はちみつ太郎 作
| １０８ 耳元でその夜に起きた併合の取り決めを聞かされている。 「うん、お風呂は、流して終わりだよ。」 「何もない。」 「うん、だって疲れてたし、時間も時間だし。」 「で、次とか・・・決めてるの？」 「ううん、・・・だって、昇さんの気持ちもあるからって。」 「からって、て、その人主導なの？」 「え、そうじゃないけど、・・・決められないもん、わたしじゃ。」 昇は、条件の面を聞いていない。向山には、大人の決め事だし、契約書面を作るわけにもいかないと、３人の裁量に任せると合意事項を作ってはいない。 だが、どこにもない主導権。それを放置することは、怖い。でも、屹立の具合からしても、今夜の事柄にしても、間違いなく主導権は他人棒である松山に握られていることは自覚している。 治療を目的にしているのは、昇だけで、笙子の女の体はその処方箋に過ぎない。薬物である松山は、まだ昇には浸透せず、副作用も見せない。昇には薬物投与を続けざるを得なかった。 「いいよ。・・・でも、内緒では行かんでくれよ。・・・絶対に。」 「うん、わかってるよ。」 笙子は昇の承諾と次回の許しを聞き、昇のトランクスを戻す。昇は、改善の余地を残しながら、ズボンを上げ、布団をかぶり笙子におやすみと一言だけかけている。 いつもの笙子は、昇のそばで寝息を立てるが、今日の笙子はその時間になるのはまだ早いようだった。５分、昇の寝息が聞こえるまで添い寝を続けている。指先は、寝巻きとしてきているジャージの上から、収まるはずのない肉芽の包皮を撫でさすり、堪えるようにかすかな吐息を漏らしていた。 背を向けた昇は、併合の憂き目に気がつくことなく、安心を享受されているような寝息だった。ジャージのポケットにマナーモードで入れたスマホが軽く振動する。 布団からゆっくり体を外に出し、布団を直し扉を閉める。スマホの明かりが暗がりの階段に明かりを灯し、誘導されるように笙子は昇から遠ざかっていた。リビングに降りた笙子は、一際明るいアプリをタップする。 『笙子さん もう、寝てますよね。またＣｏｍｍします。』 『こんばんは松山さん。まだ起きてますよ。ってか、寝れませんよね。なんだかｗｗｗ』 『起きてたんだ。お肌に悪いよｗｗ。旦那さん、何か言ってる？』 『まぁ、少しだけ気にしてます。けど、次はいつ行くのってｗｗ』 『いつにする？』 『松山さんの用事のほうが多そうなんで、決めてください。合わせます。』 『じゃ、今週の土曜日。夜はどうですか？場所は、後ほど連絡します。』 『ＯＫです。』 『じゃぁ、また連絡します。今度こそ、おやすみｚｚｚｚ』 『おやすみｚｚｚ』 時間にして五分ほどのチャットは、アプリを遮断して終える。松山に指定されたアプリは車内でダウンロードし、使えるようになるのにそう時間はかからないでいた。 土曜日の予定をカレンダー越しに見ている。昇には明日伝えることにしているが、いつ言おうかためらいもあった。カレンダーに○をいれるのも、なんだかという気持ちになり、電話で済まそうと自分で納得していた。 Ｃｏｍｍのアプリは、向山もダウンロードし二人のコミュニティーに登録されている。チャットの内容は、覗かれる？というより監視されていることは笙子も承諾済みだった。 歯止めとなるべく期待はしていないが、協力という名の元においては拒絶することも出来ず、本来の昇への治療という大儀のためには欠くことができないと認識はしていた。 朝方４時、向山はアプリを立ち上げる。アイコンをクリックすると、コミュニティの会話を読み上げている。 「あらぁ・・・うまくやってるのねぇ。」 会話の最後を見届けると、卓上に置かれているカレンダーの土曜日の部分に二重丸をつけている。脇に『笙子 ２回目』と書き足し、ハートマークを二つあしらっていた。 その日の夕方、笙子は病院の保育所での業務を終えると、向山に呼び出されていた。カウンセリングの一環としてだが、昨晩の聞き取りであることは想像の通りだった。 笙子がいすに腰掛ける前、卓上のカレンダーは裏返しにされる。その光景はさして気にすることもなく、笙子は向山の問いかけに照れ笑いで応対している。 「三回です。」 「三回、・・・三回とも松山さんの求めね。」 「・・・。」 「違うの？」 「答えたほうがいいですよね、先生。」 「えぇ、なるべく、隠して欲しくないわね。」 「１回目は・・・松山さんから・・・２回目は・・・多分二人ともが。」 「じゃぁ、３回目は笙子さんからってことね。」 「えぇ、・・・そうだと思います。」 「３回目の所を詳しく知りたいわぁ・・・笙子さんから、欲したのよね。」 「はい。」 「どんな感じになってたの？・・・罪悪感とか、存在しながら。」 「です。・・・罪悪感ってのが最初はあって・・・でも、それ以上に・・・その中でしてしまうのが・・・。」 「良かったのね。」 「はい、でも、それじゃぁ・・・今までのひかり保育園に居たときと同じなんじゃって・・・思ってたんですけど、向山先生のお言葉を思い出して。」 「そうよ、振り返るんじゃなくてね、・・・自分に正直になって、今の女性は、生殖に正直に成れていないのよ。笙子さん、一段階を越えてるは、もう。」 「はい。・・・なんか、そう感じました。初めてなのに。」 笙子は照れを隠すことなく向山の聞き取りに口を滑らせていった。３回目の松山とのいきさつ、昇に言ったのは２回だといった嘘も向山には吐露してしまっていく。 