| ２３． 母に妊娠を告げられてから、私は、数か月の間、実家に帰ることがなかった。妊娠した母の姿を見てみたいという気持ちはあったものの、孕んだ母の姿を目の当たりにするのを怖いと思う気持ちも否定することができず、足が実家へ向かわなかった。 私は、年末になってもどうするべきかどうか悩んでいたが、母が帰ってくるようにと何度か電話をかけてきたので、久しぶりに実家に帰ることを決心した。その時、母はすでに妊娠6か月を迎えていた。 母は、久しぶりに実家に帰った私を玄関で出迎えてくれた。母は、ゆったりとした線の服を身につけていたが、それでもすぐに分かるほど、腹はすでに大きくなっていた。私は、母が本当に妊娠してしまったのだという事実を目の当たりにし、戸惑いを感じたが、そのことには触れず、家に入った。 母の容姿は、お腹の膨らみを見なければ妊婦とは思えぬほど綺麗であった。メイクこそ少し薄くしていたが、髪はマニキュアを施した上、上品にカールされており、白く肌理の細かい肌も変わらぬままであった。母は、生活上の雑用のほとんどを、Ｔが雇った家政婦に任せているようであり、家事から解放された母の手は、以前より綺麗になっていた。 豊かな胸は、妊娠によってさらに大きくなっており、体全体から、妊娠するまでとは違った色香が溢れ出していた。私は、初めて目の当たりにする妊婦の肉体の淫靡さに戸惑いを感じずにはいられなかった。 私と母は、かつてと同じように、雑談をしたり、食事をするなどした。しかし、その間、母の妊娠が話題にのぼることはなかった。私としては、母の肉体の変化や、妊娠中もＴが母を抱いているのか気にかかったが、そのようなことを尋ねることができる雰囲気ではなかった。私と母の間には、どこかぎこちない空気が流れた。 夕食の後、自分の部屋に戻った私は、妊娠した母の体のことばかり考えていた。母の腹はどれほど膨らんでいるのか、乳房はどうなっているのかなど、ベッドの上で悶々とした状態で想像した。そうこうしているうちに、１階から、風呂に入るよう促す母の声が聞こえてきた。風呂からあがった私は、意を決して、続けて風呂に入った母を居間で待つことにした。 風呂からあがってきた母は、私の存在に気がついて、少し緊張したような表情を浮かべた。高校生の私が、風呂上がりに、母の乳房をまさぐっていた頃を思い出したに違いなかった。母は、平静を装いながら、ソファに座り、私と当たり障りない会話をしようとした。私は、母の言葉に応えず、ただ黙っていた。 しばらくすると、母は、押し黙っている私に、「ゆう君・・どうかした？」と声をかけてきた。それでも、私は、何も答えず、床を見つめていた。 母が再び「どうかした？」と尋ねてきた時、私は、視線を上げて母の顔を見つめた。そして、唾を飲み込むと、「そのぉ・・母さんの・・その・・、体を見せて欲しいんだ・・」と欲求を率直に伝えた。母は、私の要求を覚悟していたのか「・・そう・・」とだけ答えた。 しばらく沈黙が続いた後、私は、自分の気持ちを正直に伝えた。「母さんは・・Ｔさんのものなんかじゃないよね・・」要を得ない言葉であったが、母は、息子が感じている嫉妬や喪失感を感じ取ったのか、神妙な面持ちでいた。 再び、沈黙が2人の間を支配したが、母は、凛とした表情を浮かべながら「・・分かったわ」とだけ言うと、ゆっくりと立ち上がった。母は、視線を私に向けることなく、パジャマのボタンを外していった。 母は、ブラジャーを着けておらず、パジャマの下から乳房が露わになった。引き続き、母は、ショーツを脱ぐと、ソファの上に置いて、視線を台所の方へ向けた状態で立った。 私は、ソファに座ったまま、母の体を舐めまわすように見つめた。やはり目についたのは、母の腹であった。母の腹は、私が想像していた以上に大きく膨らんでおり、別の生命が宿っていることがよく分かった。 母の肉体の最大の魅力である乳房には、私が想像していたほど大きな変化はなかったが、乳輪と乳首が以前よりもツンと突き出していた。乳輪の色も、わずかに濃くなっていたものの、元の色素が薄いためか、依然として美し色合いを保っていた。 母の肉体は、出産への準備を整えつつあったが、女としての魅力も失われていなかった。母と女の入り混じった生々しい女体を目にして、私は、思わず唾を飲み込んだ。 母は、どうすればこの状態を脱することができるのか考えている様子で、立っていた。母の肉体を見つめる私の中では、自分でも予想していなかったほど強い感情の起伏がおこっていた。 母がＴに孕まされ、その肉体でＴの子孫を残そうとしていることを見せつけられて、私は、激しく動揺していたようであった。自分でも驚いたことに、気がつくと、私の眼からは涙があふれ出していた。私自身、一瞬、何が起こったのか理解できなかったが、涙は止まることなくこぼれ落ちていった。 私の異変に気がついた母は、驚いた様子で、「ゆう君・・？？」と言って、私のもとへやってきた。母は、どうすればいいのか分からない様子であったが、私の隣に腰をかけ、そのまま包み込むように、私を抱きしめた。母の中の母性がそうさせたようであった。 母は、私を強く抱きしめ、頭を撫でながら、「大丈夫よ・・・大丈夫だから・・」と言って、私を落ち着かせようとした。私自身、自分の反応に驚いていたため、母に優しくされるほど辛かった。