１．

　父さんが腰を患ってで入院することになったのは三月の中旬、僕が中学を卒業したすぐ後だった。
　今では、兄貴も結婚して家を出て、今では親一人子一人の生活。せめて僕が中学を卒業するまではと無理をしていた結果、僕の卒業式に出た直後、強制入院となってしまった。
　結果、三ヶ月近くの入院。
　高校の入学式にはいけなくなったことを、えらく残念がっている。
「まぁ、働き詰めだったんだから、いい休養だと思ってよ」
　腰椎を固定するという、大げさなことになった父さんは、見事に動けなくなったベットの上で憮然とＴＶを見ている。
　二人部屋の病室だけど、もう一つのベットは空いている。
　話し相手もいないので、暇でしょうがないと言っていた。ここまで動けないと、看護婦さんにちょっかいも出せんとも。
　いい年なんだから、いい加減落ち着いてほしいもんだ。
「リンゴ」
　と先ほど見舞いに来た同僚の人が置いていった果物籠をさす父さん。はいはいと頷き、皮を八つに切りイヤミでウサギさんにしているとき、看護婦さんがやってきた。
　父があまり好みではないといっていた看護婦さんが、元気な声で僕らに告げたのは、隣のベットに人が入るということ。
「新入りか？」
「みたいだね」
　ウサギさんのリンゴを憮然としながらシャリシャリと食っていると、運ばれていったベットに新入りの人が乗っかって入ってきた。
　父待望の同室の人だ。
「どうも〜〜……」
　歳はいくつだろうか？　二十代後半といった感じの、目が少し細い、一見真面目そうな人だ。疲れきった感じで、手を上げている。右足の膝から下が固定されて吊るされているので、脚を折った人らしい。
　ベットがもとの位置に戻されて、その人が固定される。
　新入りの人が、わずかに僕らの方を向きながら、挨拶する。
「えっと当山って言います。一ヶ月以上居なきゃいけないみたいなんで、よろしくお願いします」
　そう言って、あたたたと、体を戻す。よく見ると、細かい傷も多い。何やったんだろうか？
「私は、東って言います。腰やっちゃいまして、同じく長期コースです、よろしく」
　父が挨拶を返す。ベットでお互い天井を見ながらの挨拶っていうのも、傍からみると、可笑しな光景だ。
「で、こっちが息子の武士です。よろしく」
　僕も紹介されたので、「どうも」と簡単に返す。さすがに歳の差十歳以上の人とはとっつきにくいかも。
　挨拶も終わったころ、病室に人が入ってきた。女の人だ。
　背の低い、こちらは三十代前半ってところか。どことなく可愛らしい顔をした人だった。それと、何だかこっちが目の置き場に困るくらい、胸が大きい……
「こちら、東さんだって」
　男の人が言うと、そうですかと応え、僕らに向き直る。
「当山と言います。よろしくお願いします」
　と小さな声で言った。あ、父さんの目線が胸に向かってる……
「やっぱり、一ヶ月以上かかるみたいですよ、隆さん……」
「あぅ、やっぱりかぁ。まぁ、これだけで済んで幸いって感じの事故だったしなぁ……」
「相手の方が、明日いらっしゃるそうですよ」
「よし、トンカチ用意しておいて、殴るから」
「駄目です」
　なんか、二人の会話を聞いていると、仲の良い夫婦って感じだ。顔は似ていないから姉弟じゃなさそうだ。
　どうやら交通事故かなんかで、入院となったらしい。
　そんなこと思っていると、また新たに入ってくる人がいた。今度は若い声だ。どっかで聞き覚えあるような……
「パパァ〜。ドクターペッパーとコーヒーとフルーツ牛乳、どれがいい〜？」
　とジュースを持って入ってきたのは、身長１７０近い、スラッとした感じの女の子、ってアイツ……
「あれ、ブッシーじゃん。どうしたの、こんなトコで？」
　そこにいるのは、先日までいた中学校での同級生、当山優子だった。ちなみにブッシーというのは、武士からもじられた僕の綽名だ。
