龍 晃一 作
| 第７章 苦闘する営業の日々 彩也香の告別式も終わった。慌ただしく流れていく彩也香の告別式も何事もなく終わり、彩也香は白い骨になって戻ってきた。お願いしていた彩也香の骨を九州に持ち帰っていた。寮の僕の部屋の机の上に笑顔の彩也香の写真と骨を飾った。この時点では彩也香が隣にそばでいつもいてくれる思いがあった。 辛いことばかりでもなかった。彩也香が亡くなる前から準備していた大分市の郊外の白木化粧品店がチーフの入店で３８名の接客で１００万円を越える売り上げがあり、周囲を驚嘆させた。カトレアではランクインもされていない店が１日で１００万円の売り上げがあるなんて誰もが驚いた。 小森チーフの業務日誌が本社の社長の目に留まり、社長から電話が来た。 「山崎武志という名前は覚えました。これからを期待しています」 には驚いた。一つのことが切っ掛けで事態が好転するようになった。僕が仕事に対して自信を持つことで仕事に対するお店の評価も一変した。 「返品する、返品する」と言われていたお店も、 「今回の企画書は気に入った。是非、お願いします」 と評価も変わった。営業職と言うことは、営業が如何に自信を持っているか否かということが商談に影響するのだと知った。この気づきがノルマを達成させる王道であった。 チーフも日誌のことで社長と支社長からお褒めの言葉を貰っていた。チーフは来春に係長に昇格することが内定した。チーフから食事に誘われた。行ったお店は大分県出身の力士が引退して「ちゃんこ鍋」を経営していた。出汁が甘口で僕には美味しかった。 「チーフ、係長昇格内定おめでとう」 「これは、山崎さんのお蔭なの----ありがとう」 「これまで頑張ってきたのだから----大分には意地悪な丸井課長がいるから----」 「山崎さんは、丸井課長は平気なの----」 「僕は常にマイペースを貫いています。正義は正義、悪いことは悪いこととして----」 「私、山崎さんのその考え方凄いと思います。尊敬します」 「ところで、チーフはどうして独身なの----美しい人なのに」 「男の人に見る目がないのだわ---きっと」 誉めながらチーフにビールを勧めていた。僕も酔っていた。 「本当のこと言っていい----」 「いいですよ---」 「僕ね---チーフのこと好きなの---大分に来て」 「彼女がいるのに-----」 「その人が先日、交通事故で亡くなったの----今も辛いけど」 「可愛そうに-----」 「かわいそうだろう----あの---チーフが欲しい」 「私を-------」 「そう、その私が欲しい」 「-----------------いいよ-------------山崎さんであればいいよ」 「ありがとう。恋していた甲斐があった」 「お上手ね」 それから僕達は近くにあるホテルに行った。お互い酔っていたこともありホテルの部屋に入るとチーフを抱いて口付けを交わした。チーフも年上だけに積極的に求めてきてくれた。 二人で全裸になって入浴した。チーフがこのままでは嫌と言われ身体の汗を流した。バスタオルで身体を巻いてベッドに戻ってきた。バスタオルを穿きとると見た目よりもスリムであり、乳房も容が良かった。お尻も大きくてハート形になった。 舌を啜り合って、６９スタイルでお互いの性器を啜り合った。 「欲しい------」 の言葉に膣の中に肉棒を鎮めた。膣の中は熱く燃えている。燃え上がっている膣に激しくピストンを繰り返した。 チーフは何度も逝ってくれるが絶叫することはなかった。肉棒を秘骨の裏側に擦る様にしてピストンを繰り返した。 「駄目駄目------ダメダメ-----逝ってしまう----いく-------------」 と絶叫しながら果ててしまった。果てる時に子宮に精液を大量に吐き出していた。 腰骨から股間のあたりがヒクヒクと痙攣している。口からも泡を吹いている。チーフの裸体にバスタオルを掛け僕はシャワーを浴びて、チーフの隣で眠ってしまっていた。 真夜中に起こされた。 「武志さんの気持ちよかった。離れなくなるかも知れない----」 「いいよ」 と言うと抱きついてきた。キスをしばらくすると僕の股間に下がって行った。肉棒を咥えて扱いてくれている。 催促していると思えるがチーフに任せる。 これまでノルマ達成が不可能と思われていたが白木化粧品店が１００万円仕入れてくれるようになり、僕も仕事に自信が湧いてきた。一つのことが好転して自信が持てるようになると言葉一つ一つに思いが籠る様になり、これまでお店の社長や奥様が納得してくれなかったことが好感を持って支持してくれるようになった。 そんな時に出会ったのが白木化粧品店の白木真理子であった。白木家は代々次席家老の家柄で真理子は大分の銀行に勤務して、頭取秘書をしていた。女の子なのに度胸のある娘と聞いていた。頭取が急病の時、年始の挨拶を頭取を代理して代読したことで美人であるが凛とした女とした近寄り難い秘書と言うイメージを持たれたという。 代休で休んでいた時に訪問した。 「Ｋ社の山﨑さん、母から噂は聞いています。上がってください」 大きな池があり大きな鯉が数十匹泳いでいる。池の真ん中に岩と思われる高さ１０ｍもあると思われる大きな緑色をした岩が鎮座している。その岩の上に御社が鎮座していた。 真理子がケーキとお茶を持ってきてくれた。黒髪を肩まで流し、うりざね顔で笑顔がとても可愛い女性と思った。 どこに凛と澄ました真理子には近づけない雰囲気があると聞いていたがまったく感じなかった。人の噂はいい加減なものだと思えた。 「真理子さんは頭取秘書をしているのですね」 「私が希望した訳ではないのですが総務課に勤務していて、半年後に頭取秘書になりました」 「頭取と一緒に出張も行かなければならないのですね」 「全国銀行協会の頭取会が毎年有名な温泉地の大ホテルで２泊３日で開催されますが、秘書の品評会を思わせる嗜好があり閉口します」 「どんな-----」 「秘書を愛人としてしか考えていない頭取から凛とした秘書の立場を守ってくれる頭取までマチマチです」 「大分の頭取は-----」 「隙あれば---という人ですわ。男の人というのはそんな気もしています」 それ以上の詮索は出来なかった。 帰るときに断られることを覚悟して、 「次の日曜日に映画に行きませんか」 「宜しいのですか、是非、ご一緒させてください」 「○○映画館の前で１２時に」 と約束をして携帯番号とアドレスを交換した。真理子と付き合えることができたことは生きることに一点の光りを見出した思いがしてきた。 営業の仕事とは自信であった。当然であるが自信のある企画で結果を残すことが次の大きな自信になった。白木化粧品店の結果に営業の仕事との本筋としての確かな手ごたえを感じていた。真理子と約束できたことも大きな自信に繋がった。仕事の自信が女に対する自信にも繋がっている。一つのことが順調に行き出すとあらゆることが順調に回転するようになった。 |
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| 2014.9.27掲載 |