『美しい少年』
『続・美しい少年』の完結版です。

１．

「どうもありがとう。僕のために、忍さんに無理な事を頼んでくれたんでしょう？」
「忍さんを含めて、みんな素敵な人ばかりで、僕、夢中になっちゃった。」
「女の人の身体はとても柔らかくて、すごく気持ちがよかった。感謝してます。素晴らしい体験をさせてくれて。」
　純は、泰男の大きな背中に後ろから抱きつき、甘えるような声で、礼の言葉を口にしていた。
　純は自然に、後ろから泰男の下半身に手を回し、左手で陰嚢を、右手でペニスを優しく愛撫しながら、精一杯の感謝の気持ちを表わした。
「ねえ、なにをしてお礼をすればいい？」
　純のこの言葉に、泰男の瞳が輝き、口元に微笑みが浮かぶ。
「一日中、裸で抱き合って、身体中を舐めてあげようか？それとも、出なくなるまでフェラチオをする？」
　泰男の背中に舌を這わせながら、純が泰男に訊く。
　女性たちと一緒にいる時の、純情な純から一変して、男娼の様に振る舞う、泰男のよく知る純がそこにいた。
　泰男は「なにもしなくていいんだ。ただ、今まで通りに一緒にいてくれれば。」と、正直に心の内を話した。
「純に喜んで欲しくて女性を紹介したけど、本当は、このまま純を失うんじゃないかと心配していたんだ。」
　純はこの言葉を聞くと、泰男の背中に強くしがみつき、その柔らかい頬を背中に擦りつけながら、
「そんなわけがないよ。それは女性の身体には興味があったし、忍さんのことは大好きだけど、僕のことを全部知っていて、僕のことを一番に想ってくれるのは、泰男さんなんだ。」と、言った。
　それから「泰男さんになら、どんな恥ずかしい事でも相談できる。一緒に居ると、とても安心できるんだ。」と、本心から、そう口にした。
　泰男は思わず後ろを振り返ると「ありがとう、純。とても嬉しいよ。」と言いながら、純の背中が反り返るほど、強く抱きしめた。
　純は満足そうに微笑みをうかべると、顔を傾けながら上に向けて、泰男に口づけを求める。
　泰男は、純の腰に両腕を回し、自分の熱く勃起したペニスを純の腹に押しつけながら、純の唇に自分の唇を重ねた。
　長く情熱的な口づけの後、純は泰男の身体をそっと押し、二人の間に隙間を空けると、嬉しそうに視線を下に向けて、泰男の股間に手を伸ばした。
　純はお辞儀をするように前に屈み込むと、二人の間で直立している泰男のペニスの先端に、ゆっくりと赤い唇を近づける。
　泰男は、屈み込んだまま激しく上下する純の、首の後ろに浮き出た骨の型を愛おしそうに撫でながら、
（「ああ、なんて健気で、いじらしいんだろう。このまま食べてしまいたい。あぁ・・愛しい純。」）と、頭の中から沸き上がる純への強い欲情を感じていた。
　そのうちに泰男は、下半身から伝わる強い快感に何も考えることができなくなって、頭の中を真っ白にしながら射精へと昇りつめていく。

２．

　純の自分への愛を確認した泰男は、（「まだ不十分だ。純を完全に自分だけのものにしないと。」）と、どす黒い決意を胸に秘めて、次の行動を起こした。
　まず、純の初体験の相手の一人、早妃にメールを送る。
　メールには「ぜひ一度お会いしたい。」とあり、写真が添付されていた。
　その写真は、動画の一部をキャプチャして拡大したもので、それを開いた早妃の顔が、一瞬にして凍りつく。
　そこには、純の上に早妃が跨がり、腰を密着させながら、快感を貪り合う二人の姿が写っていた。
（「盗撮されていた・・」）と気づいた早妃には、すぐに犯人がわかった。