「ぼくは、父さんの付き添いなんだけど……　当山はどうして？」
「へぇ〜、きぐうきぐう。あたしもパパの付き添い」
　とさっき入ってきた人を指す。トウヤマって言うから漢字ではなんとなく遠山のほうを連想していたけど、そうか当山か。
　そこで気になったことを訊く。
「……パパってお父さんのこと？」
「そうだよ、当たり前じゃん」
「じゃあ、えっと……」
　お前の父さんはいったい幾つなんだ、と訊きたくなった。若すぎるぞ、どう考えたって！
「あぁ、そういうこと。パパって言っても、まま父だから。お母さんと、十歳も離れてるんだよ〜、凄いでしょ♪」
　僕の疑問を察したのか、当山が答えてくれた。
　離れているってことは、パパさんの方が年上には見えないから、年下ってことだろう。
　すると、なんだ、今度は当山のママさんは幾つなんだろうかと、気になってしまう。こっちも、当山クラスの娘がいるようには見えない。
　まぁ、背の高い当山は、中学でも高校生とか大学生に間違えられていたそうだけど。
「母さんの歳はトップシークレットだから、教えないよ〜。あ、パパ、何にするの？」
　そこで話を打ち切り、持ってきたジュースを選択させる当山。クラスでも明るく人気モンだったけど、その時より何だか子供っぽい感じだ。
「コーヒーに決まってます」
「じゃあ、フルーツ牛乳」
「あぅ、ドクターペッパーかぁ」
「落ち込むくらいなら、最初から買ってこない」
「だって、呼ばれたような気がしたんだもん」
「幻聴だ、それ」
　仲のいい親子の会話。まるで、友達同士みたいなノリだ。
　当山の母さんが、ベッドの横の椅子に座り、ベッドに当山が腰掛ける感じで座っている。
　当山の私服って初めてみたけど、あんなヒラヒラのミニスカート履くんだなぁ。春先だというのに、生脚の白さが僕の位置からよく見えて困る。
「でも、事故現場いってきたけど、すっごいことになってたね」
「ホント、よく生きてたよ。十トンダンプに追突されて、スクーターで外車ディーラーのガラス突き破って、中のベンツにぶつかったんだから」
　と語る当山親子。どうやら中々バイオレンスな状態だったらしい。会話を聞くとはなしに聞いていると、主にパパさんと当山が会話して、当山の母さんがそれを楽しそうに聞いているって感じだ。
　うちにはずっと前から母さんがいないので、何だか少し、羨ましいかも。
　三年前までは、うちにも明るくかしましい人がいたんだけど、今は兄貴と大阪だし。
「じゃあ、そろそろ帰るよ」
　手持ち無沙汰になったので、洗濯物を入れた袋を持って立ち上がる。
　明日は何かいるかと聞いたら、来るときに牛乳買ってきてくれとのこと。
「あ、ブッシー帰るの？　じゃあ、あたしも帰るから。パパ、何か買ってきてほしいモンとかある？」
「えっと、木刀かな。明日、僕を轢いたのが来るそうだから」
「却下」
　と言うと、僕について部屋を出てきた。何となく、横並んで歩くことになる。当山は学校で一ニを争う人気者だったから、少し緊張するかも。
「ブッシーのお父さんは、どうしたの？」
「なんか、腰を痛めたとか何とか。かなり悪いみたいだよ」
「ふぅ〜ん。ブッシーってお母さんいなんでしょ、たしか？　一人とか、もしかして？」
「まぁね。兄貴は結婚してるけど、今は嫁さんと一緒に大阪いってるから」
　当山は、それを聞くと少し考えたような顔になる。
「ご飯とか、大丈夫なの？」
「姉さん、っていっても義理のだけど、その人に仕込まれたから、全然大丈夫」
　あまり知っている人はいないけど、料理の腕には自信がある。将来はそっち方面進むのもいいかもと思っているのだ。
「でも、一人じゃツマンナイでしょ？」
「まぁ、それは」
　否定できない。料理っていうのは、作る相手がいないと、どうもメンドくさくなるのは事実だ。実際、今日はご飯に魚を焼いて漬物で済ませようと予定立ててるし。
