６．

「旅行に行かないか。」
「えっ？」
「久しぶりに。どうだ？」
「ほんと？・・うそみたい！、嬉しいわ。」
　たけしは、少しの間だけでも久仁子と３人の青年を引き離したい、そう思って、久仁子に二人きりの旅行を提案した。
　久仁子はまるで子供の様に、無邪気に喜んでいる。
（「この喜び方は嘘じゃないよな。まだ俺のことを愛してくれてるのか。」）
　たけしは複雑な気持ちで、久仁子の笑顔を見つめていた。

　二人は車で近場の温泉にでかけた。
　人の多い大型ホテルを避け、昔風の静かな旅館に宿を取った二人は、ゆっくりと湯につかり、一緒に夕食を食べ、並んで敷かれた布団で眠りについた。

　たけしは久しぶりに、とても興奮していた。
　浴衣を着た久仁子は、たけしに背を向けて眠っている。
　目の前で、久仁子の括れたウェストと小高い山のような腰が、薄いタオルケット越しに見事な曲線を描いていた。
　大きく開いた浴衣の首筋からは、髪を上に揚げて初めて見えるようになった、久仁子の白く色っぽいうなじが、誘うようにたけしを見つめている。
　とても我慢ができなくなった、たけしは、久仁子の上にかかるタオルケットを静かに捲ると、彼女の腰からわき腹にかけてをそっと撫でた。
　久仁子はすぐに気づき、首を後ろに捻ってこちらを振り返ろうとする。
　たけしは「そのまま。」と小さく声をかけて、むっちりとした久仁子の身体に後ろから抱きついた。
　そして、わき腹から浴衣の胸元に手を差し入れ、ずっしりと重い久仁子の乳房を、下から持ち上げるように優しく愛撫する。
「あっ・・あなた・・んっ！」
　たけしはそのまま、嬉しそうに悶える久仁子のうなじにキスをしながら、彼女の下半身に手を伸ばして、浴衣の合わせ目から手を中に忍び込ませた。
　しっとりと手に吸い付いてくるような久仁子の太ももの内側を、ゆっくりと撫で回しながら、彼女の髪の匂いを胸一杯に吸い込んだ、たけしは、「久仁子、愛してる。・・誰よりも。」と囁いた。
　これを聴いた久仁子は、向きを変え仰向けに横たわると、両手を頭の上に挙げ、潤んだ瞳でたけしを見つめながら、「私もよ。」と、はっきりとたけしに分かるように、返事をした。
　感激したたけしは、久仁子の上に覆い被さり、彼女の浴衣の前を開け、顕になった白い乳房に顔を埋めながら、彼女のショーツを下に引き下げる。
　そして、久仁子の股の間に自分の腰を割り込ませ、股間に手をやって、既に濡れている久仁子の中に自分のペニスを挿入しようとした・・だが、できない。・・勃たないのだ。
　気持ちは早く久仁子を抱きたいと焦るのだが、股間は半勃ちの状態で、それ以上硬くならない。
（「なぜだ！？、どうしたんだ俺は・・」）
　いざとなるとたけしの頭は、久仁子とあの３人の青年の凄まじいセックスを思い出してしまい、どうしても股間が萎縮してしまう。
　たけしは久仁子の身体から離れると、ごろりと仰向けに寝転がり、きつく眼を閉じた。
「いいのよ。いいの。気にしないで。」すぐ脇で久仁子の声が聞こえる。
（「うそだ！、本当は情けない男だと思ってるくせに・・」）久仁子の声がたけしには、まるで自分を憐れんでいるかのように聞こえた。
　しばらくすると、居たたまれなくなったのか、久仁子は「お風呂に行ってきます。」と言ってひとりで部屋を出た。
　たけしは、しばらくそのまま、泣きたくなるような気分で眼を閉じていたが、やはり久仁子を失いたくないという気持ちが、段々と強くなってくる。
　やがて、もう一度試してみようと思い直したたけしは、あわてて部屋を飛びだして、久仁子の後を追った。

