はちみつ太郎 作
| １００ 舟盛りの活け作りは、料理人の意図を知ってか、捌かれてもなお、口を動かすことを止めないでいた。 突き立てられた尖りに口内を蹂躙され、喉奥を捌かれている感覚を受ける笙子。昇の存在を近くに感じながら喉を責められる感触は今だ味わったことのない陰美な気持ちにされていく。 東山らは、この姿を昇に見せ付ける気か、それともその後にするであろう包皮切除の施術を見せ付けるのか定かではないが、活け作りの笙子には、生きた心地は微塵もなかった。 笙子は目を閉じることもなく、後頭部も押される須山の圧迫をこらえていた。畳に手をつきマットレスからのはみ出しを最小限にした須山は、次第に腰を大きく振り、笙子にも問いかけていた。 「なぁ、奥さん・・・今日は、どっちの日？」 「グチュチュチュチュ・・・グボッ。」 「クリの勃起具合からして・・・危ない日かい？」 「ひ、避妊してくださいぃぃ。」 「あ、らぁぁ・・・エッチしたくてたまんないんだぁぁぁ。」 「そういうことじゃ・・・床の間にぃぃ・・・ありますからぁぁ。」 「東山さんの用意したやつだね・・・これ、エナジードリンクの成分をしみこませているんだろ？」 「え？・・・き、聞いてません。」 「そうなんだよ。・・・だから、さっき・・・コンパニオンちゃんと交わった時・・・持続が長いのと、した後のコンパニオンちゃんの目がトロトロでさぁ。・・・終わった後も、離れたくないって・・・うれしい言葉もらっちゃった。」 笙子は自分のこと以上に花梨の体を心配する。身重である同僚の体と交わりを持とうとしているのは、昇であることもあいまってか、おかれた立場を忘れかけている。 「妊婦の・・・。」 「どうかな、部下は、それなりに配慮してると思うよ。・・・ま、妊婦なんだし避妊することもないだろ、奥さんも早く、誰かの子、宿しなよ。そうすりゃ・・・生でしてあげんのに。」 「勝手なこと、言わないでください。」 「よし、どうだい・・・これくらいの大きさ・・・ちょうどいい？今日、三発目・・・薄くなってるから、生でもいいよねぇ。」 「やめてください、・・・ゴムを・・・ゴムをして。」 「エナジー入りで・・・懲らしめて欲しいんだね。・・・コンパニオンちゃんみたいに、言ってくれるまで出さないからね。」 床の間に手を伸ばすと口内から吐き出された陰茎を垂れ下げたまま、笙子を跨ぎ、開放されているゴムの袋からサックを取り出した。ふっと空気を先端に吹きかけると、あてがった亀頭に指で輪を作ると下まで一気に押し下げていく。 亀頭にスッとした感触は、粘膜から染み込んでいくエナジードリンクの成分を感じさせる。コカ入りに細工されたエナジードリンクを誤認している須山は、脳内の神経細胞をすり減らしながら、おぼれていく快楽を声高に笙子に知らせていた。 「あぁぁ、しみるっ。・・・ぶるっとくるね・・・小便もらしそっ。」 ゴムを根元まで押し下げ、あまりのないゴム内の空気を排除するようにしごいた。笙子の太ももの間に入ると思いきや、跨ったのは笙子の顔面で、ぶら下がりを鼻面に当てると笙子にその匂いを感じさせた。 「堪らん匂いでしょ。・・・やっぱり何かしらの成分が刷り込まれてるよ。・・・ゴム越しに咥えてみろよ。」 押し当てるように口元を再び侵すと、笙子の口内には成分の匂いではないが、言い知れぬ脳内への刺激が女を揺さぶり始めていた。 「ブルッた、・・・ね、奥さんも・・・ブルッたよねぇ。」 「や、やめてください・・こ、こんな・・・ものを。」 「じゃ、お望みとおり・・・生でもいいんだね。」 「そ、それは、・・・今日は・・・。」 「そうか、やっぱり・・・・子作りの日に・・・ゴム付きでする。ま、それも、格別。・・・もしかしたら、今晩のうちに、奥さんから・・・生のお許しを得られるまでがんばればいいんだし。」 そういうと、体を反転させ跨いだ顔から移動すると、足に絡めていたショーツを脱がし去り、足間に体を移動する。陰茎の根元を制御し亀頭を割れ目に沿って何度も繰り返しこすっていく。 先端は何度も陰唇を割り、前庭を押しながらもその先には行こうとしない。笙子は、亀頭が包皮を押し、飛び出すように膨らんだ女芽はかばう術をなくしている。 「あぁ、だ、だめぇぇ・・・こ、こすらないでぇぇ・・・い、いれてぇぇぇ。も、もぉぉ、いれてっ。」 「正直じゃないね・・・これ、ここがいいんだよね。・・・以前より、膨らみが大きい。僕とのエッチがしたくてこうなったんじゃないよね。・・・ね・・・。」 「し、しらなぃぃ・・・こ、こすったらぁぁ・・・・も、もれ、ちゃうしぃぃぃぃぃぃぃぃ。」 ピンク色した膣前庭に押し当てた亀頭は、女の亀頭をねらっていた。前庭が押し出すように亀頭を遠ざけると行き着く先は割れ目のレールに沿った発育途中のクリトリスが執着地だ。 中に押し入れる自分の快楽より、笙子の人妻らしからぬ喘ぎと偽りの懇願を優先させた。 何度も何度も笙子は、陰核に伝わる快楽からの解放を求め挿入を懇願している。人妻からの願いはかなえられることなく、ただ、聞き流されている。 