「じゃさ、家来ない、ブッシー？」
　…………
　突然のことで、僕には彼女の言葉の意味が理解できなかった。

　頭真っ白のまま、僕は当山に引っ張られるように、彼女の家の前に来ていた。
　平凡な一軒家。彼女が言うには、母方の祖父母が、再婚祝いに買ってくれたものだそうだ。
「うち、けっこう家族いるから、これでもせまいんだよね〜」
　言い訳するように言って、当山は僕を招き入れる。玄関に入って靴を脱いだとき、しゃがんで揃える、その挙措が、活発な彼女に似合わず、お淑やかで意外に感じた。
「ま、母さんがおチビちゃん達連れてくるまで、まだかかるから。何飲む？」
　そのまま、予定調和のように僕は二階の彼女の部屋に入っていった。お、女の子の部屋、緊張するかも……
　でも、生まれて初めて入った異郷の地は、ちょっと予想外だった。女の子の部屋、というよりお父さんの書斎って感じなのだ、ここ。かなり大きいベットだけが女の子っぽくて浮いている。
「エット、あいすこーひーヲ……」
　でも、女の子と二人っきりは相変わらずなので、僕はまだ緊張状態継続中だ。アクセントがおかしくなっている。
「らじゃ、ちょっと待っててね」
　と、部屋に残されて一人。女気が無くてもやはり緊張するモノだ。
　当山とは特別、仲がよかったという印象はない。彼女はクラスの誰とでも仲良かったので、その中の一人って感じだと思う。
　僕も当山クラスだと、高嶺の花と思い、お付き合いをなんて考えなかったし。
　まぁ、中学三年間で、撃墜王と言われるくらい、男をフリまくったらしいけど。
「おまったせぇ〜♪　開けて開けて」
　と明るい声が返ってきたので、僕がドアを開けると……
　……当山は、目に毒なカッコに変身していた。
　袖も無い、肩のトコにも何も無い、チューブとかなんとか言う上に、先ほどより心持上に上がったようなスカートになっている。
　一瞬、指差しそうになってしまった。
「あっりがとね〜。ほら、座って座って」
　と明るい口調に悪戯風味が加わったような声で、僕を誘う。
「あ、う、うん」
　内心の動揺をどうにか抑えて、僕は彼女の対座に座る。今時珍しい、丸型の卓袱台だ。
「と、当山って下いるの？」
　当山が楽しそうにジロジロとこちらを伺っている。僕は頭の中で何か話題をと検索し、浮かんだことを口にした。
「うん。今年三歳になる双子の女の子と、去年生まれた男の子がね。母さん、パパと結婚してからポコポコ産むんだよ〜。仲いいんだ、二人とも」
　と、当山の喋り方も、何だかいつもの彼女と違って小悪魔チックになっている。お陰で、仲がいい、のところでは、あのパパさんと巨乳なお母さんのイングリモングリが浮かんでしまった……
「ブッシーはお兄さんだけ？」
「え、えっと、うん……　僕が小さい時にお母さんと離婚しちゃったんだって。そ、それで兄貴とお父さんと、二人で住んでたんだけどねぇ〜」
　語尾が無様に上がったのは、当山が明らかに故意で、脚の組み方を変えたから！
　し、白い布が視界に入っているんですけど！
「そ、その後、い、従姉のお姉さんが大学いくって家に来て、そのまま兄貴と結婚しちゃってねぇ〜！？　ぎ、義理なんだけど四人家族になったのが、さ、最高かなぁ？　い、今はあっちで、子供作って暮らしてるんだけどねぇ〜！？」
　語尾が狂ったり、疑問符ついているのは、確信犯な当山の動きのせいだ。また脚を動かしたり、Ｂカップという噂の胸のあたりを指で直したり、不意に前屈みで谷間を見せ付けたり〜〜〜！
　ど、どういうつもりだ、彼女？
「そうなんだぁ？　じゃあ、お正月に一緒に歩いていたの、お義姉さん？」
　意外なことを訊かれ、少し平静を取り戻せた。
　咳払いして、答える。