胸元に吐き出された射精液。一度目より薄くなるどころか、色合いはこちらのほうが健康的な色に見えた。笙子の胸の谷間にある汗と混じることない射精液は、拘束されたままでは自ら拭うこともままならず、弾む息で横隔膜の動きに合わせ、首元に垂れ流れていってしまう。 栗の花を思い出させるその匂いは、鼻をつき、顔を背けるほどではないが、逃れるように首を伸ばし気味にする。息を整えた松山は、ティッシュを一枚二枚と手に取り、首元までいき掛けた自分の分身液を鎖骨の手前で拭うことができる。 笙子は、ほっと息をつき、松山の顔を見つめると念が通ったのか、汗を流したいことを訴えていた。 「汗、ながそっか。」 「はい、そうしましょ。」 「俺が流してあげるから・・・そのままで、・・・行こうよ。」 「え、・・・うん。」 手錠の戒めを解くことなく抱きかかえられる笙子。ベッドから降り、足が地に着くと、おもむろに背後に忍び寄った松山は、手錠に再び縄をかけ、笙子に歩きを促した。 連れられるようにシャワールームに引き寄せられていくと、シャワーヘッドをそのままにして、湯の量を松山が調節をしていた。湯の加減が頃合になると、笙子の胸元のフレッシュな射精液の残りを消し去っていた。拭い終えると、一度目の射精液も気にし、繁茂を湯でほぐしていた。 塊が笙子の柔らかな陰毛をこわばらせ、ボディーソープでその強張りを消していく。シャンプー液まで手に取ると、まだごわつく陰毛に泡立てていき、顔を見合わせながら照れ笑う。 松山は、指先を繁茂の奥に通り抜けさせ、陰唇を割ると、関節まで指先を押し込んだ。 「もしもだよ・・・少しでも出てると・・・わかんないしね。」 「いやぁあぁ、なんかぁ、いたずら・・・されてるぅぅ・・・しぃぃ。」 笙子は腰を少し折ると、顎を松山の肩に乗せ、喘ぐ声をバスルームに響かせてしまう。その声と、指先にヌメル笙子の蜜が作用したのか、二度目の精を撒き散らした後には思えぬ滾りを見せ付けられる。 顎を乗せた松山の肩から下を向き、目にしたのは笙子の口を欲している松山の肉身。笙子は、松山の指技から逃れるようにしゃがみこむと、先端の赤黒い肉身を何も言わずに頬張った。 「うぅぅ・・・すげぇ、気持ちいいわぁぁぁ。」 射精後、数分足らずで松山は再び射精感に襲われてしまう。何らかの液体が尿道を越えるのを感じ取っている。射精の残りだと松山は感じるが、笙子には無味の男潮であると想像していた。 飲み込むのもたやすい唾液と同じくらいの粘り気を舌に感じた笙子は、唾液にまみれながら、咥える肉身に垂れ流していた。吸い取るように肉身の先端をすすると、松山は少し腰を引き、笙子の口技に脳芯を揺さぶられてしまう。 「だめだってぇぇ、・・・おぉぉ、気持ち良すぎだしぃぃぃ。」 「じゅぼぼぼ・・・じゅじゅぼ。」 笙子は拘束された後ろ手をそのままに、きつつきのようなフェラで松山を攻める。舌の動きは、柔軟でなおかつ早くされた松山は、笙子のこめかみをつかむと、オナホールのように動きを加速させる。 「おごぉぉぉ、ぐじゅぐじゅぅぅぅっぅ。」 笙子は松山を見上げる。肉身を口から離すと、舌の上に乗せた少量の精液を見せつける。恥ずかしそうにした松山は、シャワーの湯を再び笙子に向け、少し口に湯を含ませる。 べぇ、と排水口に松山の精液を吐き出すと、笙子は、膝立ちで松山を見つめ、願望だけを端的に告げた。 「もう一回・・・エッチしたい。」 「え・・・ゴム・・。」 「いい、・・・出来ない日だし。」 笙子は、松山のたじろぐ姿を見ていった。 「そのまま、してください。・・・後ろから・・・お願いです。」 松山は、笙子を抱き上げるとゆすいだすぐの口内に舌を捻じ込んだ。笙子の舌は、松山の舌を欲し、絡みつくように会話していく。 ３０秒、舌での会話を終えると、笙子は縄で操られ、体を起こされると短めに握られたその縄の支配者に主導権を引き渡すように握らせた。ユニットバスの壁面に胸を着き、頭を仰け反らせると松山の片手は腰をつかみ、細めのウエストを引き寄せ、赤黒い砲身は尻間に消え、瞬くうちに笙子と繋がりをきんけつさせてしまう。 「いぃぃぃ・・・キツク突いてくださいぃぃぃ。」 届いている肉身の先端は、女の核心をついてくる。尻身の薄い笙子は松山も感じられるくらい後背位での相性が良い。奥にまで届き、肉身の行き先が暴れているように感じる松山は、笙子の喘ぎに合わせることなく叩きつけるように鳴かしていた。 「あぁ、おくぅぅぅぅ、そぉぉ・・・あんっ・・・いくぅぅ、あん、だめぇ、だめぇぇ・・・いく、いくっ。」 松山は笙子にかける言葉も忘れるくらい腰を振り続けている。口内に射精した煽りか、生での人妻との性交という圧倒的背徳を脳内にほとばしらせながら、まだ遠い射精感を感じることがない。 そして、牝という生き物に落ちかけた笙子を犯しながら、今まで挙げてきた性犯罪者らの心理を心に写し取っていた。 向山は、笙子に最後の言葉を求めていた。 「はい。・・・中に・・・昨日は、安全日なのを知っていたので、・・・許してしまいました。」 |
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| 2014.9.8掲載 |
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