| ７． 「ゆう君・・入るわよ・・。」母は、優しく声をかけながら、ドアを開けて、私の部屋へ入ってきた。 私は、布団にくるまったまま、動けずにいた。自分の心臓の鼓動ばかりが響いていた。 母は、小さな勉強机の前にある椅子に腰をかけた。布団の中の私にも、母がどのように切り出せばよいのか、悩んでいる様子が伝わってきた。 やがて母は、決意を固めたように軽く息を吸い込むと、ゆっくりと話し始めた。「ゆう君・・・ごめんね。驚かせちゃって。びっくりしたわよね・・。」 私はどのように応じればよいのか分からず、ひたすら布団の中でじっとしていた。 私の反応をうかがうかのように黙っていた母は、自分の動揺を落ち着けるかのように、言葉を続けた。 「母さん、全然、怒ってるんじゃないのよ。驚かせちゃって、ほんとごめんね。・・ゆう君みたいな年頃の子が、あんなところ見たら、びっくりするわよね。」 母は、私に気遣いながらも、動揺を隠しきれない様子で、男との関係について説明を始めた。 母の説明は、男との関係をごまかそうとするものではなく、なるべく誠実に事実を伝えようとするものであることが、私にも伝わってきた。 私は母の声に耳を傾けた。母は、私の頭の中に響き渡っている心臓の鼓動に打ち消されそうなほど、細々とした声で、説明を続けた。 母の説明によると、男はKという名前であり、隣の町で会社を営んでいるとのことだった。Kの会社は、2年ほど前から業績がよいらしく、母は、「○○って会社よ。ゆう君も、知ってるんじゃない？」と聞いてきたが、私は知らなかった。 母とKは、半年ほど前から関係をもっていた。Kは、週に2回、私の帰宅が部活で遅くなる日に合わせて、仕事帰りや仕事の途中に抜け出して、母に会いにきている。 そして、母は、Kから、金銭的な援助を受けていた。母は、具体的な金額こそ明かさなかったものの、母子2人が生活に必要な金額よりもはるかに大きな額のようであった。 さらに、母は、Kの前にも、援助をしてくれる人がいたかのようなことも口にした。「母さんが1人になってから、そういう人たちが助けてくれたら、このお家とかね・・・ゆう君との今の暮らしもあるのよ・・。」 母は、幼い私を抱えた母を見かねた親戚などに援助してもらったと言っているのだろうか。それとも、K以外の男性とも関係をもっていたことを言っているのだろうか。私の頭の中を疑問がかけめぐっていると、母は、ゆっくりと言葉を続けた。 「でも、ゆう君も高校生だもんね・・。家で母さんがあんなことしてるとショックだよね・・。母さんね、ずっと前から男の人を相手にして生活してきたから、気が回ってなかったんだと思う・・。ごめんね。」 遠回しながらも、母は、私が幼い時から、男性たちと家で関係をもち、その対価として生活を支えてもらってきたと言っているのだ。 私は、全く知らなかった母の一面を突如として知らされ、ショックのような、興奮のような、自分自身でも理解できない感情で頭がいっぱいになっていった。 私としては、Kの素性などには、興味がなかった。また、母が男と肉体関係をもち、その対価として少なくない額の金銭を受け取っているという事実は、背徳感を高めさせ、私をさらに興奮させるものであったが、私としては、自らの生活も、男たちのそうした援助で支えられていたということであり、非常に複雑であった。 私は、母のたどたどしい説明を遮って、母のセックスについて、色々と尋ねたくてしかたがなかった。 AV女優顔負けのフェラチオは、誰から教えられたのか。Kなのか。K以前の、金を払って母で欲望を満足させていた男たちなのか。あるいは、私の父なのか。 Kは、母の中に射精していたが、妊娠してしまわないのか。避妊をしなくてよいのか。精液を飲むことに抵抗はないのか。 しかし、私には、布団の中から顔を出し、こういった生々しい質問を母にする勇気はなかった。私は、母が話し終えるのをひたすらじっと待っていた。 母は、一とおりの説明を終えると、しばらくじっとしていた。そして、最後に「びっくりさせちゃって、ほんとごめんね。」と言って、ゆっくりと私の部屋から出ていった。 私は、ベッドから起き上がることなく、母の説明を反芻したり、色々な疑問に思いをめぐらせ続けた。 勃起はおさまることなく続いていた。2人のセックスを覗いていたときから立ちっぱなしだったため、ペニスはどこか痛むような気さえした。しかし、その晩に限っては、不思議と、オナニーをする気にはなれなかった。 もちろん、Kと母のセックスを見つめながら、一度射精していたことも大きな理由であろう。しかし、母に見つかることがなければ、私は連続して射精していたに違いなかった。 むしろ、母の懸命な奉仕は、画面の中のAV女優たちと同じで、男の欲望を満たし、その対価として金銭を受けとるためだったという事実が、私に複雑な感情を抱かせ、オナニーを思いとどまらせていたのかもしれない。 私は、悶々と、ベッドの上で、寝返りを打ち続けていた。やはりオナニーをしてすっきりしないと寝付けないだろうか、などと考えていると、興奮と緊張が途切れたためか、睡魔が襲ってきた。 次の日、私が目覚めると、すでに午前11時であった。その日は祝日であったため、母も、私を起こしに来ることはなかった。 