はちみつ太郎 作
| １０７ 隠していることは多くはない。だが、すべての真実を打ち分けているわけではないことを夫婦としての感覚で理解は出来ていた。二回目の始まりを予感した時の笙子の思いを昇は聞いた。 「うん・・・したいなって思った。早く帰りたいとは最初感じてたけど、・・・もう一回したいなってなった。」 「そうかぁ・・・おれも、二回目の話し聞いてみたい。」 「うん。」 笙子は、寄り添うように昇に顔を近づけたまま、少しアレンジを加えざるを得ない二回目の交わりを吐露し始める。 二回目をしようとは二人の口からは出ていない。が、向かうベクトルは同じで、視線での会話は成立していた。清掃をかねたフェラチオを施しつつ、松山の尿道口から出ている汁を舐め取ると少し苦味を感じた顔を正直に晒している。 松山も恥じらいを感じながらも、続けてくれという視線で笙子にフェラチオをそのまま促した。暗黙の了承を笙子はその口元で表していく。亀頭を頬張り吸い付くように口内で舐めまわしていく。松山は、睾丸の中にまでその吸引の圧力が届いているような錯覚を覚えている。 尻の穴がすぼまり、射精後に感じたそれは男潮だった。薄い前立腺液は笙子の口内に吹き上げられる。小便と勘違いするほどだが、液量は多くなく、残射精液だと笙子は受け取っている。 口内に充満した唾液と前立腺液は、成分を交えながら笙子の食道を通過し胃液にまみれていった。松山は簡易ベッドに仰向けのまま体をずらし登っていく。枕元にある、引き出しを再び開け、残りの枚数を勘定した。 ２枚の未開封の避妊具を手に取り、枕の横に置き去る。自分からそれに手をつけることはなく、笙子の視線を追っている。笙子の視線は、避妊具の収まっていた戸棚。そこにはみ出ている、縄に繋がれた手錠だった。 「あ、ごめん。・・・手錠なんか、・・・見えちゃダメだよねぇ。」 「・・い、いえ。・・・本物、ですよね。」 「贋物使うことはないよ。・・・鍵もあるし、本物ですよ。」 「イメージは銀色の物かと・・・黒くて薄いんですね。」 「えぇ・・・軽量ですし。・・・もしかしてだけど、興味？」 「うーーん・・・。あります・・かねぇ、なんて。」 「ふざけて・・・って感じで？」 「いや、うん、ふざけないでもって・・・感じですね。なんか引きますよね、初めてなのにこんなこと告白するんねぇ。」 「好きですよ、そういうところ。」 松山は紐を手にし、引きずるように手錠を取り出した。実践するように逮捕術的な説明を笙子にすると、片手に手錠を当てがい、そのまま力を押し当て左右の手を拘束してしまう。 「逃げられないですね。・・・。」 「えぇ、ルパン三世くらいです。」 松山は鍵を取り出し、笙子の手元に近づける。笙子は、その手を引くと近づいたままの両手で松山の肉身を扱き、フェラチオを再開させる。笙子は、手元から伸びる紐をちら見しつづけ、松山にその意を知らしていた。 「こうして欲しい？」 「はい。・・・そうして・・・ください。」 手綱を引くように巻き取られた手錠は、ピンと引かれ松山の意をその紐に通している。笙子はその意をくみとりながら、屹立具合を確かめるように舌を這わしていく。 紐は大きく引かれ、笙子は手を添えることをあきらめると顔を横にしながら、肉身を咥えこみ松山の視線を気にしている。目が合うと、松山はＳらしき視線で笙子に深く咥えるよう指示し、それに反意することなく睾丸の付近にまで顔を近づけるほど咥えこんだ。 松山は腰をあげ、そんきょの姿勢で壁際に背を着けると、ペットのように笙子は引き込まれ、四つんばいで咥えた肉身を離さないでいた。 餌を与えるように頭を撫で、それに従順に尻を振っているように見える笙子の下半身。松山には、東山が愛してやまなかったもう一つの穴に興味を示すことは今のところなかった。 