　この旅館の大浴場は、決まった時間だけ混浴になっている。
　今の時間は混浴の大浴場と、小さな女湯の区分けになっていた。
　たけしは久仁子が大浴場にいてくれる事を願って、そちらの扉を開けた。
　たけしが服を脱ぎ浴室に入ると、久仁子は一人で大きな湯船につかっていた。
　たけしは努めて平静を装いながら、身体に湯をかけ、静かに久仁子のすぐ横に入る。
　久仁子は既に真っ白な肌をピンク色に染め、額にうっすらと汗をかいている。乳房が隠れるぐらいまで湯につかったその姿は、細い首からなだらかな肩まで、熟した女性特有の、ふくよかな曲線が湯の上にぽっかりと浮かんで、ドキッとする程、美しい。
　久仁子は、ただ黙ってたけしの顔を見つめている。
　たけしは真剣な顔で、「俺はお前のことを、今すぐにでも抱きたいと思っている。信じてくれるか？」と、久仁子に言った。
「もちろんよ。」久仁子は静かにそう答えると、たけしの方に向き直り、彼の股間にそっと手を伸ばした。
　久仁子は右手でゆっくりとペニスを愛撫しながら、優しくたけしに抱きつき、その柔らかい胸をたけしの腕に押しつける。
　それから、顔を近づけて、たけしに長く熱いくちづけをした。そして、その唇を首から胸へと移動させる。
　だがそれでも、たけしの股間は硬くならない。
　もしこれが他の男だったら、久仁子の白い裸体と柔らかい唇、そしてその絶妙な指使いに、とっくに絶頂に達していただろう。
　たけしは自分自身にとても失望して、悔しさに顔を歪めながら視線を下に落とし、深く俯いてしまった。

　と、その時、二人が声もなく抱き合っている浴室に、ガヤガヤと男たちの騒ぐ声が聞こえて、脱衣所に沢山の人たちが入ってくる音がする。
　どうやら会社の慰安旅行で来ている団体のようだ。
　すぐに先頭の集団が、湯気で視界の悪い浴室に入ってきた。
　久仁子はタオルを持ってきていなかったので、咄嗟に後ろを向き、手で股間だけを隠した。
　男たちは、湯に浸かっているたけしたちを見つけるとすぐに、「あっ、すいません。知らなかったもんで。すぐ出ますから、ゆっくり入って下さい。」と、言って股間をタオルで押さえながら浴室から出ていった。
　それからしばらくして、たけしは、その男たちを追うように、湯船から出て脱衣所に向かう。
　たけしが浴室のドアを開ける時、男たちは「見たかよ、あの胸。俺なんかもう・・これだぜ。」「あれは刺激が強すぎるよな。もう、今夜は寝られないよ。」と、久仁子の裸を思い出しながら興奮して、その話に夢中になっている。
　たけしは脱衣所に入ると男たちに近づき、小さな声で話しかけた。
「もしよければ頼みたい事があるんだが・・」
「なんですか？」
「中の女性を抱いてくれないか。」
「えっ？、あんた、あの人の旦那さんだろ。いいのか。」
「ああ、みんなで好きなだけやってくれ。彼女、妊娠しない身体だから、思う存分、中へ出してくれていい。」
「うほっ、あんな美人を・・夢みたいだな。そういうプレイなのか？」
「ああ、そんなところだ。」
「でも、奥さんが嫌がったら？」
「旦那に頼まれたって言ってくれ。それで、静かになるはずだ。」
　既に相当酒を飲んで開放的な気分になっていたのだろう、男たちはたけしの言葉を聞くと、喜んで浴室になだれ込んだ。
　そして、大勢で久仁子を取り囲み、彼女の身体に手を伸ばそうとする。
　久仁子は最初びっくりして、身体を丸め大声でなにか叫んだが、男の一人が彼女にたけしの話を伝えると、悲しそうな顔で一度たけしのいる方角を見つめた後、静かに胸を隠していた腕を下に降ろして、その身体を男たちに差し出した。
男たちが一斉に久仁子に群がる。
　久仁子は男たちの武者振り付くような接吻を、胸や顔に何回も受けた後、好奇心に満ちた若い男数人に、湯船から引きずり出され、照明の下で股を大きく拡げられて、身体の中を隅々まで調べられた。
　それからもう一度湯の中に戻された久仁子は、大勢の男たちに抱きすくめられ、無数の手で身体中を撫で回されながら、何本ものペニスを同時に愛撫する事を強要される。
　興奮した何人もの男たちが、湯船の中でビシャビシャと水飛沫をあげながら、無抵抗な久仁子の身体を貪り合うその姿は、宛ら、沢山のワニがいる沼に生きた羊を投げ込んだ時のように見える。
　やがて、口一杯にペニスを咥えさせられた久仁子の「んっふうぅーーっ！・・んぐんーーっ」という、身体を貫かれた瞬間のくぐもった悲鳴が、浴室に響き渡る。
　たけしはこの声を聞くと、ある物を取りに一旦自分の部屋に戻った。
　その後浴室からは、「うんっ・・はぁ・・ああぁ・・あんっ！」という久仁子の喘ぎ声と、男たちの「おうっ！、おおおぉーーっ」という雄叫びが、絶え間なく聞こえていた。
　３０分ほどすると、満足そうな顔をした男たちが、次々に浴室から出てくる。
　脱衣所で待っていた、たけしが、入れ替わるように浴室に入ると、まだ二人の男が湯船の中で久仁子に抱きついていた。
　後ろから一人が久仁子の胸に手を回し、桜色に染まった彼女の豊かな乳房を、湯の中でたぷたぷと踊らせている。
　久仁子の前の男は、久仁子の足を両脇に抱え、彼女の尻の下に滑り込ませた自分の腰を、突き上げるように動かして、湯船に大きな波を立てていた。
　久仁子は湯の中でのぼせた身体を赤く染めて、顔を上に向け、口を半開きにしたまま、ハァ、ハァと大きく息をしている。
　たけしが離れたところからこの様子を見ていると、やがて久仁子の足を抱えていた中年の男が大きく一度腰を突き上げた後、「あうぅーーっ」と、呻き声を上げた。
　男は少しの間、恍惚とした顔で動かなかったが、やがて身体を起こすと久仁子にくちづけをして、「奥さんの身体、最高だったよ。ありがとう。」と呟き、幸せそうな顔で浴室を出ていった。
　最後に残った初老の男は、久仁子を浴槽の端にしがみ付かせると、後ろから久仁子の大きな尻を抱き、湯の中でその腰を激しく振り始めた。
　そして、すぐに久仁子の背中にしがみつくと、「ううぅーー」と叫びながら、その筋張った身体をぴくぴくと震わせた。
　男は最後に湯船の中で立ち上がり、久仁子の頭を持ち上げるとその口に、自分のグロテスクなペニスを押し込む。
　それから腰を前後に動かしながら「気持ちよかったよ。女を抱くのは５年ぶりだ。凄い身体だね。久しぶりに勃っちまった。」と、満足そうに言った。
　男は名残欲しそうに久仁子の尻を撫でた後、浴室を出た。
　久仁子はしばらくそのまま動かなかったが、やがてよろよろと立ち上がると、蛇口のところへ行き、股を開いてシャワーで股間を流し始めた。
　広い浴室の中には、男たちの吐き出した精液の匂いが、僅かに漂っている。

