| １４． 電話口の母は、少し緊張した口調で、母とＴが子供を作るために行なうセックスを私が見ることについて、Tの承諾を得たことを恐る恐る説明した。 母がＴにどのように説明したのか気にかかったが、私としては、2人のセックスが見られるのであれば、それで構わなかった。私は「うん、よかった」とだけ返事した。すると、母は「Tさんの都合とね・・あと、母さんのほうも色々とあるから、来週の木曜日の晩になるけど、いいかな？」と尋ねてきた。 私は即座に「うん、いいよ」と応じた。この時点では、私は、母の事情というのが、どのようなものなのか全く理解していなかった。いずれにしても、私としては、どのような用事があったとしても、母のセックスを見ることを優先したに違いなかった。 「あと・・そのぉ・・場所だけどね。○○ホテルって分かるかな？○○駅の東口から出るとすぐのとこにあるホテルなんだけど」と、母は、都内の○○駅の近くにある、高級シティホテルを指定してきた。母の口調から、母がそのホテルに何度か行ったことがあることが分かった。Tと関係するときは、そのホテルを使っているのだろうと思ったが、そのことを尋ねはしなかった。 私は「うん、分かると思うよ」とだけ答えて電話を切った。それから、10日間ほど、私は、久しぶりに見ることになる母のセックスを想像しながら毎日を過ごした。母とKのセックスを想像していた高校生のときのように、はたから見ると、様子がおかしかったように思う。 待ちに待った木曜日の晩、私は、○○ホテルへと向かった。指定された時間よりも少し早めに着き、どうしたものかと思っていると、ロビーにある喫茶店から、立ち上がって私に手を振る女性がいた。 状況から考えて、その女性が母であるに違いなかった。しかし、私には、濃いワインレッドのワンピースを身につけて、私に手を振っている女性が母だとはすぐには思えなかった。私が知っている母は、どちらかといえば地味な女性であったが、その日の母は、非常に華やかで、明るいオーラをまとっていた。シティホテルが似合う、都会的な女性であった。 私が2人の座る席に近づくと、母は、Tに挨拶をして、座るように私を促した。実家で会ったときと同じように、上等なスーツに身を包んだTは、「場所は、すぐに分かったかい？」などと気さくに私に話しかけてきた。私は、やはり、うまく応じることができなかった。 Tと母の年齢の男女は、普通であれば、夫婦に見えるだろう。しかし、2人の間には、普通の夫婦とは少し違った空気が流れていた。2人が男女の仲にあることは誰の目にも明らかだったが、夫婦のような生活感が感じられず、大っぴらにできない関係であるかのような、淫靡な雰囲気さえ漂っていた。 母の隣に座った私は、母の格好が気になって仕方がなかった。母がノースリーブのワンピースを着ている姿を見たのは初めてであったし、それがかなり上等なものであることは、ファッションに明るくない私にもすぐに分かった。Tに買ってもらったものなのだろうが、それを確認してみようとは思わなかった。 母が露出させている肩、二の腕は、透き通るように白く、シミ一つなかった。ほどよい肉づきと、若い女性とは違ったしっとりとした肌の質感からは、母の体の抱き心地の良さが伝わってきた。 私が実家にいたとき、母は、髪を、多くの主婦と同じような色に自分でカラーリングしていたが、今日の髪は、サロンでセットしたものであることがすぐに分かった。手入れのされた艶やかな髪は、濃い栗色に染めた上で、優美なロングカールにセットされていた。 メイクは、上品さこそ失われていないもの、かなり華やかになっており、赤みの強い口紅が色っぽさを感じさせた。銀のネックレスも、私が見たことのないものであった。 母が身につけている服、メイク、アクセサリーなどの全てが、母の美しさ、とりわけ白い美肌を強調しており、母の熟した色香が見事に引き立てられていた。 私が実家を離れてから、Tは、何度も母を抱いてきたのだろうが、Tは、母の体を自分の欲望のはけ口にするだけではなく、母に潜む女としての魅力を引き出し、それに磨きをかけていた。母も、Tに応えて、普通の主婦とは比べ物にならない性歴の中で蓄積されてきた色香を、惜しげもなく発散するようになっていた。 普通であれば、息子としては、美しくなった母を誇らしく思うのかもしれない。しかし、私の隣に座っている母は、学生であった私が可愛い、あるいは、綺麗だと考える女性とは少し違った。私のような若造は、豊富な肉体経験を感じさせる色気に、思わず躊躇ってしまうほどであった。むしろ、若いだけの娘では満足できない大人の男性が、その熟した肉体をじっくりと味わい、濃厚な交わりを楽しみたいと考える「女」であった。 目の前に座っているTは、今から、その願望をかなえようとしているだけでなく、その果てに自らの子供を孕ませようとしている。そう思うと、私の中で、隣に座っている母を奪われることへの嫉妬、敗北感と同時に、私では相手の務まらない「女」が抱かれ、種付けをされる姿を見せつけられたいといった、矛盾した感情が湧き上がってきた。 テーブルを挟んで向かい合う男女を見ていると、私は、2人のセックスの様子を思い浮かべずにはいられなかった。私は、AVの中のショーとしてのセックスのほかは、自身の幼稚なセックスしか知らなかった。