうなんです 若い時だけって感じじゃ 痛いだけ」 亜紀 「環ちゃんのお眼鏡に適う男の子って いないの？」 環 「実は 最近 生まれて初めて１人だけ 見つけちゃいました」 亜紀 「あらら 遅かったか」 環 「？？？」 亜紀 「実は １人 環ちゃんに紹介したかったんだけど うぅぅぅん」 環 「紹介？」 亜紀 「そういうことなら 呼び出して申し訳ないけど 無しにしていいかしら」 環 「えっえぇぇぇ 亜紀さんの紹介、超期待しちゃう 教えて下さい」 亜紀 「だって 環ちゃんの思い 大切にしたから」 環 「じゃ告白しちゃいます わたしが憧れているのは 亜紀さんの 弟さんです」 「あはっ 言っちゃった 超恥ずかしぃ」 亜紀 「えっあっ うそ 武史？」 環 「うわぁぁぁ 武史さんって言うんですか！！」 亜紀 「あら 名前知らなかった？」 環 「はい また会えたらメルアド交換したいです 出来れば番号も」 亜紀 「どうやら 運命の出会いだったようね」 「わたしが仲介するまでもないか」 環 「仲介？」 亜紀 「実はね 今日 呼び出したのは 武史が環ちゃんに一目惚れしちゃったという話」 環 「えっえぇぇぇぇぇぇぇ うそぉぉぉぉぉ ホントですか？」 亜紀 「はい そして今度デートして欲しいって」 環 「きゃあぁぁぁ ウキィィィ 夢みたいぃぃぃ あっはっ」 有頂天になりキャッキャと喜ぶ環が、キラキラ光って眩しく感じた亜紀であった。 亜紀自身少女時代には、そのような恋愛の思い出はなく、青春の輝きはお金の為に犠牲にしてしまった。 「これが青春なのね わたしって どこに置き忘れてきてしまったのかしら」 「しかし わたし達って なにをしていたのかしら」 「もう２人は 相思相愛 取り越し苦労にも程がある」 亜紀は環と相談して、武史には環の思いは内緒にすることにした。 相思相愛は素敵なことだが、「男には安心、慢心こそ大敵」が亜紀の持論であり、環の気持ちを知った武史が図に乗る恐れがあったからだ。 数週間後、環と武史は再会して初デートを果たすのだが、相思相愛の２人は一気に燃え上がり、数年後には結婚に向かって一直線になるとは、さすがの亜紀も想定外であった。 つづく |
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| 2011.9.24掲載 |
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