　たけしが久仁子に後ろから近づくと、背中を見せたままの久仁子が、「なぜこんな事をするの？・・私の過ちを責めるため。それとも、こうでもしないと、もう興奮しないの？」と、悲しそうな声で彼に話しかけた。
　久仁子の口のきき方に、再びカチンときた、たけしは、思わず「いや、いままで毎日やりまくっていたのに、ここに来て欲求不満になってるんじゃないかと思ってね。満足してくれたか？」と、口走ってしまった。言ってしまってからたけしは、すぐに後悔で胸が張り裂けそうになっていた。
　久仁子は振り返ると、泣きながら「なんで私が・・」と言いかける。それを遮ってたけしは、「俺が何も知らないとでも思っているのか！」と大声で怒鳴っていた。
　久仁子は一瞬びっくりしたように眼を見開いたが、すぐに両手で顔を被って、その場にうずくまってしまった。

７．

　温泉からの帰り、二人はお互いに一言も口をきかずに、家に戻った。
　帰りの無言の車の中でたけしは、「子は鎹。」という古い言葉を思い起こしていた。
（「もし俺達に子供がいたら、どうなっていただろうか？」）
（「もしかすると子育てに忙殺され、子供に愛情を注ぐ分、あんなに久仁子の事を想い悩まずに済んだかもしれない。」）
（「そうしたら、こんな事にはならずに、平穏無事に生活をしていたのだろうか。」）
　たけしは久仁子を失った後の悲しみを想像して、そんなことを考えていた。

