はちみつ太郎 作
| １０ 言葉を待っていたことを証明するように、笙子は吸い込まれるように江藤に肩を抱かれ玄関のドアは祭りの全てを塞いだ。 拒否でも承諾でもない雰囲気は玄関の中にまだあった。身長差のあまり無い二人の視線は、江藤は笙子の口元に、笙子は江藤の鎖骨の辺りを見つめている。 その視線は承諾に傾き、どちらからともなく視線を合わせると笙子は少し照れながら、江藤はその仕草に勝算を感じながら、笙子が目を閉じたのを待って、唇を重ねる。 唇を重ねながら、履いていた草履を乱雑に脱ぎ捨てる。廊下の脇にあるベッドルームの扉を開けた江藤は、中にあるグリーンのシーツのかかるセミダブルのベッドに笙子を腰掛けさせた。 足をぶらつかせたまま江藤は笙子に覆いかぶさると、再び激しく唇を重ねあう。双方の顎や頬は二人の唾液でぬれているが、気にする様子も無い。 若い生娘でもない笙子は、承諾を伝えることもなく体でそれを表現する。踊りの浴衣のままの二人は、肌へのアクセスが容易で、ぶらりとベッドから放り出している笙子の太ももは江藤の手によって露わになっているが、恥じるでもなく江藤の腕を挟みこむ。 唇のふれあいは、堰を切り舌を絡めるまで進んでいる。お互いの口腔内を行き来しあう舌は、意思のある器官のようにふれあいを続けていく。 少しずり上がるように腰を浮かした笙子は、枕のあるところまで頭を移動させる。枕から感じられる香水の匂いは、いつも保育園の玄関ですれ違うとき匂うそれと同じだった。 横向きで体を重ねる二人の指先は、少し臆した笙子が江藤の首筋に両手を這わすと、太ももを摩り続けていた江藤は、同じように上半身へと移動する。 浴衣の帯を解くと、割り開かれた胸元にはさらしがあった。汗をすったさらしは、少し重量をましているが、つんとくる匂いも無い。 透明ストラップの白いブラが江藤の指先に触れる。舌を絡め続けているためか、手探りでアンダーの部分から笙子の突起を探った。 ホックを外すことなく少し緩んだブラは、ワイヤー部分がトップを通り過ぎる。 少し背を上げ笙子は自らホックを外すと、肩から浴衣の袖とブラ紐を抜き突起が著しい乳首を江藤の視界に露出する。 見えた乳首を左から吸い上げる江藤。右の乳首には、指先だけで刺激を転がす。吐く息が少し大きくなった笙子は、手持ち無沙汰の手を江藤の頭部にあて頭を撫で摩る。 江藤は笙子に視線をあずけることなく、一心に乳首への刺激を続ける。下から揉みこみながら尖った先端を転がされると、笙子は恥じらいを忘れ甘い声を上げる。 「はぁぁぁ・・・あうぅぅぅ。」 吐息と同時に抱え込むように江藤の頭をぎゅっと締め付ける。汗の匂いは感じるが、枕もとの香水と相殺され嫌な気がしない。 笙子の吐息が喘ぎに変わったころ、江藤の乳首責めは終わりを向かえ、新たなターゲットに指先は向かう。 乳首から這う江藤の舌先は、首筋周りを丹念に刺激する。右の指先は乳首、乳房から下がり続け、はだけた浴衣のすそを振り払い、浴衣と同色の白のショーツに手が触れる。 笙子は、触られやすいように体の向きを江藤に背を向けるようにした。背後から抱かれる感覚が笙子の性的欲求のアピールだった。 江藤は、笙子の浴衣を取り去り白のショーツと足袋だけにすると、背後から抱きつき腰から廻した右手を笙子のショーツに潜らせる。薄めの陰毛は、江藤のイメージ通りだったのか、笙子の背中には江藤のエレクトが感じられた。 体に押された笙子の手は、牡の尖りを探す。浴衣の上からも勃起した尖りは判る。先端というより裏筋付近に浴衣越しに摩る笙子。 笙子の指先の動きから衝動的に江藤は浴衣、Ｔシャツを脱ぎ、笙子と同じくトランクスと足袋の姿になる。トランクスの先端は、少し湿っている。汗か、カウパーか、どうでもいいとばかりに笙子の指は、カチカチの亀頭に触れた。 少し湿った尿道付近からの液体を頼りに、亀頭と肉茎を刺激すると、トランクスの覆いがじゃまっけになり、ゴムの部分をずり下げる。 江藤は、笙子に合わせ、腰をうかし足からトランクスを脱ぎ去った。目を合わせぬまま笙子は江藤の陰茎をゆっくりとしごき始めている。 笙子には江藤の表情は見て取れないが、鼻息の荒さは少しずつ大きさを増しているのは、首筋で感じられる。 笙子のショーツに入り込んだ江藤の指先は、陰毛をなでさすりを繰り返すだけで、肝心な部分へはアクセスしない。 反応を楽しむためなのか、笙子の性的欲求がどれほどなのかを確かめるようにそれ以上は先へ進まない。 業を煮やしたか、動き始めたのは笙子だった。体を反転すると、江藤に軽く唇を重ねる。体を下げ、全勃起状態の陰茎を握ると、江藤の腰に手をあて仰向けになるようにうながした。 「シャワー、浴びてないよ。」 「・・・。」 無言のまま、笙子は江藤の亀頭に軽くキスをする。臭くないよ臭わないよといった感じの微笑を陰茎越しに江藤に見せる。 「ペロペロッ・・・ぺロッ。・・・・パクッ。」 邪魔にならない程度の陰毛は、笙子の好みだった。短めの陰茎に多目の陰毛の昇とは対照的で、咥えやすく扱き易いそんな印象を持った。 