　その日の夕方、早妃は泰男の家で彼と向かい合っていた。
「それが公になれば、君は中学生を誘惑した、淫行の罪で捕まる。それは分かるね？」泰男は薄ら笑いを浮かべながら、早妃に話しかけた。
「この卑怯者！、一体なにが目的なの？、お金、それとも私の身体？」勝ち気な早妃は、凄い剣幕で泰男に食って掛かった。
　泰男は、これを受け流すように、無気味な笑いを浮かべながら、「いや、そうじゃない。」
「ただ、ちょっとやってもらいたい事があるんだ。」と、言った。

　そんな事があってから数日後の朝、純はいつものように遠距離通学の学校へ向かうために、混雑した電車に乗っていた。
　入り口のすぐ脇、手すりの棒がある場所に座った純は、顔を左に向け、ドアの窓越しに外の景色を眺めていた。
　すると、純の眼に、変な動きをする男の手が飛び込んできた。
　その手は、男とドアの間に立つ女性の尻の上で、もぞもぞと動いている。
（「あっ！、痴漢だ。」）純はすぐにそう思った。
　女性はドアの方を向いて立ち、顔は純とは反対側を向いていて、混雑のために頬をドアに押しつけられる恰好になっていた。
　膝上までのフレアスカートを穿いたその女性は、白く引き締まった脚をしていて、２０代前半ぐらいにみえる。
　男の方は、スーツを着た４０歳ぐらいのサラリーマンで、左手を下に向けて、女性の尻を下からしきりに撫で回している。
　純は、魅入られたように、その二人から目が離せなくなっていた。
　しばらくすると男は、左手を女性の脚の側面に回し、そのまま太ももを撫で上げながら、スカートの中にその手を忍び込ませた。
　女性のスカートの腰の辺りが膨らんで、男の手が女性の腰骨の辺りを撫で回しているのがわかる。
　純が息を荒げながらこの様子を眺めていると、今まで男のなすがままに身体を撫で回されていた女性が、初めて自分から動いた。
　まず、ドアに左足の膝を押し当てて、ドアと自分の間に隙間を開ける。それから、左手を自分のスカートの中へ入れて、男の手首を掴んだ。
　純が（「男の手を払いのけるのかな。」）と思っていると、なんとその女性は、男の手をゆっくりと自分の腰の前に引っ張り込み、そのまま自分の股間に男の手を導いてゆく。
（「えっ？！、まさか・・」）純が、女性のあまりにも大胆なこの行動に驚いて、男の顔を見ると、予想通り男は、にやけたような微笑みを浮かべながら、嬉しそうに眼を輝かせていた。
　男は女性の行動に安心したのか、女性の下半身に回した手を大きく動かし始めた。女性のスカートの前の部分が、男の手でぼこぼこと盛り上がり、波打つように動いている。
　時々、男の腕でスカートの一部が捲れ上がって、女性の下腹部がチラリ、チラリと純の眼に入る。
　すでに男は、手を女性のショーツの上から差し入れ、その中で指を動かしていた。
　女性は男の手の動きを助けるかのように、左足をさらに上に持ち上げ、股間を大きく開いている。
　しばらくして、女性は押し寄せる快感に堪えられなくなったのか、むこう側を向いていた顔を正面に向け、額をドアのガラス窓に押し当てながら、震える唇を大きく開いた。
　女性のその横顔を見た純がおもわず（「あっ！」）と声を上げそうになる。
　それは、早妃の横顔だった。

「純の方からよく見えるように、スカートの前を捲り上げろ。」早妃の右耳に入れたイヤホンを通して、泰男からの指示が入る。
　早妃は恥ずかしさと悔しさで目に涙を浮かべながら、さり気なく右手でスカートの前を捲り上げた。
　早妃は先程から、痴漢行為に耽る自分の姿を、純に見せつけるように、泰男から強要されていた。
　泰男は早妃に、もし逆らえば早妃だけでなく、忍も他の二人も一緒に捕まることになると言って、彼女を脅していた。
　早妃は泣く泣く、電車の中で見ず知らずの中年の男を誘惑して、純の見ている前で破廉恥行為を行っていた。
　泰男は、早妃が見える場所に密かに座り、マイクを通じて彼女に指示を出している。