　それから何日間か、口をきかずに過ごした二人は、ある日の朝食の席で、旅行から帰ってから初めての会話をした。
「私と別れて下さい。」久仁子はいきなり、今までの人生の中で最大の決断を口にした。
「私はもう、あなたのお役には立てません。このままでは、私もあなたも不幸になるし、いずれ憎み合う事になるでしょう。」
「どうか、別れて下さい。」
　たけしは、しばらく黙ったままだったが、やがてその重い口を開いた。
「俺はなにがあってもお前と別れない。・・・お前は俺の人生の全てだし、お前がいなくなれば、俺は生きていけない。」
「でも・・」久仁子が何か言おうとしたのを遮って、たけしは話し続ける。
「やりたい事があるなら、好きなだけやればいい。最後に、ここに帰ってくればいい。」
「私は家を出ます。」久仁子の決意は固かった。
「すきにすればいい。俺はずっと待っている。お前が若い男に捨てられるまでな。」
　その日の内に久仁子は、荷物をまとめて家を出た。

　秀明に会いたい、久仁子はその一心で彼の元に向かっていた。
　秀明ならば、きっと優しく相談にのってくれるだろう。
　久仁子は彼に今までの経緯を説明し、その上で先の事を決めようと思っていた。
　ところが、久仁子が話をする前に、秀明から意外な言葉が返って来た。
「俺とは、もう会わない方がいいと思います。」
「えっ？・・なぜ急にそんな事を言うの？」久仁子は秀明の態度の急変に驚いていた。
「俺達では、久仁子さんを幸せにできないからです。」
「なぜ？、私が年上だから？、それとも・・」
「いえ、年齢の事も経済的な事も、本当に二人が愛し合っていれば問題にならないでしょう。でも・・」
「私は秀明君のことを愛してるわ。あなたは・・・あなたは、違うの？」
「自分は最初、セックスフレンドを求めて、あなたと出会った。でも、段々とあなたの個性に惹かれていって、今ではあなた以外の女性は考えられない状態です。」
「それなら・・なにが問題なの？」
「でも、あなたは違う。」秀明は、きっぱりと告げた。
「あなたは、ご主人を悦ばせるために俺達と会ったはずです。そして、今でもご主人を深く愛している。違いますか？」
「それは・・」
「久仁子さんは俺達と出会って、昔の自分を思い出しただけなんです。そして少しの間、その若さに夢中になった。」
「・・・」久仁子には、それは違うとは言えなかった。当たっているところもあったからだ。
「久仁子さんにとっては、僕たちでなくてもよかったはずです。若く、何度でも勃てられる人なら、誰でも・・」
「そんな・・ひどい！、そんなことはないわ！」必死で反論する久仁子に、秀明は冷静な声でこう告げた。
「すぐにご主人の元に戻った方がいい。ご主人はあなたのことを、とても深く愛しています。きっと今も、あなたの帰りを待っていますよ。」
　悲しそうな顔で席を立った秀明は、それ以上久仁子とは、一切、話をしようとはしなかった。
　呆然とした表情で秀明の家を出た久仁子は、ただふらふらと、その周辺を彷徨い歩く。
　やがて、行くあてのない久仁子の足は、自然とたけしと久仁子の家に向かっていた。

　久仁子が秀明の家を訪れるより少し前、秀明は信じられない気持ちで、たけしからのメールを読んでいた。そこには、

−「俺は、あの後も久仁子が、君たちと密会を重ねている事を知っている。」
−「だが、その事で君たちを責めるつもりはない。これは元々、俺が望んで始めた事だからだ。」
−「久仁子は君たちと出会い、君たちから得られる強い刺激に惹かれていった。」
−「その結果、久仁子は君たちの若い身体に熱中し、セックスに狂ってしまった。」
−「だが、久仁子が求めているのは性欲を満たす若い身体で、君たち自身ではない。」
−「これから君たちと久仁子がいくら深い関係を続けようと、彼女と君たちが、真に結ばれることはないだろう。」
−「なぜなら、君たちは久仁子にとって、結局、道具にすぎないからだ。」
−「添付のファイルを見てほしい。これは、久仁子が旅館の宿泊客と乱交しているところを撮影したものだ。」
−「彼女は、君たちとながく離れている間に、肉欲を我慢できなくなり、見ず知らずの男たちに身を任せた。」
−「これを見れば、久仁子が君たちのことを愛していない事が、よく解ってもらえると思う。」
−「どうか久仁子と君たちの幸せを考えて、今の内に彼女と別れてほしい。」

