「ん、んん、・・・んくっ、・・・んはぁ」
　肉親によって行われる性戯の、なんと気まずいことか。肉体はこんなにも悦んでいるのに、絶対に感じてはいけないと倫理がつよく念を押してくる。
　クチャクチャ、ヌチッ、ヌチャ、・・・
　しかし、そんな倫理さえも、自身の恥ずかしい体液がピチャピチャと卑猥な音を浴場内にとどろかせるたびに、次第に薄れていくのであった。
「あ、・・・くっ、だ、だめ、・・・んあぁ」
　膣内をまさぐる隆三の指が恥骨方向へと向きを変え、その動きを膀胱の裏あたりに集中させてしきりにバイブレーションを送ってきた。
「うぐ、・・・っあ、ああ・・・んあぁ」
　美鈴は、初めて味わう奇妙な感覚に背中を仰け反らせて父親の太ももを掴んだ。痒みをともなう快感が秘穴を基点にしてジワジワと広がっていく。上品な口もとが淫靡に歪みながら、腹の底から絞りだすような嗚咽が断続的にこぼれていく。美鈴自身、腰の骨が砕けてしまったのではないかと錯覚してしまうぐらいに、愛撫をうける下半身は快楽以外の感覚を失っていった。
「どうだ、気持ちいいだろう。ふはは、もっとよくしてやるぞ」
　隆三はそう言うと、乳房を揉んでいた手を下にずらし、すっかり充血したクリトリスを指の腹でやさしく揉みころがした。
「いやぁ！」
　美鈴の腰がビクンッと跳ね上がった。
　突き刺すようなするどい稲妻が、一瞬にして脳まで突き抜けていったのだ。
「ふふふ、美鈴のここも父さんの物と同じように勃起しているぞ。父さんの物と比べるとずいぶん小さいが・・・」
　隆三は、揉みころがしていた小さな小豆を下から上へとやんわり扱きながら、巧みな手つきでバイブのスピードをあげていった。
「あ、あはぁ！・・・も、もう、い、いく、・・・あ、いやあ、」
　秘穴の上にある尿道からは、おびただしい量の透明な淫液がビュッビュッと、飛び散っていく。
「ハアハア、どうだ、美鈴？　いいか？」
「あ、あ、だ、だめ、いく！　んあぁ！」
　美鈴は自身の太ももをブルブルと激しく痙攣させ、歓喜の悲鳴をあげながら絶頂に達した。無意識に掴んだ隆三の太ももには、うっすらと血が滲んでいた。
「おお、もうイッたのか。うむ、よほど感度がいいんだな。お前の性感は間違いなく母親ゆずりだ。・・・だったらきっとこっちのほうも感度がいいはずだぞ」
　魂の抜けた美鈴の尻から洗面イスを抜き取った隆三は、従順になった肉体に四つん這いの姿勢をとらせて尻を高く突き上げるよう促した。
（ああぁ・・・わ、私、お父さんの前でなんて格好をしてるの・・・）
　身体の火照りは冷めぬまま、強烈な疼きはいまもジンジンと続いている。できれば、いますぐにでも男根の慰めが欲しいと思っていた。たとえそれが肉親の物であろうとも・・・。近親相姦の文字が頭の中から消えたわけではない。しかし、父親に促されるまま自ら四つん這いの姿勢をとり、性器はおろか、肛門さえも躊躇うことなく晒した時点で、美鈴の覚悟はほぼ決まっていた。
（ハア、ハア、・・・お、お父さんが私のあそこをジッと見てる・・・ハア、ハア、私達、と、とうとう過ちを犯してしまうのね・・・）
　張り裂けんばかりに胸が高鳴っていく。膣から延々と分泌されつづけている愛液はついに縦長の秘裂から溢れてしまい、太ももにまで滴りはじめている。
　モゾモゾと、すっかり落ち着きをなくした淫らな娘の下半身に、隆三の喉がゴクリと鳴った。が、しかし、虚ろな隆三の目がとらえていたのは淫猥に潤う秘穴ではなく、その上にあるセピア色の小さな窄まりであった。