それでも、頭頂部から続く背筋から尻の割れ目に繋がるラインは松山の妻のそれとは大きな差があった。スリムでくびれた笙子のラインは、修学旅行先の阿蘇の草千里を思い出していた。 喰らいつく髪を撫で、心地よさそうに顔を縦に振りながら肉身を咥えるさまはそこで乗った観光馬の乗馬体験のようだった。にんじんをぶら下げられ客を引く馬を笙子に見立ててしまった松山は、手綱を引き、笙子にまての合図を示す。手を引かれた笙子は口での施しをやめる。バランスを崩し前のめりに布団へ沈み込むと、手綱の元を外し紐を投げ捨てた。 笙子は仰向けになり松山を見上げる。肉身は笙子の眼前に覆いかぶさりそのまま６９の形を作っていき、喉の奥まで犯され始めた。犯されるという表現は間違いではない。合意の上での交わりだが、両手を拘束された笙子の姿では、客観的な側面で言うと、アウトに近い物だった。 松山は、裁判沙汰になった痴話もつれを思い出している。合意の上だが、ある男が行き過ぎた性行為を望み、死に至ってしまった事件だった。 過失致死ではなく、旦那の供述で強姦殺人に問われたその男は、まだ服役中であろう。松山は、職務柄、言質を取ることを恥ずかしながら反射的にしてしまった。 「笙子さん？・・苦しくない？嫌だったらいいよ・・・やめても。」 「ううん・・・こういうほうが・・・いいです。・・・あの事件で、おかしくなったんかもしれませんね。」 笙子は松山の言質に少し恥ずかしさの中で答えている。松山は言質を聞き届けると、笙子のあげていた腕を足で布団に押さえつけ、喉元深く肉身を沈めていった。 喉が鳴るというか、笙子の喉の隙間を空気が抜けている。吸い込むときに舌は動き、咳き込むようにえずいていた。松山は少し深くすることをやめ腰を浮かす。すると、舌だけでチロチロと浮いてぶら下がる亀頭を舐めると、その感度は松山の喘ぎでわかった。 「あぁ、そ、それぇ・・・笙子さんっっっ・・・それ、たまらないっぃ。」 「わ、わたしもぉぉ・・・手錠で動けないのにぃぃ・・・あぁ・・・あんんっ・・・まつやまぁぁさぁぁんっ、おねがいぃぃしますぅぅ。クリちゃんっ・・・あぁ、ペロペロってぇぇ、してくださいぃぃぃぃ。」 二人の歩調は確実に一歩以上進んでいた。進んでいくその一歩の先に、壁は見当たらず、崩壊していくこれまでの瓦礫を踏みしめているようだった。 松山の腕は笙子の折り曲げられた太ももを抱きかかえるようにすると、瓦礫の奥にある湯弁をめくり、その肉芽を舌で転がしていく。お願いされたんだと言質を耳に繰り返しつつ、舌の動きは左右に機敏さを見せていた。笙子は、奥に来ない肉身の先端をおちょぼ口で吸いながら、松山の舌捌きに悦を抱いていく。 「あぁ、あぁ・・・だ、だめだけどぉぉぉぉ・・・い、いっちゃっ・・・うぅぅ、あんっ・・・またぁぁ、、いくぅぅぅよぉぉぉぉぉぉぉぉ。」 おちょぼ口は亀頭から離れ、開いたり閉じたりを繰り返しながら、正直な女の声をあげさせられていた。松山は自分の妻よりも敏感に達していく笙子に臆することなくクリトリスへの責めを続けていく。 どこまで転がせば、そういう疑問はあった。松山の妻は不感症ではないが、陰核への責めはあまり好意的ではない。くすぐったがるのと、陰部の臭いを気にしてかクンニへの抵抗感は大きい。 松山も笙子も昇も、三者は向山に諭されている。自分の性嗜好の解放を唱え続けている。二人、いや、三人は今、立場を異ならせながらそれを実践しているに過ぎないと、ＥＤ治療の権威に耳を傾けざるを得ないでいた。 「あ、あ、あ、あ、あ・・・いやぁぁぁ、あぁぁぁあっぁ、・・・・っで、でちゃうぅぅ。」 松山は少し顔をよけるようにする。笙子の前立腺液は、少量ながら敷布団に垂れ流れ、吹いたというよりこぼれたというほどの量だった。 「潮、・・・まじかで見たの初めてだよ。」 