　と、書いてあり、添付の静止画と音声ファイルには、久仁子が年配の男性二人に挟まれ恍惚としているところと、その時の彼女の歓喜に震える声が納められていた。
「あうぅーーっ、おうっ、おおぉ・・あっ・・あっあぁーーっ！」
（「久仁子さん・・」）秀明は聞き慣れた久仁子の絶頂の時の声を聞きながら、憧れ、恋していた人の醜い裏側を垣間見た気がした。
　そして、信頼していた人に裏切られたような気持ちになっていった。
（「久仁子さん・・さようなら。」）秀明は涙を流しながら、心の中で久仁子に別れを告げていた。

　久仁子は秀明のところから戻ってから、寝室に閉じ籠り、一日中泣いていた。
　たけしは、そのまま好きなだけ久仁子を泣かせた後、食事を作り、それを久仁子の元に運んだ。
「なにか食べないと身体に悪いぞ、久仁子。」
「・・・・」
「用事は済んだのか？」
「放っておいて・・」
「なあ、久仁子・・・嫌な事は全て忘れて、もう一度やり直さないか？」
「無理よ。忘れる事なんて出来ないわ。」
「俺はもう忘れたぞ。」
「・・どうして？・・私の事を許してくれるの？・・」
「俺は、いつまでもお前を待っていると、言ったはずだ。二人の間の幸せな時間に比べたら、あんなことはなんでもない。」
「あなた・・」
　久仁子がベッドの上で泣き崩れ、たけしはそんな久仁子の肩をそっと抱いた。
　久仁子が思わずたけしに抱きつく。
　すると、久仁子の腹に硬く勃起した、たけしのペニスの先端が当った。
「あ、あなた？・・」びっくりしたような顔で、たけしの顔を見つめる久仁子。
　たけしの下半身は、久仁子が秀明から見捨てられ、自分の家に帰ってきた事で自信を取り戻していた。
「久仁子・・」たけしは、長い間久仁子を抱かずにいた生殖器官が、既に噴き零れそうになっているのを感じていた。
　たけしはそのまま久仁子を押し倒し、夢中でその上に覆い被さっていった。

　翌朝、たけしは、疲れ切って眠る久仁子の横顔を眺めながら、ある決断をしていた。
　たけしは、昨日の晩、あれだけ何度も射精したのに、既に天を向いてそそり勃っている自分のペニスを久仁子の手に握らせながら、彼女を優しく揺り起こした。
「うん・・うーーんっ・・あぁ、あなた・・」
　久仁子は眠たそうな眼を開けると、うっとりとした顔でたけしに口づけをした。
　その手はもう、自然にたけし自身を撫でている。彼女の身体の奥に、昨晩の余韻がまだ強く残っていた。
「どうしたの？」久仁子が優しく微笑みながら、たけしに問いかける。
「飲んでくれないか？」たけしは唐突に、そう言った。
　久仁子の瞳が一瞬大きく拡がる。が、すぐに元の顔に戻った彼女は、微笑みながら軽く頷くと、そのまま毛布に潜り込んだ。
　たけしの股間に顔を埋め、頭を大きく前後に動かしながら、長い舌を激しく踊らせる久仁子。
　やがて、短い時間でたけしのペニスの先端からは、熱い精液が迸った。
　２度３度と、いつになく何度も精液を噴上げるたけしに、久仁子は首から胸までを精液で白く汚しながら、夢中で愛撫を続けた・・

　やっと興奮が鎮ったたけしは、精液で真っ白になった久仁子の首を優しくタオルで拭いながら、決意を込めた声で、
「子供をつくろう。久仁子。」と、はっきり彼女に告げた。
「えっ？」驚いた顔で、たけしを見つめる久仁子。
「もう一度病院に行ってみよう。まだ間に合うかもしれない。」
「でも・・」戸惑う久仁子。
「以前に勧められた検査があるだろう。あれを受けるんだ。精一杯努力してみよう。」
「あなた・・」
「俺の子供を産んでくれ。頼む久仁子。・・俺も頑張るから。」
　たけしは、再び勃起した自分のペニスを久仁子の股間に宛いながら、自信に満ちた声でそう言った。

完