「うん。香織さんって言うんだ。まぁ、従姉だったから、子供のころから知ってるし、ホントの姉さんみたいな人だったよ」
「へぇ〜〜。ボクには恋人同士に見えたよ。仲良さそうに腕組んでだから」
「へ？」
　そ、そこまで見られているってことは、こ、この子は芝の増上寺に行っていたのか！？
　高校の合格祈願だといって引っ張っていかれたんだ、香織さんに。ベタベタするのが好きな香織さんは、よくデートだといって兄貴のかわりに僕を引っ張りまわす癖があった。
　正月に里帰りしたときに、いっしょにいたのを見てたのか、当山は？
「あ、香織さん、なんか、そういう性格なんだよ。わからない？」
　妙にドキマギして応える僕に、ずいっと当山の顔が急接近していた。
「あ、あの、当山？」
　明らかに尋常ではない瞳、雰囲気。明るいクラスメイトとは別の彼女が僕の前にいる。
「ボクねぇ、ブッシーのこと、少し気になってたんだ〜」
　囁くように言う当山。唇の動きに目が奪われてしまった。赤い、その唇が魅惑的に僕を誘っているようだ。
「気、気に？」
　好意っていう感じじゃないのは、すぐわかった。彼女が持っているのは、きっと好奇心とかそんな類のモノだと思う。
「そう。ブッシーって、あのクラスの中で一人だけ『僕』っていつも言ってたでしょう？」
「そ、それは」
　僕は、自分のことを『僕』と言うことが自然になっている。俺っていうと、香織さんが『可愛くない！』と怒るので。クラスメイトは先生とかの前ではない限り、皆、『俺』を使っていた。
「僕って言ってみて？」
「ぼ、僕？」
　何でこんなこと頼むのかわからないけど、言われるままに、僕と言う。
「やっぱり、似てるな、その言い方」
　当山の顔が僕の顔の横に来た。耳元に唇をつけてきている。背筋が弱電流でも食らったみたいに、痺れを感じる。息が詰まる、緊張に心臓バクバクだ。
「ボクね、ヘンな趣味があるんだよ」
　気づいたら当山もボクって自分のことを言っていた。唇が触れるか触れないかで首のところに来ているみたい。熱い吐息が、脳を刺激してくれる。
　淫靡な期待に、僕の頭にピンクの靄がかかっている。
「へ、へん？」
「そ、人にあんまり言えない趣味……　武士なら、口固そうだからいいかなぁって思って、誘ったの」
「さ、誘い？」
　もう、言葉が鸚鵡返しになってる。期待していいのか、悪いのかも分からない。当山に恋愛感情はないけど、だって、こんなにいい匂いなんだし……
「黙っていてくれるなら、いいことしよ、武士くん」
　僕の呼び方が綽名から名前になっているのにも、脳が痺れた。久々に呼ばれた『武士くん』という言い方が、僕の興奮をさらに高めた。
「と、当山、そ、その……」
「ゆうこ、でいいよ、武士くん……」
　知らない間に、卓袱台にあった飲み物を、お盆の上に戻っていた。何もなくなった卓袱台の上に、当山、いや優子が四足で乗っかり、僕の首筋に抱きついてきた。
「と、とうやま？」
「ゆ・う・こ」
　念を押されたので、呼び方をファーストネームにかえる。それだけでなんだか彼女との仲がすこし変わった気がした。
「ゆ、優子、あ、あの、それで、その……」
　だ、駄目だ、言葉が出ない。肯定も否定もできない。
　誘われるまま、彼女を受け入れてしまう。
「ボクの趣味ってね……」
　僕の頭を胸に押し付けてくる。未知の、それでいてどこか懐かしい感触、それに女性特有のいい匂いが僕を蕩かしていく。
「趣味って…？」
「Ｈなことなんだ……」
　これから起きるであろうことに、僕の頭は、極限まで真っ白になってしまった。
　もう何も考えられない。
「Ｈなことするの、大好きなんだ、ボク……」
　耳たぶを甘く噛まれる。
「ねぇ、武士は好きかな、Ｈなこと……」
　そんなの答えは決まってる。
「う、うん……　好きだよ、ぼ、僕も……」
　優子の匂いと感触に酔いながら、僕は何とかそう言う。息が荒くなっている。心臓が早鐘のよう。
