はちみつ太郎 作
| １０１ 板長のはからいでマットレスの上の舟盛りは、もう一尾エビを付け加えていた。 並べ添わされる時間はわずかで、腹の減った客は、剥き身のほうのエビに箸をつけていく。宴席の二人は、視線だけで会話し、付け合せのエビは、生きの良さと傷の具合を見ながら床柱にくくりつけられることになった。 マットレスの上にいるエビは、皮を剥かれ、ゆでエビのように体を丸くかがめようとする。包丁で背の綿を除くように、力を加えられると最後の一はねを見せている。 「や、やめてぇ・・・・も、もう、・・・許してぇ。」 「許しやしないよ。裏切られてんだよ、おれも、笙子も・・・なぁ、田山先生。」 田山は頷きながらバッグのファスナーを開ける。シェービングクリームを手に乗せ、羽交い絞めの笙子は、そのクリームの行き先を見つめた。 おおよそ、予想通りの位置に田山の手は近づいている。内股に絡まった東山の足は、大きく笙子の内股を開かせていく。ショーツからはみ出している繁茂の端に田山はクリームを触れさせる。 冷ややかな感触は、残りの殻を取り払われ刺身しょうゆにつけられるものと同じようだった。田山は残りの殻、ワインレッドのショーツを取り払おうと声をかける。 「間男さん、・・・あんたの買い与えた牝の印・・・破り捨てるけど・・・どうだ？」 「・・・、しょ、笙子を・・・離してやってくれ。」 「おい、おい、いい男ぶるなよ。・・・勲の番号を教えて俺も笙子も嵌めるつもりだったんだろ。ここのオーナーから聞いた、笙子は俺への金の算段を、悟さん、あんたは笙子に入れ込んだ他人棒な俺を追い込めと煽った。」 「そ、そんなことない。・・・あれは。」 「苦肉の策か？・・・言い逃れの。・・・まぁいいや、あんたは、エナジードリンクの販売先を確保してくれたんだ、定期的な収入と笙子の貸し出し・・・最終的には・・・。」 「笙子は、もう・・・いいだろ。・・・旦那のとこに、帰してやってくれよ。」 「だから、いい男ぶるなって・・・なにか、まだこのお○こに未練かい？ま、きょうで、・・・その未練ともオサラバさせてやるよ。笙子は新しいお○こになるんだから。」 「ひぃぃ、ひぃぃ、はくぅぅぅぅぅぅ・・・・あん、ぃぃぃ。」 ショーツの中に差し入れた東山の指先は、もぞもぞと繁茂をかき分けながら、プクリと膨らみを増しているクリトリスをつまみ出す。ショーツを少しずらすと、湿り気を帯びている繁茂、陰核、陰唇、透明に湧き出る泉がよけた田山を介して悟の目にも飛び込んだ。 笙子は、反論の声を上げることも、悟への戒めを解くことも発することなく、首を振りながら目を閉じ、上げる声を抑えるのに終始する。 チョキの指で包皮ごとつまみ引き出すように根元をぐりぐりと圧迫すると、笙子は、東山に視線を向け懇願するように喘いだ。 「あ、あぁぁぁあぁ・・・だ、だめぇぇ、で、でちゃうしぃぃぃぃ。」 笙子は潮ではなく、黄色かかった液体をマットレスに染み込ませてしまう。放物線を緩やかに描く尿の行き先は、田山の横をかすめていた。少量の尿は、畳にも雫になりたまっている。 「小便ですよ、先生。・・・おしめ、あとで剥き終わったらはかせてあげまちゅからねぇ。」 「そうだな、悟さん、あんたにしてもらう。保育士だもんなぁ。」 「・・・。」 悟は視界から外すが田山は背後に近づくと顔を笙子のほうに向ける。ワインレッドのショーツはビキニラインをいっぱいに分けられ、繁茂はすべて覗かれるようになっていた。 田山は再び近づくと、悟に許可を求めていた。 「間男さん・・・ショーツ切り離してもいいよねぇ。」 「・・・。」 「思い出の品だ・・・先生。」 田山は、笙子の腰の部分にある細いゴムの部分を切断にかかる。剃刀ではなく、小ぶりの医療用メスで切り裂くのはわずかな時間もかからない。 両サイドを切られた布は、隠すことも出来ずに笙子の尻に押されている。田山は抜き取るように、布切れとなりはてたショーツを手にする。匂いを嗅ぎ、さらに湿潤している陰唇付近の淫水をそれで拭う。 「ガーゼより？」 「あぁ、だめですね、ここに来るまでに期待で、吸い込みすぎてるから。」 「あぁ、そ、そんなことを・・・。」 笙子は田山の言葉と行動に嫌悪を示すようにあがいている。塗りたくったショーツの切れ端は、股布の厚い部分を悟の鼻に当て、切り裂いたゴムの部分を後頭部にまで回し結び目を作る。 きつめに結び目をし、ずれを確認すると、目だけは見えるようにマスクさせる。 「変態仮面か？」 「いいセンスでしょぉ。」 「どうだ、久々だろ笙子の臭いは。」 「く、くそ。」 田山は、悟の頭を撫でている。鼻の頭に指をやり、笙子の臭いを嗅がせるように鼻筋を何度も何度もショーツでこすり付けさせていた。 「さぁ・・・先生、・・・そろそろ。」 「まぁ、まだ２２時になったところでしょ。包皮切除なんて・・・１０分もかかりませんよ。何なら陰唇の切除も出来るくらいです。」 「やめて・・・お、おねがいですからぁぁ。」 