　純は、男の手が差し込まれ、前が大きく膨らんだ早妃の下着を見つめながら、いまだにこの現実を信じられずにいた。
（「あの健康的で明るい早妃さんが、こんな事をするなんて・・」）
　男は、早妃の身体の奥深くまで指を突っ込み、掻き回すようにしながら激しく出入りさせていた。
　男の手が、早妃のショーツの中で淫らに蠢く度に、早妃の頭が大きく上下する。
　早妃は瞳を閉じ、唇を震わせながら、この快感に必死で堪えていた。
　すでに早妃の顔の前のガラスは、早妃の口から漏れる熱い吐息で、真っ白に曇っている。
　純の座る場所からも、早妃の「ハァ、ハアッ、ハァーーッ」という、激しい息づかいが聞こえるような気がした。

「自分でショーツを下へ降ろせ。」泰男から新たな指示が入る。
　早妃は心の中で（「あぁ・・純、お願い・・見ないで。」）と願いながら、スカートの中に手を入れた。
　そして、左、右と順番に、自分でショーツを下に引き下げた。
　早妃の後ろに立つ男は、早妃が自分でショーツを脱いだ事に喜んで、指で彼女の性器を弄びながら、自分の股間を早妃の尻に擦りつけ腰を上下させ始めた。
　続いて泰男から次の指示が入る「男のペニスを取り出して、スカートの中に入れろ。」
　早妃は、あまりに惨いこの指示に一瞬躊躇したが、すぐに思い直したように手を後ろに伸ばし、中年男のズボンのチャックを降ろすと、大きく勃起しているペニスを引っ張り出す。
　それから、その赤黒いペニスを掴むと、下に引っ張るようにして自分のスカートの中へ誘い入れた。
　早妃のスカートの中では、男の熱いペニスがビクンッビクンッと自身で上下して、彼女の柔らかい尻を叩いている。

（「嘘だ。こんなの絶対に嘘だ。早妃さん・・見ず知らずの男とするつもりなの・・なぜ、なぜなの？」）
　一部始終をみていた純は、早妃に裏切られたような、やりきれない気持ちで胸が一杯になっていた。

　中年の男は、早妃の信じられない行動に、狂喜し、身体全体を歓びに震わせる。
　そして、周りの視線も忘れ、夢中になって早妃の身体にむしゃぶりついていった。
　男は左手で早妃の左足を大きく持ち上げ、右手でペニスの先端を彼女の膣口に宛うと、腰を大きく下に落とし、一気に下から早妃の身体を貫き通した。
　その瞬間、早妃は、「はうっっ！」と大きな声を上げ、尻を後ろへ突き出す。
　男は右手で早妃の口を塞ぎ、早妃の身体をドアに圧しつける様にして、腰を刳るように大きく突き上げ続ける。
　口をふさがれた早妃は、男が腰を突き上げる度に「ふぐんっ、むぐんっ」と、こもった声で悲鳴を上げながら、頭を後ろへ仰け反らせた。
　周りの乗客が、二人のこの狂乱に気がつき、冷たい目でじっと二人を見つめている。
　次の駅までの短い時間、早妃の身体を激しく犯し続けた男は、電車が駅に到着する直前、早妃のウェストに両腕を回し、強く背中から彼女に抱きつくと、早妃の身体の中に射精した。
　男は恍惚とした表情で、自分の腰をぶるぶると震わせながら、大量の精液を早妃に流し込んでいる。
　早妃は握り締めた拳をガラス窓に押しつけながら、膝をガクガクと揺らし、この死にたくなるような試練に、必死で耐えようとしていた。
　純は早妃のこの姿に、なにか醜いものを見るかのように顔を背ける。
（「淫乱・・セックスが出来れば、相手は誰でもよかったんだ。きっと僕が中学生だから、試してみたくなっただけだ。」）
　そして、俯いたまま悲しそうに涙を流し始めた。

