はちみつ太郎 作
| １０６ 「お先でしたぁ。」 笙子は、パソコンの画面を食い入るように覗く松山に声をかける。松山は、笙子の存在に気がつくと目を留め、声のほうに向いた。笙子の姿にその後の行為への承諾が感じられる。 バスタオルで体をくるんだまま、松山の後ろに置かれた飲み掛けの酎ハイの缶に口をつける。松山は、笙子の意図を感じ脱衣所に向かった。 画面をスリープさせないままであるため、見てはいけないと感じながらも恐る恐る画面に食いつく。 「弄ったらダメだよ。」 「あ、はい、触ってませんよ。」 笙子は、手を上げ、飲みかけの缶に再び口をつける。 五分とかからないうちに松山は、脱衣所から出てくる。履き替えたトランクスで、上半身は何も着ていない。筋肉質ではあるが、マッチョというほどではない。 簡易ベッドの上に胡坐を組んでいた笙子は、正座に座りなおすと、松山はパソコンの画面をそのままに照明を消した。パソコンのモニターは笙子の顔を薄く照らし、松山の声に頷いた。 「エッチ、してもいい？」 「うん。」 そこから会話が消えいくのは時間がかからない。目を閉じ、唇に触れる松山のタバコの香りに嫌な感じはなかった。押し入れられた舌の先は、笙子のそれを感じ、交わりを承諾するように絡め取られていった。 壁を背にしていた笙子は、押し倒されるように簡易ベッドに寝かされた。舌の交わりのポゼッションは７０パーセントを松山が握っている。胸元に手が伸び、バスタオルを剥ぎ取るように剥かれていく。グレーの落ち着いたブラにはワンポイントで黒のリボンがあしらわれている。 弾くようにそのリボンを指差す松山は、ストラップに指を挿し入れ、乳房を鷲つかみにした。カップの上から手で覆い、指先は簡単に笙子の乳首を捉えている。 転がすように突起を弄くっていると、甘い声は松山の耳元でささやかれた。漏れるように耳元で繰り返される吐息は、笙子の甘い匂いと重なり合うように松山を蕩けさしている。 松山の後頭部を抱きかかえるように抱きしめると、松山は首筋を鎖骨から舐め始め、徐々に下がり続けていた。胸元の膨らみに舌が這い出したとき、笙子を巻いていたバスタオルは完全にはだけ、セットのショーツもモニターの薄明かりにさらされる。 松山は、笙子のショーツ姿を俯瞰で眺めたかった。体を起こし、胸元から離れるとグレーのショーツはブラと同じようにワンポイントのリボンを恥丘を隠すあたりに施されている。 俯瞰し終え、納得の表情は笙子にも見えていた。目が合うと恥ずかしそうに視線を逸らす。逸らした後には松山の愛撫は、胸元ではなく下半身に集中した。 グレーのショーツは、太ももの間に入った松山に押し下げられる。片足をつかみショーツを脱がし終えるのに１０秒もかからない、モニターはスリープに変わらず照らし続け、薄明かりは松山の影を作るが、陰唇の具合まで見透かされるほどの明るさはあった。 うっすらではなく、陰唇の隙間には見て判るくらい滲んでいる淫汁が松山を待ちわびている。中指だけで一撫でするだけで割れていく陰唇の奥からは、導くような汁が零れていく。掬い取り、陰唇の付け根である陰核の周りを一押しすると、太ももは閉じられ、松山のこめかみを押さえつけていく。 親指は、包皮にくるまれたままのクリトリスをなじるっていく、もっと勃起するんだといっているようだった。三ヶ月前の田山の施した薬液注入の施術の後はまだ残っている。 残っているどころか、包皮を押し出さんばかりに勃起し、あわよくば肉芽を常時露出しようとする女の変化も感じさせられていた。支配から逃れていた笙子だが、欲求の高まりを覚えると、再び見えぬ存在から支配を受けてしまっていた。 松山は、肥大しているクリトリスをなじることはなかった。肉芽を押し出すように指先に力を加えると、仮性包茎な肉芽は、呼び出しに応じ、松山の舌先と接触した。 「あぃぃぃ・・・あぁぁぁ・・・きもちぃぃぃですぅぅぅ・・・あぁぁぁあぁ。」 笙子の言葉に反応するように舌先で転がされていくクリトリスは、右へ左へと翻弄されていくのは笙子の行く末と同じように感じされている。 松山は太ももを押し上げ、開脚を大きくさせるとクリトリスだけでなく生殖器全体に舐め上げを広げていく。陰唇も食され、包皮から飛び出た肉芽も食されると、捻じ込まれるようにサーモンの切り身にまで食は進んでいた。 サーモンの切り身とそれを覆うあわびの切り身は、石鹸の香りに支配され磯の香りはしない。沸き立つように垂れ流れる磯の汁は、松山の舌に乗り食されていった。 