昨日のことを考えると、母に顔を合わせるのは、非常に勇気がいることであった。しかし、いつまでも、この部屋に閉じこもり、母に会わないわけにはいかない。この小さな家で、2人だけで暮らしているのである。 私は、いつもの休日と同じように振る舞おうと覚悟を決めた。母がいる食卓へと向かうことにした。部屋を出ると、食卓のほうからテレビの音が聞こえてきた。私は、思い切って、歩を進めた。 私に気がついた母は、一瞬、緊張したような表情を浮かべたようにも見えたが、母も、なるべく普通に私に接そうとしているようであった。 母は、台所へ向かいながら、私に声をかけた。「やっと起きたの。そうね・・もうお昼ごはんにしちゃうけどいい？」 私が、「うん」とうなずくと、母は、焼き飯など、簡単な昼食の準備を始めた。母が調理している間、私は、テレビを見るふりをしながら、母の様子を観察していた。 母の調理する姿は、いつもと何ら変わりがないように思えた。母は、手際良く、早い昼食を2人分準備すると、両手に皿をもって戻ってきた。 私と母は、テレビに映っている番組について差し障りのない会話をしつつ、食事をした。やはり、ぎこちなかったように思うが、2人とも、そんなことは気にしていないかのように振る舞った。 食事が終わると母は、台所で洗い物を始めた。私は、部屋に戻ろうかとも思ったが、すぐに戻っては不自然かと思い、テレビを見ながら食卓に座ったままでいた。 2人分の洗い物はすぐに終わり、母は、手を拭きながら、食卓へと戻ってきた。母は、食卓を拭きながら、「ゆう君、今日は、クラブないの？」と尋ねてきた。私が「ない」と答えると、母は「そう」と応じた。 そして、しばらく間をおいた後に、母は、何か覚悟を決めたように、そして動揺を見透かされないように細心の注意を払いながら、驚くべきことを口にした。 「さっきKさんと電話してね・・・Kさん、明日も来るんだけど・・・」。母の言葉がいったん途切れた。2人が避けてきた話題が突然に始まり、私の心臓の鼓動が急激に早くなった。 母は、視線を落として、顔を赤くして言葉を続けた。「あの・・ゆう君は、そういうことに興味がある年頃だろうから、もし見たいんだったら、Kさんは、構わないよって・・」。 「？？？」私は、母が何を言おうとしているのか、すぐには理解できず、返事をすることができなかった。 母は、慌てて、照れを隠すように「いや、あのっ・・やっぱり、ゆう君、そんなんじゃないのよね。Kさんが変なことを言うから・・」と言い始めた。 その時、私は、母の言葉を遮って「いや、見たいよ！」口走っていた。自分の口から、大胆な言葉が飛び出したことに驚きながら、私は「見せて！」と繰り返した。母との関係などといった後先を考えることなく、私の本能、欲望が、口をついて出てきた。 母も私の反応に驚いたようだった。自分とKの現場を目撃して、驚いているとばかり思っていた息子が、はっきりとした口調で、自分のセックスを見たいと懇願しているのだ。 母は狼狽を隠せない様子で、「・・そう・・・分かったわ・・」とだけ言って、廊下へと出て行った。玄関などの片付けをしていたが、私と顔を合わせたくなかっただけのようだった。 私は、自分の部屋に戻り、仰向けにベッドに倒れこんだ。これまで2回の目撃の様子が繰り返し脳裡をよぎり、明日への期待、妄想が膨らんでいった。 もちろん、私にも、親が子供の前でセックスをするのは異常なことだという気持ちはあったが、母の裸体とセックスを近くで見ることができるという興奮がはるかに勝っていた。 今思うと、母としては、かなり複雑な葛藤があっただろう。息子に男との現場を目撃され、これまで男に体を売るような行為をしてきたことを告白しただけでなく、明日には、息子の目の前で男に抱かれるのだ。しかし、母の気持ちを察する余裕など、興奮にとりつかれた私にはなかった。 明日は、母の乳房や性器をもっと近くで、じっくりと見ることができるだろうか。母は、男のピストンを受けて、AV女優のような喘ぎ声を出すのだろうか。私は、そんなことばかり考えながら、その日の午後を過ごした。 次の日、私は、学校でどのように過ごしたのかほとんど覚えていない。もうすぐ見ることのできる光景を想像ばかりして、友達などが話しかけてきても全く上の空であったように思う。 授業が終わると、ひたすら急いで家に帰った。家の前まで着くと、超えてはいけない一線を超えてしまうのではないかといった考えも、わずかながら頭をよぎった。しかし、ここで引き返そうとは全く思わなかった。 私は、玄関を開けて、なるべく普段と同じように「ただいま・・」と声をかけた。玄関には、初めて母のセックスを目撃した日と全く同じように、男性物の靴が置かれていた。 私は、ゆっくりと家の中へ入って行った。食卓のほうからは、母と男の気配がした。2人も、私の帰宅に気がついたようであった。 廊下を進むうちに、心臓の鼓動が速くなってきた。廊下の先のドアの向こうでは、母とKが待っている。 少しばかり緊張しながらも、それよりもはるかに大きな期待と興奮に胸を膨らませながら、私はドアを開けた。母の性行為を見るために。 |
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| 2010.5.22掲載 |