　泰男は純のこの悲しそうな表情を見ながら、満足そうにニヤリと笑った。

３．

　その日の夕方、純は、今朝あった事に混乱し、その事を泰男に相談しようと彼の家に向かっていた。
　家に着いた純が玄関で声をかけても、泰男は中から出てこなかった。
　勝手がわかっている純が、そのまま泰男の部屋に進み、扉をノックをしようとすると、中から女性の声がする。
「・・ねえ、お願い・・」
「お願いだから、私を抱いて。」
（「これは、美沙子さんの声だ！」）声を聞いた純が、思わず動きを止め、聞き耳を立てる。
「忍ぶ先輩があなたのことを話すのを聞いて、我慢できなくなったの。」
「本当は、中学生の細いペニスでは満足できなかったの。お願い・・あなたのその太いペニスで私を抱いて。」
「気絶するまで、やってほしいの。好きなだけ私の中へ射精していいから・・お願い。」

「なにを言ってるんだ！、自分の言っている事が判ってるのか？俺は忍の元恋人なんだぞ。」
（「泰男さんが怒っている。」）純にも、だんだんと話の内容がわかってきた。
「さっさと帰れ！」と、泰男が怒鳴った。
　純はそっと足音を忍ばせながら、玄関まで引き返した。
　そして、そのまま家を出る。美沙子と顔を合わせるのが、とても嫌だった。
（「あんなに優しくて、大人しかった美沙子さんが、あんなことを・・」）
（「やっぱり美沙子さんも、早妃さんと同じ種類の人間なんだ。外見は大人しくても、心の中では・・」）
　純は美沙子に失望していた。いままで、彼女の事がとても好きで尊敬すらしていた純は、それだけに落胆もとても大きかった。

　一方、家の中では、純が去ったのを知って、美沙子がその場で泣き崩れていた。
「なんで・・なんで、あんな事を言わせるの？純が私のことを嫌うのが、そんなに楽しいの？」

「いいから、服を脱げよ。俺が慰めてあげるから。」
　泰男は、美沙子の少女のような腰を眺めながら、そう言うと、やはりニヤリと笑った。

４．

　次の日の夕方、純が学校の下校時刻通りに正門を出ると、今度は彩乃が、純を待ち伏せていた。

「ねえ、これからラブホテルに行かない？」彩乃は純の手を握りながら、そう言った。
　辺りには、純と同じ学校の生徒が沢山歩いている。
「このまえの純の腰の動きが忘れられなくて・・。彩乃、もう我慢が出来ないの。」彩乃は純の眼を見つめながら、彼の手を自分の胸に押しつけていた。

（「やっぱり・・」）
　純は心の中でそう思いながら、彩乃の手を振りほどく。
　そして、「すいませんけど、これから友達と約束があるんです。失礼します。」それだけ言うと、後ろを向いて歩き出していた。

　純が走り去ると、建物の影から、泰男が姿を現した。
「ふっ・・ふふふ、もうこれで君は、口もきいてもらえないな。」泰男は笑いながら、そう言った。
　彩乃は下を向いて泣いている。

　泰男は最後に、他の二人と同じように彩乃にも、
「いいか、今のことを純や忍に一言でも漏らしたら、４人一緒に捕まる事になるからな。」と、念をおした。
　彩乃は下を向いたまま、黙って頷く。
　そして、ラブホテルに向かう泰男に、おとなしく従って行った。

５．

　泰男は計画の仕上げにかかっていた。
　まず、忍に近づき、以前のように頻繁にセックスをする関係に戻っていく。
　そして、忍と何度か関係をもった後、いよいよ泰男は計画を実行した。
　その日、いつも純が泰男の家を訪ねる時間の少し前に、忍を自宅に呼んだ泰男は、わざと自室のドアをすこし開けたまま、忍とそれを始めた。
　純が泰男の家を訪ねる時間には、二人は周りのことに気がつかないぐらいに、それに夢中になっていた。