野いちごの実を忘れていたかのように思い出すと、手を伸ばしブラを押し上げる。露出した野いちごのつぼみは、両方の指先に挟まれ摘み取られていく。 「はぁぁぁ・・・いぃぃぃ。」 口を押さえるように腕を噛み、声を抑えていく。抑制は効くことなく、松山の指先に翻弄されながら、野いちごの蜜は、上でなく下の茎の部分で汁を垂らしていた。 松山は鼻先にくすぐりを感じさせる恥毛を指で払いのけると押し出され引っ張られた肉芽は、最大限に露出する。犬歯で甘噛みを咥えると、笙子の悦は、大きく達してしまう。 「うぅぅぅ、いっぃっぃ・・・あぁんっ。」 松山は尻肉の引き締まりで笙子が達したことを理解した。二度三度引き締まりを見届けると、血流を多くし続けてきた陰茎が簡易ベッドの圧迫から解放されることを望む。 腰を少し浮かし、トランクスのゴムを引きおろすと、脱ぎ去ったものはベッド下に転げ落ちている。松山は、肉身をしごき、剥き身の亀頭を笙子のほうに向ける。笙子は、松山の意図を汲んでいる。 簡易ベッドに膝立ちになった松山のほうを向き、自らも膝立ちで近寄った。キスで唇を何度か重ね合わせ、指先は亀頭に触れずに肉身をしごいている。 松山は笙子に抱きつくようにし、ブラのホックをたやすく外してしまうと、尖りを指先で押し当て乳房とともに揉みしごく。松山は自分の意思を笙子に知らせるように乳房から手を離していき、首筋を撫でさすると、その意を汲んだ笙子は、体を折り、四つんばいで肉身を咥えこんでいった。 「グチュチュゥゥゥゥ。」 吸い込むように松山の亀頭は笙子の口内で頬張られ、見え隠れする肉身は、数秒間隔で出入りを繰り返している。笙子は、カラスの行水で出てきた松山の陰茎の臭いを気にすることなく、睾丸を弄り、亀頭に舌を這わせ続けている。 舌は裏筋を何度も行き来し、唾液は糸を引くように簡易ベッドに垂れ下がる。モニターの薄明かりはまだ笙子を照らし続けている。 回転している舌の動きは松山の想像を越え、たまにご相伴にあずかる生活安全部の風俗接待の嬢の腕を越えていると感じている。松山は、後３０秒で発射してしまうことを感じ取ると、笙子のおでこに手を宛がい、押しとめる。笙子は松山の顔をのぞき、痛かったですかといわんばかりの不安げな顔をした。 「でそう・・もったいないから・・・ストップ。」 笙子は、半笑いで松山を見上げた。肉身から舌を放すと、睾丸を押さえつけるように揉み、体を近づけ胸元に吸い付いていく。乳首を転がすように舌で舐めていくと、松山は頭を反らせ、反射的に腰を引いた。肉身は、これまでになく跳ね上がりへそ下に亀頭を当てるように反っている。 「コンドームって・・・お持ちですか？」 「あ、うん・・・簡易ベッドの脇にある引き出しを開けると、縄のついた手錠、名刺、逮捕状などの請求用紙に紛れ、箱に入れられていない避妊具の袋が目に入る。 「無造作に置きすぎだよね。」 「これも、捜査に必要なんですか？」 「えぇ。・・・極まれですけど・・・。」 松山は、袋を開封すると、先端に宛がうが上手くいかない。まごついていると、笙子の手が避妊具を奪い、息を先端に吹きかけるとジェルを纏っている内側のラテックスがひんやりとした感触を亀頭に馴染ませていた。 根元まで空気を抜くように伸ばしきり、それが終わると笙子は目を閉じながら簡易ベッドに仰向けになる。松山は違和感なく肉身をカバーごと扱きながら、笙子の股の間に鎮座した。 「射れるよ。」 「・・・。」 笙子は目を閉じたまま頷いた。肉身の先端は肉芽を何度も押し、陰唇を行き来し続けると、挿入のタイミングを知らせないまま、反動で笙子のサーモンの切り身とまぐわってしまった。 「あんっ・・・！。」 ヌブヌブと音もなく挿入をし続け、たどり着いた笙子の奥は浅く、纏わりつ膣肉は避妊具越しにも伝わっている。松山は交わった女を回想するが、上級に位置するその纏わりを言葉では表現しないで男の声色だけで伝えた。 「うぅぅぅ・・・あぃぃぃ。」 松山の声は笙子にも聞こえた。呻くような声で、腰の動きは緩慢だった。笙子は、感じ取った肉身の程よい大きさに体を仰け反らせ、松山の活動域を広げていく。 体を重ねるように笙子を抱きしめにかかる松山は、首筋を舐め、癖のように鎖骨に執着する。出来た鎖骨のミゾに舌を何度も這わせ、笙子の声を聞いていく。 くすぐったい感じが、心地よいのか首筋を見せ付けるように反らし、腕は松山の首を抱きかかえている。お互いの密着は、これまでになく短く、二人いる人格が一つに統一されたように感じていた。 