「じゃあ、一緒だね、ボクたち……」
　それが合図であったかのように、優子の顔が信じられないくらい近くにある。こんな艶っぽい表情ができるんだ、この子は……
　手が、ゆっくり下に降りてきた。
　痛いくらい張ってるジーンズの前、今更だけど恥ずかしくなり俯いてしまう。
「けっこう、硬いねぇ、武士くん。立ってみて」
　誘われるまま、立ち上がる僕。
　ジーンズのボタンを外す優子の手が、まるで別世界からの誘いに思える。
　ゆっくりと、じらされるように下げられるジッパーの音が、もどかしく感じる。
　ジーンズが下げられた。
　抵抗を失った、ボクサーショーツは、見たこともないテントを張っている。自分の下半身とは思えないくらいだ。
　布越しに、優子の掌が摩られていく。屹立にそうように。
　その刺激にしゃがみこみそうになってしまう。
「あ、あの……」
「なかなかの大きさ。ボクって勘がいいなぁ、やっぱ♪」
　僕の呻きも聞こえないのか無視しているのか、優子は僕のを布越しにさすり続ける。ペニスの先から汁がこぼれ出して布を汚していくのが、こんな時でも恥ずかしかった。
「あ、ごめんね、汚れちゃうかな」
　優子が意地悪く笑うと、ボクサーショーツをずり下ろしてくれた。
「あ、あわわ……」
　赤黒く勃起している僕の……　なんか別人のみたく大きくなっていた。この下腹に興奮がなければ、別人のだと思ってしまうかもしれないくらい。
　ここまで反り返ったのも初めて。な、なんかすごいかも……
「思った以上だよ、これ〜♪」
　優子の右手が、僕のペニスの竿の真ん中あたりを軽く握ってきた。
「ちゃんと剥けてるんだぁ、偉いねぇ。中坊くんあたりは、みんな仮性人かと思っていたよ、ボク」
　嬉しそうに、それに実に楽しそうに、僕を握って、上下に軽く動かす。
「あ、ゆ、ゆうこ、や、やばい……」
　同級生の柔らかい手の感触に、僕の腰は引き気味になる。卓袱台にまだ乗っかったままだった優子は、僕の反応を見て、これまた楽しそうに笑った。
「初めてみたいだからね、しょうがないよ。出しちゃおう、一回」
「だ、出していいの？」
　このまま出したら、何が起きるか、僕には想像もつかない。
「おっけーに決まってるでしょ。Ｈなことしようって誘ったのボクだよ」
「そ、そう……」
「じゃあ、盛大にいってみようか、武士くん♪」
　僕のを扱くその手は、握る強さは同じで、早くなっていく。とたんに脳の先まで射精欲求が駆け抜けていく！
　こ、こんなの我慢できるわけがないよ。
「よ、汚れちゃうよ、いいの？」
「だいじょーぶだいじょーぶ。気にしないで」
　その言葉で、もう限界だった僕は耐え切れず己のモノを解き放った。
「あ、うわぁぁ！」
　腰砕けになりそうな射精の快感が全身を痺れさす。倒れそうなのを必死に堪えた。
　白い精が、優子の顔、鎖骨、そして胸を汚していった。
　ここでようやく、僕は優子が上半身裸になっていたのを思い出す。さっきまで手と顔しか見てなかったから、僕が掛かった優子の胸に目が言った。
　ピンク色の乳首がツンと立っている。大きさはそうでもなさそうだけど、張りとか触ったら気持ちいいかもしれない。
　優子が自分に掛かった白い雫を指で掬い取っていく。
　それを唇まで持っていき、舌をだして、それを舐めとった。
「味違うんだ、やっぱ」
　感心したように言うと、また僕を上目遣いに見て笑う。
「濃いよ、すっごく。びっくりしちゃった♪」
　すると優子はまた、僕のを握ってきた。その白い手に反応して、また僕のペニスは硬さを取り戻していく。
「じゃあ、次のステップいってみようか、武士くん」
　正直、快感に腰が抜けそうな状態なんだけど、僕はふらつく膝に活をいれて、頷いた。
　これ以上の快感に僕は耐えられるか、少し不安なんだけど。

−続く−