熱心に咥え込む様を江藤は満足気に見ている。汗ばんだ陰茎を同僚である人妻が咥える様子は、先端に加わる刺激よりも大きい。 シャワーすら浴びず、なだれ込むようにベッドインし貪るように咥え込み、汚れを舐めあげていく笙子。江藤は、笙子の頭に手をやり押さえつけたい衝動を抑えながら、献身的な人妻の口捌きを楽しみはじめた。 江藤は心の中で見たことの無い夫、昇への勝利を宣言したかったが、笙子は夫へもこの献身さを見せているだろう事を感じそれを留める。 深く咥えこみ、浅くしゃぶる笙子の口淫。何度か、江藤と視線が合うが恥ずかしさより、ようやくこの時が来たといわんばかりに、また深々と咥えこむ。 「グチュグチュ・・・グチュグチュ。」 尿管の奥が熱せられていくのを感じた江藤は、腰を上げると胡坐をかくように座る。笙子の臀部はまだ白のショーツに覆われていたため、その質感は判らないが、腰のくびれと肉のつき方は、ダンス好きな女の特徴的なラインに見えた。 江藤は腰を折り笙子の背にかぶさるように曲げると、指先を臀部を覆うショーツに潜り込ませ、桃尻を露出させる。 笙子も片手をゴムに当てると、サポートするようにショーツを脱ぎさった。尖った先端を持つ男の衝動は、それなりの性経験で理解しているつもりの笙子は、江藤の先を行く。 体を江藤と垂直に入れ替える。横から咥えるようになった笙子は、江藤が再び仰向けになるのを待って、尻の向きを江藤の頭に向けた。 跨ることには躊躇した笙子は、江藤の顔の横に四つんばいの尻を触れられる位置までずらすと、指先を待つ。牝と牡の会話は成立し、江藤の中指は、笙子の湿り気を探索する。 指先に触れた笙子の陰唇は、早くも踊りの汗を通り越した濡れ方だった。汗ばんだ匂いもするが、それ以上に牝が牡を欲するときの匂いのほうが強烈である。 中指で淫門をこじ開けようとすると、強引さは必要なく簡単に受け入れられた。指先が膣肉に触れたとき、笙子の内腿が強く閉じ、咥えた陰茎を少し離さざるをえなかった。 「ハァァァァ・・・。」 大きく喘ぐと、腰をくねらせる。中指で粒々した膣肉を掻き出すようにする江藤は、笙子の喘ぎを楽しんだ。 咥えられる刺激はなくなるが、踊りの疲労感からか射精のタイミングが早まっているのは江藤にもわかっていた。 それを制するのは、笙子への刺激しか他ならなかった。タイミングを見計らい、内股に手を掛けると、笙子は咥える前に聞かれた江藤と同じことを聞いた。 「え、６，９？・・・シャワー・・・浴びてな・・いよ・・・・アンンッ。」 答えを口で言うより先に笙子の足を跨がせ、腰を押し下げるようにし淫門に舌を沿わせる。指先も止めることなく膣肉を刺激し続けると、赤く充血している膣肉は分泌を多くしていく。 膣肉をかき回す指先には、笙子の分泌するエキスが纏わりつく、潤滑を浴するための無味な液体は、江藤の口に運ばれ、その舌先で再び淫門まわりに戻された。 「あん、あんっ・・・だ、だ、めぇ・・・。」 初めての交わりから、互いの生殖器を舐めあい悦に入る二人。それに、割って入る電子音は、近しい人間からではない着信音だった。 「・・・あん、で、んわ・・・。」 笙子の携帯は、川中からの着信だった。スマホの画面がベッドルームを明るくすると、江藤は大きくため息をつき小休止をする。 「あ、はい、立川です。」 おおよその会話の内容は江藤にも理解できた。いつ戻るのか、江藤の具合はどうなのか。想像通りの返答をする笙子は、うその部分で江藤にウィンクで合図する。 「はい、・・・安静にしてると思います。・・・えぇ、タクシーが捕まらなくて・・・いえ、大丈夫です。はい、最終の一斉踊りまでには、帰れると・・・はい、では・・・。」 江藤を送りに出て１時間がたった午後２０時前、車で１５分ほどの距離であれば責任者は心配もするだろう。男女の関係よりも江藤の容態のほうを気にしている感じは受けた。 「・・・。」 笙子は無言で江藤の回答を待った。このまま、いるのか、よいさ踊りに戻るのかを。女の自分からは答えが出しにくい。でも、決まっていた答えに近い回答を得ること江藤は用意していた。 「俺、待ってるし、・・・疑われても、嫌だよね。」 「う、うん。・・・じゃ、踊りに戻ります。・・・・チュッ。」 ウエットテッシュで、淫門周りの粘り気を拭い去ると、脱ぎ捨てていた浴衣やショーツを江藤が手渡してくれる。 軽く照れながら、来たときより崩れの無い浴衣姿になると、ショートの髪の毛は気にすることなくすんだことが時間の短縮にもなった。 「じゃ、・・・ちょっいと、いって来ます。」 「あ、これ、・・・鍵、渡しとく。駐車場、来客のとこに停めていいからね。」 車と別になった家のキーを握り、短い別れを惜しむように、笙子は江藤のマンションを後にした。 |
| あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。 |
| 2013.12.30掲載 |
はちみつ太郎さんの作品群→ |
無断転載禁止！