　純はいつものように玄関で泰男を呼んだが、返事がないので、いつも泰男が留守の時にそうしているように、彼の自室でしばらく待つことにした。
　泰男の部屋の近くまできた純は、部屋の中から人の声が聞こえることに気がつく。
　それは、少しだけ開いているドアの隙間から、「・・あっあぁ・・ハアッ、ハァ、あーーっ・・」と、微かに聞こえる。
　よく聞くと、それは女の喘ぎ声だった。
（「この声は・・」）
　純は、ドアの隙間に近づき、そっと中を覗き込む。
（「あっ！」）
　純は、部屋の中の光景に目を丸くした。
（「忍さん！・・」）
「アッアッ、あっあぁーーーっ！」
　部屋の中では、忍が泰男の上に跨がり、こちらに背を向けて激しく腰を振りながら、大声を上げていた。
「アッ！泰男ッ、あぁーーっ！いいーーっ！、はぁーーっ！」
（「忍さん・・凄い声・・」）
　純は、忍の信じられない乱れ方に、股間が硬くなるのを感じた。
　忍はその細い腰を、刳るように大きくくねらせて、泰男の太いペニスを咥えたり、吐き出したりしている。
　すでに泰男のゴツゴツとした図太いペニスは、忍の愛液で陰嚢部分までびっしょりと濡れていた。
　忍の激しい動きで、泰男の身体はベッドの上で跳ねるように浮き沈みをし、忍の白い尻はぶるぶると大きく揺れている。
　愛する二人の濃密なセックスを目撃した純は、どうにも我慢が出来なくなって、ズボンの前を開け、硬く勃起している自分のペニスを引っ張り出すと、夢中でそれを扱き始めた。

「アッアァ・・あうっーーっ！！」
　やがて忍は、耳をつく絶叫と共に、背中を大きく後ろへ仰け反らせる。
　続いて泰男が、上体を起こし、忍のウェストに両腕を回してきつく抱きしめながら、忍の胸に顔を埋める。
　そして、「あっ・・うんッ！、あぁーーッ忍ッ！」と、叫びながら全身を震わせた。
　一方、純は二人が絶頂を迎えるよりも早く、手に持ったハンカチの中に大量の精液を出していた。
（「ハァ、ハァ、泰男さんと忍さん、凄い。まるで獣のような・・」）
　純は間近で見る大人のセックスに、ただ圧倒されていた。

　部屋の中では、忍が泰男の頭を抱きしめながら、腰から伝わる絶頂の余韻にうっとりと浸っていた。
「はあぁー・・素敵・・ふうんっ、よかったわ・・あぁ・・最高。」忍が恍惚とした表情で感想を述べれば、
「ハアッ、ふうっ、あぁ・・忍、相変わらず凄い身体だな。もう一滴も出ないよ。ありがとう。」と、泰男は感謝の言葉を口にしながら、忍に口づけをした。

６．

　その後二人は並んでベッドに寝転びながら、互いの事を話し始めた。
　純は部屋の外で、自分のペニスが治まるのを待ちながら、じっとこれを聴いている。

「忍はあれから何人と付き合った？」泰男はドアの外の純の気配を感じながら、忍にそう話しかけた。
「さあ、１０人か、１５人か、数えたことがないわ。」
「そうか、沢山経験を積んだんだな。純みたいに年下の男とは？」
「ええ、何人かはあるわよ。でも、若くても二十歳ぐらいまでだし、期間もみんな短いわ。」
「昔から年下はあまり好きじゃなかったよな。なんで純の事は引き受けてくれたんだ？」
「それは、あなたが熱心に頼んだからじゃないの。」
「ああ、でも興味がなければ引き受けたりはしないだろう。」
「もちろん純君の事が好きだったし・・私たちで純君の初めての相手をしてあげたかったの。」
「やっている間、純は君の事を必死で求めただろう？」
「ええ、嬉しくなるほどにね。」
「純が君のことを好いている事は、知っていたんだよな。」
「ええ。」
「でも君は、純のことを抱かなかった。」
「私はいいのよ。ただ純君が無理矢理やられるんじゃなくて、自分から喜んで、女性の身体を求めてくれるように、一緒に居ただけなんだから。」
「それじゃ君は、後輩のために、純の気持ちを利用したのか？」
「それは違うわ。純君自身のためにやったのよ。嫌な思い出にならないように。」
「そうか・・でも、忍の純に対する気持ちはどうなんだ？本当は純のことをどう思ってる？」

