はちみつ太郎 作
| １１１ 松山が笙子を自宅に送り届けたのは、午前７時前。自分は、別部署の生活安全部への部屋の引渡しのためもう一度県警のアジトに引き返している。笙子は、出た時と同じ姿のまま送り届けられている。眠そうな顔と、落とした化粧だけが家から出た時と違うように見えている。 「おかえり。」 「ただいまぁ。」 「疲れてる？」 「うん、・・・少しね。起きてた？」 「少し寝てた・・・さっき起きたけど。」 「ごめん・・・遅くなっちゃった。」 「なんかあった？」 「ううん、・・・ちょっと、寝ちゃってた。」 「二人とも？・・・ううん、少し用事が出来て・・・いない間に。」 「松山さん？だっけ？」 「そう、・・・その間寝てたから、遅くなった。」 昇は、笙子を抱き寄せる。笙子は、少し大きくなりかけの昇の下半身が太ももに触れると、顔を見合わせている。手で感触を確かめる。出来そな具合かはわからないが、手ごたえがないわけでもない。 「ん？・・・ちょっと・・？」 「あぁ、寝起きかもしれないけど・・・したい。・・・ダメか？」 「ううん、でも、シャワー・・・浴びたい。」 「俺のわがまま聞いてくれよ。・・言い方悪いが、汚された笙子を・・・抱きたいんだわ。ダメか？」 「え、・・え、・・・・・・・うん。軽蔑せんといてよ。」 「誰を？するわけがない・・・。」 笙子は眠い目を少し擦りながら、昇にキスをする。抱き寄せた昇は、二人の寝室まで寄り添いながら移動し、布団の乱れたベッドに横たわる。 汚れた笙子といわれた意味は理解できている。松山の残り香を感じながらという意味であろうが、残り香は笙子の物のほうがきついだろうと思っている。 フレアのスカートはまくられ、穿いたままになっていたショーツを目に触れさした。 「笙子・・・これって。」 「うん、穿き替えてない。・・・昨日のまま、・・・こんなんでもいいん？」 「カピカピだけど・・・松山さんの・・・じゃないよなぁ。」 「うん・・・私の・・・だよ。・・・ごめんね。・・・パンツ換えさせてくれんくて・・・そのままだから、・・・。」 従順な笙子の言葉は、昇へのものでなく松山に対してのものなのか疑問は消えない。その疑問を払拭せぬまま、フレアスカートに潜り込み、汚れたままのショーツを少し捲ってみる。 ショーツの隙間に松山と同じように指先だけを忍ばせて、陰唇に触れていく。笙子は少し尻の肉を窄め、息をついた。ヌルヌルとした淫汁は松山との交わりの跡をうかがい知らされている。 昇は顔を近付けていき、ショーツのゴムに手をかけると、じわじわと笙子の陰部を露にしていた。太ももを通り過ぎ、膝にかけると、笙子は片方から足を抜き、膝に絡まるショーツを手にするが、昇はそれを奪い取る。 「いやぁ、見んといてよぉぉ・・・すごい恥ずかしいってぇぇ。」 「あぁ、恥ずかしいくらいになってるなぁ。・・・濡れたまま、擦りつけられた？」 「う、うん。・・・それもあるし、・・・。」 「おもちゃとか？」 「違う、し終えたときとかに・・・パンティ穿かされて・・・ぐりぐりされた。」 「そうかぁ・・・俺に、見せつけ・・・とか。」 「そうかもしれん。・・・本当は、着替えのパンティ持ってたのに・・・。」 「のに？」 「没収されて・・・置きパンにさせられて。」 「通い妻みたいな感じだな。」 「笑い事じゃないよぉぉ。」 「ごめん、・・・今日って・・・何回？」 「３回。・・・」 「消防士だっけ・・・パワフルだな。」 「う、うん。」 笙子のあいまいな返事は、昇には伝わらずにいた。そのあいまいを消すように笙子は、フレアのスカートを脱ぎ去ると、Ｍ字に開脚し、昇の愛撫を待ちわびる。 指先が陰唇を割り、割れた陰唇の根を舌で遊ぶ。大きめに変化している笙子の肉芽に、違和感を覚えていない。薬液注入で淫靡な膨らみにさせられているそれを、知らないのは昇だけだった。 陰唇を拡げられると押し出されるように肉芽は空気と昇の舌に触れる。甘美な声というより、恥ずかしさが残る抑え気味の声。どこか、松山との交わりのほうが、開放的なのは笙子も自覚していた。 昇には、まだ、自らが持つ性嗜好を伝え切れていない。昇もそれは同じだが、パーセンテージでいくと昇のほうがダブルスコアで上回っている。 肉芽の転がしに、できることなら羽交い絞めにして欲しいと心の中で叫ぶが、聞こえていいはずの昇にはそれは伝わらないでいた。 自ら手を後ろに回し、背中に押し当て、身動きを統制する。目を閉じ、拘束具を使う男たちが笙子の周りにうごめく感じが、昂ぶりを感じさせていった。 「あんっ・・・・。」 置き去りの快楽は、妄想の中にそれを求められていく。大きく目を閉じると、深い闇から指先だけが笙子を犯すように刺激を加えてくれる。 笙子の喘ぐ声は昇にも作用するかに見えるが、血流の改善は、芳しくない。昇も気がついていた、笙子のいない時間のほうがより興奮を覚えていた。 指先舌先を駆使し、笙子に昂ぶりを与えようとも、自分の改善には及ばないでいた。松山に抱かれている姿、それを想像していた時間のほうがより自分の男を感じてしまう。情けなさから、笙子への愛撫を疎かにし、そして止めてしまった。 「笙子、・・・まだ、だめだな。」 「うん・・・時間がかかるものだよ。」 「あぁ、・・・。」 「シャワー、浴びてきていい？」 「あ、うん。・・・ごめん、いいよ。」 下半身のみ裸の笙子は、汚れたショーツとフレアのスカートを手にし、昇とキスをすることもなく、浴室に向かった。昇は、ベッドに大の字に寝転がると、トランクスの上から大きくならない陰茎を摩ると、わびしさを感じていた。 「あぁ、ダメな男。・・・このまま、・・・寝取られていくんかな。」 階段を居りきっている笙子の耳には届かないが、愛する妻への詫びの言葉はそこにはなかった。 朝方の熱いシャワーに体を覆われた笙子は、指先でたてたソープを入念に敏感な部分にこすり付けていく。汚れという感覚には、松山につけられた痕跡よりも、昇にねぶられたそれのほうが大きい。 目を瞑り、立てた泡を利用し、陰唇から肉芽を向き上げるように洗浄を試みる。指先は、見知らぬ男にのっとられるようにして陰唇を割る。 声を押し殺し、シャワーの湯音でかすかな喘ぎも誤魔化した。眠気の奥にあるのは、煮え切らない性欲の残り火。それを発散するために足を開いたが、昇の回復はまたもおあずけだった。 シャワーヘッドを跨いだ笙子はきつい流水を股間に当て、煮えきらぬ残り火の消火に当てる。 「ぃぃぃ。・・・あんっ。」 脱衣所でのその喘ぎを聞き取る昇は、回復の望めぬ陰茎を摩りながら、笙子のパンティーの臭いを嗅いでいた。 |
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| 2014.9.15掲載 |
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