いつの間にか、涙をこらえようとすることを止め、母の腕の中で、感情の波に自分を委ねている自分がいた。 「でも・・・母さんは・・・Ｔさんの・・・・だって・・」と訳のわからない言葉をぶつける私を、抱きしめたまま、母は、「大丈夫よ・・」と繰り返した。そして、「母さんは、ずっと、ゆう君のそばにいるんだから・・。ゆう君だけの母さんよ・・」と言った。 私は、母の腕の中、「ほんと？」と尋ねた。母は、「もちろんよ」と言って、私をさらに強く抱きしめた。私は、しばらくの間、母の腕の中で泣き続けた。母も、私を抱きしめ続けた。長時間にわたって、私の嗚咽だけが部屋に響き渡った。 嗚咽が落ち着いてくると、私は、母の胸の柔らかさを感じながら、恐る恐る尋ねた。「母さん・・・たくさんお金もらったんだから、もう、いいんだよね・・・？男の人とは・・。」 母は、私の問いかけに、何も答えなかった。私は、しばらく間をおいてから、「やっぱり、Ｔさんとは・・また会うの？」と尋ねたが、母は、私の背中を優しく叩きながら、やはり何も答えなかった。顔を上げて母の様子を伺うと、母は、返事に困っているようであった。 私の視線に気がついた母は、優しい表情を浮かべて、「うん・・ゆう君ね・・」と呟いた。私は、母がＴとの関係を続けると言うのであろうと思った。私は、Ｔに対する嫉妬を感じていたものの、我慢しなければならないと自分に言い聞かせるまで準備をしていた。 母は、私を諭すような口調で、言葉を続けた。「ゆう君ね・・母さん、今まで色んな人に助けてもらってきたの・・・母さんみたいなおばさんに、みんな良くして下さったのよ」と言って、母は、一度、言葉を区切り、視線を窓の方へ向けた。 「でも、母さんも、もう若くないしね・・今度で最後にしようと思ってるの。」私が母の温もりを感じながら黙っていると、母は、私が全く想像していなかったことを言い始めた。「それでね・・・最後に、Ｔさんに頼まれてるの。・・・Ｔさんの息子さんのお相手をするの・・・。Ｓ君ていうんだけどね、初めてのお相手をするの・・。」 私は、母の言っていることが直ちには分からなかった。母の言葉は耳に入ってきていたものの、それが何を意味しているのか理解することを頭が拒否しているかのようであった。 その意味をようやく理解できたとき、私は、体を起して、思わず「えっ？」と叫んだ。母は、ばつが悪そうな表情を浮かべていた。私も、激しく動揺し、視線をどこに向ければいいのか分からなかった。 気まずい雰囲気の中、私は、何とか「母さん・・え？？・・どういうこと・・？」と言った。母は、「うん・・そのぉ・・」とだけ言って言葉を続けることができずにいたが、しばらくすると、Ｔからの依頼について、たどたどしく説明を始めた。 私は、あまりに動転しており、その時の母の言葉を断片的にしか覚えていないが、母は、出産を終えて体調が落ち着くと、Ｔの高校生の息子の初体験の相手を務めることになっていると私に説明した。 母によると、Ｔの息子Ｓは、隣の市にある有名な全寮制の進学校に通っていた。母も、一度、Ｓに会ったことがあるようで、「Ｓ君は、すごく優しそうな子だったわ」と言った。私は、母がＳを褒めたことが悔しかったのか、そこだけは、母の口調まで鮮明に記憶にしている。 母の口ぶりからして、母は、Ｓの筆おろしをすることで、一度のセックスの対価とは信じられないほどの金銭を受け取るようであった。ただ、出産後にＳとセックスをすることになっていると説明する母の口調からは、金銭のために若い欲望のはけ口になるという悲壮感などは微塵も感じられなかった。 むしろ、Ｓの相手をすることを楽しみにしているのではないかと思わせるふしさえあった。私は、それは思い過ごしに違いないと自分に言い聞かせ、自分の中の嫉妬心を懸命に抑え込もうとした。 母が高校生と体を交えるという事実は、ＴやＫが母を抱いているという事実よりも、格段に強い嫉妬心を私に感じさせた。もちろん、ＴやＫに対しても私は嫉妬心を抱いていたが、ＴやＫは、社会的な成功をおさめ、その報酬として、母の美しい肉体を抱くことができたのであった。これが、世の中の真実なのだと諦めることもできた。 これに対して、Ｓは、私よりも年下の高校生であった。母の肉体の価値も分からぬ高校生が、父親に買い与えられた肉体を貪り、何の遠慮もなく若い欲望をぶつけるのだと考えると、私の胸ははちきれそうであった。 進学校に通うＳは、父親のＴと同様、将来、高い社会的地位と高給を手にし、彼女や妻以外にも多くの女を抱くことができるのかもしれない。Ｔは、自分と同じように女に不自由しない人生を送ることになる息子に対して、いわば予行演習として、自らが磨き上げた女体を手配したのかもしれない。 母の肉体があたかも玩具のように、買い与えられているという事実は、やはり屈辱的であった。しかし、それ以上に、私は、Ｓの境遇を妬ましいと思った。 その晩、私は、自分の部屋で何度も自分を慰めた。どのようにして部屋に戻ったのか記憶にないが、ベッドの上で何度も精液を迸らせた。放出を終えて嫉妬が落ち着く度に、母とＳのセックスを見たいという思いを強くした。 |
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| 2011.6.25掲載 |