　純は思わず身を乗り出して、耳を澄まし、忍の言葉を一言も聞き漏らさないように聞き耳をたてた。

「どうって？」
「純のことを愛しているのか？それで、純の初体験の相手になってやりたくて、あの役を引き受けたのか？それとも・・」
「それとも、なに？」
「それとも、純の容姿に惹かれて、ただ、後輩と一緒に美しい少年の身体を楽しみたかっただけなのか？」
　忍は困ったようにしばらく黙っていたが、やがてその重い口を開いた。
「嫌な言い方ね。でも確かに、愛しているというのは当てはまらない。出会ったばかりだし・・。正直に話すと、純君に初めて会った時に、彼の容姿にすごく惹かれたの。」
「そして、泰男から頼まれた時に、私が彼の初めての相手をしたいと思った。あの美しい純君が私の名前を呼びながら、身体を震わせ射精をするところが、どうしても見たくなったの。」
　泰男は内心（「しめた！」）と思っていた。忍の真面目で正直な性格なら、こう答えるだろうと思ったのだ。
「じゃ他の３人がいて助かった訳だ。君一人だったら、中学生の童貞を奪ったりはできなかっただろう？」
「ほんとに意地悪な人ね。でも、確かにそうだわ。そんな勇気はなかった。」忍は、苦笑いをしながらそう答えた。
「今の話、純には絶対に話すなよ。すごく傷つく。彼は僕の大切な友人なんだから。」
「当たり前だわ。こんな事は話せない。あの年頃の男の子は、相手は常に自分のことを愛していると思っているんだから。」

　純は、この話を聞きながら放心状態になっていた。
（「忍さんは僕のことを好いてくれてると思っていたのに・・ただ中学生の初体験を見たかっただけなんだ。」）
　これは、純の初恋が破れた瞬間でもあった。（もっとも、泰男が純の初恋の相手かもしれないが・・）
　純は、いつの間にかしょぼんと萎んでしまった自分のペニスをズボンの中に納めると、急いで泰男の家を抜け出した。

７．

　それから何日か経って、泰男の家を再び訪ねた純は、泰男と忍の関係について尋ねていた。
「泰男さんは、今でも忍さんのことを愛してるの？」
「愛しているというのは、すこし違うな。以前からよく知っている忍の身体が、忘れられないだけなんだ。性欲と愛情は別のものなんだよ。」
　泰男は自分に都合のいい理屈を並べた。
「じゃ、僕の事はどうなの？、ただ身体が欲しいだけなの？」
　純は先日から不安になっていた事を、泰男に訊ねた。
「それは違う。僕が純の嫌がる事をした事があるかい？自分の欲望のままに、純に何かを強要したことは？」
「ないよ・・」
「そう、自分より相手の事を大事に想って、相手を優先することが愛情なんだよ。」
　純はその時、早妃たちの行動を思い出していた。そして、泰男の言葉を信用した純は、「ありがとう。」と言いながら、泰男の胸に抱きついていった。
　泰男は心の中で（「もうこれで純は、どんなに綺麗な女性に誘われても、その人を信用することはないだろう。純は永遠に俺のものだ。」）と、こみあげてくる歓びを噛み締めていた。

　その後泰男は、時間が経つのも忘れて、純の身体をたっぷりと味わった。まさに、性欲の対象として。

　ある日泰男は、いつものように純の精液をたっぷりと全身に浴びた後、純を自室に残して、バスルームにシャワーを浴びに行っていた。
　純はなにげなく、机の上のパソコンの電源を入れる。
　暇潰しにＨＤ内のファイルを眺めていた純は、深い階層の下に隠されていた「純」というファイル名のムービーファイルをみつけた。
　自分と同じ名前のファイルを不思議に思った純は、これを再生してみる。

　最初は、なにが映っているのか解らなかった純だが、そのうちにそれがなにか、はっきりと思い出していた。
　そこには、純が初めて泰男の家にやって来た時に、机の下で盗み撮りされた、自慰をする純の姿がしっかりと記録されていた。