「女」が男に抱かれ、その種で孕まされるという本当のセックスを知らなかった。私がどんなに想像をめぐらしたとしても、これから繰り広げられるTと母の交わりは、より濃厚で、深いものであるに違いなかった。 しばらくすると、Tがトイレに立ち、私と母が残された。母は、「ゆう君と外で会うのは、ほんと、久しぶりよね・・」と話しかけてきた。私は「うん、そうかもね・・」とだけ答えた。その後、2人は何を話せばよいのか分からずに黙っていた。 沈黙を避けたかった私は、何気なく、「母さん、雰囲気が変わったね」と話しかけた。母は、「えっ・・そうかな？？」と答えると、どのように応じればよいのか少し困った様子で机の上の紅茶に口をつけた。 私は、つい本音を口にしたものの、どのように言葉を続ければよいのか、全く考えていなかった。本心としては、母が見違えるほど色っぽくなったこと、Tとの肉体関係が充実しているのが一目で分かるということを言いたかったのだが、そのようなことを口にするのは抵抗があった。 母に向かって「綺麗になった」などと言うのも照れくさかったので、私は、「いや、その、ダイエットでもしたのかなぁって・・」と思ってもいなかったことを言った。 母は、机に置いた紅茶のカップの唇に触れた部分を親指で拭いながら、「えっ？？そう？？・・体重は、ピルを止めてからも、全然変わってないのよ」と言った。そう言い終わると、久しぶりに会った息子に、いきなり避妊について口にしてしまった自分に戸惑うかのような表情を浮かべた。 母とTは、今日、セックスをするためにホテルに来ている。しかも、肉体的な快楽を得るためだけに互いの性器を交えようというのではなく、交わりの果てに子供を作ろうとしている。そうである以上、母が避妊薬を止めているのは当然のことであった。 私が母と2人で暮らしていた間、長年にわたって、母はピルを服用し続けてきた。そのため、生活のために何人もの男に抱かれ、その欲求に応じて膣内への射精を許してきたものの、子供を身ごもることは決してなかった。私が知っている母は、男に性的快感を与えるためにその性器を駆使していたが、その性器を、本来の目的である生殖のために使ってはいなかった。 しかし、今、私の横に座って、近くを通る男性が思わず視線を向けてしまうほどの色香を溢れさせている母は、私と暮らしていたときの母とは違っていた。人工的に抑制してきた排卵を再開させた母は、これまで何度も自宅でされてきたように、男の精液を膣に注ぎ込まれるならば、その子供を妊娠してしまう状態にあった。 そのことを知った私には、母のことが、これまでとは違った存在に感じられた。Tによって磨きのかけられた外観だけでなく、男の子種で孕みうる状態にあるということが、男から見たときの母の魅力を増しているようにさえ思えた。 私が「・・そうなんだ」とだけ返事をして、言葉を続けることができずにいると、Tが戻ってきた。Tは、再び席に座ることなく、「そろそろ、食事に行こうか」と言った。母は、笑みを浮かべて「はい」と応じると、私にも、荷物を持って立ち上がるように促した。 母と私は、喫茶店の入口で待っているTのほうへ向かった。Tは、レジで、部屋番号を告げて、会計をそちらにつけるように言っていた。母が近くに来ると、Tは、母の腰より少し上に右手を当てるようにして、母と並んでエレベーターのほうへと歩いていった。母が極めて自然にTの懐に入っていく様子から、2人がこれまでに重ねてきた逢瀬が少なくないことが伝わってきた。 私は、エレベーターを並んで待つ2人を見つめながら、2人が、これまでに何度も、上階の客室でセックスをするために、同じようにエレベーターを待っていたのだろうと想像をめぐらした。 エレベーターがやってくると、2人に続いて、私も中に乗り込んだ。Tがボタンを押すと、エレベーターは上昇を始めた。母は、階を示す数字が大きくなっていくのを見つめているTにぴったりと寄り添い、Tの顔を見上げるようにして、「今日の部屋は40階なの？」と話しかけていた。 エレベーターの中で、私の脳裏には、様々な思いがよぎった。私が自堕落な学生生活を送っている間に、Tは、何度も母を抱き、母を美しく仕立て上げただけでなく、自らの「女」にしてしまっていた。そして、母も、Tの女として振る舞い、抱かれているだけでなく、多額の金銭と引き換えとはいえ、その子供を身ごもることまで了解しているのである。 私は、遅まきながら、仲良く2人で暮らしてきた母がTのものになってしまうのだということに気がつかされた。しかし、母がTに奪われてしまうのだと思えば思うほど、私の中の性的な興奮はかき立てられ、ズボンの中のペニスは堅く勃起していった。こうした反応は、私にとっても予想外のものであった。 エレベーターは、男の精を注ぎ込まれると妊娠してしまう状態の母と、その母に何ら避妊することなく膣内射精しようとしているTを乗せて上昇していった。乗り合わせた私は、母が奪われることによって興奮している自分に戸惑いながら、母の後ろ姿を見つめていた。 |
| あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。 |
| 2010.12.29掲載 |