「うん、いい色だ。それに伸縮力もありそうだな。・・・これなら大丈夫だろう。美鈴、いまから未開発のここを父さんの手でりっぱに開発してやるからな。ここの味を知ればたまらなくなるぞ。セックスへの考え方から変わるかもしれんな」
　隆三は、ボディソープの原液を自身の掌にたっぷり吸い出すと、その手を割り開かれた尻の亀裂にあてがい溝に沿って撫でおろした。
「あ、・・・あ、あぁ」
　アナル、ヴァギナ、陰毛の上を、隆三の手がヌルヌルと何度も何度も往復する。深く食い込んでいる中指の腹がアナルをコリコリと嬲り、大陰唇と小陰唇をめくりあげながらクリトリスを擦っていく。
　美鈴は、快美な摩擦に悩ましく泣いた。
「んん・・・あはぁ・・・き、気持ちいい・・・」
　巧みな手つきで股間全体をまさぐっていた隆三の指が、次第にアナルを中心とした愛撫に変わっていった。
「そ、そこは・・・あ、いや！」
「なーに、なんも心配せんでいい。こんなに立派な肉感をしてるんだ。これなら大丈夫。すぐに良くなる」
　そう言い終わらぬうち、隆三の指は第一関節までをセピア色のアナルへと侵入させていた。
「うっ、・・・くぅ・・・」
　排泄器官へ入り込もうとする異物に対して、直腸の括約筋が反射的に締めつけてくる。
「うむ、いい締めつけだ」
「んぐっ、いや、・・・お、お願い、・・・指を・・・指を抜いて」
　下腹部を襲う嫌悪感から締め付けがいっそう強烈なものになっていく。それはまるで、禁断の領域を冒す侵入者を拒むかのような、必死の抵抗にもみえた。
　隆三は、第一関節まで差し込んでいた中指を引き抜くと同時に、瞬時に代わりの小指をヌルリと根元まで挿入した。
「あん、」
　ふいをつき、うまくアナル内への侵入を果たした小指がすぐに淫靡な行動にでる。
「あ・・・あぅ・・・い、いや、・・・お尻なんて・・・」
　小指が、窮屈な直腸内で小刻みに震えては腸壁をキュッキュッと、擦りあげていく。隆三は、直腸内のベタつき感をじっくり味わうと、小指でアナルにバイブレーションを送りながらゆっくりとストロークを開始した。
「あうっ、・・・いやぁ・・・あっはぁ・・・」
　指の引き抜き動作はスピーディーに、挿入動作はゆっくりジワジワとアナルに傷をつけないよう行っていく。この愛撫を執拗に繰り返してやる。
（あ、あぁ・・・な、なに・・・お尻が、・・・お尻が変になっちゃう・・・）
　だんだんと、アナルを中心にムズ痒いような痺悦感が広がってきた。美鈴は自身の感覚を疑わずにはいられなかった。その感覚が決して不快ではなかったからだ。
　初めて味わう奇妙な感覚が、肉体を憎いほどに痺れさせていく。この快楽が、まさか排泄器官でしかなかったはずの肛門によるものだと、とても信じることができない。しかし、いつのまにか嫌悪感が消えていたのも事実であった。
「おお、直腸がヒクヒクと波打ちながら指に吸いついてくるぞ。もしかして感じてきたのか？　ふふ、さすが母親譲りだけのことはある。よし、それじゃあ、指を二本にしてみようか」
　娘のアナルに母親以上の器を感じた隆三は、満面の笑みを浮かべながら中指と人差し指を上下に重ねてその先端にボディソープをたっぷりつけると、悩まし気にヒクつく小さな窄まりにジワジワと突き入れていった。
（あぁ・・・わ、わたし・・・もしかして感じてる・・・お、お尻で・・・）
　ヌチ、ヌチ、ギチ、ヌチ、・・・
　重ねられた指でのストロークがピッチをあげていく。さすがにすこし痛みはあるが、それよりも、とめどなく湧き上がる愉悦のほうが大きかった。