「あぁぁぁ、言わないでくださいぃぃ。・・・気持ちよくなると・・・我慢とか関係なくなって・・・溢しちゃうんです。」 「かわいいなぁ・・・笙子さん。・・・どう？・・・いいよね。」 「うん、うん。・・・も、もぉぉ・・・・。」 「あぁ、・・・正直に。」 「あぁはいぃぃ・・・エ、エッチィィ・・・してほしいです。・・・うん、・・・してくださいぃぃぃ。」 松山は股の間を、天橋立のようにし股覗きを試みている。笙子は、その隙間に顔をのぞかせ、手錠されたまま万歳の形で首だけで物乞いをしているようだった。 松山の体は笙子から離れ、体を変えるのはあっというま。手錠で拘束されたままの笙子に鍵をぶらつかせるが、首を数度振り、拘束のまま繋がることを求めた。 笙子は目を閉じ、サックを施す松山を待っている。合図は、すぐの間だった。ぐしょぐしょになっている生殖器は松山のゴムつき肉身を飲み込むように丸呑みにせんとしている。宛がうだけでズブズブ飲み込まれる肉身は、笙子の喘ぎ声でどこまで挿入され、膣肉を喰らいかけているかわかった。 「ゴムしているとは、思えないくらいぃ・・・ヌルヌルしてるのがぁぁ、わかるぅぅぅ。」 「あぁ、あぁぁ、あぁぁ、わ、わたしぃぃもぉぉぉ・・・まだ、大きく？」 「なるかもぉぉ・・・一つ、おれの希望かなえさせて。」 「はいぃ、・・・痛いのは・・・いやですよ。」 体を密着させ、わかってるよと言わん顔をしながら舌を絡ませていく二人。２０秒あまり口を塞いだまま、松山は鍵を取り出し、笙子の手錠を解錠した。笙子の望み、松山の望みは違うのかと、思った矢先だった。絡めたままの片方を後ろ手に回すと、フリーなほうも後ろ手に折り曲げる。 力技ではなく笙子も抵抗することはない。カチカチカチと再び手錠を施すと、胸を大きく突き出すように笙子は仰向けになっている。 肩甲骨の部分は敷布団にめり込み、胸元は吸い付かせるように松山に向け突き出している。予測の範囲で笙子は乳首への舌責めに好感覚な喘ぎで答えていた。 「あん・・・。」 「取れそうなくらい。尖ってるよ。」 「うん、・・・あぃぃ、ぃぃぃ。」 腰の動きはおろそかだが、笙子の先端を捕らえる作業に暇はない。右左と唾液を巻きつけ、躾けるように昔の記憶を忘れさせていくように執拗だった。 搾り出すように乳房の根元を押し込み、出るはずのない母乳を搾り取られていくようだった。笙子の鈍化しない反応は、乳首への複合的な責めを欲しているように感じていた。松山は問いただすように、乳首の責め具合を口にする。 笙子の女の答えはあった。 「キツク絞りながら・・・ぁぁ・・・周りを転がすように・・・ぃぃ・・・舐めれますかぁぁ？」 答えの通り松山の手と舌はその望みを実践する。行動の答え合わせは、笙子の膣肉の締め付けと、首筋に浮かび上がる頚動脈の盛り上がりで正解を導いていた。 「そぉぉ・・・それが、いぃぃぃぃ・・・・まつやまぁぁさぁぁんっ・・・・そぉぉ、いぃぃくっ。」 乳首から舌も手も離すと、肉身を動かすことに集中する。太ももの付け根、膝を敷布団に押し、捌かれたかえるのように足を開かせ、繁茂に視線を凝らし、その森林の中にある他人の領土を進軍していった。 進軍を受け入れるその土地の領主は、他軍から解放してくれた軍の進駐を受け入れ、また再びわが地を侵される憂き目に合っている。だが、併合を受け入れた代償にまだ気がつくことはない。併合の良効果だけを享受し始めた昇は、笙子の右手だけで果てぬ陰茎を眺める夜が続く。 |
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| 2014.9.6掲載 |
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