松山は笙子の肩を羽交い絞めにすると、押し付けるように肉身を動かした。笙子は、逃れるようでなく埋め尽くそうとする自分が恥ずかしかった。 「あぁぁ、ああぁぁ・・・・うん、うんっ・・・そ、それぇぇ・・・・そ、そぉぉぉぉぉ、そこぉぉぉぉ。」 何度も頷きながら自らの欲求を伝え、統一された人格がそれを実行していった。松山の首に抱きついた笙子は背が浮き上がり、体を密着させると、突き上げる松山の腰に跳ね上げられていた。 「あぁぁ、あぁぁ、あぁぁんっ・・・・それがぁぁ、いいのぉぉぉぉぉぉ・・・も、もっとぉぉぉぉ、してぇぇぇ。」 短い髪の毛を振りしきり、統一された人格に願望を曝け出していく。肩を押しこみ、松山の腰の動きではなくなった交わりの主導権は笙子に握られていく。 押し倒すように松山の背は簡易ベッドにつき、笙子はその上にマウントの姿勢を形成していた。胸元に手をつき、目は閉じたまま欲求をさらけ出すように中腰で松山の肉身を戴いている。 細身の笙子の体重はかからないで、松山に対する負担は皆無だった。笙子は先端の膨らみを感じていたいのか松山の肉身を半分だけ感じるように出し入れを繰り返す。 出入りのたびに松山は挿入の感覚を覚えさせられるように脳髄に漂う射精感にさいなまれていた。呻くように射精を堪えていると笙子は、深く挿入すると身動きせず体を寄せ、言葉を交わしていく。 「すごく、いぃぃの。・・・このまま、・・・が、いぃぃ。」 「あぁ、すぐの間に・・・往ってしまいそう。・・・溜まってるからかな。」 「あはぁぁ・・・そんなにしてないんですかぁぁ。」 「少し忙しくて・・ややこしい事案に追われてるから・・・２週間、家にも帰れてない。」 「あぁ、奥さんに・・・内緒ですよねぇぇ。うちとは違って。」 「ぁぁ、うん、向山先生は嫁のことを知っているよ。・・・でも、こんなことになってることは、・・・な、いしょなんだぁぁ。」 笙子は、松山と舌を交わしながら生殖器の触れ合いも続けていく。一つの人格が二つに分かれるまでそう時間をかからなかった。 人格の一つ、松山の人格は覚醒をし、男の威厳を知らせるように笙子を再び押し倒す。正上位で股を割り、笙子は仰向けで挿入を受け入れる。 ストロークは早まると、体の密着が解かれ、叩きつけるようにピストンを繰り返している。それに感じ入る笙子の小刻みな喘ぎは松山の脳髄にはりめぐされている神経細胞に刺激を加え、牡の持つ能力を見せ付けていた。 射精感はピークを超えると、一言だけ言葉を残し、松山は果てた。 「で、でるぅ。」 射精をもよおした松山を見ることなく目をつぶったまま、下腹部に出された射精液を感じ取った。ゴム内に収まりきらなかったのではなく、笙子の陰毛の丘に目がけるようにアイボリー色した濃い目の精液は吐き出され空気に触れた。 松山は、１００ｍを全力で走った後のような息づかいで出された精液を見下ろしている。笙子は、肌に触れた精液の生温かさで目を開けると松山と視線が重なった。 「でちゃった。・・・凄い量。」 「はぁぁ・・・ほんとですね。・・・何日、何週間ぶり？」 「えぇ・・・でも、６日、くらい。」 「２週間帰ってないって・・・・。」 「あ、・・・まあ、右手も・・・いるし。」 笙子は松山のカミングアウトに笑みを浮かべている。出された精液を触れさせぬよう笙子は自分でティッシュで拭いとり、多めのティッシュで包むと、ゴミ箱でなくコンビニの袋に放り込んだ。 他の人間を気にしてか、ゴミ箱には使い終わった避妊具も袋の中に押し込んだ。先端には、まだ滲んでいる精液をそのままにした松山が笙子の姿をモニターの薄明かりを頼りに見つめていた。 「笙子さん・・・なんか、すごい・・・気持ちよかった。」 「え、あ、ありがとうございます。・・・って、おかしいですよね。・・・私も、・・・良かったです・・・よ。」 笙子は恥ずかしがりながらてれを見せる。返答に困りながらも、まだ、血流のそのままな肉身を見つめると、手で扱き先端を舌先だけで掃除していた。 笙子は、二回目の始まりを予感しながら、松山と舌を再び絡ませていった。二人とも、配偶者の顔はそこに浮かぶことはなかったんだろう。 |
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| 2014.9.3掲載 |
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