あざけるように笙子への責めはただの擦りつけだけである。作用はエナジードリンクの摂取のように体は火照りを始め、赤らんだ頬を須山は笑みを浮かべながら蔑むだけ。 「恥ずかしいよねぇ・・・ち○こ擦り付けるだけで、往っちゃうんだもん。・・・簡単には射れるわけにいかないよねぇ。」 「あぁ、あぁぁぁ、・・・・た、たすけてぇぇ・・・こ、するとぉぉぉ、だめぇぇぇぇ。・・・ど、どうしたらぁぁぁぁ。」 「答えは、一つだって・・・僕のを・・・受け入れる。・・・より人間的な感じでね。」 「避妊しないでってぇぇ・・・ことぉぉ、ですかぁぁ。」 「さぁ・・・聞いてごらんよ。・・・答えてあげるよ。」 笙子は擦りつけを回避するためと言い聞かせるように須山の言葉に従った。その声はか細かったが、膣前庭を押されるたびに、ボリュームは上げられる。 「生、でも・・・いいのでぇぇぇ・・・・・し、してくださぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。」 「根負け、というより・・・女を堪えきれない。」 「も、もぉぉ・・・だめぇなのぉぉぉぉ。」 弾き飛ばすように避妊具は、陰茎の被さりを外された。馴染んだようにエナジードリンクの成分は、須山の血管を吸いあがり、脳内の神経細胞を壊していっていた。 「ブルブルくるねぇ・・・。」 首筋を震わせながら、コカの成分を脳内で覚醒させると、目を見開き、膣前庭の狭間に亀頭を押し当てる。すぐさま笙子のピンクの切り身は、口を開けてしまい。陰核への刺激を回避すべく、生殖器同士のふれあいを加速していく。 生殖器は男と女の会話を脳内変換させ、刺激の信号を送るが、神経細胞の途切れかけている須山は、笙子の言葉をすこし理解できずにいた。 「た、たすけてぇぇ・・・す、すやまさんっ・・・・わ、わたしぃぃ・・・解剖されるんですぅぅぅ。」 「なにを・・・奥さん言ってる。・・・気でも違えたか？」 「あぁ、あぁぁあぁぁ・・・ここ、からぁあ・・・逃がせてくれればぁぁぁ・・・・。」 「逃がす？・・・・どこにも逃げられんよ。」 「あぁ、あぁぁんっ・・・・だ、だってぇぇ・・・あんっ・・・旦那にしられるぅぅぅとぉぉぉ。」 「旦那さんが来てるの？・・・ここに？」 須山は腰を笙子に叩きつけるようにしている。睾丸は笙子の尻肉を叩きながら大きなパシパシという音を出し続けていた。響きの間の玄関が開く音は須山にも笙子にも聞こえていない。 行灯の明かりが遮られた時、須山は人のいる気配を感じた。普段着の若い男だった。須山を見下ろしている。笙子はその男を知っているようだった。 「さ・・とる・・・さんっ。」 「え？・・・だれだ・・・あんた・・・もしかして・・・旦那さん？」 「誰でもいいだろ・・・笙子から・・・離れろよ。」 「え、だって・・・奥さんがなぁ・・・。」 「いいからよ・・・出て行けよ。」 「は？・・・ここまでＯＫで・・・は？あんた、寝取られ夫なんだろ・・・東山さんに聞いてるけど。」 「しらねぇよ、そんな奴・・・いいからでてけって。」 笙子に抱きつくようにして腰を振り続けていた須山の肩口をつかむと、引っぺがすように笙子から体を離させる。陰茎が笙子の膣肉からはじけ飛んだ時、陰茎の先は膣前庭をたたき、膨らみを見せている剥きだされたクリトリスを叩く。 「いぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・あぁぁぁ、ひぃぃ。」 潮を飛ばし、その潮でマットレスを汚すと、仰向けにされた須山は、おびえる目で悟に詫びている。凄みが効いているのか、昔の虎とあだ名されていた頃の悟の目に須山は完全に飲み込まれた。 浴衣と下着を抱え込むと、飛び出すようにして響きの間を後にする。捨て台詞もなく、負け犬のように消えていく。 「・・・。」 「・・・。」 二人の会話は消えている。過去が過去だけに話される内容にも限りがあり、視線での会話もない。笙子は手錠を外すこともショーツを戻すこともいえる状況なのに言葉は出なかった。 悟もそうだった。いえる言葉は限られている。そして、時間もだった。 左の薬指の包帯について、笙子が口を出したいが、わだかまりの中それは泡のように消えていった。それを代弁する男の声が笙子にも悟にも聞こえてきた。 「その包帯か？・・・契りだよ・・・笙子を迎えにきたそうだ・・・白馬じゃなく、落馬した王子がな。」 東山は悟を足蹴にし、笙子の横に同じように転がした。頭を足で押えると、包帯のされた薬指を踏みつける。滲み始めた血とあるはずのものない空間に笙子は悟るのいきさつをかみ締めた。 「指を・・・、やくざじゃないのに・・・・なんでっ。」 悟への最後の言葉のように、慰めの言葉をかけている。東山はそれを耳にすると、滲む包帯にもう一度力をこめていた。 |
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| 2014.8.20掲載 |
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