「お父さんの背中、なんだか小さくなったみたい・・・」
「ははっ、お父さんが小さくなったんじゃなくてお前が大きくなったんだよ。一緒にお風呂入ってたときはまだお父さんのほうが大きかったけど、いまじゃお前のほうがお父さんよりもずっと大きいんだから」
「ふふ、それもそうね」
　たくましく感じていた父親の背中がいまでは小さな翳りがうかがえる。悲哀の想いを感じながら、美鈴はたんたんと父親の背中にタオルを這わせていった。
「はい、じゃあ次は前ね」
「お、おいおい、前は自分でやるからいいよ」
　悩ましく濃艶な姿に変貌してしまった娘に、父として絶対に欲情してはいけないと、必死になって自制心を働かせていた父・隆三であったが、すっかり童心にかえった美鈴は戸惑う父親にかまうことなく強引に前のほうへ移動すると、泡立てたタオルを首に押しあてゴシゴシと洗いはじめていった。
「お、おい、本当に・・・」
「いいから、私にまかせて。病院でもね、一人でお風呂に入れない患者さんとか私がいれてあげるのよ。これでも上手なんだから」
「う、・・・そ、そうか」
「はい、腕をまっすぐに伸ばして」
　隆三は、二の腕から指先までを丁寧に洗ってくれる娘の顔を何気に見つめた。鼻筋のとおった知的な横顔に、我が娘ながらおもわずドキリとしてしまう。額にうっすらと浮かんだ玉のような汗は憎らしいほど色気を漂わせ、少しでも気をゆるませるとすぐにでも理性が飛んでいきそうな、そんな感覚にとらわれていく。
（それにしても・・・ふむ、いい女に成長したもんだ。昔は男の子のように活発で、わんぱくで、一時はどうなることかと真剣に悩んだこともあったが・・・）
　父の懐かしむような視線に、美鈴もまたニッコリと屈託のない笑みを父親になげかけた。
「う、うむ、ごほん、ごほん」
　照れた隆三が、咳払いしながらあわてて視線を横にむける。成熟した色っぽい娘も笑顔だけは昔の可愛らしいおもかげをしっかりと残しているようだ。
（ほ、本当に美しくなったな・・・んっ？）
　何気に視線を落とした隆三の目に、父親としての人格を喪失させるような光景が飛び込んできた。腰をおろして体を洗っている娘のふくよかな胸がこぼれんばかりに盛り上がっている。真っ白な肌の豊乳は、いまにもタオルからはみ出しそうな状態となっていた。
（むむ、・・・くっ、いかん！　いくら娘の乳房とはいえ、こんなものを目にしたら頭がクラクラしてくる・・・んっ？　うお！）
　脇腹の奥を洗おうと、美鈴が無意識のうちに両足をおおきく開いている。そのときであった。洗いやすいようにと脇腹を反って身をかがめていた隆三の目が、うっすらとではあるが股間中央の黒い茂みに覆われた娘の熟した性器をとらえたのだ。
（ハアハア、・・・ゴクッ、・・・み、美鈴・・・くぅ、だ、だめだ・・・）
「はい、次はおへそね。おへその中もちゃんと洗っとかないとね」
「あ、いや、あ、あとは本当に自分で・・・・」
　ボディタオルを下腹部にまわそうとした美鈴の腕に、コツン、と何かが当たった。
「んっ？」
　腕にぶつかった物体をマジマジと見つめた美鈴は、すぐにそれがなんなのかを理解して驚愕の視線を浴びせた。
（な、なに？　・・・お、お父さん・・・ど、どうして？）
　股間におかれた小さなタオルが、細長い山のように高々と隆起している。また、そのタオルの先端が、グイッ、グイッと、不気味にゆれ動いているではないか。
「・・・・・・・・」
　しばらくの間、親子最後の水入らずの場に不吉な沈黙が流れていった。
「・・・・・・・・」
　きまずい雰囲気においても隆起した怒張はいっこうに静まる気配がない。そのうち、隆三が申し訳なさそうに口を開いてきた。
「み、美鈴、すまん。・・・俺って奴は・・・本当に情けない。申し訳ない！」
　その場に土下座して必死に頭をさげる父の姿に、美鈴自身も、自分勝手な行動をとりすぎたと、父の気持ちも考えずに悪いことをしたと深く反省した。
（お父さんだって男だもんね。いくら相手が娘だからって、こんなことされてたら生理現象が起きても不思議じゃないか。・・・な、なんとか平静を装って・・・）
「お、お父さん。ほら、頭をあげて。こんなこと、病院でもよくあるのよ、しょうがないのよ生理現象だから。私だったら慣れてるから大丈夫。さあ、ここに座って」
「み、美鈴・・・」
　隆三は、恐る恐る顔をあげると、美鈴に抱き起こされながら洗面イスに座りなおした。
「はい、じゃあ次はとっても元気で健康的なおチンチンを洗います」
「あ、いや、ここは自分で・・・」
「もう、そのうちお父さんが年をとって寝たきりとかになったら私が看病するのよ。だから気にしないの」
「あ、ああ、そ、そうか？　そ、それじゃあ・・・」
　性的感情が萎えるようにと、できるだけ気勢を張り開き直った態度をとる美鈴であったが、いざ股間上のタオルを取り払うと、天を向いて力強く反り返った実父の毒々しい肉棒に、たまらず息を肺深くにまで吸い込んだ。