「じゃ、元彼さんの前でおっぱじめますか。」 田山は悟から離れ、見張り役のように玄関の鍵を閉める。進入を促す外の行灯は消えた。奏でも響でもない部屋のドアの扉はその瞬間小さな隙間を塞いだ。 「中の音拾えてますね。」 「はい、・・・三箇所に仕掛けています。」 「もう一組のほうは？」 「えぇ、・・・びびった、須山という男は確保しました。東山に連絡されるとまずいんで。」 「旦那さんのほうは？」 「え、まだ、・・・あの妊婦と・・・。」 「そうですか・・・そちらは・・・そのままにしておきましょう。」 「はい、どの段階をめどに？」 「河さん・・・ま、コカ入りのドリンクを東山が飲用したところ・・・そこから、１時間ほど。」 「そ、そんなに待つんですか？松山さん・・・そんなことしてたら・・・。」 「中の成分確認じゃ、オーナーの提供物だとしらを切られ逃げられても困る。・・・尿検査に持ち込んで黒にするのは、時間を見る必要がある。・・・ってとこですよ。」 「・・・。」 松山は警察の顔を消していた。河は、松山の意図を汲み、ため息の中に気持ちを押し込んだ。ヘッドフォンを再び装着した松山は、２人だけ子飼いの部下を連れ配置を確認した。 ショーツを切り取られ、カップから乳房を露出させられている笙子。四つんばいになるため後ろ手の戒めは解かれ、片手には肛門内洗浄用のポンプを握り締めている。 屈辱にゆがんだ顔は、太ももの隙間から見え隠れする悟のマスク顔に見つめられている。顔を逸らさぬよう田山に押えられている悟は、ショーツの中の唇をかみ締めている。 「み、みないで。」 「１０パーセント・・・悟さんとのアナルエッチの確率。・・・俺とはもう、１２０パーセントだもんなぁ。」 「笙子先生、すばらしいね。・・・これだけ念が入ってれば、尿道炎も心配ない。」 「いやぁ、一度、笙子のアナルを生でしたら・・・。」 「あぁ、ありましたね。・・・炎症を起こして・・・。」 笙子は、洗面器に入れていた田山の用意した液を肛門に流し込む。注射器のポンプを押すと、薄められている薬液が直腸内をかき回す。 「あぁ・・・ここ、れってぇ。」 「あぁ、いつもと違うだろ？・・・田山先生・・・何だっけこれ？」 「あぁこれ・・・今は珍しくなってる・・・ドナン。塩化マグネシウム水溶液。」 「お、お水にしてくださいぃぃ。・・・なんだか、しみますぅ。」 笙子はポンプを押す手を止める。押しては流しを繰り返すポンプ洗浄だが、薬剤の吸収を笙子の体は異変と感じ取っている。熱くなりつつある直腸内。刺激を回避するには、薄める努力だが、回数をこなすほどの余裕はない。 「熱くなってるよねぇ。・・・続けて、２分ほどで・・・おトイレに連れて行ってあげるよ。」 「我慢させなくていいのか？」 「あまり我慢させると、東山さんも生では出来ないですよ・・・。」 「あ、そういうこと・・・先っちょがひりひりするって？」 「えぇ、残ると・・・キツイですよ。」 「じゃぁ、元彼にさせてやろうよ。」 「いいんですか？・・・あなただけの穴じゃぁ？」 「爛れてしまうんなら、いいかも。・・・どうだ？笙子先生・・・５０パーセントくらいにはなったか？」 「い、いやです。・・・しません。そ、それより・・・おみずでぇぇぇぇ。」 笙子はポンプを押えたまま水での洗浄を要求している。田山も東山もむせび泣きを続ける笙子を哀れむこともなく囃したてるだけだった。 「いいかげんにしてやれっ。」 「あぁ、いい加減にしてやってるんだ。・・・どれ、笙子先生・・・おトイレ、自分で言えましゅよねぇ。」 「も、もぉぉ・・・トイレに行きます。」 笙子は四つんばいの姿勢をやめる。肩を担がれたまま、尻を押えていると連れて行かれたのはトイレではなく悟の元だった。尻を押し付けるようにされると、笙子の双尻の割れを鼻先に近づいていった。顔を背けることなく悟は笙子の尻の感触を感じ取った。 「満更でもないよなぁ・・・元カノの尻の匂いなんだし、寝取られも癖になってたんだろ？」 「・・・、ちっ。」 悟は、舌打ちしか反論の術はない。笙子は耐え切れることなく放屁を繰り返し、緩んだ括約筋を元に戻すことはできなかった。 「ぶぴぴぃぃ、ぶぴぃ、ぐぎゅるぅぅ。ご、ごめんなさいぃぃぃ。」 少量ながら薄茶色の水溶物は悟の胸元を汚す。あざけるように言葉をまくし立てる東山だが、悟にも笙子にもその言葉は聞こえてこない。 少し離れた松山のヘッドフォンには、その言葉の後に泣き声をあげる笙子の女の懺悔の声が耳に付く。 「落とした男に詫びるなんて・・・まだ、忘れてねぇってこと？」 河は、松山のスラックス越しに張った股間の具合を見つめると、誰の助けもなく躾けられている笙子を哀れむだけしか出来ない。 |
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| 2014.8.23掲載 |
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